ある暑い夏の日の時、俺は出会ってしまった、赤い血の池の中で。
学校の倉庫の中で窓から入る雲に隠れた小さな満月からの月光を頼りに陸上用の器具を片付ける、夕方には練習は終わっていたが片付けに時間が掛かりもうこんな時間になってしまった、建て付けの悪い錆びたドアを閉めて、家へと向かう。
しかし家に待つ人はいない、親は早くに事故死し祖母に引き取られたが中学生の際にボケてしまい今は老人ホームに居る一応叔父がたまに顔を見せるがそれも三者面談くらいだ。その為こんな夜遅くまで外に居られる。
学校の荷物を昭和らしい古臭い家に置いて、汗臭いユニフォームを脱いで私服に着替える、未だ隠れている満月の月光の下で蒸し暑い風を浴びながら都市部へと向かう。
赤池町は昭和時代に軍需産業によって繁栄したそこそこな地方都市だ、しかし最近は治安も悪く学校ではあまり出歩かないように言われている。しかしあまり気にしている生徒はいない。
何故こんなことをするのか、簡単に言えば暇つぶしだ家には誰もいなく陸上部の練習が終われば宿題やら予習やらして一日が終わる、これはそんなつまらない繰り返しの中でのささやかな抵抗のような物だ。
そして今日で学校も長期休暇に入り、あまり社交的ではない俺は友人とも会うことが減り暇になってしまう。
そして路地裏を歩いていると、ある異常な存在を感じる、目の前からゾワゾワとした夢の中を歩いているような恐ろしい感覚がする、「行くな」と人間としての理性が恐怖を訴える、理性から来る恐怖心と本能の好奇心が脳の中で戦い合う、そして好奇心が勝ってしまう。
ただの暇つぶしだ、どうせ喧嘩があるとかだろうと、この街ではよくあることだ。そう理性に言い聞かせて好奇心に従う。
俺はその行為を永遠に後悔するだろう。足を目の前の路地裏へ進める、そして異常な存在の正体を確かめる。
そこには、月明かりのもと俺の普段の常識からあまりに離れた行為が行われている。
その行為はもはやある種の儀式とすら思えた、月光の中建物に囲まれ少し開けた空間に俺と同じ高校の制服を着た女生徒が地に倒れ意識を失っている、それよりも目を引くのは女生徒の側にいる女性だ、背中しか見えないが長い美しい蒼髪に黒いワンピースからチラリと見える病的とも思えるがしかし美しい白い肌その姿がどこか儚さを思わせる。しかし本能が彼女を美しいと思っても、理性は彼女こそがこの異常の犯人と訴える。何故ならば彼女は口を倒れ伏している女生徒の首に突き刺し血を啜っているのだから、その本来野蛮な行為は彼女がすれば美しく感じてしまう、その光景に見惚れていると彼女に気づかれてしまう。
「ッッッッ!!」
蒼髪の女は後ろを振り向く、本能のまま動いていた俺の体の意識を理性へと一瞬で引き戻す、そんな恐ろしい目で俺を睨む。
「……ただの小僧ではないな」
蒼髪の女はそういうと、弾丸のような速度で近づくと、突如えげつない衝撃を俺の体に襲う、彼女は弾丸のような速度のまま俺の腹を突き刺して貫通させていた、それも武器も使わず自らの腕で。
「随分と獣臭い血だ、吐き気がする。これは我が食事を邪魔した当然の罰だ大人しく死になさい」
そういうと俺の腹から腕を引き抜く、大きく開いた腹の穴から血がドバドバと出る、背中から倒れる、地に倒れると腹から血が流れていることを背中で感じる、そして血は流れ続け、ついに肩まで到達する。
「あ゛っ」
自分ながら死ぬにしては情けない呻き声だ、意識が遠のく、思考すらまともに出来ずに体からは体温が消えていく、走馬灯だろうかナニカの記憶が溢れる。
それはむかしの小さな記憶、秋のいつもより明るい満月の中何故だか幼い時の俺は笑っている、悍ましい、自分の笑い声だがここまで悍ましさや不快感を感じるのか、リンリンと鈴虫の音も混じり気持ちが悪い、さらに体中に生温い液体のようなものが付いている、いや、この感覚は、
血だ
吐き気の原因はこれだ、体のそこら中にかかりベトベトしている何かしらの肉もついているような気がする。それになんだこの体は毛が生えてまるで獣のようだ。
本当にこれは俺か?一人称視点で勝手に何かを妄想しているだけでは無いのか?だがそう言い切るにはリアル過ぎる。
「認めろ全て貴様のした事だ」
「こんな事を俺がするわけが無い」
「わかりきった事に言い訳をするな」
「待てなんだこの声は?」
脳内に誰かから声を掛けられる、その声はまるでさも俺の居場所はここだというように自然にそこにいた。
「当然だ、お前が望み今我は起きた」
黙れ、こんな時に罵倒されたがるわけがない、死にかけだと言うのにこんなタチの悪い妄想をするなんて最悪の気分だ、意識が消える、死ぬ、俺という存在がこの世から消えてしまうように感じる、寒い。
「そうかなら少しその体を我が貰うぞ」
何者かが気になる事を言った瞬間俺の意識は消えた。
「何か特異な物を感じたが気のせいか」
先程傲慢にも我の「体」にあたる部分を殺そうとした蒼髪の女が独り言を呟き先程の女生徒に再び食事をしようとする。
「やはり我は運が良いな、今日は"満月"だ、"半月"では先の傷は治りきらないだろうな」
蒼髪の女が我に気付き一瞬で振り向く、そこには月明かりに照らされている我がいる、その姿はもはや人のものでは無くなっていた、獣が人となったような姿、まさに人狼だ。
「貴様何もだ?名を名乗れ、先の一撃は常人はおろか下級の吸血鬼なら即死だぞ」
蒼髪の女は即座に威圧感を発する、同時に目の前の我という異物を見つめる、それは拒否を許さない圧倒的強さからくるものだ。
「我が何か?愚問だな!」
蒼髪の女の威厳ある、まるで女王からの問いを、愚問と評する。
「我が何か!そんな事は我以外の者で決めろ!我を何と定め、何と呼びかなぞ興味はない!我こそはこの歪みを隠さんとする愚かな者を破壊する者!世界の矛盾を露わにし壊すだけの獣だ!」
久々の開放感に舌がよく回る。その答えに女は嘲笑で返す。
「なるほど、何かと思えば人間の作った愚かなもどきね、人如きが真なる獣を造らんとした末路か」
この女は我の存在をもどきと評した、しかしそんな事はどうでもいい、壊すだけなのだから。
何も言わずに目の前の蒼髪の女に襲いかかる、その速度は常人では到底気付くことすらできないだろう。
「獣もどきが我を襲うの?愚かとはこのことだな!」
まずは勢いに任せ、手刀を女の首へと向け突進する。
「つまらない攻撃だなっ!」
蒼髪の女は手刀の攻撃を余裕を持って避けると、同時に我の背中に攻撃を浴びせる、その攻撃は人間ではなくなりもはや鋼鉄と変わらない硬さの我が背中に直撃する、たとえプロボクサーが殴っても傷一つできない我の背中だしかしその数十倍は強い女は容易に我が背中を貫通する。
そしてさらに路地の壁へと我を叩きつける、壁にはいくつものヒビが入る。そして蒼髪の女は我に連続攻撃を浴びせる、壊さないように、もっと長く楽しむためにまるで我をサンドバッグ扱いするようだ。
「ほれ!どうした!?このまま殴り殺されるか!?」
おもちゃを買ってもらった子供の様にハイテンションに我の体を殴り続ける。この状況から脱するためには、
「何とか、言ってみたらどうだ!?んっ?」
数秒間続く連続での攻撃が突然終わりを迎える、当然だ殴る腕を折ったのだから、意識を腕に集中すると連続攻撃の隙を狙い拳の合間を縫い女の両腕を叩き折る。腕は完全に折れ飛び肉と骨は丸見えでグロテスクな絵面になる。蒼髪な女は状況を理解できていない、呆けた顔を見せると即座に今まで遊んでいた相手に腕を叩き折られたのだと気付くと、怒りを露わにしようとするが、
「貴っ!」
「貴様!」と言おうとした女の顔を思いっきり蹴り飛ばす、数メートル後ろに蹴り飛ばされた女は鼻から血が流れている。
「はぁはぁぁ、この様な屈辱生まれて初めてだ獣よ、お遊びはこれでお終いだ。今から貴様を狩る」
地面に折れて骨まで露出し肘から先がない腕をだらんと地面に預け四つん這いになり息を荒げていた女は足のみで立ち上がりゆっくりと近づく我に本気の殺意を向けてくる。
「そう来なくてはな、さぁ来い!」
腕がまともに使えなくなっても襲いかかる蒼髪の女に歓喜の声を上げてしまう。蒼髪の女は先程よりかなり速い速度で動くが本来の状態とは程遠いようだ、腕は使えないため蹴りのみで攻撃をする、しかし片足で立ちもう片足で蹴りをするそんなのは映画でしか使われないお遊び格闘そのものだ、隙だらけにも程があるだろうという物だ。更に冷静では無いのか狙いが丸見えだ、この攻撃が如何に速くても勢い任せでそんな動き余裕で対応できる、まずは後ろに避け、脚を掴むその後は脚も叩き折りこの女を壊す、勝利を確信する。
しかしそれは甘い幻想だった。
鋭い蹴りが我の頭を襲う予想通りだ、そして後ろに避ける。しかし避けれないコツッと軽やかな音が鳴るだけだ、おかしい路地の壁はもっと後ろの筈だ。
ゴギッ、ガチュ、
我の頭蓋が割れる音が脳内に直接響く、何故だ?何故避けれない?
今までスローモーションのようにすら感じれた早さの思考能力が失われる、我の意識も薄れ意思が消える。
そして秒間何十発ものラッシュの蹴りが我の頭に叩きつけられる。
死にかけたかと思ったらまた死にかけている、死ぬほど痛いが自らの体に意識が戻ってきた事に安堵している泣いてしまいそうだ。しかしこの意識が戻ってもこのままでは体が死んでしまうそれは元も子もないというものだ。
しかし地獄のような痛みも唐突に終わった女が蹴りをやめたのだ、まぁ素人目でもわかるほど顔面が血だらけになり骨が砕けてはになっては蹴る意味もないだろう、背中を預けていた謎の壁が消え、血だらけの地面に倒れる。
「これでお終いだ」
女は俺の頭の上に足を乗せるどうやら頭を踏み潰すようだ、どうにか逃げられないかと必死に体を動かすしかしもう体を動かす力はもう残っていない、死それはもはや逃げられない運命だと悟らせる、女の足が力を込めて踏み潰そうとする、しかしそれは唐突に止まった。
無数の破裂音が路地に響くそれと同時に女の肩から出血する、女は咄嗟に横に避ける。
コツコツと足音をたて路地裏に入ってくる者がいる、その姿はパッと見て10代後半から20代前半のチャラそうな薄めの赤色の髪が特徴的な女性だ、それだけを見たのなら一般人かなにかだと思うのだろうしかしこの異常な空間の中でもさらに浮いた服装をしているからだ、その姿は小ぶりのSMGに特殊部隊が着ているチェストリグを着ている、150センチ程度の女子がショートパンツ等の現代的な服から着ているのがなにかアニメやゲームのキャラのように思える。
銃を持った女はタバコを咥え火を着ける、そして流れるような動きでリロードを行いチェストリグから近未来的なゴーグルを取り出し掛ける。そしてこう呟く。
「センソリーオーバーロード起動並びにレセプター拡大、アクセラレーションlevel2に移行」
そして両者が共に戦闘の構えを取る、瞬間風が起こる銃を持った女は壁をまるで地面のように走ったりして、距離を取りながら銃撃を行う反対に蒼髪の女は銃撃を避けながら銃を持つ女に近づく銃を持った女の速さは蒼髪の女より幾らか遅い様に見えるが相手の動きを予想し先に動く事で蒼髪の女と対等に渡り合っている。
銃を持った女は上へ横へと建物の壁を蹴りこの空間を立体的に扱い蒼髪の女を一見翻弄しているように見えるしかし深く見れば分かる事がある。決して銃を持った女は有利でもなければ対等でも無いむしろ不利と言っても過言では無いこの狭い空間に置いて銃という遠距離武器の利点を完全に活かしてはいない、更にこの窮屈な空間ではたった一つのミスが死に繋がる、今はなんと均衡が保たれている状態だ。
しかし先程の壁の様な物を使われればこの均衡は崩れるだろう、俺としてはどちらも知らない人間だが蒼髪の女は必ず俺を殺す気だ。ならば俺は全力で銃を持った女を援護し蒼髪の女を倒さねばならない。
そう思案していると危惧していた事が起きる均衡が崩れた、縦横無尽に動いていた女は遂に壁に当たってしまう。
今まで謎の壁を遂に三人称的な視点で見る事が出来た、壁は透明でまるでアニメやゲームに出て来るバリアのようだ、しかしそれより気になる事がある透明な壁を作れるのかと思えば壁は六面体の形をし更にその中に蒼髪の女が入っている。
考察を始める、壁を作れるだけならばわざわざ六面体にする必要も中に入る意味もない、つまり二つの事が推測できる、一つ壁は六面体もしくは立体的に少なくとも面だけで作り出せないのだろう二つ中に製作者もこの場合は蒼髪の女が中に居ないと六面体は作れないのだろうと推測できる。
「チッ!」
銃を持った女は悪態を吐きながらチェストリグから手榴弾という物を取り出すとピンを抜き蒼髪の女に投げる、そうすると手榴弾は激しい光と音を立てる、どうやら手榴弾の中でもスタングレネードという種類らしい直接浴びていたなら数分間は視力を失っていただろうが透明な壁によって光は抑えられている。それと同時に銃声が響き透明な壁が破壊され六面体から銃を持った女が飛び出る。一面が破壊された六面体はそのまま破壊されたのが伝播され六面体全てが壊れる。
「どこ行きやがった色白野郎!」
銃を持った女は焦った様子で蒼髪の女を探す、もう六面体のあった所に蒼髪の女は居なかった、恐らく建物の中に隠れたのだろう。自分より速い相手の居場所を自ら不明にしてしまうとはあのままでは殺された可能性が高いとはいえ圧倒的不利な状況になってしまったのは違いない。
このままでは銃を持った女は高確率で奇襲を受けて蒼髪の女に殺されるだろう、ならば俺はこのまま俺が瀕死で動けないと思わせて瓦礫でも投げて蒼髪の女を邪魔する事だ。
イヤ、そんな馬鹿な事をするだろうか?俺は腹をぶち抜かれてもすぐ起き上がれる再生能力がある、もう動ける事はバレている筈だ、ならば俺は
思考がそれに至ったなら行動はシンプルだった、全力で銃を持った女に近づく恐らく蒼髪の女は俺と銃を持った女、両者を確実に仕留める為には一人一人相手にする事が重要だ、前衛の俺と後衛で銃を持った女に同時に攻撃されるのが一番面倒くさい筈だ。その為に恐らくだが透明な壁で俺からの攻撃を確実に無くしてから攻撃を仕掛ける気だったのだろう。
「なっ!」
今まで動けないと思っていた俺が急に近づき始めたのを見て銃を持った女がこちらを向く、それと同時に斜め横の建物から蒼髪の女も走って近づき始める、こちらの意図を気づかれたのだろうしかしもう遅い。
銃を持った女と蒼髪の女の直線上に入り込んだ蒼髪の女との距離は約5メートル相手からしたら一瞬で近づけるき恐怖を押し殺しながら蒼髪の女へと突撃を仕掛ける。
無謀とも思える行為だが時間を少しでも稼げればいいのだ、何故ならば蒼髪の女は必ず俺を今ここで殺せる程度の攻撃をしないその理由は今ここで殺すべき優先順位は銃を持った女の方だからだ、多分だが俺はゴキブリ並にしぶとい、あんな蹴られたのになんかもう動けるし今ここで俺を殺しきれる攻撃をするにはあまりにも隙ができすぎる。よって蒼髪の女は俺を死なない程度に攻撃して銃を持った女を確実に殺しに行く。
よって俺はそれを防ぐために命懸けで妨害に走る。しかし蒼髪の女が俺の考えを読み命を諦め俺を道連れにする気になったら可能性は低いとはいえその時は俺という馬鹿が1人死ぬだけだ。
「考えが幼稚ね」
蒼髪の女は俺の考えを読んだかのように俺を嘲笑う。
直後俺の周りを先程の透明な壁を覆う、驚愕、俺の先程の考察は外れていたのかと考える。
まさか自分が入っていなくても透明な壁を生成出来たのか、先程わざわざ自分も六面体の中に入れたのは俺へのブラフか!
そのように考えていると
「惜しいわね製作者が中に居ないと行けないのは正解でも形は自由に作れるの」
蒼髪の女は俺をわざわざ煽る為なのか答え合わせをしてくれた。そして蒼髪の女はそのまま銃を持った女へと襲いかかる。
どういう意味だと周りを見渡す透明な壁は巨大な立体の中に俺の周りだけをくり抜かれたように箱状の壁を作っていた。
「そう言うことか!」
余りの悔しさに叫んでしまう、六面体しか作れないという自らの安直な考えを恥じる、しかし後悔する時間は無い、もはやゴリ押ししかないこの透明な壁を破壊する。
振り向く勢いに任せて腕を叩く、しかし透明な壁は壊れない無常にも拳に痛みが走るのみ当然だこの程度で壊れたら蹴られた時に勢いで壊れてしまう。
どうすると思考を巡らせる残された時間は数秒もないこのいわゆるゾーンと言う思考状態でも残された時間ではまともな事は考えられないだろうどうすればいい?
思考を必死に振るうそしてある事を思い出す。
『当然だ、お前が望み今我は起きた』
自身を我と言った者の言葉を思い出す、そして自分ながら無茶苦茶な考えに至る。
俺が望み我とやらが起きたなら今もきっと我を呼べるそう思い拳を振るう、振るいながら必死に思う「俺が生き残る力をくれ」と、直後俺の身体が変化する。
右腕の拳から始まり爪は獣の様に鋭くなり腕は毛が生えて来る。しかし変化は右肩で止まってしまう。
だが俺にはこれで十分だ
「うおおぉぉぉ!!!」
力の思うままに全身を使い右腕を振るうそして透明な壁が破壊される。
「何ぃ!?」
蒼髪の女は驚愕の声を上げてこちらを振り向く、そしてその身体に透明な壁を壊した勢いのままに変化した爪を叩き込む、肉に直接手を入れる不愉快な感覚が一瞬したがそのまま拳を振り抜く。
蒼髪の女は十メートルは吹き飛び地に倒れる、それと同時に蒼髪の女の腹が俺の攻撃によって貫通されている事がわかる。
「まさか、「獣」の力を引き出すとは、もどきとは言えど侮りすぎたか」
蒼髪の女は地に倒れ悔しそうに怨嗟の声を漏らす、そうすると銃を持った女が蒼髪の女に銃を向けて発砲する。
しかし決してその弾丸が当たる事は無かった、発砲した直後数多のカラスが現れ蒼髪の女を覆うとすぐに離れるが蒼髪の女の姿は無かった。
「おお、我が主よご無事ですか?」
声は建物の上から来た、咄嗟に上へと視線を向けるそこには大量のカラスと蒼髪の女と黒い執事服を来た男性が居た、執事服の男は20代後半程度に見える
「まったくあなたは初めて会った300年前と同じでヤンチャですね」
執事服の男はまるで親戚が姪っ子を可愛がるような優しい声を丁寧な口調で出力しているというよりナチュラルに300年と言っている不老不死なのだろうか、そして執事服の男はこちらを向くと
「今日はこれで失礼します。次会う時までにご覚悟を」
そう言うとカラス達が飛び立ちカラスが消えた時にはもう既に蒼髪の女も執事服の男も消えていた。
「チッ、逃げられたか面倒くさいな」
銃を持った女が呟く、そしてこちらを振り向いて近づいて来る。
「あなた一体何物なの?」
銃を持った女は俺に対して尋ねてきた、名前ではなく何者かとなんとも不思議な尋ね方だ。しかし答える余力は何処にも無かった、重力に身を任せて地に倒れる。
「ちょっとあんた!」
その声を最後に意識を失った。