ハスターなオリ主とジョジョ3部   作:ラムセス_

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ジョセフの奮闘

 

 パキスタンの都市カラチへと車で向かっている。

 荒野をひた走り、俺たちは車内でまったりと雑談中だ。

 

「あれがスタンド使いを生み出す矢ってやつか。不気味なもんだ」

「DIOの手下にどうもスタンド使いが多いとは思っていましたが、人為的に生み出しているとは…」

 

 花京院君の言葉には皆同意見のようで、重たい沈黙が落ちる。

 

 俺がエンヤ婆から押収したスタンドの矢は、旅に持っていくには危険すぎるということでスピードワゴン財団に預かってもらっている。

 財団と合流してから出立したため少しばかりタイムロスしたが。

 スタンドの矢の重要性を思えば仕方ないことではあった。

 

 承太郎君が少しだけ目を細めて口を開く。

 

「なぜ襲撃したババアはこんな重要なものを持ってノコノコ俺たちのところまでやってきたんだ?」

「……俺に交渉を持ちかけてきたんだ。これを渡す代わりにジョースターから手を引けってさ」

「ほー。つまり襲撃者はそれだけの価値がテメェにはあると踏んでいたと。無限に刺客を生み出せる矢を渡してでも引いて欲しいと、そう思ったわけだ」

 

 ぴえん。

 承太郎君の圧におもわず顔文字みたいな顔になる俺氏である。

 しょぼしょぼしながら俺は控えめに肯定した。

 

「うっす。俺はその、界隈ではちょっと有名なワルでしてぇ」

「黄衣さんがワル?宇宙人は悪の意味が地球とは違ったりしてます?」

「いや意味はあってる。ほら、サイヤ人的な感じでさ。宇宙のワル種族なんよ」

「テメェジャンプとか読んでたのか」

 

 多分今ちょうどドラゴンボールサイヤ人編の連載が始まったばかりだったか。

 その辺りを踏まえるとイメージしやすいだろうと思っての発言だったが、やはり学生組がジャンプ読者だったらしい。

 二人の目が大きく見開かれている。

 

 というか、まさかこれのせいで宇宙人発言の後に花京院君と承太郎君の俺への興味が爆上がりしていたのか?

 

 やや咳払いしてから俺は頷いた。

 

「うむ。とかく名の知れたワルなので、敵は命乞いに来たんだ」

「ならばまだ見せていない隠し球があるということか?ワシ気になるんじゃが」

「隠し球というか、単に本体全部見せて大暴れするだけだよ。でもゴジラぐらいには強いぞ!」

「僕の中でデカいパックンフラワーが暴れてるんですけど合ってます?」

「何も合ってないです。俺を土管の中に押し込めるのはやめて」

 

 俺が抗議すると、素早く花京院君の瞳が輝いた。

 「えっ、黄衣さんゲームやるんですか!?」とそわっとした花京院君が身を乗り出す。

 

「俺、最近だとスーパーマリオブラザーズ3が好き」

「流石マリオ、素晴らしい出来でしたね。F-MEGAは買いました?あれすごくいいですよ!」

「レースゲームかぁ。俺実はレースゲーム触ったことないんだよね…難しくない?」

「僕が教えますよ。帰ったら皆でやりましょう!!」

 

 すごい熱量で捲し立てる花京院君はみたこともないほど生き生きとしている。

 それにこの命懸けの旅で、目的を達した後の約束ができるのはいいことだ。

 

 わくわくとゲーム語りに入る花京院君のマシンガントークに、俺は丁寧に乗ることにした。

 

 「ゲームかぁ、俺やったことねーな!」と興味ありそうなポルナレフさんを引き摺り込んで。

 すでに花京院君の脳内ではプレイの日程が完成しているようだ。

 ジョセフさんが「ファミコンはやはり強いのお。ゲーム市場全体が賑わってきておるし」と経営者ならではの視点で頷いている。

 

「俺バルーンファイトやりたい!」

「古いゲームが好きなんですね!僕も中学生の時にやりこみましたよ。まだあったかな…」

「どうせならスタンドありでやろうぜ!ただしスタープラチナは禁止な」

「じゃあワシはハーミットパープルでちょいとゲームに細工を…」

「スタンド一律禁止です。ゲームを楽しむように」

 

 花京院君の巌のような一言で、どっと場が沸いた。

 

 承太郎君も悪い気はしないようで、「俺の家なら広くて集まりやすいだろうぜ」と言って乗り気の様子を見せている。

 うむうむ。善きなり。

 こういう小さなことこそ明日の活力になるというものよ。

 

 いい感じに話題もそれ……てないらしく、承太郎君が少しだけ俺をみて、やれやれだぜポーズをとった。

 だがこの辺にしといてくれるらしい。

 俺のワル問題には触れずに流しておいてくれた。

 

 そんなことをしている間に、カラチに到着したようだ。

 車をその辺に止めて街の観光に入るとする。

 

 この辺も賑わっているが、特に屋台が多いようだ。

 美味しそうな肉の焼ける匂いがあちこちから漂ってくる。

 

 腹が減っているのか、ケバブの店に吸い込まれようとするジョセフさんに、俺もついていくこととする。

 ケバブ、俺もあんまり食べたことないから本場のそれを食べてみたいと思っていたのだ。

 

 交渉しようとするジョセフさんを押し除けてぼったくり価格ですぐ購入。

 大事にとっておいたジョセフさんからの小遣いだ。

 こういうのは欲しい!と思った瞬間口の中に入ってなきゃウソなんだよ。

 

 遠慮なく肉を口に放り込む。

 焼き加減もちょうどいいし、熱々で非常に美味しい。

 ジョセフさんが半目で俺を睨んだ。

 

「そんな金遣いだから路上生活になるんじゃろ…」

「だってぇ。人間の飯ってみんな美味しいからぁ」

「お主の母星ではどんな飯が出とるんじゃ一体…」

 

 そりゃあれだよ。

 ねちゃっとしたPOW(精神力)を肉団子にした悍ましい何かだよ。

 

 などと。

 そのあたりで、化身の中に妙な感覚を覚えた。

 

 ゆったりとターバンを取り、くつくつと笑うケバブ屋が肩を揺らした。

 

「全くおめでたい連中だな。この鋼入りのダンに、こうも緩んだ顔で近づくとは」

「ッ!!!ま、まさかキサマ!」

 

 ジョセフさんが素早く距離を取る。

 そこにスタンドは影も形も見当たらない。

 だが間違いなく化身を持つ気配が漂っている。

 

 鋼入りのダンは俺たちを嘲笑い、高らかに宣言した。

 

「人を殺すのに、力は必要ない。私のスタンド、ラバーズはそれを証明する小さく無力なものッ!」

「いや小さすぎるだろ羽虫か!?なんか目にゴミが映るなと思ってたけど!?」

 

 俺のセリフに気分を害したのか、鋼入りのダンは俺を睨め付け、不愉快そうに鼻を鳴らした。

 

「ふん。その羽虫に貴様は殺されるのだ。何も感じてはいないだろうが、すでに貴様の脳内には肉の芽を植えている!」

「うーん、小さ過ぎて気付かんかった」

「……どこまでも呑気なやつだ。その肉の芽は成長し、喰らい、貴様を操り人形に貶めるというのに!」

 

 「何ーーッ!?」と緊張が走りつつ、俺は一段声を落としてその能力を看破する。

 チラッと見えた情報を過去に遡って逆算するぐらいお手のものだ。

 

「スタンドは今ジョセフさんの脳内にいるってことか。で、ダメージの反射能力を持っていると」

「なるほど、スタンドへの探査能力があるというのは本当だったのか。厄介だが、もはやどうすることもできまい」

 

 非常にスマートなスタンドだ。

 極小のうえ力は最小限。

 だが代わりに何百キロメートルもある射程を持ち、視覚等の同期もある。

 スタンドの基礎となる浮遊能力も備えてどこにでも入り込める。

 暗殺・諜報特化型の割り切った力の持ち主といえよう。

 

 俺に肉の芽を植え付けてから、ジョセフさんの脳内に侵入。

 俺の肉の芽の成長を待つ間の人質としてジョセフさんを選んだということだろう。

 

 勝ち誇った鋼入りのダンが前へと出る。

 「DIO様のオーダーは、そこの奴を連れ帰ることのみ。後のものたちは好きにしろとおっしゃっていた」と嗜虐的な顔で笑った。

 

 花京院君は焦りつつも若干疑問符の浮かんだ様子で俺に問いかけた。

 

「黄衣さん、影響の程は?」

「俺はまったくのノー問題。でもスタンドにキモいの入れられてめっちゃ怒ってます。気分的にはイモムシ食わされた感じ」

「ケッ、哀れな野郎だ。人質を取って、俺らをどうする気だったんだ?」

 

 ポルナレフさんの質問に、不愉快そうに顔を歪めてダンは唾を吐く。

 

「誰に向かって口を聞いている!私のスタンドは!すでにそこのジジイの頭の中に入っているんだぞ!!」

 

 声と共に己の足をベンチに激しく打ちつけた。

 その衝撃に、「うぎゃーっ!」とジョセフさんが向こう脛を押さえて飛び跳ねた。

 カッとなって思ったより自傷してしまったらしい鋼入りのダンが、足をやや引きずって脂汗をかきながら吐き捨てる。

 

「この通り、私のダメージがジジイにも移るということだ!貴様らは大人しく命令に従うことしかできまい!」

「………なるほどな」

 

 承太郎が帽子のヘリを掴んで目を細めた。

 

 俺に関しては化身の脳内に入り込んでも具現化を解けばいいだけだ。

 というか、たとえ本体だとして脳も何もないから肉の芽を埋められても困るだけ。

 

 あとはジョセフさんの脳内のラバーズをどうするか、だが。

 こちらはシンプルな回答がある。

 

 ジョセフさんが「仕方ないわい!」と嫌そうに腹を括って前に出たようだ。

 鋼入りのダンはヘラヘラと笑って屋台に背を預けた。

 

「おおっと、私に攻撃を加えれば、それは同じだけ跳ね返る。さっさとそこでひざまずき、私の革靴を舐めれブヘラっ!?」

 

 瞬間。

 遠慮なくジョセフさんが鋼入りのダンを殴り飛ばした。

 

 当然、「ウゲェーーっ!!」と言って両方同時に吹っ飛んでいく。

 俺が慌ててジョセフさんへと再生を付与する。

 ジョセフさんはそのままふらつく身体で波紋の呼吸。

 恐るべきラッシュを打ち込んだ。

 

「ば、バカな!いくら回復できるといってもダメージは受けゲハァ!?」

「山吹色の波紋疾走、もどきッ!!!」

「ゴッパァアアアア!?!?」

 

 もちろん同じだけダメージを受けることになるから、俺がいくら再生をかけると言ってもジョセフさんにも同じだけの痛みが入るわけで。

 巨漢の肉体を生かした閃光を纏う連撃が、容赦なく双方に降り注いでいく。

 

 やがてボコボコにされた鋼入りのダンが、白目をむいてノックアウトした。

 

 同時に全力を使い果たしたジョセフさんもバタッと倒れ伏して「ワシもう無理…若い時みたいに無理がきかん…」と泣き言を漏らす。

 傷は瞬時に癒えたが、心がついてこないということらしい。

 メソメソ地面に転がって撃沈している。

 

 アヴドゥルさんが駆け寄ってジョセフさんを助け起こした。

 

「大丈夫ですかジョースターさん!?」

「うう……さっき波紋を練ったから問題ないとは思うが、念のためワシの中に肉の芽がないか捜索してほしい。あと黄衣君の方も」

「この腐れ野郎はどうする?」

「近くに川があったら捨ててるところですけど。DIOの情報を吐かせるためにちょっと取っておきましょうか」

「そうじゃな……」

 

 鋼入りのダンの片足を持って地面をずるずる引きずる花京院君の容赦のなさよ。

 

 俺の方は探索してもらうまでもない。

 路地裏に入って化身を解いて、肉の芽を日光に照らしてエンドである。

 陽の光を浴びた砂粒みたいな肉の芽が、ジュッと一瞬で消えていく。

 

 気持ち悪い肉片を入れられてややおこな俺である。

 

 ジョセフさんの体内には肉の芽はなかったようだ。

 ただジョセフさんがとっても痛い思いをしただけ、ということらしい。

 

 まだシクシクしているジョセフさんが「孫!おじいちゃんを慰めるとか!」とハグを求めるポーズをした。

 承太郎君が重いため息をつく。

 

「さっさと宿を取りにいくぜ」

「塩対応!!!」

「ジジイも体を休めてーだろうしな」

「孫優しい!!!」

 

 ジジ孫コントは今日もほのぼのしているようで何よりである。

 

 突如キモい肉塊を入れられた俺のむしゃくしゃはどこにも行けずに燻っていたので、触手でダンをつつくなど。

 花京院君が「お返しに何かこいつにも突っ込んでおきましょうよ。馬糞とかどうでしょう」とナチュラルな外道提案を明るい顔でしている。

 俺はその血の気の多さに慄いてむしゃくしゃを引っ込めた。

 

 みんな、発想が俺より怖いね……。

 

 そんなこんなで、俺たちは今日も平和に宿取りに向かったのであった。

 





・ジョセフ
再生による完全復活のため、ボケフラグ解消。
実は黄衣の再生は元あった通りの再生ではなく「体を健康な状態に戻す」再生である。
よって各種未病が取り除かれ、4部にはスーパー元気波紋戦士おじいちゃんが登場する。

・鋼入りのダン
生捕りにされた。
特に何も情報は持ってないから、この後花京院に適当に川に捨てられる。
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