ハスターなオリ主とジョジョ3部   作:ラムセス_

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赤ん坊の証言

 

 場所はアブリーン。

 本日はセスナを借りてサウジアラビアまで一直線、の予定である。

 

 なんか夢見が悪かったらしく、しょぼしょぼと目を擦る花京院君は若干覇気がない。

 俺が声をかけると、恥ずかしそうに「すみません、ご心配をかけて」と悔しそうな顔をした。

 

「ポルナレフに昨晩は起こされましたよ。うなされ過ぎだって」

「花京院はセスナの中で寝てろ。敵襲があれば俺が起こす」

「すまない、承太郎」

 

 ぶっきらぼうな承太郎君だが、それは花京院君の矜持を慮ってのことだ。

 ポルナレフさんはこっそりと「なんかエクソシストに出てくる悪魔憑きバリの暴れ方だったぜ?」と俺に教えてくれた。

 それは流石におかしいような気もするが。

 スタンドは今は見当たらないから、断言できるほどでもない。

 

 時流遡行で見ればこれがスタンドの仕業かどうかはっきりわかるが……。

 この閉じた世界で、その手の魔術はあまり使いたくないしな。

 

 むむむ、と俺が悩んでいると、向こうのほうからジョセフさんが騒いでいるのが聞こえてきた。

 ダバダバダバ、と走ってこちらへとジョセフさんが身振り手振りを加えて話し始める。

 

「Oh、なんてこったい!ワシらの借りる予定のセスナが使用できなくなった!なんでも、赤ん坊が熱を出して飛行機で街まで送っていく予定らしい!」

「ジジイ、飛行機はいつ帰る?」

「明日の夕方以降らしい」

 

 ジョセフさんが悩んでいるようなので、俺も代案を出すこととする。

 ぴっと指を立てて口を開く。

 

「ふむ、俺が医者のふりして治して済ませるか?」

「治せるのか!?」

「ああ。向こうも赤ん坊をここで見てもらえるならその方がいいだろうしな」

 

 俺の魔術であれば病気の赤子を治す程度容易いことだ。

 「再生」の設定も健康な状態に置き換えると言う手法は説明してあるので矛盾はない。

 

 だが、アヴドゥルさんがやや懐疑的な様子で首を捻った。

 

「小道具や薬はどうする?あまり貧相だと疑われるぞ」

「それなんだよな。ジョセフさんはなんか持ってないか?」

「緊急用の医療セット程度ならあるが、医者を装うには不足じゃわい。よしんば信じてもらえたとして、別途きちんと医者に診てもらおうとなってしまう」

 

 確かに。

 日程にもまだ余裕があるから、赤ん坊が帰ってきたのを待つ方が早いかもしれない。

 明日の夕方以降ということだし、その程度ならば問題なかろうよ。

 

 待つか……という空気になった頃。

 黒いヒジャブを被ったおばさんが困った顔をして、ジョセフさんの後を追うようにやってきた。

 

「もしよければ、この子を飛行機に乗せて、あなた方が代わりに別の町の病院まで連れて行ってくださいませんか?」

「アンタよお、俺らの旅は危険なんだ。流石に赤ん坊は乗せられねぇよ」

 

 ポルナレフさんがパタパタと手を振って提案を否定する。

 いつスタンド使いの襲撃にあってもおかしくない旅路で、赤ん坊を乗せるのはリスクが高すぎる。

 

 やや虚ろな顔をしたおばさんが困った様子をしている。

 俺はそれを見てやっとその異常に気づき、ポンと手を打った。

 

「うん。というかその危険が赤ん坊さんだね。今おばさんにスタンド使ってるよ。人の中に入ってても俺見えるからね」

 

 瞬時に皆が「なにーーーーッ!?!?」という驚愕のポーズをとった。

 おばさんが赤ん坊を抱いたまま困惑して首を傾げている。

 赤ん坊はギョッとした顔で目を剥いて俺を凝視した。

 

 俺はニコニコとおばさんに話しかける。

 

「この子、あなたの子ですか?」

「いや……井戸のところで熱出して泣いてたから保護しただけよ?母親探さなくちゃいけないけど」

「そ、そんなことがありうるのか!?」

 

 ジョセフさんが俺の肩をぐわしっと掴んで揺さぶる。

 ややややめててて揺れすぎ揺れすぎだから。

 

 そりゃ珍しいことには間違いない。

 なにせスタンドの制御にはそれだけの精神力が必要になる。

 生来のスタンド使いならともかく、矢を刺しただけの赤ん坊が生き残る確率は極めて低い。

 

 だが、DIOとやらが矢の実験を行ったとして不思議ではない。

 例えば母親を殺して、残った赤ん坊に矢を刺したらどうなるか、とか。

 

 それで生き残った暴走気味の鉄砲玉を送り込んできても、何も不思議ではないのだ。

 花京院君が赤ん坊を覗いて眉を下げた。

 

「どうしますかジョースターさん。もしスタンドが暴走してるだけだとしたら、余計に連れていったら大惨事になります。おまけに医者に見せて治るものでもない」

「ふむ……困ったのぉ」

 

 もしホリィさんと同じくスタンドの暴走を前に、少しばかり同情的な様子になる一行である。

 俺は悩んで苦肉の策として念話での情報取得を提案した。

 

「少し俺のやり方で話しかけてみるよ。聞き取り調査だ」

「どういう意味だ、黄衣」

「宇宙共通語という名の思念波で、言語や知能の違いを無視して話しかけてみるってこと。これなら言語を習得してなくても、喋れなくても、問題なく意思疎通が可能だ」

「宇宙便利だなおい」

 

 ポルナレフさんにツッコミを受け、俺は憮然とした。

 

 いやまじで旧支配者の共通語は念話なんだよ。

 言語なんてまだるっこしいもの使わなくても快不快を伝えられるし、どんな低INTでも気分ぐらいは適切に送受信できる。

 

 花京院君が「ですが気を付けてくださいよ、その赤ん坊、何かが変だ」と若干の警戒を滲ませて言う。

 赤ん坊はキャッキャと笑うばかりで、そこまで警戒を要するものには見えない。

 

 俺は脳内をグループ化して接続して、皆に赤ん坊の声が聞こえるように調整した。

 

『やあ、赤ん坊のスタンド使い。俺の声は聞こえているか?』

『なんだコイツッ!?能力は再生じゃなかったのかよ!と、とにかく誤魔化さねぇと、あ、アブー!』

『驚くほど流暢に喋るやんけ』

 

 可哀想に、念話で盛大に誤爆したらしい。

 念話初心者あるあるなり。

 同じく念話グループに追加しているポルナレフさん達が驚愕している。

 

『このガキ、理性があるのかよッ!?まさか本当に赤ん坊がDIOの刺客なのか…!?』

『心配して損しました。その辺に捨てて僕らは先へ急ぎましょう』

『だがそろそろDIOの情報だけでも絞っておきたいところだ。コイツは連れてって適当に吐かせるとするか』

 

 絶体絶命の危機に赤ん坊がガタガタと全身を震わせている。

 大人なら逃げることもできたが、赤ん坊では自身の面倒もままならないからな。

 

 おばさんに「仕方ない、わしらが街の医者に連れて行こう!」とジョセフさんが返事をして預かった。

 赤ん坊はドナドナされる子牛みたいな絶望顔だ。

 

 どうやら大泣きして逃げようかとも考えたらしいが。

 花京院君に「抵抗すれば次の刺客にこう勝ち誇るとしましょうか『赤ん坊のスタンド使いは仕掛ける前に逃げて楽だった』と」と言われて押し黙ったようだ。

 汚い流石花京院君汚い。

 

 この赤ん坊のスタンド能力は夢の支配と軽い暗示だ。

 夢という曖昧な領域を使用する関係上、色々な応用が期待できるだろう。

 場合によってはドリームランドにも接続できるかもしれない。

 

 赤ん坊はすっかり怯えて赤ちゃんのふりをしている。

 

『ほ、ぼくはなんにも知らないよぉ。あぶあぶ』

『んー、DIOから寝返る気持ちはない?今なら半グレくずれの吸血鬼から、金も組織もしっかりした財団に鞍替えできるよ』

『そ、それは……』

 

 青ざめて赤ん坊はブルブルと震えた。

 吸血鬼への恐怖は根強いようだ。

 承太郎君が厳しい眼差しで震える赤ん坊を見下ろしている。

 

『DIOに仕えてたところで使い捨てられるだけだ。テメェもまだ人生長い身だ。将来性ってもんを踏まえて選択をしても悪かねぇと思うが?』

『あんな強大な力に敵うとは思えない……俺だって数回しか見てないけど、あの婆さんの発言を聞いてりゃ能力が何かぐらい分かる』

『ッ!!DIOのスタンド能力じゃと!?」

 

 赤ん坊は目を逸らしつつ、もはや己に選択肢が無いことを理解しているようだ。

 情報を材料に、交渉を始めるらしい。

 しっかりとジョセフさんを見返して、実に理性的な念話を伝えた。

 

『俺を保護してきちっとした身分を用意するって約束してくれよ。どうせ、大人になっても直接の武力がない俺は使い捨てられるのがオチだし。地球の裏側でDIOがおっ死ぬまで大人しくするぜ』

『必ず、スピードワゴン財団で身分を保証することを約束しよう』

 

 ジョセフの言葉に、赤ん坊はやや安心して頷いた。

 情報提供する気になったらしい。

 

『DIOは時を止める能力がある。止まった時の中で動けるんだ。無敵の能力だよ』

 

 

 

 

 

 

 

 DIOは鏡を前にジョナサンの肉体を確認して、ほうと息をついた。

 

「彼女は惜しい人材だった。私に忠誠を誓い、誠実だった」

 

 DIOとて、彼女がそれほどまでに言う相手のことは気になっている。

 黄衣ハスタと、本名でないにしろ名乗っている人外のもののことである。

 

 能力は再生。そして種族的なものでスタンド能力の解析が可能。

 DIOに負ける要素はない。

 たとえ人間でなかろうが、このDIOのスタンドを前に抵抗できるもののようには見えなかった。

 

 だが同時に、エンヤの目と知識を信じてもいた。

 

 だから『天国へ行く』予定を早めてはいるが……どうしても一旦己のスタンドを捨て去る必要があり、かつスピードワゴン財団の巣であるアメリカまで渡航が必要になる。

 先んじての実行はリスクが大きすぎる。

 

 ぱらり、と机上に残された手帳を見やる。

 

 己が戻らないことを見越して、エンヤがDIOに向けて残した手記だ。

 そこには外より来たる大いなる災いについてが繰り返し記されている。

 

 指でなぞり、そっとそれを読み上げる。

 

「……神なるものは、この星を閉じた。大いなる厄災が来ぬように」

 

 神はいずれ、使徒を使って繭をつくる。

 神に過去と未来の区別はなく、今既に繭は世界を覆っている。

 

 DIO様。

 あなた様とまじなった天国へ行く方法とは、繭から出る方法に他ならぬ。

 神の支配を脱して貴方様が唯一となるのですじゃ。

 

 だがお気をつけくだされ。

 神すら恐れた大いなる災いに、我々は無力でしかない。

 外宇宙よりきたりしもの。恐怖の具現。ソラをすべる形。

 アレらの対処法は一つ。逃げるか、アレらが興味を失うまで隠れるかのみ。

 

 あなた様に永劫の忠誠を誓います。

 

「………下らん」

 

 DIOは一笑に付した。

 越えるべきはこの運命と神だけではない。

 あらゆる全ての頂点に立ってこそ、ようやくDIOは安心を得られるのだ。

 

 あの黄金の日々を出てからずっと続く、空虚な焦燥感を振り払って、真なる安寧のもとに辿り着く。

 きっと。

 





・ニャルラトホテプ
もうこれ絶対ちょっかいかけたら面白いと思って立ち上がった。
辛抱たまらん。
その瞬間ハスターの目潰しが決まって、ブスくれて再び座った。

・マニッシュボーイ
育児放棄クソ母をDIOにぶっ殺されたのは別にどうでもいい。
とはいえ、裏社会ルートしか人生にないのはちょっと本人も気にしてたのでジョースター一行の誘いに乗った。
いい奴ではないが、今後育つ中どうなるかは未知数。
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