ハスターなオリ主とジョジョ3部   作:ラムセス_

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イギー参上!

 

 新たな助っ人を待ち、俺はコーヒーガムを片手にわくわくと待機した。

 

 戦力増強のため、スピードワゴン財団からスタンド使いの応援が来るらしいのだ。

 そのスタンド使いとは、なんと犬くんだ。

 

 ニューヨークで野良犬をしていたボストンテリア君で、相当なじゃじゃ馬らしい。

 大捕物の結果アヴドゥルさんが捕まえた話はすでに聞いている。

 

 前々から連れてくる計画自体はあったのだが、犬くんのご機嫌が斜めで連れてくるのに手こずったらしい。

 

 俺たちは事前に大きな町でコーヒーガムを買って、犬くんの到着を待っていた。

 

 ポルナレフさんが眉間に皺を寄せて肩をすくめている。

 

「ほんとに頼りになるのかよ、犬だぜ犬!」

「こと戦闘なら人間より頼りになるのはあるだろうなぁ。人間、か弱いから…」

「いやそうだけどよぉ、そういう問題か?つか黄衣と比べりゃそりゃ弱っちくも見えるだろうが」

「サイズ感が怪獣でしたもんね、黄衣さん。中学の時見ましたよ、ゴジラ。黄衣さん熱線って吐けないんです?」

「やろうと思えばいけるかもしれんけど、そんな可愛くないことはしない。目くりくりで可愛かっただろ、俺」

「…………」

 

 この頃自己肯定感爆盛りの俺が胸を張った。

 しかし、花京院君達は瞬時に審議中になってしまったようだ。

 なんでや、ぱっちりお目目やったろうが。

 それぞれ別の場所を見ることもできるんやで。

 

 話している間に待ち合わせ場所にヘリがやってきたようだ。

 

 バババババ、とヘリのプロペラが風を巻き上げる。

 気の良さそうな運転手さんがぺこりと挨拶して、帽子を取った。

 その手にはたくさん絆創膏が貼ってある。

 

 どうやら載せる際に随分と犬くんに噛まれたらしい。

 

 そーっとおれが機体内を覗くが、姿が見当たらない。

 ジョセフさんが首を捻った。

 

「おかしいの。イギーは大人しいやつじゃないはずなんじゃが」

「出発時はコーヒーガムを与えて大人しくしてもらったんですが、ここに到着する直前、なんだか妙な反応になりまして…」

 

 ヘリの運転手さんは犬好きなのか、ポッケの中のコーヒーガムを手に心配そうにしている。

 ふむ。

 

 俺は後部座席のブランケットをばさりとめくった。

 すると、ガクガク震えて小さくなっている犬くんが現れた。

 俺を見て余計に震えて、スマホのバイブレーションみたいになっている。

 

 繊細な子らしい。

 コーヒーガムをそっと置いて距離を取るが、やはり俺を注視したまま微動だにしない。

 

 犬くんめっちゃ怯えとるんだけど。

 賢そうだし、DIOとの戦いに引きずられてきたのが嫌だったのだろうか。

 

 ポルナレフさんが「こういうのはな、適当に撫でてやりゃいいんだよ!」などと言って犬くんを撫で回そうと手を伸ばす。

 

「ヴヴヴヴ!!!」

「ぎゃっ!?!?なんだよこいつやめろ離れろ毛を毟るなくそ!!」

 

 犬くんは瞬時にうなり、ポルナレフさんの髪に食いついて毟りはじめた。

 慌ててポルナレフさんが逃げ出すが、顔に張り付いたまま離れない。

 そのうえ顔先で屁をする傍若無人っぷり。

 

 「このっ犬畜生!!!」怒ったポルナレフさんがスタンドを出した。

 犬君も砂のスタンドを具現化し、唸り声をあげた。

 

 

 

 ───ふむ、人間相手にスタンドを使うのか。

 友好的と聞いていたが、人類に危害を加える可能性があるかもしれない。

 

 

 

 犬くんは瞬時に尻尾を尻の間に隠してヒンヒン言って小さくなった。

 スタンドはしまったようだ。

 哀れなほどキューキュー言っている。

 

 ポルナレフさんがチャリオッツを浮かべたまま、「ん?なんだこの犬っころ」と疑問符を浮かべている。

 承太郎君が呆れて俺を小突いた。

 

「あれの躾はテメェに任せた。勢い余って殺さねえようにしろよ」

「え、かわいい犬くん殺すなんて酷いことしないけど!?」

「あの殺気でそれは無理ありますよ」

「う、うむ。一応財団で預かってる犬じゃから、大切にな」

 

 めっちゃみんなに釘を刺されてしょげ返る俺氏である。

 人の飼い犬に酷いことするわけないやろ。

 

 俺がするっと抱っこすると、犬くんは硬直して置物のように微動だにしなくなった。

 俺はブツブツと文句を言った。

 俺は酷いことしないのに。犬くんもみんなも誤解しておる。

 

 あとは旅に必要な食料や水などをSPW財団から受け取り、旅を続けるのみだ。

 

 財団員さんによると、ホリィさんの容体はやはり良くないらしい。

 高熱が続き、体力の低下が著しい。

 スタンドの出しっ放しによる精神力の消耗も大きいのだろう。

 意識を失う時間も長いと聞いている。

 

 ともかく俺たちは財団の人と別れて、近場の街から車に乗ることにした。

 犬好き財団員さんが噛まれてボロボロの手で幼児語で犬くんに話しかけるのをまったり見ながら、俺たちは別れたのであった。

 

 車を買ったあとは、俺は後部座席で犬君を膝に抱っこしてコーヒーガムをあげる作業に従事している。

 全然食欲がないみたいで、何をあげても小刻みに震えるばかりだ。

 

「うーん、やっぱ長旅が疲れたのかなぁ。犬くんをたくさんヨシヨシしてるのに、全然食べない」

「そりゃ黄衣さんの膝に座らされてたら気は休まらないでしょうね」

「どういう意味や。ワイの何があかん言うんや」

 

 俺の突如としたテキサス訛りにジョセフさんが吹き出した。

 

 ちなみに、基本俺たちの会話は英語である。

 花京院君も承太郎君も高校生なのにペラペラですごい。

 スタンドで言語を無視した会話もできるが、普段使いするのも妙だからな。

 

 俺は犬くんの口元に美味しそうなササミを近づけてやった。

 犬くんはガクガク震えて小さくなった。

 

 

 しばらく砂漠を進んでいくと。

 砂漠の道中、ヘリが墜落しているのを発見した。

 ジョセフさんが目を見開いて衝撃を受ける。

 

「こ、これはスピードワゴン財団の、先ほどのヘリだ!」

「な……!」

 

 俺は急ぎ機体内の人員に再生を付与した。

 二人とも虫の息だが、まだ魂が体を離れていない。

 俺の再生で助けられる。

 

 俺は犬くんを車に置き、再生の付与と同時に叫んだ。

 

「総員!敵スタンド使いの攻撃だ!水を操るスタンドで、スタンド像のない無形タイプ!結構威力がある!」

「なんじゃとっ!?」

 

 瞬時に、力場を伴う水が俺に殺到した。

 無理矢理口に入り込んで、そのまま食道を傷つけながら肺に充満する。

 なるほど、溺死を狙っているのか。

 だが残念、俺は肺に水が入ったぐらいで死なないんだよな。

 

 承太郎くん達が手を出せない中、俺が苦しまないのを悟ってすぐに意味がないことに気づいたらしい。

 肺を中心に俺の体をズタズタに割いて噴出。

 俺の肉片があたり一面に散らばった。

 

 ジョセフさんが「黄衣ッ!!!」と叫び声をあげる。

 

 ずるん、と肉片を寄せ集めて瞬時に再生。

 俺は咳き込んで憤慨した。

 

「また全裸!俺また全裸ですよ!!!」

「前から思っとったんじゃけどその空気感でいいんかお主」

「一行の清涼剤だからね。癒し系黄衣さんですよ」

「どうでもいいが油断するなよ。水とはいえ、どうやら結構なスタンドパワーがあるみてーだからな」

 

 どうでもいいとバッサリ切り捨てられ、俺はぶっすりと拗ねた。

 黄衣でなくなったのであちこちから触手が飛び出ているので、太い触手で大事なところを隠しつつ敵から距離を取る。

 

 敵も責めあぐねているようだ。

 おそらく初手で俺を落として順番に仕留めるつもりだったのだろう。

 

 俺を仕留め損なったから、有効打がなくなってしまったのだ。

 圧倒的破壊力のあるスタンドではないから、俺の再生より先に仲間を潰すのは難しい。

 溺死を仕掛けるのも手だが、俺が溺死無効だからそれを仲間に付与できないとも限らないし。

 

 どうも監視役のエンヤ婆がやられてから、情報伝達に齟齬が起きているらしい。

 俺が深海にも潜るタイプの巨大イカ系怪物なのは知っててもおかしくないはずなのに、うまく共有できていない。

 

 ならば、敵の次の手は。

 

 ぽちゃん、と水のスタンドが力を失って砂漠面へと落ちて染みてゆく。

 承太郎君が舌打ちして「引いたな。面倒なことになったな」と吐き捨てた。

 

 どうやら敵は一旦引いたようだ。

 同様の結論なのか、アヴドゥルさんも苦い顔をしている。

 

「このまま市街戦にもつれ込まれれば、かなり困る状況になる。我々も、常時暗殺に警戒せねばならなくなる」

「そうですね。水は都市部の方が多くある。どれほどの規模で来られるかはわかりませんが、室内で溺死とは笑えない」

 

 花京院君が嫌そうな顔をした。

 ジョセフさんが財団職員を助け起こしながら息をついた。

 

「ひとまず近場の街へ行って職員を安全な場所まで送り届けよう。ワシらの戦いに巻き込むのは酷じゃ」

「そうだな。黄衣がいなけりゃ、こいつらはとっくにお陀仏だったろうしな」

 

 ポルナレフさんの言葉に、俺は渾身の自慢顔ダブルピースでイェイイェイ踊り出した。

 「そういうとこなんですよね…」とがっかりする花京院君の隣で、ポルナレフさんだけが「いよっ!救世主!」と乗ってくれる。

 ポルナレフさん…やさしい……。

 

 俺達は車に戻って、機体の残骸を前に移動を開始した。

 隅っこで座席の隅に張り付く犬君をもう一回抱っこしようとして、途中で着替えが必要なことに気づく。

 よいしょと新しい服を出して恥じらいながらいそいそと触手を影にお着替えタイムに移る。

 

 そうして触手をしまえば、犬くんは「騙されんぞ!」みたいな疑り深そうな顔で距離をとったのだった。

 





・イギー
ハスターのことを「得体の知れない超ヤバいやつ」だと思っている。
嗅いだこともない匂いがして、全身が粟立つ。
終始犬くんと呼ばれているが、これはハスターがイギーに興味がないからである。
人外のスタンド使いなんて好意的なわけない。
その辺もイギーは敏感に察知して怯えている。
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