ハスターなオリ主とジョジョ3部   作:ラムセス_

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始まりの日に出会う

 

 康一は、岸辺露伴を伴って地図の異常探しをしている。

 

 岸辺露伴と会ったのはつい先日のことだ。

 康一に忘れられないインパクトを残していったが、それは別の話。

 売れっ子漫画家とはかくもエキセントリックなものなのか、と戦慄したものだ。

 

 今回の露伴は、このコンビニ、オーソン周辺にある謎の小道の調査をしているようだ。

 ここは康一もよく通るのだが、そんな道があったとは気にしたこともなかった。

 

 だが、入ってみればその異常性は明らかであった。

 

 行っても行ってもポストのある小道に戻ってきてしまう、ゲームフィールドじみた閉じた空間。

 空にも何かが潜み、そこは奇妙かつ不気味そのものだった。

 

 そんなふうに康一と露伴が焦っていた、そのときである。

 

 一人の男と、出会ったのは。

 

「おーい、あんたたち。ここは危険、」

「『天国への扉』───ッ!!」

「おわーっ!?」

 

 突如、見知らぬ男に背後から声をかけられた。

 スタンド攻撃を警戒した露伴の反射で、男は無力化されたようだ。

 男はばったりと倒れて困惑している。

 

 男は黄色のパーカーを羽織った、色白の外国人であった。

 少し病弱なのかと疑うほどの白さで、真っ黄色のパーカーが若干浮いている。

 ずっと通った鼻筋に整った顔立ちは、なんともイケメンで女子が騒ぎそうな見た目をしていた。

 

 康一はノータイムでスタンドを発動した露伴に声を上げた。

 

「露伴先生っ!?」

「この異常はこいつのスタンド攻撃かもしれない。見させてもらうぞ!何のために僕達をスタンド攻撃したのかッ!」

 

 露伴が動けない男の顔をめくり、その経歴を読み解いて行く。

 

 外国人の容姿をしているが、本の内容は日本語らしい。

 探偵をしているようで、横から覗く康一からもその事件の内容が丁寧に綴られているのが見えた。

 露伴が目を見開いた。

 

「コイツ、スタンド使いじゃないぞ!飛び出した僕のヘブンズドアーが見えてない!おまけにこれは、魔術だと?これは一体ッ!」

「え、どういうことですか露伴先生!?この人がスタンド攻撃を仕掛けてきたわけじゃないなら、真犯人は……」

「おまけにコイツの本、分厚すぎる。捲っても捲っても終わりが見えない。しかも途中から黒いページが続いて何も読み取れなくなる」

 

 バラバラとページを巡り、露伴が真っ黒のページを見せた。

 物理的にありえない、辞書を何重にも積み上げたような分量だった。

 しかもそれは裏も表も黒く塗りつぶされていて、真っ黒なまま何ページにも渡って続いている。

 

 黙ってされるがままだった男が、困ったように眉を下げた。

 

「それは『時系列順に情報を並べる』という性質と、時系列の観念が現在と違う時代の情報を出力しようとしてエラーが出てるだけだよ」

「ッ!!!」

 

 「今の宇宙の前は、時間の観念が違うからな」と、そのように軽く笑って男が肩をすくめる。

 露伴も康一も、思わず身構えたようだ。

 

 男が露伴を見上げて口を開く。

 

「で、俺の無実も証明できただろ。そろそろ解放してもらいたいんだけど」

「だが、これを読むにこの場所について何かしらの知識はあるんだろう?」

 

 康一は読んでいないが、男の本にはこの場所についても書かれていたらしい。

 男は笑って「流石、いくら俺が無条件で受け入れたとは言え、俺に人間がルールを通してくるとは。凄い能力だな」と笑っている。

 

「まあ、それに関してはここの住人に話を聞いた方がいいと思うぞ。ほら、そこに幽霊がいるから」

 

 男が指差した先には、先ほどから物陰に身を潜めていたらしい、犬連れの女性が佇んでいた。

 幽霊、と男は言った。

 

 思わず生唾を飲む康一を無視して、露伴はズンズンと女性に近付いていったのだった。

 

 

 

 

 

 

 女性の話は、陰惨で、長く、そしてショッキングだった。

 

 ここはあの世とこの世の境らしい。

 この街に殺人鬼が紛れ混んでいて、殺人鬼は今も犯行を繰り返していること。

 女性は幽霊で、その被害者だということ。

 

 多くを聞いた康一の胸に宿るのは、純粋な義憤である。

 この街の住人として、なんとかしたい。

 そう気持ちを新たにする康一の前で、露伴が考え込んだ。

 

「じゃあ一体やつはなんだ?僕たちと同じように入り込んだにしては知りすぎている。君が喋ったのか?」

「いいえ。あたしは何も喋ってない。あの人がふらりとここに入り込んだのは見ていたけれど」

 

 幽霊の言葉に、謎が丸々残った形だ。

 康一としても露伴としても、殺人鬼を追うのに否やはない。

 だがあの黄衣の男を放っておくのは、いささか居心地が悪いのは確かである。

 

 男の元に戻ると、男はぼんやりと空を眺めていた。

 ヘブンズドアーが掛かったままだというのに特に抵抗しようとした跡もなく、余計に不気味であった。

 

「それで、なら君は一体なんなんだ?どういう事情があったって言うんだ?」

「あ、おかえり。話聞けた?」

 

 呑気な様子で、なんとも気が抜ける雰囲気だ。

 露伴からの返事がないことを特に気にした様子もなく、男は質問に答えた。

 

「道に迷って興味本位で来ただけだよ。君たちの持つ変なルールの力とも、ここのルールとも関係ないってば」

「スタンドを知らない…?」

 

 露伴が素早く康一に目配せしたので、康一は自身のスタンドを出現させた。

 

「これは見えるか?」

「うん。何らかの力場だね。音と概念に干渉するタイプのものかな」

「ッ!?!?」

 

 康一は思わず息を呑んだ。

 康一のスタンドは、確かに擬音に力を持たせるエコーズACT1である。

 見ただけでスタンドを解析する能力だとしたら相当に厄介だ。

 

 露伴が男のヘブンズドアーによる記述を再度確認してから、問いを重ねた。

 

「じゃあ聞くが、このスタンド像の色は何色だ?」

「………は?色って?空間の色?」

「なるほど」

 

 たしか最初、男はスタンドが見えていなかったと露伴は言っていたはずだ。

 それと何か関係があるのか、露伴が口走った魔術とはなんなんのことか。

 

 わからないが、どうも奇妙な男であることは確かだった。

 

 露伴がスタンドを解除すると同時に、男は尻の砂を払って立ち上がった。

 スタンド能力を受けていたというのに、特に敵意のない、まったりとした動きだ。

 

 露伴は実に機嫌が良さそうに口端を吊り上げた。

 

「人に化けて暮らす怪物か。ベタだが、悪く無い情報源だな。いいネタになりそうだ」

「嫌な予感がする言い回しだなぁ。それで、何にも意味分かってないんだけど名前ぐらいはそろそろ教えてくれよな。俺は黄衣ハスタ。探偵をしてる」

 

 男が握手のために手を差し出してくるが、露伴は一瞥しただけでその手を取ろうとはしなかった。

 困った康一が「露伴先生っ!」と叫ぶも、「ふん」と鼻を鳴らすだけだ。

 奇人変人の具現化なだけはある。

 

 だが黄衣ハスタか。

 たしか昔承太郎と一緒に旅をしたという人物が、そんな名前だった気がする。

 ぺこりと康一は頭を下げた。

 

「僕は岸辺露伴。漫画家だ。こっちは康一くんだ」

「いきなりすみませんでした。僕らも動揺してて。広瀬康一です」

「構わないさ。こんな変な場所なんだ、そりゃ警戒して当然さ」

「ところで、道に迷ったって言ってましたけど…」

「おう。でもまあ、ちょうどいいところも見つかったしすぐ出て行くよ」

 

 黄衣と名乗る男は周囲を確認した。

 そして「うん、いい感じだな」と足場を確かめるような仕草をする。

 

 そして、次の瞬間。

 ざらりと乾いたような奇妙なノイズが耳を穿った。

 康一が咄嗟に耳を押さえる。

 

 黄衣がゆったりと笑った。

 

「スタンドか。そうか。なるほど。未来同期もたまにはしてみる物だな。俺と旅をした承太郎君がいる場所に、承太郎君を知らない俺が来る。奇妙な物だ」

「ッやっぱり承太郎さんの知り合いですか!?」

「ああ。俺はまだ知らないけど、承太郎君は知ってる。時間が捻れてるんだ。まぁなんにせよ、早く帰らないとな」

 

 黄衣はポケットをガサガサと漁り、康一に一つのネックレスを差し出した。

 奇妙な捻れた模様が刻印された、シンプルなチャームがついている。

 

「これを承太郎君に渡しておいてくれ。多分役立つだろう。スタプラは燃費がなぁ。俺らぐらい規模のあるものじゃないとキツいよ」

「わ、わかりました。会っていかれないんですか?」

「俺にはその動機がない。承太郎君とは旅をしてないからな。だがやっぱり気になってアイテムを託す。そういう繊細なサムシングな」

「はぁ」

 

 変な人ではあるようだ。

 露伴が片眉を吊り上げ、口を開く。

 

「君はあまり諸々を語りたくないようだが、漫画家として聞いておきたい」

「何をかな」

「『人が滅んだ後、君はどうする?』」

 

 露伴の問いかけに、黄衣は少しだけ目を見開いて息を呑んだようだ。

 黄衣が眉を下げて言う。

 

「………人並みに嘆き悲しんだ後、また趣味を探す旅に出るかな」

「なんだ。宇宙人と聞いていたが、月並みな答えだ。なんの創作の種にもなりゃしない」

「そりゃ一般的な人間と同じような感性がなきゃ、俺みたいなのは人間と暮らしてけないだろ」

 

 ふん、と息をついて露伴が背を向ける。

 「行くぞ康一君、もうここに用はない」と幽霊を伴って帰ろうとするだけだ。

 

「え、あの、いいんですか!?」

「奴はあれだ、『まだ語るべき時ではない』的なアレだろう。無意味に突っ立ってるRPGの村人で、話しかけたって意味はない」

「えええ!?」

 

 承太郎はあんなに再会を望んでいたのに!

 だが露伴はそれを気にする様子もなく、ズンズンと進んでいく。

 

 後ろで、小さく手を振る黄衣の姿が見える。

 

 「がんばりな、若き勇者君たち」と。

 確かな声援を残して、黄衣は微笑んでいたのであった。

 





・ハスター
このハスターは時系列的に三部前。
「ハスターなオリ主と米花町」の100話記念話の別視点とも。
時間が乱れていて、過去と未来が交わっている。
この後すぐ帰った。
壁が崩れ掛かっているので来た直後は通りやすい。
ヘブンズドアーを喰らっているが、内容はハスター検閲済み。
SANチェックシーンや恥ずかしい場面に「見せられないよ!」と変なシールが貼ってある。
少し読み進めると「前提知識まとめ!」と丁寧な解説がコラムとして挟まっていたり。
 
・ミニタコ君
一瞬「もきゅっ!?!?」って飛び上がって、承太郎を呼びに行った。
「みみみみ!!!」と凄く語って承太郎を引っ張って振り返ってはいけない小道に連れて行こうとする。
間に合ったかは、彼らのみぞ知る。
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