ドブカスロンパ   作:まだら模様

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雑な作りですいません
一応供養します


第2回学級裁判:選別される弱者、吠える野獣

 

第一回学級裁判より数日後のこと…

男子更衣室で、不二咲千尋は無惨にも吊るされていた。

血塗られた大文字の文字、そして不自然な遺体の状況。

探索中、直哉は死体を一瞥し、扇子で鼻を覆った。

 

「……ハッ、なんやこれ。不細工な死に方やなぁ。弱者が身の程も知らんと、強くなろうなんて色気出すからこうなるねん。不二咲、お前は一生、ドブの中で震えとれば良かったんや」

 

「……禪院、貴様ッ! 不二咲が死んでるんだぞ! 少しは慎んだらどうだ!」

 

石丸清多夏が涙を流しながら怒鳴るが、直哉は冷たく突き放す。

 

「ヒゲ、お前もうるさいわ。死んだ奴に敬意払って何になる? 弱者が淘汰されるんは自然の摂理やろ。……それより苗木、お前さっきから何ジロジロ見とんねん。僕の美しさにでも見惚れたか?」

「そ、そうじゃないよ! 禪院くん……この現場、何かおかしいと思わない? 遺体の状況もそうだけど、どうして不二咲さんは『女子更衣室』に……」

 

「……んなもん、あのアホンダラ(犯人)が、この弱虫(不二咲)をさらに貶めるために細工したに決まっとるやろ。センスがないねん、やり方が」

 

直哉は、十神白夜が冷徹に死体を調べているのを見やり、不敵に笑った。

 

「十神。お前、何か『面白いもん』見つけたようなツラしとるな。成金のガキが、探偵気取りか?」

「……フン、禪院。お前には見えていないのか? この事件の『美しさ』が。僕にとっては、この凄惨な現場すら、無能を炙り出すためのスパイスに過ぎない」

 

「ハッ、言うてくれるやん。……けどな、お前のその『美学』、僕から見ればただの『おままごと』や。本物の地獄、教えたるわ」

 

 

エレベーターが地深くへと降り、第2回学級裁判が開廷する。

直哉は、まるで自分の庭を散歩するかのような足取りで演台に着いた。

 

「さて、ドブネズミ共。今日は誰をドブに沈めるんや?

不二咲を殺したんは、そこのジメジメした眼鏡女(腐川)か、あるいはその中に棲んどる『殺人鬼』か。……どっちにしろ、僕の視界を汚した罪は重いで」

 

「な、ななな……何よ! 私はやってないわよ! 白夜様、助けて……!」

 

「腐川、黙っていろ。……禪院、お前はさっきから不二咲を『弱者』と連呼しているが、この事件の本質はそこにはない。……ジェノサイダー・翔の出現、そしてこの死体の『演出』。これこそが、この学園に相応しい余興だ」

 

十神が裁判をリードし、ジェノサイダー・翔が姿を現す。

舌を長く伸ばし、ハサミを振り回す狂人を前にしても、直哉は眉一つ動かさない。

 

「……おっ、ついに出たな。キショい化け物が。

ジェノサイダーとか言うたか。お前、女の体使ってそんな無粋な殺し方しとるんか?

美しくないわ。僕の美的センスに反するねん。……けど、お前は犯人やないな」

 

「アッハハハ! 分かるぅ!? さすが超高校級のイケメンお坊ちゃん!

アタシは美男子(モモ君)しか殺さないの! こんなモヤシっ子、ハサミの錆にもならないわよ!」

 

「……やろな。格が低すぎて、殺す価値もないわ。

問題は、なんでこの『弱虫』が、死んだ後に女子更衣室で吊るされとるかや。

苗木、お前さっきからガタガタ震えて何言うてんねん。はよ結論出せや」

 

苗木誠が、意を決して声を上げる。

 

「……不二咲さんは、女子更衣室で殺されたんじゃない!

犯人は、男子更衣室で彼女を……いや、『彼』を殺して、現場を偽装したんだ!」

 

場が騒然とする。不二咲千尋が男子だったという事実に、朝日奈や大神が絶句する。

その中で、直哉だけは高らかに笑い声を上げた。

 

「ハハハハハハ!! 男やったんか!

そら傑作やな! 女のフリして、弱さに縋って、守られようとして……。

挙句の果てに、強くなろうとして殺された?

滑稽すぎて涙が出るわ。……不二咲、お前、最後まで『自分』という器を履き違えたんやな」

 

「……禪院くん、笑うなよ!!」

 

大和田紋土が、演台を拳で叩き壊さんばかりに怒鳴った。

 

「不二咲は……アイツは、必死だったんだ! 自分の弱さと向き合おうとしてたんだよ! それを笑うヤツは、俺が許さねぇ!!」

 

「……大和田。お前、さっきから声がデカいねん。

『男の約束』だの『強さ』だの、お前の口から出る言葉は全部、安っぽいメッキの匂いがするわ。

ええか、よう聞け。……お前、その震える拳で、何を隠しとるんや?」

 

直哉の瞳が、一秒を二十四分割する加速をもって、大和田の挙動を捉える。

 

「……不二咲は男やった。それを知っとったんは、あの日、一緒にトレーニングを約束した奴だけや。

大和田。お前、不二咲の覚悟を見て、どう思った?

『自分より弱いと思っていた奴が、自分より強い意志を持っていた』。

……それが、お前の安い自尊心(プライド)に泥を塗ったんちゃうか?」

 

「な、……何を……!」

 

「……十神。お前はさっきからこの『演出』を楽しんどるけど、お前も詰めが甘いねん。

現場を入れ替えたのはお前やろ。……けど、その『元々の犯人』は、そこに立っとる暴走族の猿や。

なぁ、大和田。お前、不二咲を殴った時、どんな気分やった?

一瞬で壊れるような脆い体。自分の罪(過去)を突きつけてくる、真っ直ぐな目。

……不快やったやろ? 自分の格の低さを自覚させられるんは、耐え難い屈辱やからなぁ」

 

三、 泥を塗られた王者の咆哮

「……テメェ……!!」

 

大和田が理性を失い、直哉に掴みかかろうとする。

だが、直哉は一歩も引かず、逆に大和田の顔を扇子で小突いた。

 

「……触んなや、ドブネズミ。

お前、兄貴との約束を守れんかったんやろ?

自分の弱さを隠すために、不二咲という『鏡』を叩き割った。

……それがお前の言う『漢気』か? 笑かすな。

お前はただの、自分の影に怯える『臆病な猿』や。

禅院家の当主になるこの僕の前で、そんな汚い涙流すな。……不浄やねん」

 

「違う……! 俺は、俺は……!!」

 

「……何が違うんや。

お前がやったことは、この学園のルール云々以前に、男として、人間として『格』が底辺やねん。

弱者を守る力もない。自分の過去を背負う覚悟もない。

ただ、気に入らんもんを力でねじ伏せるだけ。……それは呪霊以下の存在やで」

 

裁判場は、直哉の苛烈な言葉の暴力によって静まり返った。

十神白夜ですら、直哉の「他者を徹底的に見下すことで真実を炙り出す」という、あまりにも歪んだやり方に眉を顰めている。

 

「……禪院。お前の言い方は、度を越しているな。

だが、苗木。……こいつの言う通りだ。

大和田、お前がクロか? この僕が仕掛けた『演出』の、元の作者はお前なのか?」

 

苗木が、最後の証拠を突きつける。

 

「更衣室のジャージの色……不二咲さんと大和田くんが持っていたものの矛盾。

……大和田くん。君が、不二咲さんを……」

 

大和田は、力なく項垂れた。

 

「……ああ。俺がやった。……俺が、あいつを殺したんだ」

 

 

 

大和田紋土の処刑が決まる。

 

「猛特訓! ライオンの舎弟」という名の、あまりにも皮肉なバターへの変貌。

それを、直哉は欠伸をしながら眺めていた。

 

「……ハッ、バターか。

安っぽい終わり方やなぁ。お似合いやんか。

強いフリしとった猿が、最後はパンに塗られる油になるなんて。

……なぁ、石丸。お前、なんでそんなに泣いとるん?

そんな汚い顔しとったら、次は僕がお前をドブに沈めてやるで」

 

「……う、うわああああああ!!」

 

石丸の絶叫が裁判場に響く中、直哉は一人、優雅に髪を整えた。

 

「……さて。苗木、十神。

次はもっと、僕を楽しませるような『格』のある相手を連れてこい。

……セレス。お前もや。さっきから一言も喋らんと、虎視眈々と何か狙っとるみたいやけど。

お前の嘘なんて、僕には透けて見えとんねん。

女が男を騙そうなんて、100年早いわ。……次、お前が動いたら、そのドリル髪、一本残らず引き抜いてやるからな」

 

セレスティア・ルーデンベルクは、優雅に微笑みながらも、その瞳の奥には冷徹な殺意を宿していた。

 

「……あら、怖い。禪院様のような『高貴な』お方には、私のような偽物は近づかない方がよろしいかしら?」

 

「……ハッ、分かっとるやん。

ええか、よう覚えとけ。

この学園のルールを決めるんはモノクマやない。……僕の『機嫌』や」

 

直哉は翻り、エレベーターへと歩き出す。

背後で苗木誠が、震える声で呟いた。

 

「……禪院くん。君は……君は本当に、誰も愛していないんだね」

 

「……愛? んなもん、甚爾くんみたいな化け物にしか抱かんわ。

お前らみたいな『猿』に、僕の情を分けると思うなや。

……三歩後ろ。忘れるなよ、苗木」

 

黄金の髪を揺らしながら、直哉は地上の檻へと帰っていく。

その足取りは、呪力のない身体であることを忘れさせるほど、傲慢で、そして孤独だった。

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