童貞死神のスローライフ計画書(改)   作:はちみつ梅

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第十二話 蛇に睨まれた蛙

 あの虚戦以降、俺は正式に虚討伐隊の一員として着実に実践を積み重ねていった。

 あの日虚戦以降、京楽隊長とは話してない。というか、こんな下っ端の隊員が隊長と話せることがまず有り得ない。

 内部の事務仕事が多い女の子達なら頻繁に隊舎内で顔を合わせているだろうが、なんたって俺の部署は男だらけ。そして最も危険度の高い虚討伐部隊。

 事務仕事なんかより、死なないための術と戦う為の力の全てをひたすら叩き込まれる。

 

「ゲホゲホッ……」

「だらしねぇぞ!! 九条!! 40キロ程度走ったくらいで何咳き込んでやがる!!」

「押忍!!」

「あと20キロ走り込み!! その後、昼まで筋力訓練!!」

「押忍!!!」

 

 まだ朝9時だぞ……まさに地獄絵図。

 入隊時にあれだけいた同期と呼べる奴らは、あまりの過酷さに移動届を出して毎月のように減っていった。

 今では俺を含めて十人も残っていない。

 

 朦朧とする意識の中、ひたすらに走り込んでいれば、誰かが演習場に入ってきたのが見えた。

 あの日京楽隊長から言われた通り、俺はどれだけしんどくても常に周りの状況を把握できるように意識して訓練に取り組んでいた。だから、演習場に誰かが入ってきたってのは把握くらい出来る。

 

「集合!!!!」

「「押忍!!」」

 

 集合の声がかかったら十秒以内に整列。もう軍隊じゃないか……

 俺は部隊長補佐なので、部隊長の半歩後ろに控えて立つ。

 

 

「お疲れ様です!! 檜佐木七席!!」

「お前……あん時の一年坊か」

「大変お久しぶりです!!」

「あん時のナヨっとした雰囲気から随分変わったじゃねーか」

 

 入ってきたのは、九番隊の檜佐木七席。俺達が一回生だった時の六回生、檜佐木先輩だ。

 既に席官の座について、今後は昇進とともに副隊長も夢ではないと言われている超有望株だ。あの時吉良が話していた事が、実際に護廷十三隊に入ったからこそ、この人がマジですげぇってことに気がついた。

 

「部隊長。五席の方からお話は来ていますか?」

「ええ、午後からの合同訓練は滞りなく」

 

 合同訓練……とは? 

 俺がポカンとした顔をしていることに気がついたのか、部隊長がため息をついた。

 

「お前は昨日の訓練後にぶっ倒れてたから聞いてなかったかも知れないが、今日午後から九番隊の檜佐木七席が持つ部隊との合同訓練だ」

「お、押忍!!」

「檜佐木七席。うちの有望株です、どうか訓練付けてやってくれませんか」

「任せてください」

 

 部隊長と檜佐木先輩の間で勝手に話が進み、午後の訓練では檜佐木先輩相手に模擬戦を行うことになった。

 合同訓練でしかも模擬戦だっていうのに……朝から60キロ走るとか……馬鹿じゃないのか。

 なんて事を思いつつ、俺達は午後の模擬戦へ向けて準備を進めた。

 

「昼にするか」

 

 部隊長のそんな声で午前の鍛錬が終わり、俺が汗を拭いていると背後に誰かが立った。

 

「飯でも奢ってやるよ、九条」

「檜佐木せん……七席!」

「先輩でもさんでもどっちでもいい」

 

 午後からの合同訓練の打ち合わせが終わった檜佐木先輩からなんと俺に飯の誘い! 

 嬉しくて急いで着替えていれば、檜佐木先輩が俺の体をジッと見ている。

 俺、そっちの趣味ありませんけど……

 

「背筋が足りてねぇな」

 

 あ、そっちのアドバイスか。

 

「筋肉が硬すぎる。お前もしかして重量級の筋トレばっかやってないか」

「え? ダメなんですか?」

「硬い筋肉は確かに力は付くが、その分エネルギーの消耗が激しいし、機動性に欠けてくる。もっとしなやかな筋肉を付けろ」

「は、はい!」

「後で教えてやるよ」

「ありがとうございます!!」

 

 なるほど、俺のやり方ではそのうちボディービルダーになってしまうのか。

 それはあまり望んでいない。細マッチョがいい。

 

 俺達は定食屋に移動しつつ、脳筋とも言われても文句が言えない会話を続けていた。

 

「九条、タッパいくつだ」

「えっと……今は180cmあるかないか……ってくらいだとおもいます。もう伸びないと思います」

「体重は?」

「ええ……73か74くらいですかね……」

「なんで自分の身長体重把握してねぇんだ、んで太り過ぎだ」

「マジっすか!? 普通だと思ってたんですけど……」

「俺が181cmで67kg。お前も70kgは切れ」

「67っすか!? そんなに軽いように見えない……」

「それが筋肉の付け方ってやつだ」

 

 これ以上体重落としたら、あの訓練についていけるのか不安で仕方がないが、やれと言われればやるしかない。

 せっかく檜佐木先輩だからのアドバイスだ。めったに貰えるものじゃない。大事にしよう。

 そんな話をしつつ、定食屋に到着して中に入れば、檜佐木先輩が急に立ち止まった。

 

 ドンッ……

 

 後ろを着いてきていた俺は思わず背中にぶつかってしまう。

 

 

「いっ……どうしたんですか……」

「ら、ら、ら……」

 

 ららら? なにいってんだ? 

 不思議に思って檜佐木先輩の背中越しに顔を覗けば……俺も固まった。

 

「あら、修兵。久しぶり」

「お久しぶりです!! 乱菊さん!!」

 

 お、お……おねぇさん!!!!! 

 金髪美女!! 巨乳!! 色気ムンムン!!! 死覇装はそうやって着るものではないです!! けしからん!! だがそれでいい!! 

 貴女のお名前はなんですか!! 『君の名は』状態です!! 

 

 檜佐木先輩と俺の目の前にいた、見たこともないような美女に息をすることすら忘れる俺。

 

「後ろの子誰なの? 初めて見る顔じゃない」

「お、お、俺は! は、八番隊第五部隊部隊長補佐を務めてます、く、九条涼介です!!」

「涼介ね。アタシは十番隊三席松本乱菊よ。よろしく」

 

 俺はもう、倒れるかと思った。

 こんな美女が……俺を名前で呼ぶなんて……いやまて、もう視覚の情報が多すぎて大切な事を聞き逃してしまう所だった。

 

「三席!?」

「何よ、そんな驚く事じゃないでしょ」

「あ、いえ……すみません……」

 

 いや、驚くだろ。

 俺は言わば平社員。目の前に幹部が二人いて、しかも一人は美女で実力もあるなんて! ふうん。で流せって方が難しいだろ! 

 席官と話せるだけでも異常事態だぞ! 

 こんな素敵なおねぇ様……是非お近付きになりたい!! 落ち着け、俺! 

 かっこよく、爽やかな笑顔で……好感度を!! 

 

 そう思って声を発そうとした時、背中に悪寒を感じた。

 

「入口で立ち止まらんといてやぁ」

 

 その一声だけで、腰が抜けるかと思う程の圧。まるで全身が蛇に睨まれたかのような……振り返ることすら出来ない。

 それは、檜佐木先輩も同じのようだった。一瞬で全身に汗が浮かぶ。

 

「ちょっと! ギン!! なに年下虐めてんのよ!」

「堪忍な、君らがあまりにも動かへんから」

「脅すことないでしょ! アンタ厠に行ってただけじゃない!」

「ちゃうわ。乱菊がずっと甘味食べとるからお散歩してただけや」

「どういう理屈よ!」

 

 ら、乱菊さんと申されましたか……! これはどういう理屈でも屁理屈でもございません!! 

 これは……俺ら弱者にしかわからない……いや、男同士で更に蛙側にしかわかりません!! 

 この圧は……ただ1つ!! 

『俺の目付けた女に、何気安く話しかけとんじゃ』です!!! 

 

「も、申し訳っ……ありませんっ……」

「あんたらが謝ることないわ、悪いのはギンよ。じゃ、アタシ帰るわ」

 

 すれ違う乱菊さん。めちゃめちゃいい匂いする……。気合いで振り返れば、そこには乱菊さんの隣に立つ男性……三番の隊長羽織。

 

「市丸っ……隊長……」

「ん? 君らの顔……どっかで見た気ぃすんねんけど……まあええわ、ほな」

 

 恐怖しか感じない笑みを貼り付けたまま市丸隊長は、フリフリと手を振って乱菊さんと共に人混みの中に消えていった。

 

 ようやく全身の緊張が溶け、俺達は震えながらもどうにか席に座る。

 

「美人だったろ」

「はい、この世の者とは思えないほど……」

「下手に手出すんじゃねぇぞ。死ぬぞ」

「細胞レベルで叩き込まれました」

 

 注文をして、俺達がふぅ……とため息をつくのは同時だった。

 

「天国と地獄……両方見るとは思いませんでした……お二人は恋仲ですか?」

「いや、幼馴染だそうだ。市丸隊長の恋愛沙汰は聞いたことねぇし、乱菊さんのことが好きかどうかは誰にもわかんねぇ」

「なるほどっ……」

「だが都市伝説だが、乱菊さんを無理矢理押し倒した平隊員が謎の失踪……っていう噂もある。お前も気をつけろ」

「ひぃい……恐ろしすぎる……!」

「ま、これは俺ら下人が勝手に想像して盛り上げて話してるだけだけどな。実際の所あの二人に恋だの愛だのはねーよ」

 

 檜佐木先輩の顔はめちゃめちゃ真面目で、一体あの二人がどんな関係性なのかもわからない。ただ、少しちょっと複雑なんだろうな。というのは、女の人側の声色で何となく察した。俺の女の子の心情察知スキルなめんなよ。

 でも確かに、檜佐木さんの言う通り市丸隊長の声色は、乱菊さんに興味があるっていうより俺達を脅して心底楽しんでいるような感じ。正真正銘のサディスティク系男子。

 

「……掴みどころのない人ですね、市丸隊長って」

 

 へいお待ち、と届いた昼飯を食べながら、檜佐木先輩に話を振れば、檜佐木先輩はうーん。っと少し困っているようだった。

 俺達はモグモグ飯を食いながら話を続ける。

 

「……まあ、あんま好かれちゃいねーな」

「檜佐木先輩って、結構ズカズカ言いますよね。その情報本当なんですか?」

「俺は結構、情報通なんだよ。集めた情報ってのは共有しなきゃ意味ねぇだろ? 怖がって隠すよりマシだ。ちゃんと裏は取れてる」

「ふうん、ジャーナリストみたいですね」

「ジャーナリスト? なんだそれ?」

「知らないですか? 現世では、そういう情報を集めて、世に解き放ってる人がいるんです。基本は社会の闇に挑んでいる人が多いですが、正解不正解、悪評良評関係なく一般世間にオープンにしていく人の事ですよ。読者側は喜びますけど、当人達からは相当嫌われますけどね」

「ジャーナリスト……かぁ、その案貰った!」

「へ?」

「ちょうど護廷で何か爪痕残して行きてぇって考えてたところだったんだよ!」

 

 檜佐木先輩は何かを思いついた! と言いたげにニヤッと笑うと残りのご飯を一気に流し込んだ。

 食うの早い……。俺も置いていかれないよう必死で残りを食べ尽くす。

 食事が来て五分も経ってねぇぞ……。護廷十三隊の人は本当に早食い人が多い。

 

「行くぞ! 九条!!」

「はい!」

 

 檜佐木先輩が結局何を思い立ったのかはわからないが……思い立ったら即行動って感じの人にも見えるし、変な事始めなきゃいいけどな。なんて思うだけ失礼か……。

 

 

 隊に戻れば、直ぐに午後の合同訓練が始まった。

 

「やああああ!!」

「もう一本!」

「はいっ!!!」

 

 合同訓練故に、久々の「押忍フリーDay」使っても使わなくてもどっちだっていい。同じ部隊の人には使うが、普段交流のない隊の人だとドン引きする人も少なくないから……らしい。

 檜佐木先輩相手だと確かにありがたいかもしれない。

 

 打ち込んで、打ち込んで、打ち込んで……

 打ち返され、打ち返され、打ち返され……

 

「軸がブレてっぞ!」

「だあああ!!!」

 

 パコ──ン……といい音がして俺の脳天に檜佐木先輩の竹刀が綺麗に当たった。

 

「いってぇ……」

「あ? 九条お前、霊圧で防御してねぇのか」

「え、なんですか? それ」

「お前なあ……」

 

 檜佐木先輩との訓練は本当に為になることしかなかった。霊圧を使って防御を固め、ダメージを最小限に抑えるやり方や俺の癖になってしまっている剣術の悪いところ。何もかもを指摘してくれる。

 

 でも、唯一勝てたところもある。

 

「どりゃあああ!!!」

「っ……この筋肉バカ野郎が……」

「ふふん」

 

 それが体術。部隊長に何度も何度も投げ飛ばされているうちに、体幹だけは無駄に強くなっていた。

 何時間そうやって檜佐木先輩と取っ組みあったり竹刀を交え続けたりしただろうか……気がつけば夕暮れ時になっていた。

 

「合同訓練、辞め!!」

「「「ありがとうございました!!!」」」

 

 俺はすぐに檜佐木先輩から指摘されたことをノートに書き出し、これからの自主練項目へと追加する。

 瞬歩も獲得しなければいけないし、霊子で足場を作って空中戦への対応もやっていかなければならない。どうしても鬼道の練習はその片手間になってしまうが……

 何もかもを一遍にやるより、出来ることを一つずつ伸ばしていきたい。

 

「じゃあな、九条」

「今日は本当にありがとうございました!!」

「またいつでも稽古付けてやるよ」

「ぜひお願いします!!」

 

 京楽隊長や藍染隊長は、本当に本当に雲の上の人だ。

 直近でどうにかこうにか必死になって追いかけて、なんとか背中を見失わずに済むのが檜佐木先輩や部隊長。十年でも二十年でも追いかけて……いつか俺が剣術で一本を取りたいなぁ……

 あの人もこの人もだなんて、少し強欲なのだろうか。でも、本当に凄いんだ。誰も彼もが強くて、俺がちっぽけに見えて……出会う人全てが尊敬できる人で。

 

「誰かに言われたことだけじゃなく、自分の中で……」

 

 沢山の教えの中で、どれを選んで歩いていくのか。

 誰も間違ったことは言っていない中で、俺なりの流儀ってやつをどう付けていくのか。

 

「全然……わかんねぇや……」

 

 なんたって、全てが輝いて見えるんだ。いつか藍染隊長に会える日が来たら、相談できるだろうか。いや、ライバルからアドバイスを貰えるか? いやぁ、藍染隊長は誠実だしなぁ……俺なんかにアドバイスやった所で痛くも痒くもなさそうだ。

 

「九条ー! お前行かなくていいのか!」

 

 部隊長のその声で、俺はハッと時間を確認した。

 

「やっば!!!」

「死ぬぞ、お前」

「お疲れ様でしたあああ!!! 行ってきます!!!」

 

 第五部隊の人は何故俺が、片付けもそこそこに隊舎を飛び出ていくのか理由は知っている。だから、月に2回。この日だけは、俺は片付けをしなくてもいい日だ。

 あと十分しかない、間に合えっ……間に合え!!!! 

 

「……なんだ、あいつ」

「檜佐木七席はご存知なくても仕方ないですよ」

 

 

 部隊長と檜佐木先輩がそんな会話をしている事は知らずに、走る、走る、走る。あああ、瞬歩が早く使えるようになりたい!! 

 

 

 

「遅くなりましたあぁぁ!!!」

「……また、遅刻ですか? 九条第五部隊補佐」

「申し訳ございません!! 卯ノ花隊長!!!!」

 

 スライディング土下座と共に四番隊の一角にある座敷へと滑り込んで謝罪する。周りにはもう既に人が集まっていて、俺待ち状態だった。

 

「本日の片付け、手入れ、明日の女性死神協会の買い出し!! 全てやらせていただきます!!」

「あら、ありがとうございます。では始めましょう」

 

 その言葉で、許されたと知りほっと息を吐く。

 

 え、何してんの? って? 

 

 俺のさっきの訓練ノートに書かれてる稽古だよ。

 元々貴族の女性達の交流会のような稽古だから稽古代めちゃくちゃ高い。卯ノ花隊長に泣きついて下げてもらったが、稽古代で俺の給料の三分の一が持っていかれてるんだぞ。

 

「九条君。その伸びた髪はまとめなさいといつも言っているでしょう」

「すみません、いますぐに!」

「では、本日のお稽古を開始します」

「「「お願いします!」」」

 

 俺は急いで入隊した時より随分伸びた髪を一つにまとめて、部屋の中へと入る。なんで髪を伸ばしてんのかって? ……恋次に憧れちゃわりぃかよ。

 

 周りは女の人ばかりで、男なんて俺しかいない。扇子を片手に持てば、数人の女性が持っている三味線が鳴り響く。

 何してんの? って、だから、訓練だって言ってるだろ。

 

「では、本日は『花鳥』の『第三番』をやっていきましょう」

 

 シャン、シャン、シャン……

 音楽と共にゆっくりと振り付け通りに動いていく皆。俺もそれに必死について行く。

 

「九条君、動きが硬いですよ」

「はい!」

「……座敷では声量を抑えましょう」

「……はぃ」

 

 俺がやっている稽古は、『日本舞踊』。箱入娘の……特に水魔の為にやっている。これをやった日は三日間くらい凄くご機嫌なのだ。

 蝶のように舞い、蜂のように刺す。今まさしく俺は蝶!! 

 

 

 俺は蝶。俺は蝶。俺は蝶……

 

 

「九条君、振り付けが全て違いますよ」

「本当にごめんなさい……」

「あら。来月までに覚えてきてくださいね」

「ありがとうございます!」

 

 ごめん、箱入娘……俺これ大丈夫かなぁ……

 

 

 ***********

 

 

 護廷十三隊に入って、もうすぐ一年が経つ。

 部隊長は席官試験を受けたみたいだけど……俺が一人前に第五部隊の部隊長になれるまで異動を待ってくれるんだと。本当にいい人すぎる……。

 

 朝から晩まで稽古と虚討伐。

 お陰様で書類仕事は間違いだらけと提出遅れで、伊勢副隊長から雷が定期的に落ちる日々。

 

 月に二回の日本舞踊の稽古で、傘の動きに滑らかさをつけていく。

 雨の日は訓練場にでて、水魔を気が済むまで雨に打たせ……

 晴れの日は炎魔の気が済むまで日光浴。

 強風の日は、風魔の気が済むまで気流乗って暴風域での空の散歩……帯刀禁止エリアまで吹き飛ばされて部隊長からのゲンコツまでがワンセット。

 あと一人いるけど、定期的に土の中に傘を埋めてやれば満足してくれるとてもいい子。

 

 なんでこう、自分達が出てきたい時はなんの苦労もなくルーレットが一発で出るのか。君たち絶対確率操作してるよね。なんて聞いても「は? ぶち殺すぞ」って言われるだけだからもう言わない。

 この前全身に炎を纏った虚相手に風魔が出て、危うく大惨事になりかけたことを俺恨んでないよ、風魔……。

 

『しゃらくせぇ! クソガキ!!』

「ごめん……」

 

 そんな日々が続いていたある日……檜佐木先輩から手紙が届いた。

 

『誰にも話すな。三日後、九番隊の裏門20時集合。乱菊さん達女子グループと合コン開催決定』

 

「うおおおおお!!!!!」

 

 恵比寿様あああ!! 俺のこの一年の頑張りに花束をありがとう!!!! 

 桃ちゃん!! これは浮気じゃないよ!! 俺の狭い見聞を広めるための……そう、交流会だよ!! 社会情勢調査だ!! 何もやましい事じゃない!! 

 

 

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