童貞死神のスローライフ計画書(改)   作:はちみつ梅

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第十三話 ハチャメチャ合コン

 合コンかぁ……男側ってどんな人が来るんだろうか。俺には最近確信したことがある。

 

「……尸魂界って……顔面偏差値高くね?」

 

 特に女の子。みんなめちゃくちゃ可愛い。俺が生きていた時代にこんな子達いたら事件だぞ。芸能人を集めた世界なんじゃないかってくらい、美人ばかりだ。

 

「ま、まあ。桃ちゃんが1番だけどっ」

 

 誰に対して言い訳してるのかがわからない。ちなみに男子もかなりイケメンが多い。我らが京楽隊長はもちろんの事、檜佐木先輩も相当カッコイイ。

 あの人で彼女出来ないなら……もう無理だろ。いや、俺には檜佐木先輩に長らく気になっていることがあるが……聞くのは辞めておこう。

 そういう性癖の人もいる。それを事前に自分でアピール出来ていることは凄いことだ。

 

「九条ー。こっちだ」

「お疲れ様です!」

 

 残念ながら今夜は雨。水魔が外に出せと喚いていたが、こんな所で帯刀してたらゲンコツで済まないから許して欲しい。

 明日の鍛錬には絶対に出てきてくれないだろうな……。

 

 あー、檜佐木先輩が学院の時の先輩でよかった。得した。そんなことを考えながら檜佐木先輩の近くへ行けば、そこには何人か人がいた。

 

「……九条、お前傘似合うな」

「うーん。まあ、パートナーですからね」

「は?」

「気にしないでください。えっと……そちらの方は」

 

 自分の斬魄刀の力は簡単に人に話すなと習っている。だから、同じ部隊でもちろん力を知っていたとしても、人の斬魄刀を話題に出す人は相当嫌われる。

 ちなみに、完全にオフの格好でいいと言われたため余所行きの着流しに下駄を履いてきたわけだが……一人は上半身裸で腹巻してるし……一人なんか変な格好してる。割烹着?? 

 

「七番隊副隊長の射場じゃ」

「……十二番隊三席及び技術開発局副局長、阿近だ」

 

 ……ちょっと待って。

 ごめん、色々ツッコミどころ満載。ごめん、どっから突っ込めばいいのかな!! 

 まず、まずは……みんな席官!? しかも隊長格がいる!? え、檜佐木先輩の交友関係どうなってんの!? 

 怖いよ!! 凄いみんな独特!! 個性豊かすぎるよ!! 

 上半身裸で腹巻つけてて、サングラスの広島弁訛りの方が、射場副隊長。

 それで阿近三席は……なんか角生えてる。え、ごめん。種族がわかりません!! 

 

「な、七番隊副隊長……」

「そんな畏まらんでええ。お主はワシの弟子の一番弟子じゃけぇの」

「いつも部隊長にはお世話になっております!!」

「おい、修兵。このガキ誰だ」

「俺の後輩っすよ。可愛がってるんです」

「あ、あ、あのっ……よろしくおねがいします……すみません……俺だけこんな緩い格好で……」

「別に。俺らは普段通りが着慣れてるだけだ」

 

 そう言って真顔で煙草を吸ってる阿近三席。

 めちゃめちゃ怖ぇ。目線で殺されそう。許されたのか許されてないのか、それとも興味が無いのか……全くわからん表情してる。

 

「ったく……俺はお前らの人数合わせじゃねーぞ。まだ作ってねぇ薬残ってるってのに」

「今日俺の奢りっすから! 頼みますよ、阿近さん!」

 

 俺、絶対場違いだって。だってさ……まずどうしても伝えなきゃ行けないことが……

 

「すみませんっ……大変申し訳ないのですが……皆さん少し……あの、霊圧を……下げていただけると……は、吐きそうですっ……」

「おお、すまんかったの」

「……めんどくせぇな」

 

 俺がこんな場でヘラヘラ出来るわけないだろ! 圧が凄いんだよ! 圧が!! 

 え、乱菊さんにたどり着くのにこんなまず胃を痛めなきゃいけないの!? 

 

 檜佐木先輩達はそんな苦しんでいる俺なんか気にも止めずにスタスタ歩き出した。俺も慌てて背中を追う。

 

「あの、皆さんなんの繋がりで……」

「男性死神協会じゃ。お主も席官についたらきたらええ、常にメンバー募集じゃけぇの」

「阿近さんの作った飯食って、腹を壊さなかったら入会試験通過ってわけだ」

「俺のはあの人と違って、別に毒なんか入ってねぇってのに……結局修兵以降、誰も入ってねぇじゃねーか」

「は、はぁ……」

 

 あの人……とは誰なのかさておき、男性死神の通過試験が、メシマズの阿近さんの料理を食い切るということか……なるほど、ど根性系だと把握した。

 

「しっかしのう……松本と飲みかいな。いつも通りじゃの」

「修兵が騒いでるからだろ」

「お二人が居なきゃ乱菊さんなんて誘えないっすよ……」

「ワシら誘わんくても飲み屋いきゃーおるじゃろ」

「いや……声かけるの無理ですって……」

「ほー、ワシにはわからんわい」

 

 よく考えたら当たり前じゃないか。乱菊さんは三席だぞ。それ相当に釣り合う人しか飲みに行けないに決まってるだろ……

 射場副隊長……乱菊さん相手に余裕か。さすが部隊長の先輩。男の中の男に間違いない!! 

 

 俺なんかが会話に入れる訳もなく、一歩後ろをとぼとぼ歩いていけば、やがて目的の場所に着いたのか古風な居酒屋へと射場副隊長を先頭に入っていく。

 

 

「おっそぉーい! 何してんのよ!」

「すまんのぅ、松本」

「あら、射場副隊長もいたんですね」

「逆に誰が見えてたんだよ」

「うっさいわね、あんたが来るなんてめずらしいじゃない。阿近」

「巻き込み事故だ」

 

 奥の座敷から聞こえる乱菊さんの声に、俺の胸の高まりがドンドンあがっていく。

 檜佐木先輩も同じようで、既に顔が真っ赤だ。声だけでこの威力……半端じゃない。

 

「お、お前先にいけっ……」

「ええ! 嘘でしょ檜佐木先輩……」

「俺……厠行ってくる……緊張で腹痛てぇ……」

 

 ……ダメだこりゃ。

 俺はふう、とため息をついて座敷に上がった。

 

「すみません、失礼します。お久しぶりです。松本三席」

「あら、この前の子じゃない……えっと……」

「九条涼介です」

「そーそ、この前はごめんね! 松本三席だなんて畏まらなくていいのよ!」

 

 既にもう色々頭がパンクしそうだが、どうにかこうにか席に座る。

 

「修兵は?」

「あ、なんか腹痛いって……」

「またあ? あいついつもなのよ」

 

 間違いなく乱菊さん、貴女が原因なんです。いや、決して貴女が悪い訳では無いですが……

 乱菊さんを一番奥にして、女性が合計三人ならんでいる。

 

「あの、すみません……初めまして」

「は、初めまして!! 私は十三番隊第四席の虎徹清音であります!!」

 

 十三番!? ルキアの隊だ。俺は失礼ながら他の女性の挨拶を待たずに虎徹四席に話しかけてしまった。

 

「あ、あの! ルキアがお世話になってます!」

「え、朽木さんの……ってことは、貴方が九条君でありましたか!」

「はい。ルキアとは同郷です」

「朽木さん、いつも貴方の事を楽しそうに話してるでありますよ!」

「ルキアは……上手くやっていますか」

 

 俺は……見逃さなかった。虎徹四席が、少し複雑そうな表情をした事に……。

 あいつ、やっぱり……

 

「……今はやめておきましょうか。俺から振っておいてすみません。他のお方のお名前をお聞きしてもいいですか?」

「……涅ネムです」

 

 おお。目すら合わない。すごく可愛い人だけど席次を言わないってことは、俺と同じくらいの人だろうか? 

 俺がそんなことを考えてると、隣に座っていた阿近三席がネムさんに向って舌打ちをした。

 

「なんでお前がいんだ」

「……誘われましたので」

「はー、俺が後で怒られるやつじゃねぇか……」

「……申し訳ありません」

 

 心底面倒くさそうにする阿近三席。そして、何一つ表情を変えない涅ネムさん。

 ど、どういうご関係でしょうか……

 

「なんで毎日見る顔をプライベートでも見なきゃなんねぇんだ……」

「阿近が来るって知らなかったのよ! いちいち面倒な男ね、あんたってほんと」

「あ、あの……」

「ん? あー、涼介は知らなかったわね。ネムが十二番隊の副隊長だから、この二人は毎日会ってんのよ」

「こいつが試験管の中にいる時から知ってる」

 

 ……ごめん、もう心の突っ込みに疲れたや……

 副隊長? 試験管? まじでなんの話……

 

 俺……絶対来る場所間違えた……

 

「なっさけない顔してんじゃないわよ、涼介! そのうち慣れるわよ」

「は、はい……」

「ほんとは今日七緒も来る予定だったんだけど……まーた京楽隊長の書類仕事終わってないから残業ですって」

「伊勢副隊長ですか!? お、俺の胃がもう持ちませんよ……」

「そっか、あんた八番隊だったわね。アタシ達は女性死神協会の集まりよ。いつも買い出しありがと」

 

 乱菊さんの為にいつも使い走りしてたのか!! それはいつまででもやりましょう!! 

 俺らの自己紹介が済んだ時、ようやく檜佐木先輩が帰ってきた。

 

「んじゃ、涼介が初メンバーってことで……あとはほんと、代わり映えしないわね! 

 とりあえず、かんぱーい!!」

 

「「「かんぱーい」」」

 

 天国なのか地獄なのかよくわからない飲み会がスタートしてしまった。

 

「あ、飲み物頼みますよ」

「ありがとー!」

「おつまみ追加で頼みました」

「気が利くじゃない」

 

 俺がせっせと小間使いしている間に、ドンドン酒が無くなっていく。初めは人数分頼んでいたが、もう面倒になって三倍の数をひたすら頼み続ける。

 

 俺がそうやって黙々と働いていれば、ふと乱菊さんの目線を感じた。

 ま、まさか俺になにか気が……

 

「……涼介、あんた良く犬って言われない?」

 

 俺のハートがブレイクした。

 

「お、お恥ずかしながら……」

「やっぱり? そう気使わなくていいのよ?」

「いやもうなんか……性分と言いますか……」

 

 気を使ってるとかじゃないんだよな……勝手にもう体が動いちまうんだよ……。そして、空間の空気が独特。

 涅副隊長と阿近三席は黙々と飲んでるだけだし……まあ、涅副隊長はジュースだけど。射場副隊長と乱菊さんは二人で大盛り上がり。

 檜佐木先輩は、固まってるし……虎徹四席もか。虎徹四席は、単純に男が目の前に居るのが緊張するんだろう。

 ちょうど一番下座同士目の前にいるし、俺は虎徹四席に声をかけた。

 

「何か飲みたいものありますか? 虎徹四席」

「あ!! いえ! 特にはっ!」

「……じゃあ、十三番隊ってどんなところか聞いてもいいですか?」

 

 本当は飲み会ったら、もっと楽しい話をするべきなんだろうけど……多分虎徹四席はそういうので盛り上がるというよりは、自分の知っていることを話すのが得意なタイプだと思う。

 

「十三番隊ですか!! それはもう、本当に沢山お話しすることがあるであります!!」

「全部聞きますよ。俺、恥ずかしいことに他の隊のこと全然知らないんです」

 

 俺がそう言うと、虎徹四席はほっとしたような表情になった。やっぱり、自分のフィールドにある話の方が落ち着く人だ。

 それからもう、虎徹四席のマシンガントーク。この人こんなに喋るんだと思わず驚いたくらい、本当に楽しそうに十三番隊のことについて話している。

 自慢なんだろうなぁ……。

 ルキアは大丈夫だろうか……。もうずっと会ってない。今度の非番に会いに行こう。他の隊に用もないのに行くなんて、と思って気が引けていたが、さっきの表情はやはり気になってしまう。

 

「九条殿?」

「ん? ああ、聞いてますよ。浮竹隊長はお体が弱いのに……百年以上も隊長を続けられてるなんて、本当に凄い方なんですね」

「そうなんです! でも、本当いつも無理をされるので……こちらの心臓が持たないですよ!」

「百年……といえば、京楽隊長とどっちが長いんです?」

「ご存知ありませんか? お二人は旧友なんですよ!」

「ええ!?」

 

 虎徹四席の話は、本当に勉強になった。まさか京楽隊長と浮竹隊長が真央霊術院の同期で……しかも、創設してから初めて隊長に上り詰めた二人だったとは……俺の隊長まじ凄いんじゃね? 

 

「ち、ちなみに……藍染隊長と京楽隊長ってどっちが強いんですか?」

「涼介! あんた、隊長同士の実力を比べるのは失礼よ!! それぞれが強くて、それぞれに長所があるの!」

 

 俺たちの会話を一体いつから聞いてきたのか、既に出来上がっている乱菊さんが乱入してきた。

 

「す、すみません!!」

「誰が強いとか、弱いとかじゃないの! 皆アタシ達の手が届かないくらい強いんだから! アンタが言ってんのは、アメリカ人とドイツ人にどっちが日本語得意か聞いてるのと一緒よ!」

「た、例えがよくわかりませんよぉ……」

「つーまーり! 比べるもんじゃないってこと! わかった!?」

「は、はい……」

 

 もう、べろべろの乱菊さん……。お胸が近いですっ……童貞には刺激が強すぎます!!! 

 

「修兵! あんたもなんか喋りなさいよ!!」

「き、気持ち悪いっす……」

「はあああ!?!?」

「ちょ、ちょ、ちょ!!! 檜佐木先輩!!! 吐くなら外で!!」

「おぇ……」

「待って下さああああい!!!」

 

 カオス……もうカオス……

 混沌と化した宴会場に、俺はひたすら檜佐木先輩の世話にまわって……

 あれ、これ合コンって聞いてたのになぁ……

 とんでもねぇ……これが男性死神協会と女性死神協会の飲み会なのか!? 

 

 

 店から出て、檜佐木先輩の背中をひたすらさすっていれば、ガラッと店の扉が空いて乱菊さんが出てきた。

 

「修兵なんかほっといていいのよ」

「で、でも……」

「少し話しましょ」

 

 外に出てきた乱菊さんは、さっき見た時より全然酔ってなさげだ。俺は言われるがままに乱菊さんの傍に立った。

 

「……楽しい? 護廷十三隊は」

「はい。いつも本当に良くしてもらって、毎日が楽しいです」

「そう……。あんたは楽しいと思える子なのね」

「え?」

「なんでもないわ」

 

 ふぅ……と空を見上げる乱菊さんの横顔は本当に綺麗で……今にも消えてしまいそうなほど儚かった。

 

「……市丸隊長のことですか?」

「やだ、そんなんじゃないわよ」

 

 笑って誤魔化そうとしてるのが、嫌でも分かってしまう。ああ、この人は叶わない恋をしてるんだな。そう思った。

 俺はどうして、こんなにも女の子の気持ちが分かってしまうんだろうか。

 どうしてあげたらいいのか、すぐにわかってしまう。そして、それがわかる度に……俺が何一つ、彼女達の目に入っていない事も同時にわかる。

 

「太陽と月って、同時に見れますか?」

「見れるわけないじゃない」

「じゃあ、太陽が無かったら……月はずっと見れますか?」

「そうなんじゃないの?」

「違いますよ。月は、太陽の光で見えるんです。太陽がなかったら、月は月として見ることは出来ないんですよ。えっとつまり……乱菊さんを太陽として光ってる人がいるはずで……すみません、臭かったですね」

 

 最後まで言うのが気恥ずかしくなり、俺は下を向いてしまった。

 ふふっと乱菊さんの笑い声が聞こえて、さらに恥ずかしくなる。

 

「……優しいのね、あんた」

「よく言われます」

「ちょっと情けないわね」

「……よく言われます」

「いい子じゃない、あんたの太陽は誰なのよ」

 

 太陽か……。この人がいる限り、俺は光り続けられる。逆をいえば、失えば俺も沈んで見えなくなってしまう……そんな人……

 

「……わからないです、すみません」

 

 俺はどうして……すぐに桃ちゃんだと言えなかったんだろうか。

 違う、選べない。これまで出会った人全てが俺の太陽で……大好きで、眩しくて眩しくて……だから、誰一人欠けて欲しくない。

 

「あら、割と欲張りなのね」

「すみません……」

「いいじゃない。あんたが強くなるのが楽しみだわ」

「俺はまだ全然で……」

「なるわよ、きっとすぐよ。でも忘れないで……」

 

 乱菊さんと真っ直ぐに目が合った。

 

「大切な人ほど、何も言わないまま消えていってしまうのよ」

 

 その瞳があまりにも悲しげで……今にも壊れそうで。

 俺は、何も言ってあげることが出来なかった。何も言わない方がこの人のためだと思った。

 

 探してるんだ、見つからない何かを。見えなくなってしまった何かを。

 踏み込めない。もう消えてしまった人のことなのだろうか? 市丸隊長ならまだいるじゃないか。俺の勘違いだった? 乱菊さんは、市丸隊長を誰かと重ねているだけ? 

 これは久々に難題だ……。

 

「……なんだか湿っぽくなっちゃったわね、アタシそろそろ帰るわ」

「あ、傘どうぞ」

「あら、ありがと。あ、それと……その着物、ちょっとダサいわよ」

「ええ!!」

「今度一緒に買いに行きましょ! それと、教えて貰ったお礼にアタシもひとつ教えてあげる! あんた、恋に憧れてるだけじゃだめよ」

「え? どういうことですか?」

「そのうちわかるわ! じゃーね!」

「ちょ……」

 

 そう言って乱菊さんはフラフラと闇夜に消えていってしまった。

 あの人……これから一人で泣くんだ。

 俺は檜佐木先輩のそばに行って、肩を揺する。

 

「……俺達も帰りますよ、檜佐木先輩」

「んあぉあ……乱菊さあああん……」

「もう、しっかりしてください!」

「大好きですっ……乱菊さんっ……」

「はいはい、いつか届くといいですね」

「乱菊さあああん!!!」

「こりゃ九番隊まで運搬か……大仕事だな……。阿近三席!!! 俺ら先に帰ります!」

 

 大声で店の中にいる阿近三席に声をかければ、阿近三席は返事代わりに手だけ出してフリフリと応える。

 今日俺が乱菊さんの頭を撫でてあげれなかったのは……抱きしめてあげれなかったのは……

 

「結局、俺も……ヘタレだよ、恋次」

 

 完全に意識が飛んでる檜佐木先輩を担ぎあげて、小雨が降る中、九番隊への道を歩いていく。少しだけ他の隊の人と交流が持てて良かった反面、乱菊さんの言葉がずっと頭の中を巡った。

 

「大切な人ほど……何も言わないまま消えてしまう……」

 

 俺達死神に輪廻転生は存在しない。死してその肉体は尸魂界へと還る。

 パーマ君たちとは違う……。これが本当に、最初で最後の出会いなんだ。

 

「……失いたくねぇなぁ……」

 

 それと……恋に憧れるってなんだ? 恋に恋する的なものか? 俺は別にそこまで乙女みたいな男ではないはずなんだけどなぁ……桃ちゃん好きだし……。俺の女神……。

 

 初めての先輩達との飲み会は、俺の頭では処理しきれないほど多くのことを知った日だった。

 

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