人気のない神社に、誰かがいた。
転換点
季節は夏ごろ、時は夕暮れ。
そう、夏祭りである。
言ってしまうと高校生最後の夏である。
残念ながら隣に麗しい彼女はいないのだが。
もしかすると何か出会いがあるかもしれない、そう思ってここに一人で歩く。
結果として、祭りにはなかった。
収穫は、フランクフルトバナナチョコからあげかき氷etc………。
食欲だけ旺盛でもなぁ。
「袋でも持ってくればよかった」
ぼやきながら、棒類と器を持ち帰路に着く。
「…そうだ、こっちから帰ろう」
ちょっぴり運命にイタズラ気分で、別の道から帰ることにした。
小学生以来、かなり久しぶりに通る道だ。
とはいえやはり懐かし──────
「神社ぁ?」
しかもボロい。廃をつけた方が良かったか?
ただ小学生の頃には見ていない…と言うより覚えていないのだろうが。
その神社は、廃れながらも独特の神秘性を放っている。
「……うし」
せっかくの運命へのイタズラをイタズラで返されたのだろうか?
であれば乗ってやろう。好奇心は猫を殺す、だが止められるわけでもない!
そんな感じで、鳥居をくぐった。
「………ん?」
神社を目の前にして、瞬きしてから硬直した。
────だって今の声、俺じゃないもん。
その上姿は見えているが、瞬きするまでそれはいなかった。
「ああ…珍しいね、こんなところに。肝試し?いや好奇心かな」
無地のお面を身につけた────声と体つきからおそらく女性の方────が聞いてくる。
「…あ、ああのあのあのえええっととと」
「ふふっ、無理に喋らなくていいよ。おそらく互いに突然現れたんだからね」
気を使われてしまった…!
頭の中に桜と
「えええっと…その、あああなたは…?」
「私かい?私はそうだね…」
お面の女性は考える仕草をして答えた。
「むめい。ムメイとでも呼んでよ」
「はっはははははい、ムメンさん!」
「ムメイだね」
名前を間違えちゃった…!
「ふむ。ところで君」
「はっはっはっい!」
「………えー、そうだなぁ…」
これまた考える動作をした。
綺麗だなぁ。
ずっと見てたい。
「君、その、恋人はいるのかい?」
「いま…すん」
「どっち?」
「いません」
「よし。良い子だ」
ワン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
「えーと、あーのー、ま端的に言うと君に恋人がいないとなんやかんやで世界滅んじゃうんだよね」
「えっ」
えっ。
初耳なんですけど。できると思うんですか?
「…あなたを彼女にすれば…」
「いぃやいやいやいや私やばい人だから」
「やばい人は自分をやばい人とは言わないんですー!」
「う、ぐ…とにかく私はダメ」
「えー…嫌いなんですか?」
「…別にそうとは言ってない、けど…」
「え!?!?!?!?!?なんですって!?!?!?!?!?!?!?!?!?」*1
「…何も言ってないからね」
「…まぁ本人がそう言ってるならそうか…嫌いではないって言ってた気がするするんですけど、やっぱ気のせいですかね…」
「…そうだね、きっとそうだよ」
「なんか怒って」
「それも気のせいだからね」
ほな気のせいかぁ…。
「…待って彼女できないと世界滅ぶってどゆこと!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?」
「なんやかんやだよ」
「そのなんやかんやを教えて欲しいんですけど」
「…守秘義務」
ほな言えんかぁ…。
「ちなみに高校卒業までに、だね。今何年生?」
「え"…三年」
「うーん。じゃあ、そうだね…こっち来て」
そう言うとお面の人は、こう、指をくいくいっとそちらに誘導するジェスチャーをする。
それに従い近づく。…やっぱ綺麗だなぁ、この人。
「えいっ」
「…?…デコピン?」
顕になっていた口あたりを眺めていると、唐突に額にちょっとした衝撃が当たる。
「これでよし。空見てみなよ」
「えっ、眩し…朝?」
なんと、朝日が空から雲を縫って顔を出している。
先程まで夕方だったのにも関わらずに。
「□□ □くん。君は高校二年生になった」
──────下がることってあったっけ?
そんな戯言が飛び出すほどに、今の状況を理解できていない。
「今は…五時半ぐらいかな。家に戻った方がいいんじゃない?」
「え?あ、ああ…そうですね」
「困ったことがあれば私に聞くように。学校の課題だって、なんでも乗ってあげよう」
「おゝ神よ、無礼をお許しください…!」
「躊躇いはないんだね」
は?ないが?
「まぁとにかく、君が恋人を作らないと世界が滅ぶんだ。わかりやすいだろ?」
神社を背にして走る。
声は遠くなる。
疑問を口にしながら。
「なんで彼女できなきゃ世界滅んじゃうんだよ…!?どういう道理!?」
自分考案のギャルゲーを小説にしました。
ヒロインが今のところ一人以外決まってません。対戦よろしくお願いします。
主人公:高校三→二年生