3年F組!金ピカ先生!   作:【酒豪】御酒乱マン

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シャーレ編
10話 遅れた始まり


 アリウス全体の学力向上を目指しての授業を始めてから数ヶ月、年を明けてて学年が一つ上がった。

 まだトリニティの水準には届いていないが、必要最低限の知識は身につけられた。

 そんな頃、地上では治安の悪化が問題になっていた。

 

「連邦生徒会で何か問題が起きたようだな」

「問題?」

 

 ギルガメッシュはこの日、アズサを連れて地上で買い物をしていた。

 アズサは現アリウススクワッドの1人でギルガメッシュと話す機会が多く、アツコに並んで一緒にいる事が多かった。

 

「ここ最近の治安の悪化は、トリニティの治安維持組織の軟弱さが全てという訳ではない。アビドスでも同様の問題が起きていると報告を受けている」

「その原因が連邦生徒会?」

「あそこはキヴォトス全体の管理もしている組織だ。ここ最近、行政の動きが確認されていない以上、どうであれあそこが問題と言って問題無かろう」

 

 そんな時、ギルガメッシュがキヴォトスに来てから使っているスマホに連絡が入る。

 

「……」

「王様?」

「なるほど、ここが本来の時間軸と言うわけか。アズサよ、付いてくるが良い」

「?」

 

 アズサはギルガメッシュが買ったアリウスに必要物質を自治区に届け、ギルガメッシュと共に連邦生徒会の本部に向かう事になった。

 

 

 

 

 

 連邦生徒会に到着すると、ロビーで待たされる。本来ならば王を待たせるなど言語道断だと不機嫌になるところではあるが、この日のギルガメッシュは少し機嫌が良かった。

 その理由はアズサである。

 アズサはギルガメッシュからの好感度が上がれば上がるほど相性が良くなり、ある一定を超えた辺りからキヴォトスで1番相性が良い生徒になる。

 現時点でも好感度がかなり高く、アズサが相手ならば大抵のことは笑って許してくれるが、ユメの方が好感度が高い。

 

「どうして連邦生徒会に?」

「連邦生徒会長が我をここに呼んでいる。と言っても、おおかた奴はここには居ないだろうがな」

「居ないのに、呼び出し?」

「全く、つくづく無礼な奴だ。そもそも、ここ最近の混乱は奴の不在が原因だろう。混乱が起き始めた時期辺りから、連邦生徒会の行政を動かした形跡がない。行政制御権は連邦生徒会長の権限の一つ、奴が不在になってそれが使えなくなったのが今回の混乱の原因と見るのが妥当だ」

 

 アズサはギルガメッシュが座るソファの隣に座って「なるほど」と目を見開いて頷く。

 そうして話していると、長い黒髪でエルフ耳の女性がやって来る。

 

「お待たせしました、私は七神リンです」

「ギルガメッシュ」

「白州アズサだ」(ᓀ‸ᓂ)

「阿呆め」

 

 リンは何を言っているのか分からなかったが、今はそんな事を気にしている場合ではないので話を進める。

 

「先生をここに呼び出したのは……」

「行政制御権を取り戻す為であろう」

「!」

 

 驚きつつも話を続け、リンはギルガメッシュをエレベーターまで案内し、アズサはそれについて行く。

 

「キヴォトスの説明は要らん。もう2年ここにいるからな」

「なるほど」

「行政制御権を持っていた連邦生徒会長の不在、そして連邦生徒会長が我を呼び出し、我にやってもらいたい事がある。そんなところだろう」

「話が早くて助かります」

 

 エレベーターが止まり、レセプションルームに到着すると4人の生徒が集まっていた。

 

「貴様等暇なのか」

「決して暇なわけでは……」

「状況の説明を貰いにきただけですよ」

「その必要も無いという話だ、たわけ」

 

 4人の中にはトリニティの生徒が2人おり、現在ギルガメッシュがトリニティに常駐していることもあり、面識があった。

 銀髪で頭に片翼がある少女『守月スズミ』、長い黒髪で背が高く胸が大きい少女『羽川ハスミ』。

 スズミはティアマトのマスターのレイサが、スズミと同じ自警団という事もあって、たまに世間話をする。

 ハスミはトリニティでのパトロール中、不良生徒が運悪く不機嫌なギルガメッシュに対してカツアゲをしようとしているところに遭遇し、止めようとしたがギルガメッシュがその前に不良生徒を炎・冷気・雷による謎のレーザーで吹き飛ばした。その後、ハスミが所属する正義実行委員会と交流を持つようになった。

 

「あの、この大人の方は?」

「「王様」」

 

 スズミとハスミは口を揃えて王だと答え、青いハーフツインの少女はポカンとする。

 ここ最近、トリニティの治安は悪化していたものの、ギルガメッシュが騒がしくて不快だからと不良やスケバンを狩まくっていた。そのついでに、アリウスが地上ではどのくらいの戦力になるのかを試していた為、トリニティの不良は瞬く間に掃討された。

 ギルガメッシュが暇なのかと聞いたのはこれが理由である。

 

「恐らく、今回の混乱で最も被害が少なかったのはトリニティだと思います」

「ブラックマーケットでの武器の不法流通の一斉摘発、入り込んだ不良の掃討、混乱の解決をたった3日で行いました。その際、この方が連れていた生徒達が王様と呼んでいたので、私達も王様と呼ぶようになりました」

 

 実のところ、ギルガメッシュの方が暇だったのだ。

 セイアを殺さないならばオルト・シバルバーの召喚を阻止する方法は無い、アリウス分校の正式な学校化も、トリニティの助けがなければ学校と名乗っているだけのテロリストから変わらない。

 オルト・シバルバー対策もグランドクラスを召喚した時点で、これ以上の召喚はオルトの餌になる可能性が上がるだけなので不要。ギルガメッシュはやる事が無くなって退屈していた。

 

「えっと、自己紹介をしますね。私はミレニアムサイエンススクール2年、早瀬ユウカです」

「ゲヘナ学園1年、火宮チナツです」

「自ら名乗るとは良い心掛けだ、我が名を拝聴する栄誉を許す。英雄王ギルガメッシュ、唯一にして絶対の王だ。さてリンよ、行政制御権を取り戻す算段は付けているのであろうな?」

「はい」

 

 リンは連邦生徒会長が作った部活、連邦捜査部シャーレの担当顧問にギルガメッシュを据える事だけ告げて居なくなった。

 シャーレは一種の超法規的機関。連邦組織のため、キヴォトスに存在する全ての学園の生徒を際限なく加入させることや、各学園自治区で制約無しに戦闘活動をする事すら可能。

 シャーレの部室はここから30kmほど離れた外縁地区にあり、連邦生徒会長の命令でそこにギルガメッシュに渡す為の『とある物』を持ち込んでいると言う。

 そのとある物があれば、行政制御権も取り戻せるという事らしい。

 

「良かろう。貴様等も付いてこい。よもや責任を問う為だけなどと、『無駄』な事をしに来たなどと言うつもりではあるまいな?」

 

 ユウカはハスミやスズミの顔を見て、2人は首を横に振る。

 ここで協力したいと言う事を表明すれば、シャーレは必要無いと判断し、その学園はシャーレから見放される。

 今後の事を考えるならば参加せざるを得ない。そしてギルガメッシュは必要無いと判断した学園に手を貸すような無駄な事はしないので、何が起きようとギルガメッシュの気分次第で傍観されたり、直接潰されたり、ロクなことにならないのは目に見えていた。

 

「王様、私は」

「当然お前もだ」

 

 その場の全員が首を傾げる。

 アズサは視線避け指輪を予め渡されており、アズサ自身、この指輪をつけている時間が長い事もあって、つけている事を忘れてリンに挨拶をしたが、ギルガメッシュに阿呆と言われて思い出した。

 アズサは指輪を外し、全員に姿を見せる。

 

「え!?何もないところから人が!?」

「これは一体……」

「白州アズサだ」

「では行くぞ」

 

 リンはヘリを使って行くつもりだったが、ギルガメッシュはそんな物を使うだけ時間の無駄だと言って、ヘリポートまで歩いて行き、その場の全員がヘリも無しにどうやって30kmも移動するのかと思っていたが、取り敢えずついて行った。

 

「王様、あれは1人乗りなんじゃ」

「問題無い、甲板に乗れるだけならな」

 

 ギルガメッシュはヘリポートに到着すると、ゲートから黄金の船体にエメラルドの翼を持つ飛空挺『ヴィマーナ』を出現させ、アズサを除いたその場の全員が驚く。

 ヴィマーナはどうやって浮いているのかすら分からない上に、何もない空間から突然現れた未知の船なので、困惑しかなかった。

 

「早く乗れ」

 

 アズサはすぐにヴィマーナに乗り込み、リン以外は恐る恐る乗り込む。リンはもう気にしても仕方ないと諦めていた。

 ヴィマーナは凄まじい速度で発進し、外縁地区まで飛んで行った。

 

 

 

 シートベルト無し、窓ガラス無し、ギルガメッシュ以外は甲板に立つしかないヴィマーナが凄まじい速度で発進したにも関わらず、吹き飛ばされなかった事に困惑し、同時に安全装置無しの絶叫マシンに乗せられた様な恐怖を感じた。

 

「ふむ、やはりか」

「え?」

 

 ギルガメッシュはヴィマーナを宝具を回収する宝具で収納し、全員が空中に投げ出され、アズサとリン以外が絶叫する。

 ビルよりも高い遥か上空からの紐なしバンジーパラシュート無しという状態で、どんどんコンクリートの地面が迫って来る恐怖に絶叫すらユウカ達だったが、地面すれすれで止まり、少ししてから地面に落ちる。

 アズサ以外は着地に失敗して倒れ、ギルガメッシュはわざわざ街灯の上に着地した。

 

「これは……」

 

 リンは目の前の状況に驚く。

 現在シャーレ近郊では、不良生徒達による暴動が起きている。ギルガメッシュはこれを見越してユウカ達を連れて来たのかと、リンはギルガメッシュを見上げた。

 ギルガメッシュはキヴォトスに来た時に千里眼を使い、この状況を既に見ていた。ただし、ギルガメッシュもシャーレの名前を聞くまで忘れていた。移動中にここの事だったかなと思い出しており、不良生徒達の暴動を見て完全に思い出した。

 

「不良の掃討とシャーレの奪還を始めるぞ、武器を取れ!我が指揮をしてやろう!」

 

 何もかもが早く、有無を言わせずにどんどん話を進め、アズサ以外も武器を取る。チナツは後方支援となり、リンは状況分析に努める事になった。




BAD ENDルート【暴君の裁定】
 瀕死のユメと最初に出会わない場合、原作と同じ開始タイミングなどで目覚めた場合のエンド。
 アビドスでの経験、アリウスとの邂逅が成されないので、ユメは当然原作通り死亡、エデン条約ではアリウスと敵対する。更に連邦生徒会長に利用されるという最悪のスタートになる為、キヴォトスの生徒への愛着も無くなるので、英雄王としての側面が強くなり、無駄が多いとして生徒を間引き始める。
 具体的に何が起きるかと言うと、シャーレ到着前にワカモ死亡、アビドス壊滅、ギルガメッシュを利用しようとしてナギサ殺害、裏切り者としてミカ殺害、予知夢で覗き見られ不快に思ったセイアを殺害、ラビット小隊全滅、ミレニアムではケイに伴ってアリスを破壊、プレナパテスとの邂逅でキヴォトスが滅び、無名の司祭全員死亡。
 よりにもよって最強状態のギルガメッシュであるがゆえに、対抗策が悉く潰され、一方的に不利状況を押し付け続けられ、生徒達はなすすべなく壊滅。
 連邦生徒会長の誤算、それは晩年比較的穏やかになって丸くなったところで、ギルガメッシュの在り方は変わらないという事。賢王ギルガメッシュの精神性を持っていようと、不用意に受肉させてしまうとこういうことになる。

 セイアがバッドエンドルートの要因になっているように、ユメがバッドエンドルートを回避する要因になっているため、聖杯は瀕死のユメの前にギルガメッシュを召喚し、連邦生徒会長の願いを叶えた。
 これが汚染された聖杯だった場合、当然ギルガメッシュが大勢間引いて死者が大量に出る。
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