6話 学園聖杯戦争
そもそもの話、英霊召喚とは「一つの巨大な敵」に対して「人類最強の七騎」を投入する用途の霊長の世を救うための決戦魔術「降霊儀式・英霊召喚」がオリジナルであり、聖杯戦争での英霊召喚はそのダウングレード版を使用する事で普通の人間でも扱える様にしたもの。
それがキヴォトスという特殊な土地だとはいえ、単騎での召喚というのは英霊召喚という儀式としては未完成にも程がある。
その為、ギルガメッシュはこれをキヴォトスという土地で行われている聖杯戦争という可能性を考えていた。
これまでとは何もかも条件が違う上に、聖杯の存在すら定かじゃない。召喚したのちに受肉ではなく、召喚と同時に受肉させるというイレギュラーが発生している以上、どういう儀式でギルガメッシュを召喚したのかすら分からないという状態ではあるが、英霊を召喚している以上、何らかの儀式である可能性が高い。
ギルガメッシュは土地ではなくマスターが存在する可能性を確かめる為に、ビナー戦にて致死量になる魔力消費、原初の神話礼装の発動からのエアによる最大出力であるエヌマ・エリシュ、マルドゥークの大弓ウトゥ・ドゥルアンキを連続使用した。並のマスターならば魔力を一気に消費し過ぎてサーヴァントであるギルガメッシュにも何らかの変化が出るはずだった。
しかし、ギルガメッシュに何の変化もなく、土地と契約されている事はほぼ間違いない。そうとなれば、これが聖杯大戦である可能性が高くなる。
ギルガメッシュが復興作業中に感じた視線も1つではなく、複数だった。聖杯戦争といえど、千里眼持ちが複数召喚される可能性はそれほど高くない為、聖杯戦争ではなく聖杯大戦の方が可能性が高かった。
仮に聖杯大戦だった場合、英霊の数は14騎、監督役のルーラーであるギルガメッシュを含めて15騎という事になる。
数が多いのにこの約1年で英霊による戦闘が起きたという話は聞いたことが無い。常套句であるガス爆発も報道されていなかった事から、ギルガメッシュ同様に何の情報も与えられていない、もしくは儀式を中断されたまま受肉させた事で儀式が強制終了したかのどちらかである。
(あの視線、我の千里眼に近いものだった。これが英霊によるものなのか、そういう神秘の影響で千里眼に近い力を持つ生徒のものなのか。確かめねばならんな)
ギルガメッシュが最初に向かったのはトリニティ、キヴォトス三大校に数えられるトリニティ総合学園の自治区だった。
特に深い理由は無いが、ギルガメッシュの勘が覗き見をしていた者がここにいると告げていたので、トリニティにやって来た。
そこですぐに気が付いた。明らかに生徒とは明らかに別次元の神秘の気配、それもどこか懐かしい、前にトリニティに来た時にはなかった気配が残っていた。
(……この気配はまさか)
ギルガメッシュは黄金の鎧を見に纏い、エアを取り出してその場から飛び立つ。
そこはトリニティにある普通の公園。そこではベンチで昼寝をしている少女と子守唄を歌っている大きな角と尻尾がある少女がいた。
角の少女はギルガメッシュがその場に降り立った瞬間、まるで見つかってしまったと言わんばかりにゆっくりとギルガメッシュの方に振り返る。
「貴様、何をしている」
「お、お母さんだ」
それは原初の母にしてメソポタミアの創造神『ティアマト』だった。
「その霊基、アルターエゴではないか。いきなり聖杯戦争のルールを無視した霊基で現れおって」
「ギルガメッシュ、それは間違い。聖杯戦争ではない」
「なに?」
「聖杯戦争は既に終わっている」
ティアマト曰く、聖杯戦争は確かに行われた。その勝者となったのが連邦生徒会長であり、その時連邦生徒会長が召喚したサーヴァントがアーチャーのギルガメッシュだった。
連邦生徒会長とギルガメッシュは聖杯戦争に勝利したが、ギルガメッシュは自分の財を勝手に奪い合う逆賊どもを討ち滅ぼす事が目的であり、聖杯は聖杯戦争を勝ち抜いた褒美として連邦生徒会長にくれてやったという。
その時連邦生徒会長が願ったのが、ギルガメッシュが先生としてキヴォトスを導く世界を願った。
「聖杯戦争が終わり、奴の願いが叶えられたのがこの可能性の世界であるならば、何故貴様がここにいる」
「何を隠そう!お母さんには単独顕現のスキルが」
ギルガメッシュは少女姿のティアマトにゲンコツをする。
「あ痛!?」
「やっていることがただのビースト案件ではないか!」
「一度負けた時点でビーストのクラスはもう無い。元ビーストクラスとして残ったスキルを活用したんだよ」
「喧しいわ!!」
ティアマトがここにいる理由は、限りなく生前に近いギルガメッシュが出現した事で引き寄せられたからなので、大元を辿れば連邦生徒会長が悪い。
「他にもサーヴァントはいるのか」
「分からないぞ」
ギルガメッシュはティアマトを使えない駄女神めという視線を向ける。
「母にそんな視線を向けてはいけません。やめて」
「使えん駄女神め」
「直接言った、酷い子だ」
ギルガメッシュは呆れてエアを消して紺色のシャツ姿に戻る。
先程のティアマトの反応からするに、ギルガメッシュを覗いていたのはティアマトではなく、また別の存在だということが分かり、ギルガメッシュはまた一から情報を集め直しだと少し落胆する。
「ところで、その小娘はなんだ」
「私のマスターだ」
ティアマトは水色と薄いピンクの髪をしたベンチで寝ている少女の頭を撫でて微笑む。
「まあいい。貴様が問題を起こさねば捨ておくだけよ」
「安心しろ、私はお母さんだからな、優しく見守るんだ」
「ならば好きにしろ」
結局、聖杯への願いによって生まれた可能性の世界である事を確認したギルガメッシュは、この世界はあくまでも可能性の世界であり、過去に戻っている事から聖杯が今も願いを叶え続けていると考え、聖杯を破壊する為に捜索を開始する。
聖杯が残っている以上、聖杯戦争は終わっておらず、ティアマトにマスターがいた事でそれが確信に変わった。それでもティアマトと戦わなかったのは、キヴォトスそのものが更地になるから。
生前に限り無く近いギルガメッシュと、かなりスケールダウンしているティアマトだと、逆に良い勝負をしてしまい、規模が大きくなり過ぎてキヴォトスがなくなるのだ。
ギルガメッシュは取り敢えず聖杯戦争の事は置いておき、千里眼で自分を見ていた者の捜索を再会する。
別れ際にティアマトから地下にあるカタコンベに行けば、何か見つかるかも知れないと言われ、取り敢えずやって来た。そこは如何にもキャスターの根城になってそうな場所で、取り敢えず入ってみる事にした。
カタコンベ内は迷宮化しており、突破が難しくなっていたが、ギルガメッシュの目を欺く事など出来るはずもなく、ギルガメッシュは迷う事なくカタコンベの迷宮を突破した。
「カタコンベに廃墟街とはな」
迷宮を抜けた先には廃墟街が広がっており、物々しい雰囲気が漂っていた。
「微かではあるが、他の者とは違う神秘」
その廃墟街で強い神秘なのとは異質な神秘を感じ取り、ギルガメッシュはその神秘の持ち主を探して廃墟街を歩く。
そうして一件のボロ屋にたどり着く。
「何者だ!」
「貴様に用は無い。疾く失せよ雑種」
長い黒髪の少女がボロ屋を守るようにギルガメッシュの前に立ちはだかり、その声を聞いてボロ屋の扉が開く。
「む?貴様だな」
ギルガメッシュは黒髪の少女を天の鎖で拘束して吊し上げ、扉から出て来たガスマスクをつけた薄い紫色の髪の少女の顔を覗き込む。
「血筋か、この土地でも珍しい血を持っているな小娘」
「……」
その少女は手話でギルガメッシュと意思疎通を取る。
『サオリを離してあげて』
ギルガメッシュはサオリと呼ばれた少女を見て、どうでもいいからと拘束を解く。そして、薄紫の髪の少女がつけていたマスクを取る。
「儀式の触媒にして生贄と言った所か。くだらん」
ギルガメッシュはそのマスクを放り投げて王の財宝で撃ち抜いて破壊する。
そうしてギルガメッシュが少女に興味を無くして歩き出そうとすると、赤い肌で白いドレスを着た女が行手を阻む。
「誰の許しを得て我の前に立っている雑種」
「ここは私の自治区、どこに立っていようが私の自由ですよ。むしろ、私の土地に無断で入り込んだ貴方の方が不敬でしょう?」
「時の果てまで、この世は全て我の庭だ。我の前に立つということがどういうことなのか、地を這う蛆が知る由もないであろうが、死にたくなくば疾く失せよ」
「失せるのは貴方の……」
ギルガメッシュの背後に20ものゲートが出現する。
「何です、それは」
ゲートから射出された剣や槍は女の身体を貫き、左手を切り飛ばす。
「この小娘を使って儀式を進めているのは貴様であろう?蛆風情に王の在り方を説いてやる意味など無いが、この街を見れば分かる、頭の中まで蛆と同程度らしいな」
「絶対に始末してやるっ!」
「土の中に身を隠す虫にしては吠えるではないか。ならば、見せてみるが良い」
ゲートの数を30に増やし、女を取り囲む様にゲートを展開する。
「自治区とはキヴォトスにおける国も同然。王とは民を導く者、決して民を盲信するように仕向けるものではないわ!!」
「子供を搾取するなんて、当然のことでしょう!?」
「貴様の戯言などどうでも良いわ!」
ゲートから一斉に宝具が射出され、地面が砕け、土煙が上がり、爆発を起こす。
土煙が晴れると、そこには何もなく少し離れた場所に異形の頭をした黒スーツの男が傅いており、その背後に赤い肌の女が倒れていた。
「我々の仲間がとんだご無礼を、お許しくださいギルガメッシュ王」
「貴様、我の事を知っているとは、何者だ」
「私は黒服、色彩と呼ばれるモノに対抗・対処する為に神秘を研究している者です」
「この行いもその一環というわけか」
ゲートが再展開される。
「我々ゲマトリアはそれぞれが同じ目的ではあるものの、その思想や手段が異なります。この者は確かに王に無礼を働きましたが、ゲマトリア全員が王の意思に反するという訳ではありません。今回はどうか、お見逃しください」
「……まあ良い、羽虫にすらなれん蛆如きに我が財宝を使うのは無駄が過ぎるというもの。今回は恩赦をくれてやる、疾く失せよ」
黒服は礼をして赤い肌の女を連れて空間転移で姿を消す。
その後、廃墟街はアリウス自治区と呼ばれる場所赤い肌の女ベアトリーチェが洗脳教育を行っていたその街には子供しかいない事が分かった。
(我がキヴォトスを導く可能性の世界……奴の願い通りというのは癪だが、仕方あるまい)
学園聖杯戦争
セイバー リチャード1世(触媒:無し)
マスター ナツ
ランサー クー・フーリン(触媒:無し、強いていうなら本人)
マスター レンゲ
アーチャー ギルガメッシュ(触媒:蔵の鍵・蛇の化石・粘土板・ウルク遺跡のカケラ・デカグラマトン関係の技術・超人と呼ばれた連邦生徒会長の精神性)
マスター 連邦生徒会長
ライダー オジマンディアス(触媒:ピラミッドの先端同士を合わせた模型とヒカリ本人)
マスター ヒカリ
アサシン 刑部姫(触媒:ウイ自身)
マスター ウイ
キャスター ニトクリス(触媒:シロコ自身)
マスター シロコ
バーサーカー ネビル・シュート(触媒:パンジャンドラム)
マスター ウタハ
1日目 ネビル・シュートの自爆により刑部姫諸共消滅
2日目 オジマンディアスとニトクリスが接触、ニトクリス自害
3日目 リチャード1世がギルガメッシュに接触、その場で宝物の鯖となる
4日目 クー・フーリンがオジマンディアスに接触
5日目 オジマンディアスがクー・フーリンを撃破
6日目 ギルガメッシュとオジマンディアスが接触
7日目 スフィンクスをウトゥ・ドゥルアンキで消滅
8日目 固有結界『ラムセウム・テンティリス』をエヌマ・エリシュで破壊
9日目 メセケテットとヴィマーナによる空中戦の後にウトゥ・ドゥルアンキでオジマンディアスを撃破
10日目 可能性世界誕生&聖杯戦争リセット