ちなみに作者は地元の花火大会に9年連続で通い続けてるガチ勢です。
では本編スタート!
「おお、電車の中もすごかったが会場付近になるともっと人であふれてるな」
17時30分、俺とゆーちゃんは駅から花火大会会場に向かって歩いていた
「花火の開始まで2時間ぐらいあんのか。ちょっと俺たち早乗りしすぎたかもな」
「このぐらいでちょうどいいんじゃない?席もとらなきゃいけないし」
「いやもう席はとってあるんだなこれが」
「マジ?いつの間に」
いや実は俺も今日いきなり言われたんだよ。じじいに今日花火大会行くつったら一枚の黒い紙でできたカードをもらった。どうやらこれ貴賓席ってところの利用券らしい
「あ、そのカードなつかしい」
「なつかしい?ゆーちゃんこれ知ってんのか?」
「知ってるって昔、あーしらの家とかーくんの家で一緒に花火見に行ったときに楓さんその黒いカード使ってたじゃん。あのときそのカードを使ってすごいいい椅子に座れたから勝手に魔法のカードだって思ってた」
「ああ、あれか帰りにゆーちゃんが迷子になったときの!しかもあの後」
「そこで思い出すな馬鹿!」
あったあった。花火大会の途中でゆーちゃんが迷子になって三浦家と俺たちが総出になって探したんだよな
「まったくもう....なんでそういうとこだけ覚えてるかな」
「悪い悪い。ほらわたあめごちそうするから機嫌直せって」
「あーし、そんなチョロくないんですけど..........チョコバナナもちょうだい」
「...へいへい」
チョロいじゃん
優美子side
しばらく歩き続けると屋台が並ぶ通りにつく。そこには焼きそばやたこ焼き、りんごあめに人形焼きそれに射的まで様々なものがあった
「まずどっから行く?お目当てのチョコバナナ?それとも焼きそば?」
「はしゃぎすぎだし...あ、ちょっとこっち来て」
あーしの目に留まったのは仮面が並んでいるお店で一番右端には鮮明に記憶に残ってる仮面があった
「うっわ、なつかし!」
「かーくん、よくこのヒーローの真似をしてたよね」
「そうそう。この仮面みたいに立派なモン用意できなかったからばあちゃんから貰った黄緑色のサングラスかけてたわ」
確かにこの仮面と比べたらあのサングラスは少し迫力不足でちょっとカッコわるかった。けどいま目の前に並んでるどの仮面よりも輝いて見えてたな
「せっかくだし買っちまおうっと。すんません、この仮面とこっちの仮面お願いします」
「ちょっと待って、あーしは別に」
「あいよ!お、坊主この仮面たちを選ぶとはセンスあるなあ!」
「仮面ヒーローライダーマント。かっこいいっすよね」
「そうか坊主はちょうど世代だもんな!ゴホン....」
え、なに?お店のおじさんが喉の調子を整えてる。ていうかかーくんもなんでそんなに首を回してるの?
「このライダーマントがいるかぎり!」
「この世に悪は栄えない!」
「「エンジンフルスロットル!食らわせてやる免停パンチ!」
今思うとあのヒーローの口上ってかなりそのダサ...個性的だった気がする。免停パンチって......
「坊主....!」
「おじさん...!」
しかもなんか無駄に友情育んでるし
「久々に楽しかったぜ」
「俺もッス」
「楽しませてくれた礼だ。彼女の分のやつタダにしてやるよ!」
か、彼女......!
「ありがとうございます!ほら、ゆーちゃんこれブレーキレディのやつ」
「ありがとうございます...」
しかもこの仮面って確かヒロインだった子のやつだよね
「しかしこう見ると坊主たちお似合いだな!」
「そ、そうですかね//////////」
「ま、俺たち幼馴染で付き合いも長いっすからね」
「いや別にそういう意味で言ったわけじゃ...いやこれ以上は野暮か」
店主のおじさんから小声でエールをもらいあーしとかーくんは店から離れるのだった。仮面なんてただ邪魔になるだけって思ってたけど意外と悪くないかも
「さて次は...お、あれは!おーい!安藤のおっさん!」
「おお、海斗!」
「ちょっと待って!」
かーくんに着いていくとそこは大柄な男の人が豪快に焼きそばを作っていた
「よお、めちゃくちゃ繁盛してんじゃねえか」
「ガッハッハ!おかげでビールを飲む暇がねえ!」
「火元で酒飲むやつがあるか!」
安藤と呼ばれたおじさんは豪快に笑う。その発言にかーくんはツッコむ。それを見た周りの人は自然と笑顔になっていた
「海斗君!」
「おお、亜美のおばちゃん!今年も人形役作ってんのか!」
「ええ。そこのデブのところじゃなくこっちに来なさい!サービスするわよ!」
「誰がデブだ!たいして変わんねえだろうが!」
「なんですって!?」
「二人とも落ち着け!ほら、おっさんお客さん待ってんぞ!おばちゃんもあとでそっち行くからサービス頼むぜ!ほら、ゆーちゃん焼きそば買おうぜ」
そう言ってかーくんとあーしは焼きそばの最後尾に並び始める
「今のが安藤のおっさんと亜美のおばちゃん。おっさんの方はよく俺のバイクを整備してくれて、おばちゃんはこの間の林間学校に参加してたゆずの母ちゃん。よく店に来てくれんだよ」
「そうなんだ」
「ちなみにこの先にあるわたあめ屋と射的、あと飲み物屋も常連さんがやってんだよ」
「そのとおり!」
「うわあ!?」
突如背後っから男性の声が聞こえ私は大声で叫んでしまう
「あ、すまない。驚かせちまったな」
「い、いえ」
「兄ちゃん、誰だって後ろからいきなりその声量で話しかけられたらびっくりするっての。大丈夫かゆーちゃん」
「本当にすまない!俺、あっちの方で親父と一緒にジュースとか酒とか売ってんだよ。そんで海斗の姿が見えてこうしてきたわけなんだわ」
かーくんによるとこの人は大学生でお父さんと一緒に酒屋さんを営んでいるみたいで今日は屋台でお酒とかジュースを売り出しているみたい
「ほらこれ。安藤さんの店繁盛してっからなんにも飲まないで待つのはつらいだろ」
「お、ラムネじゃん。サンキュー、兄ちゃん」
「ありがとうございます」
「おう。それより彼女さんさっきは本当に悪かった。よかったらあとでうちによってくれよごちそうするから」
「か、彼女//////////.......は....!い、いえそんな全然大丈夫です」
「ならあとで寄るからコーラ、キンキンのやつで」
「おめえじゃねえよ!.....はあ、わかったよ。彼女さんはどうする?」
「じゃあ....かーくんと同じものでお願いします」
「了解だ。それじゃあまた後でな!.....というか海斗!お前こんな可愛い彼女いるなんて聞いてねえぞ!」
やばい、いまあーし顔赤いかも
「彼女じゃねえ!」
「は.....?」
「.......うっわ。やっぱお前は割高で売ることにする」
「え、ちょ...こら兄ちゃん待て!はあ、悪いな、ゆーちゃん騒がしくしちまって......痛え!」
あーしは思いきりかーくんの脇腹をつねる。確かに今は彼女じゃないけどそんな言い方しなくてもいいじゃん
「馬鹿...」
かーくんの鈍感さに対する怒りをぶつけるようにあーしはラムネの栓を開けパチパチと弾ける炭酸を一気に飲み干すのだった
「すげえ飲みっぷり」
海斗side
「買いすぎた」
「本当にそう!こんな量戸塚達も困るって」
あはは....えっと焼きそばに人形焼き、ジュース、たこやき、フランクフルト、わたあめ..はさっきゆーちゃんが食って、イカ焼き、フライドポテト、チーズハットグその他etc.うん、間違いなく買いすぎたな。だってしゃあねえだろ、ここらへんの店ほとんどが俺の知り合いでそのおかげかいっぱいおまけされちまったんだよ。断るのも悪いだろ?
「特に焼きそばとたこ焼き、器から溢れてんだけど」
「安藤のおっさんと西村のじいちゃんに感謝だな。............ごめん、俺も調子乗ってもらいすぎたのは認めるからそんな目で見ないでくれ」
冷たい視線を向けるゆーちゃんに謝りながら俺たちは第一の目的地についた
「あれ、おーい!海斗先輩!」
「おお!一番最初にテニス部から離れた後一番最初に復帰した七森幸太郎君じゃないか!」
「う”.....ってわざわざ掘り返さないでくださいよ!あの時の俺は本当に弱かったんス」
七森幸太郎....彩加の部活の後輩で最初はお世辞にも上手いとは言えなかったが彩加の頑張りもあり再びテニスに真剣に打ち込んだらなんと夏休み前の大会一年の分でなんと優勝したヘタレ兼努力家の一年坊だ
「彩加から聞いたぞ。最近すげえすげえ活躍してんじゃねえか」
「いや俺なんかまだまだっすよ。それに俺、まだ戸塚先輩に一度も勝ったことないっすから」
そりゃそうだ。お前も十分努力してるがアイツはそれ以上に努力してるんだからな
「そりゃアイツはお前らがヘタレてた時も努力してたからな」
「....先輩の言葉の槍が俺を突き刺してくる」
「わるいわるい。でも今のお前たち前と比べたら何万倍もかっこいいぞ。これからも応援してるぜ」
「あざっす!あ、先輩じゃがバターどうっすか?美味いっすよ」
じゃがバター....いいな。確かにあたりにバターのいい香りが広がってる
「じゃあ俺と...ゆーちゃんの分で二つくれ」
「了解っす。」
七森は後ろにいるテニス部のやつらにオーダーを伝える
「それより先輩彼女いたんすね....羨ましいな~しかもかの有名な三浦優美子さんじゃないすか」
「ちょっとその有名ってどういう意味だし?教えてみ?」
「え....その本人を目の前にして言うのはちょっと...」
「いいから、ほら」
七森、俺に助けを求めるな。男だろ頑張れ
「こんなところで男なんて発揮できないっすよ~」
「で、どういう意味で有名なん?」
「~~~~、その....三大美少女JK」
「.........!」
「へえ~」
ゆーちゃんって学校でそんな風に呼ばれてんのね。ちょっと前までは獄炎...?地獄の?どっちか忘れたけど女王って呼ばれてたって八幡から聞いてたけど
「本人を目の前にしてこんなこと言う羽目になるなんて....」
「ナイスファイト」
「シャラップ!」
「ねえ...」
ゆーちゃんは自分の髪をくるくるしながら俺の方へ向かう
「かーくんはどう思う?」
「え、なにが?」
「今の話を聞く限りあーしは学校の中でも可愛い方らしいんだけど....かーくんはどう思う?」
そうだな。まあ、普通に
「じゃがバター、お待たせしました!」
「おお、彩加」
俺たちが話してると彩加がじゃがバターを持ってやってくる
「来てくれてありがとう、海斗。それに三浦さんも」
「別に。ただ花火大会の日に大変だな~って思って、せめて差し入れでもって思ってさ」
「アハハ。わざわざありがとう。気にしなくてもいいのに」
「おわ~、これが修羅場ってやつか...」
修羅場?どう見ても二人楽しそうだろうが。すげえ笑顔だし
「彩加、これ差し入れ。皆で食ってくれ」
「わあ!ありがとうこんなにいっぱい!あ、よかったらこっちに来てよ」
「おお、行く行く」
俺たちは彩加に連れられ他のテニス部の休憩エリアまで足を進める
「みんな、海斗たちが差し入れ持ってきてくれたよ!」
「え、マジ!?」
「ありがとうございます、黒崎先輩、三浦先輩」
「三浦先輩だ。....噂以上にかわいい」
「海斗先輩、どうすか俺たちのじゃがバター!」
「めちゃくちゃうめえぞ、梅田!おかわりくれ」
「了解っす!すぐ作ってきちゃうんで」
「ほら、お前ら花火大会の日までご苦労さんってことで色々持ってきたぞ!」
俺は机の上に色々なものを置いていく
「うわあ、めちゃくちゃいっぱいある!」
「このたこ焼き、20こ以上ありますよね。助かります」
「西村のじいさんがおまけしてくれた」
「さすがです」
「ん、黒崎やんけ。なんでお前がここにいる?」
「厚木のおっさんこそなんでここにおんねん、アンタサッカー部の顧問やろがい、元太は?」
「その下手な関西弁やめろや。それに元太じゃなくて楠先生な」
楠元太、テニス部の顧問だ。俺は親しみを込めて下の名前の元太って呼んでるけどな。ちゃんと本人からも許可得てるし
「楠先生は法事で来れなくなってしもうてな。だから俺が代理で来たってわけや」
「そうなのか。橋本、厚木のおっさんちゃんと役に立ってるか?このおっさん細かい作業とか苦手だし強面だからお客さん逃げないか心配でしかねえ....強面だし」
「るっさいわボケ!強面はお互い様じゃろうが!しかも人が気にしてることを2回も言いやがってからに...!」
「強面なのは否定しませんが接客も上手ですし心強いですよ」
「橋本、そこはちゃんと強面なの否定せんかい」
厚木のおっさんのツッコミに周りもくすくすと笑い声をあげる
「海斗先輩!これ俺のおごりっす!お二人で食べてください!」
「サンキュー、梅田!今度礼させてくれ」
「かーくん、楽しんでるところ申し訳なんだけどそろそろ時間やばいかも。梅田だっけ?これありがとうね」
「き、気にしないでください!......やっべ三浦さんに話しかけられちまった....!」
「もうそんな時間か。それじゃあ俺たちもう行くな」
「うん、僕の分まで楽しんできて」
「おう。そんで来年は一緒に行こうぜ、約束な」
「もちろん!約束だよ!」
俺は彩加は指切りをしてその場から去る
「お前ら!夜遅くなりすぎんなよ!?」
「........よし、みんな!この後も頑張ろう!」
「はいっす!」
「戸塚先輩、なんか嬉しそうだな」
「それはそうだろうね」
「ああ~、海斗先輩が羨ましい!」
「本当だね」
じゃがバターの屋台から離れ俺たちは席がある場所に移動する
「あ、言い忘れてたけど....ゆーちゃんは普通に綺麗だぜ」
「..........は!?////////////きゅ、急に何だし!?」
「いやさっきゆーちゃんが聞いてきたんじゃん」
いやマジで。前から綺麗だなって思ってたけど最近また綺麗になったと思う。三大美少女JKの一人に入ってるのもうなずけるわ。ていうかあとの二人って誰なんだ?......結衣とか?
「おお、まさに特等席っ感じだな」
「いま思うけどあーしいまかなり贅沢してる...」
しばらく歩き俺たちはいわゆる貴賓席が置いてあるエリアにたどりついた。でもすげえなここだったら花火、見放題じゃねえか。母さんにあとで礼のメール送ろ
「それにしてもこの椅子いいな。俺、てっきりパイプ椅子だと思ってた」
「ここにはお偉いさんとかも来るからね色々こだわっているわけだよ少年」
俺たちの背後から聞き馴染みのある声が聞こえてくる
「陽さん?」
「この間ぶり、海斗君」
後ろを振り返ると浴衣を着てうちわを持ってる陽さんがいた
「浴衣に合ってるよ。なんか大人に見える」
「いつもは子どもぽいって言いたいのか?」
「だってそうじゃん。この間だってクラフトコーラに目を輝かせてたじゃん!」
いいだろ別に。初めて見るもんなんだから
「ねえ」
「うん?」
「この人って...」
「ああ、この人は..」
「雪ノ下陽乃です♪よろしくね」
急に割り込んでくんなよ、びっくりするわ
「雪ノ下って....もしかして雪乃の」
「あれ、雪乃ちゃんのこと知ってるの?」
「三浦優美子って言います。雪乃とは友達です」
「へえ~」
「な、なんですか?」
陽さんはゆーちゃんをじっと見つめる
「いやちょっと意外だなって思って。雪乃ちゃんが貴方みたいなタイプの友人を作ったことってなかったから」
「本人も驚いてました。この間の林間学校で面と向かって言われましたし....”まさか優美子さんのようなタイプとこうして仲良くなれるなんて思ってもみなかったわ”って」
「アイツそんなこと言ってたのか?まあ、でもお前らマジで最初のころは水と油だったもんな。それが一緒にスイパラ行く仲になるとはだれも想像できなかったって」
「え....雪乃ちゃんと二人で行ったの?」
「....?はい」
ゆーちゃんは陽さんに雪ノ下とのツーショットを見せる。そのツーショットに映る雪ノ下の顔は誰が見てもわかる心からの笑顔だった
「ちょっと前までは正直嫌いでした。でも今は雪乃と一緒にいる時間はすごく楽しくて好きですね」
「俺もだ。あ、そうそう知ってるか?アイツ、林間学校終わってからホットサンドメイカー買ったらしくてなこの間電話でわざわざ俺にレシピを聞いてきたんだぜ。あの時、すげえ真剣な顔でメモ取っててなんか面白かった」
「そしてそれを今度結衣たちと食べに行きます」
「え、いいじゃん....いや俺も誘えや!一応レシピ提供者だぞ俺!?」
「この間の仕返しなんじゃない?ほら、”男子だけのお茶会事件”の」
「結局お前ら俺の分までしっかり食ったのに!?」
「.....そっか。そっかそっか......」
ゆーちゃんと俺の話を聞いて陽さんはどこか安心したような表情を浮かべる
「これからも雪乃ちゃんをよろしくね」
「「はい/おう」」
あたりまえじゃん、友達なんだし。それにしても雪ノ下、こんな姉ちゃんがいて幸せもんだな
「いい話を聞かせてくれてありがとう。それじゃあ私は一仕事してくるね」
「一仕事?」
どうやら陽さんは親父さんの代理でお偉いさんのあいさつ回りをしないといけないようだ。やっぱり名家の人って大変なんだな~
「....なんすかその目」
「いや海斗君がいま何を考えてるかなんとなく想像できてさ」
「....?」
「ええ...今のを聞いてもピンとこない?ねえ、優美子ちゃん、海斗君って」
「はい。昔からこんな感じでしたよ。色々と鈍いというか自覚が足りないと言うか....」
「「はあ.....」」
なんだよ、なんで俺そんな目でため息をつかれないといけないんだよ
「まあ...いいや。それじゃあお邪魔虫は退散するのでどうかデート楽しんで」
「ああ」
「はい」
ん?デートであることは否定しないのかって?甘いな、デートっつうのは別に恋人同士じゃなくても成立する者なんだぜ。お、花火が打ちあがり直前のアナウンスが流れ始めた
「そろそろ打ちあがるな」
「うん...」
「せっかくだ。俺とゆーちゃんの花火デート存分に楽しもうぜ」
「デ....///////う、うん!」
「それでは皆さん、カウントダウンをお願いいたします!」
スピーカーから女性のアナウンスの声が響く
「「「「「5!」」」」」
「「「「「4!」」」」」
「「「「「3!」」」」」
「「「「「2!」」」」」
「「1」」
雲一つない夜空に輝かしい華が咲き乱れる
「すげえ.....!」
「綺麗....」
あまりの美しさに俺たちも言葉を失ってしまう。それになんだろうな...花火を見てるとなんか色々なことを思い出しちまうな
『すげえ!見て、ばあちゃん!見て!』
『..................』
『花火だよ!ばあちゃんが大好きな花火!ほら、緑色のやつ好きだったでしょ?」
『..................』
『............ッ』
なんど呼びかけても車いすに座るばあちゃんは何も答えなかった。そりゃそうだ。植物状態の人間に何を言ったところで返事なんか帰ってくるはずねえのにでもあの時の俺は
『なんでだよ....なんで何も言ってくれないんだよ.....ばあちゃん』
『................』
『ねえ、お願い見てよばあちゃん。ばあちゃんが大好きな花火....こんなにいっぱいっ』
俺が年長の時の夏、ばあちゃんはこの翌日に死んだ。満足したような顔を浮かべて死んでいったってじじいに言われた気がする。.........そういえばこの時からだな、花火を見なくなったのは。別に意識して見てなかったわけじゃねえ....多分無意識に避けてたんだ。花火を見てるとあの日のことを思い出しちまいそうだったから
『かーくん、大丈夫。大丈夫だよ....ここには私しかいないから。だから泣いてもいいんだよ?』
「...............」
「かーくん、かーくん!」
「...........ッ」
ゆーちゃんは心配そうな顔をしながら俺の裾を掴んでいた
「大丈夫?意識ここにあらずって感じだったけど」
「....大丈夫だ」
あの時、ばあちゃんが死んで辛かったとき俺を救ってくれたのってこの手だったけか
「かーくん?本当に大丈夫?」
「大丈夫だって。ただゆーちゃんと出会えてよかったなって思っただけだよ」
「......それはこっちのセリフだし。あーしこそかーくんと出会えて本当によかった」
ゆーちゃんの裾を掴む力が強くなる
「ねえ....聞いてかーくん。あーし、ずっとかーくんのことが」
優美子side
「あーし、ずっとかーくんのことが」
今しかないでしょこんなの....こんなチャンスもう二度と来ない。あーしの気持ち全部ここで伝えるんだ.....!
「すk....」
「あれ、海君!優美......こおお!?」
「あちゃ~」
「由比ヶ浜....お前な」
「八幡、結衣も!陽さんも皆さんお揃いで!」
ゆ、結衣いいいいいいいいいいいいいいい!
(ごめえええええええええええん!)
マジでもう....!せっかくのチャンスだったのに!
「お前らも花火大会来てたんだな。あ、そうだこっち座れよ。飯ものとか色々揃ってから一緒に食べながら花火見ようぜ」
「え!?いやあのアタシたちは....」
「俺たちはもう十分食ってきたからいらん。それよか俺たち他の席で」ぐううううううう
「腹の虫すげえけど...ほらこっちの椅子くっつけてさ」
かーくんは席をくっつけてしまう
「ほらこれ食えよ。俺たちじゃあ食いきれないからさ」
「お前...これどうなってんの?たこ焼き器から出ちゃってんじゃねえか」
「優美子...マジでごめん」
「別に全然怒ってるけど?」
「ほんっとごめんなさい!」
まったくもう...でもいっか今日こうしてかーくんと過ごせただけでも良しとするか
「優美子痛い痛い...ほっぺつねらないで~」
「ああ、ごめん。無意識だった」
「絶対嘘だよね!?間違いなく恨み百パーセントだったよね!?」
無意識だって。ほらあーし嘘つかない
「陽さんも食うか?」
「じゃ、じゃあいただこうかな~......んん、この人形焼き美味しい!ほら海斗君、優美子ちゃんにもあげなよ。もちろん、あーんで」
雪ノ下さん....!いや雪ノ下お姉さま!
「ゆーちゃん食べるか?」
「食べる!」
「お、おお...そんなに食いたかったなら言ってくれればよかったのに。ほら、あーん」
「あ、あーん」
かーくんの指先があーしの唇にちょっと触れる
「どうだ美味しくね?」
「......美味しい」
「さすが亜美おばちゃん!ほら、八幡も食えよ」
「俺は普通に手渡しでいい。野郎のあーんなんざごめんだ」
「あっそ。あ、結衣も食べるか?」
「アタシも手渡しで大丈夫だよ!うん!むしろアタシ手渡しでじゃないと食べれないの!」
「いやお前この前俺のポッキー普通に」
「あああああああああ!」
結衣?あとでその話くわしく聞かせてもらうから
「....はは~ん、そういうことか」
かーくんは悪い笑みを浮かべ人形焼きを比企谷に手渡し席を移動する
「ほら八幡、結衣にあげてやれ」
「な.......」
なんで自分に対する好意は鈍いのに他人の色濃いには鋭いの?意味わからない!
「ヒッキー、あ、あ~ん」
「ほら結衣待ってるぞ?」
「チッ、マジで覚えてろよてめえ...!」
比企谷は照れた顔を浮かべながら結衣の口に人形焼きを運ぶ
「あ、ありがとうね////////」
「........おう」
「浮気は感心しないぞ、比企谷君♪」
「痛い痛い痛い」
雪ノ下さんは比企谷の耳を引っ張る。......なんかこの人感じ変わった?
「そういえば今日は雪乃は来てないんですか?」
「雪乃ちゃんは家にいるんじゃないかな?」
「アイツこういう人が大勢いるところあんまり得意じゃなさそうだもんな。それに”ふん、屋台のお店なんて割高で買う意味がわからないわ”とか言いそう」
「確かにな。それにアイツ花火のこと火薬の塊だって素で思ってそうだし」
「アハハ、そこの男子二人少しお口チャックしようかさもないとぶつよ?」
「「ごめんなさい」」
今のは馬鹿二人が悪い。それにかーくん、いくらなんでも雪乃のモノマネ下手くそすぎない?結衣も引いてるし
「こういう場に出るのは長女の役目ってだけ。母の方針でね。家ね昔から母が強くて怖いんだよ~」
「え、それって雪ノ下より?」
「面白いこと言うね。笑わせてくれたお礼にさっきのを含め私の可愛い妹に対する失礼発言は水に流してあげるよ。.........母は私より怖いよ」
「それ人間ですか?」
比企谷、アンタ今日何度目の失言かわかってる?あとでどうなっても知らないよ
「人間だわ。それに陽さんが言うほど怖くねえよ。普通にいい人だし優しいぞ?」
「そんなこと言うのは海斗君ぐらいだよ。......ああ見えて母はなんでも決めて従わせようとする人だからこっちが折り合いをつけるしかないんだけど、雪乃ちゃんそういうのへたっぴだから」
「「確かに」」
「君たち、あと一回ね」
「すみませんでした。もう言いません」」
雪ノ下さんは黒い笑顔を浮かべながら腕を鳴らし始める
「じゃあ私は退散するね。花の高校生のダブルデートを邪魔するわけにもいかないし」
「え、いやアタシはヒッキーはそんなんじゃ...!」
「その照れ方は怪しいな~でも、もし本当にデートだったんなら.......雪乃ちゃんはまた選ばれなかったんだね」
また選ばれなかった...?一体なんの話?みんなは花火に夢中になっていたのか今のワードを聞いていなかったみたい
「そろそろフィナーレか」
「もうそんなに経ったんだ早かったな~」
「雪ノ下さんは...」
かーくんと感想言いあっていると比企谷が口を開く
「私のことは陽乃でいいよ。それかお姉ちゃんでも可。むしろ推奨」
「,,,,で、雪ノ下さんは」
「強情だね君も....」
「雪ノ下さんはうちの卒業生だったんですよね?」
「うん、そうだよ。君たちの3つ上。今はすぐご近所の国立理系だよ」
「じゃあゆきのんの進路希望と一緒なんですね」
結衣の言葉に雪ノ下...ややこしいから陽乃さんは少し表情を固めてしまう
「雪乃ちゃん国公立理系志望なんだ....昔から変わらないな、お揃いでお下がりで」
なんか.....
「今の言い方、ちょっと棘を感じるぞ?」
「陽乃さんはゆきのんのこと嫌いなんですか?」
「いやだな~、そんなことあるわけないじゃない。私は雪乃ちゃんのこと大好きだよ。ずっと私のあとをついてくる妹のことが可愛くないわけないよ」
「............」
かーくんも多分あーしと同じことを思ってる
「由比ヶ浜ちゃんは?雪乃ちゃんのこと好き?」
「す、好きです!かっこいいし誠実だし...頼りになるしでも時々すごいボケかましてくるところが可愛くて...それにわかりずらいけど優しいし...えっとなんかめちゃくちゃなこと言ってますねアタシ」
「そう...それならよかった。でもね皆最初はそう言ってくれるんだよ。そして最後には雪乃ちゃんに嫉妬して彼女のことを拒絶する。貴方は違うといいな」
...........ッ
「「「そんなことしないです/するか」」」
「............!」
あーし、かーくん、結衣の声が重なる
「さっきからなんだよ陽さん?」
「本当それ。雪乃のお姉さんだから黙って聞いてたけど正直気分悪い。あーしの友達を試すような物言いやめてくれない?」
「陽乃さんがアタシのことどう思ってるかわからないですけどアタシはゆきのんのことを拒絶なんて絶対にしません!」
「.......ごめんね。今のは私が悪かった」
陽乃さんは結衣に頭を下げる
「まあ挨拶周りで疲れてんだろ?ほらこれちょっとぬるいけどラムネやるよ」
「.....ありがとう。あ、そうだ由比ヶ浜ちゃんたちが雪乃ちゃんの事どう思ってるかわかったけど比企谷くんはどう?雪乃ちゃんのこと好き?」
「母ちゃんに好き嫌いすんなってしつけられているんで」
「要は好きってことだな。よかったな陽さん心配事一つ消えたな」
「そこまで言ってねえし」
「アハハ、君たちやっぱり面白いね」
陽乃さんはさっきと同じように笑うと花火の方もちょうど終わりを迎えたのだった
「それじゃあ俺たちはこっちだから。また学校でな」
「うん!優美子、海君じゃあね!」
「じゃあね~。結衣も頑張りなよ?」
「な、なんのこと!?」
「さあね~」
花火も終わりあーしたちは結衣たちと別れ帰り道を歩いていた
「こっちの道結構混んでんな....おっと、すみません。これだったら陽さんに送ってもらった方がよかったかもな」
「ううん、これでいい」
「そうか?」
だってこうしてかーくんとまだ一緒にいれる。混んでるし進みは遅いし暑いけどアンタと一緒にいれるだけであーしは
「きゃ..!」
「ゆーちゃ....!」
ボーとしてたあーしは後ろからの波に耐えられずその場で転んでしまう。かーくんも波に逆らえず前へと運ばれていっちゃった
「いったあ....うそ」
しかもその拍子で草履の鼻緒が綺麗に切れてしまっていた
「かーくん....」
ダメだ、ここからじゃ見えない。どこまで進んじゃったんだろ。.......たくさんの人込みの中、この場から動くことができずかーくんもいない.....そういえばこれって
『グスッ、ママ...パパ.....かーくん....』
幼稚園の年中の時、あーしたち家族とかーくんたちの家族で行った花火大会の帰り道あーしは迷子になってしまってその時も草履は壊れてその場から動くことができなかった。人も多かったしなにより今も昔もまるで自分が独りになってしまったんじゃないかって不安になって涙が止まらなかった
『みんな、どこに行ったの.....?助けて
....アンタは本当に変わらないね。今もあの時もこうやってあーしに手を伸ばしてくれる
「大丈夫か?」
「うん...いたっ...!」
「足やっちまったのか....よし」
かーくんはあーしのまえでかがむ
「『俺がおぶってやるよ。これなら安心でしょ?』」
「『うん!」』
あーしはかーくんの背中に乗る
「助けてくれてありがとう」
「気にすんな、無事でよかった。近くに公園があるからよまずはそこまで移動して一回休もうぜ」
「ありがとう」
かーくんの背中、大きくて暖かくて....なにより安心するなあ
「...........」
「どうした?顔うずめて。もしかして結構痛むか?」
「大丈夫。ただ久しぶりのかーくんの背中を堪能してるだけ」
「なんだよそれ。俺結構汗かいたから臭いかもだぞ?」
臭くなんかない。安心するとってもいい匂いだし
「ねえ、かーくん」
「ん?」
「大好き」
「.....?俺もゆーちゃんのこと大好きだぞ~」
はあ、鈍さも相変わらずか.....まあでも今は
「今はこれでいっか」
こうしてあーしたちの花火大会は幕を閉じた。来年も一緒に行きたいな....もちろんその時は幼馴染としてじゃなくてね
おまけ
「ただいま....」
「おかえり、お兄ちゃん!どうだった!?」
家に帰宅した八幡を小町はどこか期待したような目で八幡を迎えた
「どうだったも何もなにもねえよ、なにもな。ほらこれ頼まれてたもの」
「はあ、お兄ちゃんに期待した小町が馬鹿だったよ」
「そうだ、これもやるよ」
「なにこれ?うわあ、すごい量!どしたのこれ?」
「黒崎からもらった」
八幡の発言によって小町が纏っていた雰囲気が変わった
「いま...なんて...言った?」
「いや、だから黒崎からもらった」
「黒崎さん花火大会に来てたの!?」
「ああ。三浦と一緒に」
「く、くう~~~~」
小町は恨んだ。過去の自分の選択を。兄と結衣の仲を持たさるために受験生と言う立場を利用した。だが今回にかぎりそれは完全に裏目に出てしまっていた
「お兄ちゃん!もちろん黒崎さんと写真撮ったよね!?花火に行ったら写真の一枚や二枚ぐらい....」
「撮ってねえよ。お前、自分の兄の性格を忘れたか?」
「な、なんでよ!?普通友達と花火大会に行ったら写真ぐらい撮るでしょうが!馬鹿!ごみいちゃん!八幡!」
「八幡は悪口じゃないだろうが....」
「知らない知らない!」
小町は拗ねたようにお風呂へと向かう
「はあ....ん?」
ため息をついていると八幡のケータイに海斗からメッセージが送られていきていた。しかも写真付きで
『見てくれ!帰りに近くの公園に寄ったらオオクワガタいた!すごくね!?PS 最後はちゃんと逃がしたから安心してくれ』
「ガキかアイツは....少年みたいな笑顔見せやがって」
満面な笑みを浮かべオオクワガタを掴んでいる写真を見て八幡は苦笑いを浮かべる
「......この写真は小町に見せないでおくか」
読んでくださりありがとうございます!
これで優美子が一歩リード.....と思ってるそこアナタ!残念ながらそれは違います。むしろこれでようやくイーブンってところでしょうか。海斗と彩加、彼らが出会った頃の話はこの物語の終盤で書く予定です。.........多分
それではここでいつものマル秘情報のコーナー!
マル秘情報①
実は安藤さんの焼きそば屋には林間学校編で登場した留美、ゆず、優香、歩美、希の5人が一緒に並んでおりそれを見た海斗と優美子は心の底から安心したらしいです
マル秘情報②
三大美少女JKは、優美子、結衣、雪乃の3人です、ちなみに一番人気は結衣です
「理由は言うまでもないでしょう、あの豊満なお胸ですよ」
「ああ、言い忘れてたけど橋本ってむっつりなんすよ」
「せめて俺がおらんところで言えや、ボケ」