もしかしてお前らちょっとメンドくさいな?   作:鴨凹

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文化祭編最終章、スタートです!




今回は結構長いです........


勇気を出して一歩踏み出すことは大人も子どもも難しい

八幡side

 

「..............」

「........すごい盛り上がりね」

「彩ちゃん、すごく楽しそう」

 

戸塚達のライブが始まり、俺たちはあの5人に釘付けになっていた。特に戸塚は俺たちが今まで見たことないくらい楽しそうだ。それに会場の盛り上がりも最高潮でこれは優秀賞確定なんじゃないか?

 

「そろそろだな」

「そうそう。あそこのパート、ギターとドラム、エグイムズイよね」

「オッケー、ギター!!!」

「「..........ッ」」

 

戸塚の掛け声のあと、海斗と材木座がそれぞれの楽器を激しく鳴らしていく。それを見た観客はさきほどよりも沸く

 

「わああ...!」

「すごいな....」

「なんだよあれ!?完璧じゃん、二人とも!」

 

由比ヶ浜は感嘆の声が漏れ、葉山も戸部も驚いている様子だった。大変癪だが俺もあの二人をかっこいいと思っちまった。まさか材木座をかっこいいと思う日が来るとは......そして戸塚達のライブは最高潮のまま終わりを迎える

 

「「「アンコール!アンコール!!アンコール!!!」」」

「うわあ!?すごい声...!」

 

会場全体にアンコールが響き渡る。それを聞いた戸塚は海斗にマイクを渡す

 

 

 

 

 

 

「アンコール、サンキュー!それじゃあお前らの期待に応えて最後に一曲.......いくぜ」

 

いつもの明るい声ではなく、低い声が響く。その声を聞いた観客はさきほどの歓声と打って変わって静まり返る

 

「黒崎の...」

「雰囲気が変わった...」

「うん」

「..............」

 

アイツの顔は真剣そのものでいつものおちゃらけた雰囲気は一切なく、まるで次の一曲に自分の全てを乗せようとしていた

 

「.......”ベテルギウス”」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アイツが歌い終わったとき歓声も拍手も一切なかった。断じて下手だったわけではない。音を出したくなかったんだ。音を出したらこの余韻が消えてしまうから、そしてただ単純に......感動したんだ

 

「..............」

「すごいな、本当に」

「ええ、本当にすごい」

「かーくん」

 

舞台裏にいた俺たちは静かにアイツを称賛する

 

「サンキュ」

「「「うおおおお!黒崎!!!!」」」

「感動したよ、黒崎君!!!」

「黒崎先輩!!!」

 

アイツが礼を言うとさきほどまで静かだったのが嘘のように沸きあがる。そんな観客に手を振りながら5人は舞台袖に戻ってくる

 

「優秀賞確定のLight hands様御一行のご帰還だぞ~」

 

さきほどの雰囲気はどこへやら、海斗はいつもの調子で戻ってきた

 

「うん、本当にすごかった」

「あれ?一応、ツッコミ待ちだったんだけど...」

「いやあれはもう確定だろ」

「そうね。おめでとう」

「だってよ!」

 

海斗は材木座、先生、川崎とハイタッチを交わす

 

「そうだな。私としても今回はそう確信しているよ」

「うむ。間違いなく栄光は我らのものだろう!」

「ふっ」

「彩加はどうだった?」

「うん....」

 

戸塚は目をつむる。今までの日々を思い出すように

 

「人生で一番、楽しかった!」

「ハハッ、俺もだ」

 

そして最後に戸塚と海斗は大きなハイタッチを交わすのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海斗side

 

いやあ、楽しかった楽しかった!!!もう全部出し切った!!!!

 

「本当に楽しかったな、彩加」

「うん」

「それ何度目?」

「でもお前だって楽しそうに演奏してたじゃん、沙希」

「うっさい...//////////」

「我も満足だ!我も戸塚同様人生で一番楽しかった!だから」

 

俺達が座っているところに義輝が座る

 

「だから...こんな俺を誘ってくれたこと本当に感謝している。ありがとう」

「義輝...」

「....アタシも。最初は正直あまり乗り気じゃなかった。でもアンタたちと一緒に練習してたらいつの間にかあの時間がかけがいのないものになってた」

「川崎さん...」

「ありがとうね、アタシを誘ってくれて。すごく楽しかった」

 

義輝と沙希は笑顔で俺たちに感謝を告げる

 

「ううん。一番感謝を伝えないといけないのは僕だよ。元々僕の我儘だったんだ。それに付き合ってくれた材木座君に川崎さん、先生。そして海斗。今日まで本当にありがとう。僕に最高の思い出をくれてありがとう」

「はあ.....お前ら!」

「うわ!?」

「きゃ...!」

「のうわ!?」

 

俺は彩加、沙希、義輝の3人を纏めて抱きしめる

 

「お前ら、マジ大好きだ!」

「ちょ、人、めっちゃくちゃこっち見てるから...!」

「僕も.....大好きだよ、海斗!!!」

「我もだ!!!」

「ああ、もう....!ア、アタシも!」

「私もだ!」

「平先!」

 

俺たちの輪に平先が飛び込んでくる

 

「寂しいことをするじゃないか、君たち」

「いや呼ぼうと思ったけど平先たちちょっとドタバタしてたから...」

「ああ....ちょっとトラブルがな」

「トラブル?」

「実は...」

 

どうやら相模が地域賞と優秀賞の結果を持ち姿を消しちまったらしい。多分さっきのことで自信を無くしちまったんだな.......

 

「ん...ちょっと待て」

「ああ。お前が考えている通りこのままではエンディングセレモニーは開催できず、賞の発表もできなく...」

「いやそうじゃない」

 

よくよく考えてみると

 

「なあ、開会式のあとお前ら相模の姿って見たか?」

「ううん」

「見てないね。少なくともF組の教室には来てない」

 

八幡や雪乃、結衣、ゆーちゃんに聞いても答えは同じだった。ってことは

 

「アイツ、文化祭楽しめてねえじゃん.....」

「それは....」

 

納得できるかそんなもん。総武の全員が楽しんでこその総武祭だろ....!

 

「いくつかSNSに書き込んだから誰か見た子がいれば連絡あると思う」

「感謝するわ」

「それよりこれからステージやるにしても稼げても10分だ。それまでに見つけないと」

「私、探してくる!」

「闇雲に探しても見つからないぞ。実際の所、15分ちょっとで行ける所なんて一か所が限界だ」

 

確かに八幡の言う通りだ

 

「もう10分、時間を稼ぐことができたらどうかしら?」

「わからん..としか言いようがない」

「不可能とは言わないのね。それで十分だわ」

 

八幡がそう答えると雪乃は意を消したようにある人物に電話を掛ける。その数十秒後、葉山たちと入れ替わりでその人物が俺らの前に現れる

 

「なるほど...中々始まらないと思ってたらそんなことになってたんだ」

「ええ。だから姉さんの力を貸してほしいの」

「ふ~ん、いいよ。雪乃ちゃんがちゃんとお願いするのなんて初めてだし」

「.....ありがとう」

「................」

 

陽さんは雪乃の言葉が意外だったのか少し驚いた顔を浮かべる

 

「雪乃ちゃん、変わったね」

「....そうかしら」

「うん。前より素直になった」

「それは......」

 

ん、俺?

 

「誰かさんに本心を伝える大切さを教わったのよ」

「じゃあさっきのは」

「ええ。全部私の本心よ姉さん」

「.........ふふ」

 

雪乃の言葉が嬉しかったのか陽さんはその場から力強く立ち上がる

 

「雪乃ちゃん、一体どうするつもりなのか教えてくれる?全力で協力するよ」

「場をつなぐわ」

 

雪乃はギターを持ち答える

 

「なるほどね。楽しいこと考えちゃうね....静香ちゃん、めぐり」

「了解した」

「はい!すぐに準備します!」

 

そういえばめぐ姉、陽さんとバンドやったって言ってたな

 

「あとはボーカルだね...海斗君...いやあの曲だったら女声の方がいいか」

「結衣さん」

 

雪乃はマイクを結衣に差し出す

 

「また貴方に頼っていいかしら?」

「......!うん、もちろんだよ!」

 

結衣は雪乃からマイクを受け取る

 

「あっちは問題なさそうだな」

「海斗...」

「俺も手伝うぜ」

「.....助かる」

 

俺と八幡は互いに頷き舞台袖から出た......はずだったんだが

 

「お前ら、なんで.....」

「女子しか行けない場所にいたらアンタたちだけじゃ詰むでしょ」

「それに多分、校舎内と校舎外で分れた方が見つけられる確率も高まるんじゃないかな」

「あと我は一人になれる場所を熟知している!まさにうってつけであろう」

 

頼もしい助っ人3人が追加された。正直ありがてえ

 

「なら材木座さっそく聞くがお前普段、学校で一人でいるときどこにいる?」

「保健室かベランダ。図書室の場合もあり、あとは特別棟の上とかだな」

 

どこか寂し気な表情で義輝は手掛かりを出してくれる

 

「図書室は終日鍵がかかって入れねえ。だから自然と選択肢が消えるな」

「しかもそれ材木座が普段いる場所なだけで相模にも当てはまるかどうかわからなくない?」

「ここでうだうだ考えても仕方ねえ。義輝、彩加の二人は外を、俺、沙希、八幡は中を調べるってことでいいか?」

「わかった!」

「こっちは任せておけ!」

 

彩加たちは俺たちと分かれ校庭の方へと走っていった

 

「アタシも女子更衣室とか女子トイレとか中心に探してみる」

 

沙希とも校舎に着いたとたんに分かれる。あとは俺と八幡だけ

 

「海斗、俺は特別棟の方に行く。そっち任せていいか」

「おう!」

「頼む」

「任せろ!」

 

待ってろ相模!........と意気込んだはいいものの

 

「どこにもいねえ.....どこに行きやがったマジで」

 

LINEの方でも目撃情報なしか....

 

「まいったな。もう10分経ってやがる」

 

万事休すか....

 

「実行委員長の女の子なら特別棟の方に走っていくのを見かけたよ」

「マジすか!?それって.....」

 

後ろにいる男性の方に礼をしようとふりかえるとそこには........

 

 

 

「父さん.......」

「話はまたあとで。今はやるべきことがあるんだろう?」

「.....ありがとう。助かった」

 

俺は特別棟の方に走っていく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八幡side

 

「はあ、はあ、はあ.....」

 

いま相模は自分の居場所を見失った望むこと、それは誰かに自分の居場所を見つけ出してもらうことだ。見つけてほしいからちゃんと学校内にいて人目につくところ。.......特別棟の屋上....ここしかないだろ。扉を開けると

 

「..........ッ」

 

やはりいた。相模だ。そして自分を見つけたのが海斗でも葉山でもなく俺なのが大変気に入らないらしい....すぐに俺を見てがっかりしたような表情を浮かべる。だがいまはそんなことどうでもいい

 

「エンディングセレモニーが始まるから戻れ」

「もう始まってるんじゃないの?」

「本来ならな。でもどうにか時間を稼いでる」

「.....それって誰がやってるの?」

「三浦とか雪ノ下、由比ヶ浜たちだ」

「そう。......なら雪ノ下さんに任せればいいでしょ。あの人、私と違ってなんでもできるし」

「あ?そういう問題じゃねえだろお前が持ってる集計結果....」

 

が必要なんだよ.....俺がそう言いかけると相模は集計結果が書かれた紙を俺に渡す

 

「これ集計結果。これがあればいいんでしょ」

「は...?」

「迷惑かけてごめん。もう行って」

 

雪ノ下が受けた依頼は相模に委員長の責務を全うさせること。集計結果だけ持って帰ったら雪ノ下がしてきたことを否定することになる。今俺がやるべきことは相模を委員長としてあの場に立たせ委員長としての栄光と挫折をしっかり与えてやることだ。そのためには相模が欲しがっている言葉をそのまま聞かせてやればいい。そう思ってた。だがそれは浅はかだった。コイツはもう言葉では決して動かない。たとえそれが

 

「見つけた!」

「葉山.....」

「連絡取れなくて心配したよ。色々聞いて回ってこっちに向かったところを見かけた子がいてさ」

 

葉山は優しい表情を浮かべ相模に手を差し伸べる

 

「早く戻ろう?みんな、待ってるから」

「そうだよ!」

「心配してるんだから!」

 

葉山に着いてきた相模の取り巻きも言葉をかけるが相模の表情は動かなかった

 

「心配かけてごめんなさい。でももう放っておいてほしい」

「相模さん?」

「たくさんの人に迷惑をかけて...失敗して...私にはもうあっちに戻る資格なんてない」

「そんなことないよ!」

「みんな待ってる!だから....ね?」

「......ごめんなさい」

 

葉山たちの言葉にもまったくなびく気配を見せない。どうする、もう時間がない......このままじゃ...!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「見っけたぞ!この野郎!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

相模side

 

「見っけたぞ!この野郎!!!」

 

なんで....

 

「海斗....!」

「黒崎ッ」

 

黒崎君は息を切らしながら私に近づきそのまま腕をつかむ

 

「来い!」

「.......ッ」

 

黒崎君は強引に私の手を引き走り出す

 

「は、離して...!」

「断る!」

「......ッ、離してってば!」

「断るつってんだろ!」

 

黒崎君の手をさっきよりも強く握る

 

「.....!」

「..............」

「なんで.....なんで.......なんでなの.....?」

 

私は腰を下ろし黒崎君に聞く

 

「なんで.....まだ....私に手を差し伸べるの?」

 

私はもう何度も黒崎君の手を振り払ってる。こんなことになっているのも全部私が悪いのに....なんでまだ黒崎君は私を助けようとするの?

 

「同情ならもうやめて。こんなことになったのは全部私のせい。だからもう...」

 

私の事なんて

 

「あの時、掴み損ねちまったからな」

『私のそばにこないで!』

『え、ちょっと待てって!』

 

あの時.....!

 

「だが今度はちゃんと掴んだぞ。俺が来たのはお前を助けるためでも同情でも説教するためでもましてやエンディングセレモニーに連れ出すためでもねえ.....お前の話を聞きに来た」

 

私の

 

「去年の文実最終日、お前、俺に声をかけてくれたろ?あの時はすまなかった」

「.........ッ」

「だが今はもう聞き逃さねえ。お前の全部を聞かせてくれ」

「私の全部......」

 

今更だよ...そんなの

 

『よろしくな、相模。頼りにしてるぜ』

『ほら半分貰うぞ。安心しろ、めぐ姉と木戸先輩にびっちりしごかれたから役に立つと思うぜ?』

『ばっくしょん!』

 

今更......だよ.....今更.......

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今更だけど.....もう遅いかもしれないけど聞いてほしい。ずっと言えなかったことがあるの」

「おう....」

 

彼の手を掴む力が優しくなる

 

「あの時......私を助けてくれてありがとう」

 

そして

 

「酷いことを言ってごめんなさい.....!」

「気にすんな」

 

あの時もこの言葉をずっと伝えたかった。”ありがとう”と”ごめんなさい”どっちも伝えたかった

 

「私、ずっと必要とされる人間に成りたかった。黒崎君と雪ノ下さんに。そのため文化祭実行委員長になったの。でも結局全然ダメで雪ノ下さんの活躍を見る度に自分の居場所がなくなっちゃうって思った」

 

だから私は雪ノ下さんを否定した。だからあんな提案を出した。でも馬鹿だよね、自分のくだらないプライドのために本当に欲してたものを私は自分で捨ててしまったんだから

 

「挙句たくさんの人に迷惑かけて....雪ノ下さんを追い詰めて.....そして今も私のせいで文化祭が滞ってる....私っ本当に最低」

「そうだな」

「........ッ」

「本当に最低だ。文実はサボるわ去年は結衣に丸投げするわ、あれだけめぐ姉と雪乃に台本読んどけって言われたのにぶっつけ本番で失敗するわ....そしてまた逃げてるわ....お前、いまめちゃくちゃ最低だな」

 

そう思うよね。ううん、そう思って当然だ。でも黒崎君に直接そう言われると心に来るものがあるなあ

 

「じゃああとはもう進むしかねえだろ」

「え.....」

「もうお前の後ろには道なんて存在しねえぞ。自分でも言ってたとおり今のお前は最低だからな」

 

黒崎君は私の手を離す

 

「道は前にしかねえ。一歩ここで踏み出せ」

「でも.....」

 

怖い....その一歩を私は今まで踏み出せなかったから今こうして

 

「もしその一歩を踏み出すのが怖いつうなら....俺がお前の手を引いてやる」

「.........!」

 

黒崎君は私の一歩先に立ち再度、私に手を差し出す

 

「一緒に行こうぜ、相模」

「.........ッ、うん!」

 

ああ、やっぱり.......暖かい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、来た!」

「.............」

 

あれから数分後、私達は体育館にたどりつく。わかってはいたけどやっぱりみんなの視線が痛い

 

「相模さん」

「雪ノ下さん.....」

 

多分文句を言いに来たんだろうな。当たり前だ。私でもそうす...

 

「あと3分後、出番だけど準備は大丈夫かしら?」

「え.....」

「は~い!俺としてはいま目元パンパンだからメイクとかした方がいいと思いま~す!」

「うわっ、海君デリカシー...」

「う~ん....」

「うわっ、な、なに?」

 

今度は三浦さん?あ、そっか最近雪ノ下さんと三浦さんって仲がいいって言うしもしかして今度こそ、報復的な?いやでも私が悪いんだし甘んじて

 

「うん、こんぐらいならあーしのコンシーラーで隠せるはず。結衣、手伝って」

「わかった!ほら、さがみん!」

「え、..え!?」

 

私は三浦さんと結衣ちゃんに押され椅子に座らされる

 

「相模、ちょっとじっとしてるし。ちょっぱやで終わらせちゃうから」

「う、うん」

「さがみん、痛かったらすぐに言ってね」

「結衣ちゃん....」

「......頑張ってね!」

「ッ....うん!」

「結衣の馬鹿!今、泣かせんな!!」

「あわわ!さがみん、ごめん~!えっと、ヒッキー、笑わせて!」

「は!?えっと.......」

「平先とかけまして絶対に死なない鳥と解く。その心は....?」

「どちらも火鳥(独り)でしょう?」

 

ふっ......

 

「さがみん、笑った!」

「3人の笑顔は消えたけれどね」

「てめえ、なに巻き込んでくれてんだ....!やばい、さっきの走りもあって吐く....!!」

「.....リバースしそう」

「フェニックスだけに?」

「このフェニックスノリは一体何なの?」

 

さっき先生の拳が黒崎君と比企谷にクリティカルヒットしてたけど、あれは大丈夫なの?二人とも倒れて動けないみたいだけど

 

「会場の設営完了した....なんだこの惨状は?」

「あ~....ちょっとね」

「馬鹿二人、逝っただけだから」

「これが文実で大活躍した子と感動的な歌声を披露した子って言っても信じないだろうな~」

「陽乃さん、写真に収めるのは勘弁してあげてください」

 

雪ノ下さんのお姉さんは倒れ伏している二人を写真に収め、葉山君はそれを必死に止める

 

「これでよし...相模、準備完了!」

「了解。海斗君、復活の時間よ」

「おう!.......オエッ」

 

本当に大丈夫?ちょっと心配になって....いや、他の人の心配なんてする余裕なんてないか。足も手もどっちも震えてる

 

「相模」

「黒崎君....」

「いっせーので、行くぞ」

「.....うん!」

 

黒崎君は私の横に立つ

 

「いっせーの....!」

「.........!」

 

私と黒崎君は同時に一歩を踏み出し、舞台に出る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海斗side

 

「今年の文化祭は.......」

 

いまのところ、いい調子だな。たまに噛んだりするけど別にそこまで気にならねえ

 

「で、では続きましては地域賞と優秀賞の発表です」

 

お、俺の出番来たな

 

「まず地域賞は.......」

 

俺はすかさずドラムコールを響かせる。はい、ジャン!

 

「〇〇大学、合奏団の皆さまです!」

 

おお、すっげえ盛り上がってる盛り上がってる.....!クソッ、見逃したのが惜しいくらいだ

 

「そして次は優秀賞の発表です。今年の優秀賞は.......Light hands!」

「よっしゃああああああ!!!!!」

 

舞台上ってことも忘れて俺はその場で叫ぶ。舞台袖からも彩加と義輝の声が聞こえる

 

「表彰を行いますので代表者の方は舞台上にお願いいたします」

 

しばらくすると舞台には陽乃さんと彩加が登ってきた。ふっ、彩加のやつすっげえ緊張してる。.........”緊張”か.

 

『文化祭が終わったら話がしたい』

 

はあ...どうやら俺の文化祭はまだ終わらねえらしい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八幡side

 

「ふう...」

 

文化祭も無事終了しただいま絶賛片付け中なわけなんだが

 

「迷惑かけて本当にごめんなさい」

「まあ、僕たちはあまりに気にしてないから大丈夫だよ」

「俺たち途中参加組より元々いた奴らに声かけてきてやんな」

 

相模は率先して片付けに参加しつつ文実のやつらに謝罪して回っている

 

「手を止めない」

「少しぐらいいいだろ。いま椅子運んだばっかだぞ」

「結衣さんと戸塚君はすぐに次の行動を起こしているけれど?」

「へいへい、わかりましたよ副委員長」

 

雪ノ下はその場から去ると壇上の上に置いてあるキーボードを運ぼうとする。だがアイツ一人の力ではどうすることもできずにいた

 

「はあ、素直に助けを求めればいいものを」

「このぐらいなんともないわ...」

「二人で運んだ方が早いだろ。ほら、行くぞ」

「......ええ」

 

俺と雪ノ下はキーボードを元合った音楽室に運ぶ。ていうかこれを一人で運べる川崎地味にすごくね?

 

「ありがとう...助かったわ」

「......おう」

 

なんだよしおらしい顔しやがって。俺たちの間に微妙な空気が流れる

 

「あ、あの...!」

 

そんな空気の中相模が声をかけてくる

 

「相模さん」

「雪ノ下さん、比企谷。今日まで本当にごめんなさい!」

 

相模は頭を下げる

 

「特に二人にはたくさん迷惑かけたよね。本当にごめんなさい」

「貴方のこれまでしでかしたことを考えると文化祭実行委員副委員長として私は貴方を許すことはできない」

 

雪ノ下は容赦なく相模を切り捨てる

 

「.....でも最後のエンディングセレモニーは中々よかったわよ」

「......っつ」

「貴方の当初の目的の”成長”。これは立派に達成できた。その瞬間を見れただけで奉仕部部長としては満足よ。....頑張ったわね」

「雪ノ下さん....!」

 

相模は雪ノ下の言葉を聞き涙を流し始める

 

「ほら貴方も」

「俺も?.....まあ、なんだお前が俺たちに仕事をぶん投げてくれたおかげで小町に褒められる日々が続いた。そこには関しては感謝してる」

「さりげなく毒を吐かない」

「いたっ」

 

いやこれは俺なりにアイツを元気づけようとだな!元気...そういや

 

「海斗、どこ行った?」

「確かに姿を見てないわね」

「うん。私も結衣ちゃんたちも探してるんだけど誰も見てないって」

「サボりか?」

「もしそうならただじゃおかないわ」

 

雪ノ下は指を鳴らす

 

「............」

 

その光景をある男が見て笑みをこぼす

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すっかり辺りがオレンジに染まったころ、海斗は家庭科室の席に座ってある男を待っていた。だがその表情にはいつもの明るさはなく緊張一色になっていた

 

「.............ッ」

 

ガララッと。扉の音が聞こえると海斗は大きく肩を震わせてその方向を見る。そこにはジェラードが立っていた

 

「すまない。私から頼んでおいて遅れてしまって」

「別にいいっす。俺も今来たばかりなんで」

 

ウソである。この青年、緊張しすぎてエンディングセレモニーが終わった瞬間すぐにこの家庭科室に来ていた

 

「そうか」

「ほら話があるんでしょ?今日の打ち上げまであんまり時間がねえんでできれば早くしてほしいっす」

「.......わかった」

 

ジェラードは海斗の近くまで歩いていきそして彼の正面に立ち、頭を下げる

 

「黒崎麗奈。......あの人を死に追いやったのはこの私だ。本当にすまなかった....!」

「.............ッ」

 

その言葉に海斗は手を握る力が強くなる

 

「12年前のロンドンで交通事故を起こし先生に脳の障害を与えてしまった。そしてその数年後、先生は」

「もういい」

 

海斗はジェラードの言葉を遮る。黒崎麗奈、彼の祖母はジェラードが引き起こした交通事故により脳に障害を負った。それは次第に彼女を蝕んでいき最終的に植物状態になり亡くなった。海斗は麗奈が植物状態になるまでの過程を一番近くで見てきた人間の一人だ。自分がだんだん消えていってしまう感覚、なにより自分が愛する者たちを認識できなくなっていった感覚。これらに麗奈は苦しみ何度も涙を流していた。........涙を流す大好きだった祖母の姿、そんな彼女に自分はなにもしてやれなかった。その後悔、悔しさゆえか今でもたまに泣いている祖母が夢に出てくる

 

「その拳は振るわないのかい?」

「............」

「君の大事な人を奪った男が目の前に立っているんだぞ?殴るなり蹴るなり好きにしてくれて構わない。君にはその資格がある」

「アンタを殴ったところでばあちゃんは帰ってこねえからな。そんな意味のないこと俺はしない」

 

海斗は席を立ち窓の外に広がる夕日を眺める

 

「そもそもの話..........俺はアンタを恨んでねえ」

「は?」

 

ジェラードは自然とその言葉が口から出てた

 

「もちろん、アンタがばあちゃんを傷つけたことに何も思わねえなんて口が裂けても言えないけど。でも恨んじゃいねえよ」

「なぜだ......私は麗奈先生を.....」

「そのばあちゃんがアンタを恨んでいなかったからだ」

「...........!」

 

海斗は振り向きジェラードに伝える

 

「ばあちゃんからアンタの話をずっと聞いてたけど恨み言なんて一切出なかった。むしろいつも楽しそうにアンタのことを話していたよ。そんな相手を恨むことなんて俺にはできねえ」

『あの子はすごく真面目で料理に人一倍情熱を注いでる。きっとすごい料理人になる!それでねいつか彼、私たちのことを招待してくれるんですって。すごく楽しみだわ』

「...............」

「あの人は最期のときまでアンタの店に行くことを楽しみにしていた。アンタがすごい料理人になることを信じていた」

「...........そうか」

「でも」

 

ジェラードは右手で両目を抑えようとする。だがそれは海斗の声によって阻まれる

 

「一つだけアンタにずっと言いたかったことがある」

 

海斗は鋭い目つきでジェラードを睨みつける。自分が過去にやってきたことを考えると恨み言の一つや二つ出るのは当たり前だ。甘んじて受け入れようと考えていた。そして海斗は深呼吸し指を指す

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ばあちゃんは俺のばあちゃんだからな!!!!」

 

 

...........................

 

「は?」

 

 

 

 

 

 

 

 

海斗side

 

ああ、すっきりした~!やっと言えたわ

 

『だからその子はね』

『あの子が....』

『きっと仲良くなれると思うわ!』

『ばあちゃん!もうその話はいいよ!!』

 

名も知らないばあちゃんの生徒に俺はよく嫉妬していた。だって日本に帰ってきてからと言うものその人の話ばっかり。大好きなばあちゃんが取られちまった気がしてよく癇癪起こしてた。そしていまばあちゃんの生徒であったジェラードさんが俺に近づいてきた。するとどうなると思う?そう昔の嫉妬心が大爆発。だからか

 

『喫茶店の従業員なめんな』

『...黒崎麗奈の料理』

『ああ。もう10年以上あの味を味わってねえ。恋しくてたまらねえよ』

 

あの人の前では意地が悪くなっちまう。.......謝るつもりはねえけど

 

「いいか!?アンタがばあちゃんのことをどれだけ尊敬してるか知らねえが俺の方がばあちゃんのこと好きだしばあちゃんだって俺の事の方が」

「ふっ......」

「あ?」

「ふふっ..ハハ....ハハハハハ!」

 

コイツ、なに笑ってやがる....!

 

「すまない。......いや君の言う通りだ。君は間違いなく麗奈先生の孫だよ」

 

は?いやそんなことアンタもとっくに知ってるだろ

 

「それとあまりの自分の愚かさについ笑いがね........前に進めていなかったのは私だけだった」

 

ダメだ。何を言ってるのか理解ができない。俺、疲れてんのか?

 

「やっべ、時間ギリギリじゃねえか!ちょ、俺も行きますけどもう話は終わりでいいっすよね!?」

「.....ああ。今日はありがとう」

「うす。じゃあ!」

 

俺は扉を勢いよく開け走り出す。あ、そうだ忘れてた

 

「今度、よかったらうちの店に来てください。ごちそうするんで。そんでばあちゃんの話、聞かせてほしいっす」

「......必ず」

「約束っすよ!」

 

俺は今度こそ走り出す。なぜかこの時、俺の脚はいつもより軽く感じた

 

『ばあちゃん』

『どうしたの?』

『ばあちゃんはその人のことどう思ってるの?』

『そうね.......とても可愛くて大切な自慢の生徒よ。だからね私』

『そっか.....なら!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『俺、その人のこと許すよ。だってその人ばあちゃんにとって大切な人なんでしょ?もし俺がその人を傷つけたりひどいことを言ったらばあちゃんが悲しむから』

『......優しい子ね』

『へへ、そうでしょ?』

『ええ。.......本当に。大好きよ、海斗』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジェラードside

 

彼が走り去り、家庭科室に静寂が流れる

 

「........少しぐらい感傷に浸らせてくれないか?彩人」

 

私は背後の鬱陶しい気配に文句を垂れる

 

「それは失敬。でも僕もいっぱいいっぱいでね、こうして話でもしないと我が息子の成長に涙がこぼれそうになって」

「いっぱいいっぱいなのは私とて同じだ」

 

この男は空気を読むことを知らないのか?

 

「どうだった?僕の可愛い海斗は」

「君にはもったいないな」

「それは僕も思う」

 

彩人は自慢げな顔を浮かべ笑う

 

「まあ楽しい世間話は一旦終わりにしてここから少し真剣に話そうか」

 

彩人の纏う雰囲気が変わる

 

「何を話すと?」

「君があの子を欲しがる理由だよ」

「..............」

「楓から聞いたよ。君、あの子のことを何があったも手に入れると言ったそうじゃないか」

 

ああ。言ったな

 

「君がそう言った理由はだいたい察しがつくし、今はそう思ってないだろうけどこれだけは言わせてくれ」

「................」

「あの子を君の償いの道具に使うな」

「.....すまなかった」

 

海斗君を引き取り面倒見る。それが私ができる唯一の償いだと思っていた。だが今考えるとそれは独りよがりで私のエゴでしかなかった。だが

 

「だが?」

「今は純粋に彼を育ててみたいと思っている」

「へえ」

「彼の腕はまだまだ改善の余地はあるが一級品だ。その腕を私の手で磨いてみたい。かつて先生が私にそうしてくれたように」

「つまり君はまだ海斗を諦めていないと?」

「ああ。むしろ今回のことで俄然手に入れたくなった」

「.......あの子が望んだら、よろしく頼むよ」

 

彩人は下で学友たちと楽しく会話している様子の海斗君を見て微笑む

 

「行かなくていいのか?」

「あんな楽しそうに彼らの中に僕たちおじさんの居場所なんてあるわけないだろ」

「ふっ、ちがいない」

「それと話はまだ終わってないし」

 

彩人は海斗君たちから視線を外し私を見る

 

「そろそろ本当のことを話してもらおうと思ってさ」

「話が見えないな」

「12年前のあの事故についてだよ」

 

まさか.....

 

「....どこまで知っている」

「事故があった翌日に君の元婚約者が首を吊って亡くなってしまっていたこと。そして、彼女の家は白人至上主義だった」

「......はあ、今日は最高の気分で一日を締めくくれると思ったのに。よくも台無しにしてくれたな」

 

まったく嫌な思い出を思い出させてくれる

 

「これはあくまで推測だけど」

「いやいい。君の考えていることで大体あってる」

「だったら聞くけどなんでそのことを話さないんだ?父さん、楓、そして海斗にも」

「全ては私に責任がある。それが理由だ」

「あっそ....」

 

諦めたのか彩人は投げやりな返事をし、かけていた麗奈先生の眼鏡をしまう

 

「それじゃあ話も終わったということで僕たちも楽しんじゃおうか」

「おい、離せ...!」

「ここからすぐのところにいい居酒屋があってさ、今夜はそこで飲み明かそう!」

「.......日本酒はあるんだろうな」

「もちろん」

「個室か?」

「いいや。そろそろ君にも日本の居酒屋に慣れてもらおうと思って」

「余計な気遣いだ」

「まあまあ...ていうかさっきの件だけど楓にだけでもいいから話してくれない?君と会ってくるって言うと毎回どやされるんだから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「文化祭終わっちゃったね」

「そうだな。今年は3年間の中である意味一番充実していた」

 

打ち上げも終わり、めぐりと木戸は駅に向かって歩いており木戸の言葉にめぐりは笑いながら肯定する

 

「はあ、そろそろ卒業か~。なんか実感湧かないかも」

「卒業....」

「ねえ、木戸君はどこの大学に行くの?」

「東京大学理科三類」

「東大!?しかも理Ⅲ!?.....すごいなあ」

「別に。目指すこと自体は誰にでもできる。城廻の方はどうなんだ?」

「私の方は木戸君と比べたらぼちぼちと言うか....」

 

めぐりは自身の目指す大学が木戸のものとレベルが違いすぎて言うのを憚った。その様子を見た木戸ははあと息を吐く

 

「大事なのはそこの大学で何を学ぶかだろう。周りは大学のネームバリューを気にしがちだがそれに何の意味がある?東大卒のニートを見て尊敬の念を抱くか?」

「ふふっ、確かに」

 

めぐりは木戸の鋭い意見を聞き笑う。だがその笑みもすぐに消えてしまう

 

「東京か...」

「城廻?」

「........会いにくくなっちゃうなあ」

「まだ受かると決まったわけじゃ」

「受かるよ。木戸君なら絶対に合格できる。私、わかるもん」

 

めぐりは寂しさを誤魔化すために木戸の一歩先を進み空を見上げる。しばらくすると目的地である駅にたどりつく

 

「じゃあまた学校でね木戸君!」

「.............」

 

改札をくぐるとめぐりは木戸に手を振る。それを見た木戸は微かにだが口角をあげ

 

「城廻!」

「.........!どうし」

「好きだ」

 

自身の思いを伝え、その場から去る。照れ隠しゆえかそれとも公衆の面前で告白したことの恥ずかしさかいつもより少し早く自身が乗る線の改札へと向かう。だが

 

「待って!」

「........ッ」

 

それは走ってきためぐりによって阻止される

 

「はあ、はあ、はあ......」

「城廻....お前」

「私も......私も.....好き....!」

 

めぐりの告白に周りの人々は目をやるがそれを気にせず彼女は思いを伝えていく

 

「中学の頃からずっと好きだった!その....ずっとゾッコンでした!!!」

「........//////////」

 

木戸は顔を赤くしめぐりから視線をずらす

 

「ねえ、こっち向いて」

「..........ッ」

 

めぐりは木戸の顔を優しく包み込み自分の顔に近づける

 

「....大好き」

 

そして二人の距離は0になる

 

「...............」

「...............」

 

しばらく二人は見つめ合い沈黙が流れる

 

「木戸君....私、まだ一緒にいたい」

「....っ、俺もだ」

 

木戸はめぐりの手をつかむ

 

「文化祭が終わった後、両親は結婚記念日で熱海に向かった。だから......よかったら来るか?」

「.........うん」

「じゃあ.....行くか」

 

初々しくも二人はさきほどよりもゆっくり歩みを進める。だがめぐりはあるものが目に留まり足を止める

 

「どうした?」

「コンビニ寄っていい?」

「ああ。.....そうだな、俺も何か甘いものが食べたい気分だ」

「違くて........その.......必要......でしょ?」

 

めぐりからの爆弾に被爆した木戸は決済用に手に持っていた携帯を地面に落としてしまう

 

「..........///////////」

「......言質はとったからな」

 

こうして二人の長い夜はいままさに始まったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




読んでくださりありがとうございました!
これにて文化祭編は終了です。いやあ、ライブの描写に本当に苦労しましたよ。本当は歌詞びっしりだったんですけどこのサイトのルール上、ばっこりアウトだったので大幅に削らせてどちらも歌い終わったあとしか描写できませんでした........まだまだ未熟ですね

ではいつもの「マル秘エピソードのコーナー」!

①彩人とジェラードはあの後、海斗と共に麗奈に挨拶をしそのままそれぞれの職場に戻っていったそうです

②文化祭の打ち上げには原作とは違い、八幡もちゃんと参加しており(海斗と結衣によって強制連行)雪乃は陽乃を誘い一緒にご飯に行ったそうです

「お姉ちゃん嬉しいな~!まさか雪乃ちゃんに夕食をごちそうしてもらえるなんて」
「...地域賞のお祝いと今日のお礼よ」
「もうそんなの気にしないでいいのに。でもありがとうね」

「ほら八幡もこっち来て歌おうぜ!」
「遠慮しとく」
「ヒッキー、行こうよ。ほら!」
「そうだぞ、八幡!」
「なんでお前がここにいるんだよ材木座?お前、別のクラスだろうが......」

③相模は現在、体育祭実行委員に参加しており周りに助けられながらではありますが精一杯頑張っており、その働きっぷりは目を見張るものがあるようです。







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