今回は林間学校!
正直で一番むずかったよ!
では本編どうぞ!
八幡side
長い移動も終わり俺たちは千葉村にたどり着いた。だが
「やあ、ヒキタニ君」
「.........ッ」
「かーくん!?どうしてここに...」
「ちょっと事情が変わってな。結局来た」
「そうなんだ...やった!」
葉山グループまでいやがった。三浦はこの間の一件で多少は大丈夫になったが残りの3人はまだ苦手だ。まあそのうちの一人は苦手のジャンルがちげえけど
「これで正真正銘全員そろったな。君たちにはしばらくボランティア活動してもらう」
「ボランティア?」
「奉仕部の合宿を兼ねて林間学校サポートスタッフとして働いてもらうというわけだ」
じゃあなんであいつらまでいるんだよ
「と、考えていそうな君たちのために説明すると葉山たちは内申で釣り、戸塚と三浦は元々興味があり、そして黒崎は今日来られなかった方の代理だ。といっても作業内容自体は君たちと変わらんから仲良くやれよ」
「うす..」
こうして俺たちはしばらく歩いていき小学生たちと合流する
「あ、海斗兄ちゃんだ!」
「........!」
「ほんとだ!お~い!」
「よお、久しぶりだな健吾、奈々!」
な、なんだ?小学生のほとんどが黒崎に手を振り始めたぞ
「みんな貴方と知り合いのようね...」
「ああ。ここにいるほとんどは何回か店にきてくれてな。そんときに仲良くなった」
「お前、どんだけ交流広いんだよ...」
そういうとこ素直にすげえわ、
「お兄ちゃん、この間はありがとう!お兄ちゃんのおかげで僕、クロール25メートル泳げるようになったよ」
「やったな、裕也!いっぱい頑張ったもんな」
「海斗君、私ねピアノの演奏会で賞をもらったんだよ!」
「この間ママさんに見せてもらったよ。すごい上手だったぞ歩美」
「ねえ、俺な!」
「待て待て!後で話は聞くから列から出るな座れ、隆二」
「ちぇ~」
「本当に彼のコミュニケーション能力には驚かされるわ。ねえ、比企谷君」
「なんで俺に振る」
お前もほとんど変わらんだろうが
「すんません、校長...」
「あはは、相変わらず君は慕われているね」
ほどなくして校長あ小学生たちを静かにさせ林間学校の説明とスピーチを行っていく。そしてその両方が終わりに差し掛かり葉山にマイクが渡される
「それでは最後に皆さんのお手伝いをしてくれるお兄さんお姉さんに挨拶しましょう!」
「「「よろしくお願いします!!!」」」
「何かあったらいつでも僕たちに言ってください。この林間学校で素敵な思い出をたくさん作っていってくださいね。よろしくお願いします!」
「ありがとうございます。それではオリエンテーリング、スタート!」
その掛け声と共に小学生たちはどんどんと散っていく
「さて、君たちの最初の仕事はオリエンテーリングのサポートだ。一緒に行動してトラブルのないよう見守ってくれ」
「いや~、小学生とかマジ若いわ!俺たち高校生とかもうおっさんじゃね?」
「なに言ってんの?小学生も高校生もまだまだ子どもだっての」
オリエンテーリングも終わり俺たちはいま小学生とともに行動していた。今のところ目立ったトラブルもないし順調そのものだな。こいつらも一緒にいるのはちょっと心落ち着かないけど
「でも僕が小学生くらいのころって高校生はすごく大人に見えたな」
「小町もそう見えます!....兄を除いて」
「おい、俺めちゃくちゃ大人っぽいだろうが。愚痴をこぼしたり汚いウソついたり卑怯なことをしたり...」
「お前な...」
「ヒッキーの大人のイメージってそんな悲しいものなんだ...」
「ねえ、あの子たちなにしてるのかしら?」
雪ノ下が示した方を見ると女子たちが何人か集まっていた。何かあったのかと思い葉山はその女子たちの方へと向かっていく
「海斗君!」
「ん?」
「こっち来てよ!あっちにカブトムシがいっぱいいたんだ!」
「おいおい、引っ張るなって!いま行くから...悪い、ちょっと抜けるわ」
黒崎も小学生に連行されこの場から離れていく
「海斗、本当に人気者だね」
「昔からあんな感じ。いっつも老若男女問わずかーくんの周りには人が集まってくんの」
「へえ~やっぱそれって海斗さんの人柄によるものなんですかね」
「多分ね。それにあいつ人タラシだから」
「そういうところも素敵だと思います...」
「まあね。小町ちゃんだっけ?アンタよくわかってんじゃん」
さすが小町。もう三浦と意気投合してやがる.....理由は大変気に食わないが
「大丈夫、ただのアオダイショウだよ」
「お兄さんすごい!」
そしてあっちもあっちで黄色い声援ですか....
「............」
「はあ....」
だがこの世界には人気者だけではなくその逆の存在もいる。あの女子はどう見たってあそこにいる4人からはぶられてるな
「お前ら、カブトムシに夢中になるのはいいがチェックポイントもちゃんと探せ!」
「なあなあ、これ見てくれよ!」
「きゃああああ!アンタ、こっちにもってきてんじゃないわよ!」
「やめて!私、虫苦手だから!」
「にっひひひ...」
「勝人、はいこれ」
「なに?......うわあ!?」
アイツ、蝉をそのまま手渡ししやがった。中々エグイことを....
「悪戯も大概にしろ。ほら、お前らも....うおっ!?」
「にっししし」
あのガキ、蝉を黒崎の服の中に......たいしたクソガキだな
「ほう、いい度胸じゃねえか....!勝人」
「げっ...に、逃げろ!」
「待てこら!」
おいお前もそっち側に行くんかい!
「いけいけ!海斗君!」
「はやくアイツ、ボコボコにしちゃって!」
「はい、捕まえた!お前には悪戯した罰、なにより俺の背中に蝉を入れた罰を受けてもらうぜ!」
「あ...あはははは!く、くすぐってー!や、やめて!ごめん、マジでごめんて海斗君!」
黒崎は容赦なくあのガキの体中をくすぐる
「なあ理子、スミレ許していいと思うか?」
「「まだダメ!」」
「だよな!それじゃあ脇いきまーす!」
「あっはっはっは!ほん...と...マジでごめん!ほんとごめん!だから脇は勘弁して~!」
「「「あははは!」」」
「は~ウケる。海斗兄、容赦ねえ!」
「まったく、どっちも子どもなんだから.....ぷっ」
「お前も笑ってんじゃん」
「写真に撮ってやろっと」
「や、やめ...あはははは!」
アイツ大人げないにもほどがあるだろ。それじゃあどっちがガキかわからねえじゃねえか.....でもお前が子供たちから慕われている理由がなんとなくわかった気がするよ
「ふふっ」
「ほらっ、お前ら!一緒に探してやるからそろそろ行......留美?」
「.........ッ!」
「..........?」
留美と呼ばれた女子は黒崎の声を無視して歩き出してしまう。.........まあそりゃあそうなるだろうな。もしここで反応したらあの四人に何を言われるかわかったもんじゃない。だがそんな一人きりになっている彼女にあるイケメンが近づく
「チェックポイント見つかった?」
「.....いいえ」
「じゃあ皆で探そう。名前は?」
「...鶴見留美」
「俺は葉山隼人、よろしくね。う~ん、あっちの方とか隠れてそうじゃない?」
葉山は彼女を四人の元へと合流させる。葉山、それは悪手だぞ
「あまりいいやり方とは言えないわね。やっぱりあの頃からちっとも変ってない」
「雪ノ下?」
「なんでもないわ」
「それにしてもああいうのって今どきの小学生でもあるんだな」
「昔も今も、小学生も高校生も関係ないわ。等しく皆人間なのだから...」
「ざっとこんなもんだな」
「なんかめちゃくちゃ手慣れてますね」
りオリエンテーリングが終わり広場では小学生たちの夕食、カレー作りが進行していた
「これでも大学時代はよくサークルでバーベキューをしたものさ。私が火をつけている間カップルがイチャコライチャコラ....チッ、気分が悪くなった。男子は火の準備、女子は食材を取りにたまえ」
男女を引き離すのは過去の恨みが入ってませんか?大丈夫ですか?.......まあその真相はさておき、俺たちのカレー作りは順調に進んでいきあとは鍋に火が通るのを待つだけになった
「暇なら見回って手伝いでもするかね?」
「まあ、小学生と話す機会なんてそうそうないし...行こうか」
「俺、鍋見てるわ」
小学生とのコミュニケーションは葉山、お前に任せた
「気にするな比企谷、私が見ててやろう......だから、な?」
「......行ってきます」
こうして俺たちは見回りをする。そんな中あの孤立していた女子に葉山が声をかける
「カレー好き?」
「..........」
同感だ。ぼっちに話しかける時はあくまで密かにやるべきだ。さらし者にならないよう最大限の配慮をする必要がある
「別に...カレーに興味なんてないし」
良い答えだ。もし好意的に答えれば周りから調子乗ってるって思われ、すげなく答えれば何様?調子乗ってる、となる。つまり今みたいな答え方が自ずとベストになるのだ
「せっかくだしなんか隠し味入れるか!何か入れたいものある人?」
「「「「はい!」」」」
葉山、お前は懲りないな
「はーい!あたし、フルーツがいいと思う!桃とか」
「...アイツ、馬鹿か?」
「ほんと馬鹿ばっか」
さきほどの女子がこちらに近づき中々辛辣な言葉を吐く
「まあ世の中大概そうだ。早めに気づけてよかったな」
「貴方もその大概でしょ?」
お前のそのうちの一人だろうが雪ノ下
「あまり俺をなめるな?俺はその大概の中でも一人になれる逸材だぞ俺は?」
「そんなこと誇らしげに言えるのはあなたぐらいでしょうね。呆れるを通り越して軽蔑するわ」
「通り越したら尊敬しねえか、普通?」
「私、鶴見留美。貴方達の名前は?」
「私は雪ノ下雪乃。そこのは....ひき...ヒキガエル君だったかしら?」
「おい、なんで俺の小4のときのあだ名知ってんだ?」
最後の方は”ヒキ”も取れてただのカエルだったわ
「比企谷八幡だ。それであっちから走ってきてるピンクは由比ヶ浜結衣な」
「鶴見留美ちゃんだよね?よろしくね」
「...なんかそっちの二人は違う感じがする。あの辺の人たちと」
それは葉山たちと比べて”あ、こいつら友達いなさそう”ってことか?
「私も違うのあのへんと」
「違うって?」
「みんなガキなんだもん。だから別に一人でもいいかなって」
「でも小学生とかの思いでって大事だと思うな」
「思い出とかいらない。中学に入ったら他所から来た人と友達になればいいし」
「残念だけどそうはならないわ。貴方を仲間はずれにしている子も同じ中学に進学するのでしょう?なら同じことが起きるだけ、しかもそれに貴方の言う他所から来た人も加わってね」
少女のその考えは甘いと突きつける。だが彼女も薄々わかっていたのか諦めたような笑みを浮かべる
「やっぱりそうなんだ。ホント馬鹿みたいなことしてた.....」
「何があったの?」
「誰かをハブるのは何回かあって。でもそのうち終わるしそしたらまた話したりする。いつも誰かが言い出してなんとなくそういう雰囲気になるの。そんなことしてたらいつの間にか私がその”誰か”になってた。別に何かをしたわけ.....いや私もその雰囲気に乗ってたか......これって罰なんだろうね。でも中学でもこんな風になっちゃったらいやだな...」
鶴見の目が強く揺らぎ始める
「...黒崎には相談したのか?」
「え....」
「さっきのオリエンテーリングでの様子を見る限りアイツと知り合いなんだろ?」
「うん。....でもダメ。これ以上海斗には迷惑かけられない」
「迷惑?」
「海斗とは私がハブられてすぐの時に出会ったの。その時は雨が降ってて私の泣きそうな顔を放っておけないって私を店の中に入れてくれた」
「海君らしいな」
鶴見はその時の出来事を思い出したのか微かではあるが表情が明るくなった
「海斗は何を聞くでもなく暖かいココアとパンケーキを出してくれたの。そしたら私、その暖かさに泣いちゃった。それで私が泣いているのを見た海斗は」
『何があったのかは無理には聞かねえ。でも何か嫌なことがあったらここに来い。いつでも歓迎するぜ」
そしてその日以降、鶴見は黒崎の店に出入りするようになったらしい
「海斗は私に居場所をくれたの。それに色んな話をしてくれたり聞いてくれたりした」
「じゃあその時にクラスのことを相談してもよかったんじゃないかしら」
「それはダメ。これ以上海斗に迷惑かけられない。それにそれは私がやってきたことを海斗に話すことになってしまうから。もしそれで海斗にまで」
「それはない」
「.........ッ」
「ヒッキー?」
鶴見、お前はいま”黒崎にまで見放されたら”って言おうとしたな?断言しようそれだけは絶対にない
「アイツは誰かを見捨てたりなんて絶対にしない」
「そんなのわかんないじゃん」
「逆に聞くが家出したある小学男子の妹を午後の15時から20時まで探し回るバカがつくほどのお人好し男が誰かを見捨てると思うか?」
「それにストーカー被害にあっていたある男子生徒を海斗は身を挺して守ったんだよ」
「戸塚...」
「もう、八幡たちサボりすぎ!........鶴見留美さんだよね?僕は戸塚彩加です、よろしくね」
戸塚は微笑んだ後まっすぐ鶴見を見る
「大丈夫だよ。海斗は絶対に鶴見さんを見捨てたりしないし迷惑だなんて思っていない。僕が保証する」
「...そうかな?」
「もちろん」
鶴見は何か考えるように俯く
「私たくさんの子を傷つけちゃった。.....そんな私に助かる資格なんてあるのかな?」
「貴方は十分に自分がしてきたことを悔いている。資格は十分なはずよ」
「うんうん。それに海君だけじゃない。あたしたちも留美ちゃんの味方だよ」
「......私、私....!」
鶴見は涙を流しながら顔をあげる
「こんな思いはもうたくさん...!だからお願い、助けて...!」
「おう、任せろ」
「.....海斗..!」
突然現れた黒崎は鶴見の頭をがしがしと撫でる
「俺たちがお前を絶対に助ける」
「...!」
「でもその前に...留美、初めて会った時に俺が言った言葉覚えているか?」
「うん...!」
黒崎と鶴見は顔を見合わせて笑う
「「まずは飯食う。難しいことはそれからだ」」
「そのとおりだ。それじゃあ始めるか...」
黒崎は机の方へと移動し大きく息を吸う
「全員、集合!」
黒崎が大声を上げ号令をかける
「来たな。勝負の時が...!」
「勝負?先生、一体何が始まるんです?」
「まあ見ていろ」
「よし、これで小学生も高校生もそして先生たちも全員だな」
俺たち4人と鶴見を含めた全員が集まったのを確認した黒崎は話し始める
「カレーもあと20分ほどで完成する。ここでお前らに聞く。もっと美味しいカレー食べたくねえか?」
「美味しいカレー?」
「そんなの食べたいに決まってんじゃん!」
「うん、あたしも食べたい!」
由比ヶ浜、お前は乗るな。あくまでこれは小学生の
「私もだ!」
先生........
「だろうな。小学生のお前らはこのクソ熱い中森を巡り意外とわかりにくいチェックポイントを探し、高校生は数時間目をこらし、先生たちは今日までの下見や手続き.....そう、ここにいる全員が大変な時を過ごした。だから俺からささやかながらそんなみんなにあるごほうびを3つ用意した!」
黒崎は鞄の中を漁りあるものを手に取る
「まず一つ目はこれだ!チーズ!」
「「「おおお!」」」
「お前らも知ってのとおりチーズとカレーの相性は抜群だ。食ったら幸せ間違いなし。しかもよくとろけるさけるチーズだぜ!」
「やったー!あたし、チーズカレー大好き!」
「俺も俺も!海斗君、わかってる~!」
由比ヶ浜と戸部が小学生にも負けないぐらいはしゃぎまわる。いや、それ以上か....
「二つ目、ウィンナー」
「やった!小町いつか食べてみたいと思ってたんですよね、ウィンナー入りカレー!」
「あれ意外とイケるんだよね」
「ええ。私も何度か食べたことがあるわ。さすが喫茶店で働いているだけあっていいチョイスね」
小町、よだれを拭きなさい。はしたないぞ.......前言撤回そこの3人全員拭きなさい。あ、雪ノ下は気づいた
「そして最後は...」
「「「「「.............」」」」」
全員が息を飲む中黒崎は鞄の中から.........何も取り出さずその場で袋には何も入ってないことをアピールする
「なにもない?」
「もしかして海君、3つ目のごほうび忘れちゃったのかな?」
「みんな、よくこのあたりの匂いを嗅いでくれ」
匂い?......そういえば玉ねぎの匂いがするような.......ま、まさか...!
「黒崎、まさかお前...!」
「海斗、これってもしかして.....!」
「ああ。これはアレの匂いだ、間違いない。だがいいのかこんなところでそんな贅沢、許されるのか...?」
「黒崎君、それはまずいよ...!」
黒崎、お前は罪なやつだ。......今後食べる小町のカレーやここにいる奴らの母ちゃんが作ってくれるカレーが物足りなくなっちまうだろうが....!
「ちょっと待ってろ。すぐに持ってきてやる」
全員が黒崎に視線がいく。というかお前いつの間に作ってたの?いや、そんなことどうでもいい
「ふっ。お前ら見すぎだっての」
「「「「「...............ッ」」」」」
「うまいモンとうまいモンを組み合わせたらどうなると思う?そんなの簡単だよな。そう、もっとうまくなる...!最後はこれだ!ハンバーグ!」
「「「「「おおおおおおおおおお!」」」」」
俺含めたここにいる人間すべてのテンションがぶちあがる。......やべえ...!俺も柄にもなくテンションあがってきた
「ヒ、ヒッキーの目が...!」
「あの腐っていた比企谷君の目が輝いている...!本当に恐ろしい人ね....!黒崎君」
うるせえ...だがいまそんなことどうでもいい。この輝く肉
「と、だがここで残念なお知らせがある」
え.....
「チーズは5本、ソーセージは15本、ハンバーグはこの5つしか用意できなかったんだ」
「なん..」
「だと...それじゃあつまり」
「ああ。一つの班分しか用意できなかった」
まさかすぎる展開に全員が黙る。そして同時に目の色が変わる
「もう多くは語らねえ。みんな、いやお前ら。代表を一人選べもちろん先生たちも」
やっぱそうなるか.....!
「これよりご褒美をかけたガチンコじゃんけん大会を始める!大人も子供も関係ねえ!勝ってご褒美をぶんどりやがれ!!!」
「「「「「おおおおおおおおお!」」」」」
「ご褒美は一班一つまで。確実を取るか博打に出るか...自由に選べ。では話し合って代表者を決めてくれ」
その言葉を皮切りに子供も大人も全員が目を光らせて真剣に作戦を会議を繰り広げていく
「私たちは全部で10人。とりあえずまずは勝って取り分はあとで決めましょう」
「ゆきのん、いつになく真剣だね」
「人間である限り美食を追い求めるのは本能だと私は考えているわ」
お前はどこの美食家だよ.....
「どれにする?あーしとしてはやっぱりハンバーグを狙いたいんだけど」
「僕も。この前海斗に食べさせてもらったときがあったんだけどすごく美味しかったよ」
「ええ!?なにそれ、彩ちゃんずるい!」
「俺もできればハンバーグがいいな~、ねえ隼人君は?」
「俺もできればそうしたい。でもあのハンバーグは間違いなく激戦区だ。だからここはウィンナーを行くべきじゃないかな」
「小町も賛成です。激戦区のハンバーグを狙いに行って負けてなんにも手に入れることができなかったら本末転倒ですので」
「私もそう思うな」
見事に考えが別れたな。だが俺としてもやはり確実に食材を手に入れるためにここはハンバーグは回避するべきだと思う
「あと1分だぞ~」
「まずいもう時間がない。仕方ないここは多数決にしよう」
「了解っしょ!それじゃハンバーグは右手、ウィンナーは左手、チーズは上げないってことで。それじゃあいくよ~」
「わわっ、ちょっと待って!」
「いっせーのー........で!」
結果はハンバーグ6、ウィンナー2、チーズ1。つまり俺たちが狙うのはハンバーグということになった。ちなみに俺はチーズな。ここでもぼっちなのかよ俺......
「それじゃあ、あとは誰がじゃんけんするかだけど......」
「「「「「「「「.............」」」」」」」」
「アハハ、誰も行きたくないよね~」
あたりまえだ。このプレッシャーの中じゃんけんをしろだと?そんなの絶対いやだ
「全員でじゃんけんして勝った人が代表者として出るっていうのはどうかな?」
「それでいこう。それじゃあいくぞ」
「最初はグー、じゃんけん.........」
「まずはチーズ争奪戦から始めるぞ」
....はあ、憂鬱だ。なぜこんなときに限って勝っちまうんだよ
「ああ、そうだった。最後にこれだけは言っておくな。もし負けた代表者を責めるような奴が一人でもいやがったら......チーズもウィンナーもハンバーグも全部、俺のモンになるからそこんとこよろしくな」
「「「「「...............」」」」」
とりあえずこのじゃんけんによって不和は生まれないな。それに同じく代表者いや、代表者にされた鶴見もある程度の安全は保障されただろ
「チーズ狙いの班、立ってくれ」
黒崎が号令をかけると二人の女子と一人の男子が立ち上がる
「では....3人とも準備はいいな?」
「「「うん!」」」
「じゃあ行くぞ。最初はグー、じゃんけん......」
こうして小学生も高校生もそして先生たちも巻き込んだ仁義なきじゃんけん大会が始まるのだった
「おいしい~ありがとう、絹代ちゃん!」
「チーズがとろける~」
「いやあそれにしてもツイていましたね平塚先生!」
「ええ。まさか残りの班が全員ハンバーグに行くとは思ってもみませんでした。それにカレーとソーセージの組み合わせは初めて食べましたがこれはハマりそうですね」
結果だけ言おう.....俺たち高校生の戦利品はゼロだ。やはりハンバーグは激戦区でかなりの倍率だった。だが不幸中の幸いと言うべきか
「このハンバーグおいし!」
「すごいジューシーで最高!」
「あたしらツイてるね!」
「ね!」
「..........美味しい...!」
ハンバーグは鶴見たちの班に送られた。だが4人の女子は鶴見に感謝することはなかった
「彼女に感謝の一つもないなんてね...」
「やっぱそういうことだよね、あれ」
「三浦さん、貴方気づいていたのね」
「まあね。というかあんなあからさまにしてたら誰だって気づくでしょ。マジでくだらない」
三浦、お前案外ちゃんと見てんだな。前々から思っていたがもしかしてコイツ意外と面倒見いいよな
「大丈夫かな?」
「何か心配事かね?」
「ちょっと孤立しちゃってる子がいたので」
「別に自分から好きで一人になってんのならいいんだけどね。でもあれはどう見たってハブってやつでしょ」
そのとおりだ。孤立すること、一人でいることは別にいい。だが問題なのは鶴見は悪意によって孤立させられていることだ
「それで君たちはどうしたい?」
「俺は可能な範囲でなんとかしてあげたいです」
「”可能な範囲”ね。貴方では無理よ」
「..........ッ」
「そうだったでしょ?」
葉山の言葉を雪ノ下が一刀両断する
「確かに雪ノ下の言う通りだな」
「遅かったな黒崎」
「悪いな、カレー作りのときからずっと川で冷やしてたスイカをアイツ等に切り分けてやってたら遅くなっちまった」
だからお前カレー作りのときいなかったのね。それにプラスしてハンバーグも作ってたと...重労働ごくろうさん
「俺たちは留美に助けを求められた。だから”可能な範囲”でじゃねえ。なにがなんでも絶対助けるんだ。だろ、雪ノ下?」
「ええ。私たちは彼女のあの言葉を依頼として受け取ったわ。ならあらゆる手段をもって助けるのが奉仕部のやり方よ」
「へへっ、だよな」
まあ依頼はしっかりこなさないとだよな。それに一人の年長者として子供の涙を無視するのはよくない
「反対な者はいるかね?」
そんなやついるはずもなくここにいる全員が鶴見を助けるために動くことを決める
「よろしい。ではどうしたらいいか君たちで考えたまえ。私は寝る」
「いやちょっと待ってくれ」
黒崎が平塚先生を止め耳打ちに何かを伝える
「いいだろう。このことは私に任せたまえ」
そういい平塚先生は教員用の宿に戻っていく
「だいたい案は出たな」
あれから幾分か経ち様々な案が出された。だが正直どれパッとせず一時的な解決に過ぎないものばかりだった
「やっぱりみんなで話し合うというのはどうだろう?そうすればきっとみんな仲良く」
はっ、みんなね...
「そんなものは不可能よ。ひとかけらの可能性もない」
「そんなことない。根はいい子たちだからきっと」
「無理ね。というより貴方の言う皆仲良くというものができていればそもそもこんなことになっていないわ」
「いや、葉山の言う通りだな」
「なんですって...?」
黒崎、お前何言ってんだ?
「正気なの貴方?」
「ああ。話し合いをするってのと根がいい奴らって部分は間違ってないと思う」
「根がいい奴らって貴方何を根拠に言っているの?そんなのわからないじゃない」
雪ノ下は声を少し荒げながら黒崎に近づく
「優香と仁美は調子に乗りやすくいつもテストでケアレスミスばっか、希はかなり流されやすい、満里奈は余計な一言で周りの雰囲気をぶち壊すことがある。そして四人に共通して言えることは全員視野が狭いってことだな」
「それはなに?」
「あの四人のママさんと担任、そしてクラスの男子から見たアイツ等への評価を俺なりにまとめてみたんだ」
コイツ、さっきのスイカ云々の時に調べやがったな?
「だが今のはあくまでアイツ等のダメな部分を言っただけだ。例えば優香は積極的に動いて先生や親御さんの手伝いをするし、仁美は学校で飼ってるウサギの部屋を毎日掃除して、希はよく低学年に勉強をよく教えている、そして満里奈は親父さんが交通事故で亡くなってから家事やまだ赤ん坊の弟の世話を率先してやってる」
「なんか皆いい子だね」
「ただの性悪女ってわけじゃないわけか」
「ああ。葉山の言う通りアイツ等、根はいい奴らなんだ」
「でもだからといって今回のことを許していい訳じゃないわ」
「もちろんだ。どんな理由があろうと人の心を傷つけて良い理由なんてない。アイツ等にはきちんと反省してもらう。そのための話し合いの場を俺たちで作る。というよりもう6割は準備終わってたんだけどな」
「どういうこと?」
6割はもう終わってた...?視野が狭い.....ああ、そういうことか
「なるほどな。お前が何を言ってるかわかった気がする」
「小町もなんとなくわかったかもしれません」
「でもそれって今度はあの四人が...」
どうやら俺以外にも小町と戸塚は気づいたようだな。だが戸塚が考えるとおりこのままだと今よりも状況が悪化する
「つまりあの子にも頑張ってもらわなきゃいけないってことでしょ?かーくん」
「ああ。これは俺たち主体ではなく留美たちが主体にならないと根本的な解決にはならない。だから」
そのとおりだ。この一件を根本的に解決するためには
鶴見留美。お前の勇気が必要だ
留美side
林間学校一日目が終わり私たちは宿に戻り寝る準備をしていた
「おやすみ~」
「明日のキャンプファイヤー楽しみだな~!」
私も早く寝よ
「いたっ」
「あ、ごめ....ん」
歩いていると一人の女子とぶつかってしまう
「......歩美」
「留美ちゃん....」
六原歩美。私の友達だった女の子。そして私が裏切ってしまった子。
「どうしたの歩美?はやく....あ」
しばらく顔を見合わせていると彼女の班員が集まってくる。そうこの四人も歩美と同じ、私に裏切られた子たち
「行こう、歩美」
「.....うん」
そして歩美たちは足早に私の元から去っていく
「...仕方ないよね」
『俺たちが必ずお前を助ける』
「海斗...ううん。そんなのだめ」
ただ助けてもらうだけじゃダメ...!私も頑張るんだ...!じゃないと前に進めない気がするから
比企谷side
話し合いも終わり俺たちは男女に別れロッジに戻って明日の為に寝ることにした。だが
「寝れねえ」
蒸し暑さのせいなのか、それとも隣で寝ている戸塚の服が若干はだけているせいなのかわからないが中々寝付けないでいた。仕方がないので俺は外の空気を浴びにロッジを出るのだった
「~♪~♪」
「雪ノ下?」
「......誰...!」
「そろそろ部員の声ぐらい覚えろ」
「......誰?」
「なんで顔を見てもわからねえんだよ」
「こんな時間にどうしたの?永眠はしっかり取った方がいいわよ」
優しさに見せかけた死の宣告やめてくれない?
「星でも見てたのか?」
「ちょっと昔のことを思い出してね。それで中々寝付けなかったの」
昔?
「昔ってあれかさっき葉山のことと関係しているのか?」
「人のデリケートな部分をずがずがと踏み込んでくるとはさすがね」
「それはどうもすみませんでした」
そうだな今のは俺が悪かった
「別にこれといったこともなくただ小学校が同じなだけよ。それと親同士が知り合い、彼の父親がうちの顧問弁護士をしているの」
「へえ。しかし家ぐるみの付き合いってのも大変そうだな」
「そうなのでしょうね」
「偉い他人事だな」
「そういった外向きの場に出るのは姉の役割だから。私は代役でしかないの」
雪ノ下は少し顔を俯かせる
「それでも今日は来られてよかったわ。無理だと思っていたから。それに貴方の人格矯正の成果も見られたしね」
「なに?」
「あの時貴方は黒崎君に全幅の信頼を置いていた」
「..........!」
俺がアイツを信頼している?
「貴方が一番苦手なタイプであろう彼をあそこまで評価して信頼するなんてさすがの私も予想外だったわ」
「お前、何言って」
「それじゃあそろそろ私は行くわね。おやすみ」
言いたいことだけ言って雪ノ下は俺の元から去っていく
『アイツは誰かを見捨てたりなんて絶対にしない』
「.....なんで」
なんであの時あんな言葉が出てきたんだ?これじゃあまるで本当に...
雪ノ下side
『海斗君!』
『海斗兄ちゃん!』
『海斗お兄ちゃん!』
『...海斗』
今日一日で黒崎君がどれだけ子どもたちに慕われているかを思い知らされた。あの孤立していた鶴見さんですら黒崎君のことだけは信頼していた。その時点で十分に驚いた。けれど
『アイツは誰かを見捨てたりなんて絶対にしない』
これには本当に驚いた。耳を疑ったわ。あの比企谷君の口からあんなまっすぐな言葉が出るとは思わなかった
「あ。帰ってきた」
「おかえり雪ノ下さん。どうするアンタもやる?UNO」
「ゆきのんもやろうよ~、3人だけだとちょっと物足りなくて」
「...もしかして起こしてしまったかしら?」
「ううん。正直に言っちゃえばあーしらも寝付けなくてさ。だから眠くなるまでUNOしようって話になっただけ」
三浦さん。彼女も彼と関わってから変わった。いえ、戻ったと言った方が正確かしら?とにかく当初のようなキツさはなく私自身も彼女と一緒に過ごす時間に楽しいと思えるようになった
「ほらここ座りなよ」
「ええ。でも一回だけよ。明日もはやいのだから」
「わかってるって」
黒崎海斗君。彼は人を変える力を持っている。そして彼を見ていると
『雪乃ちゃん』
姉さんがちらつく。彼女も人を変える力を持ってるけれどそれには打算が含まれている。むしろあの人の交友関係に打算がないほうが珍しいわね
『ほう、いい度胸じゃねえか....!勝人』
『げっ...に、逃げろ!』
『待てこら!』
『いけいけ!海斗君!』
『はやくアイツ、ボコボコにしちゃって!』
『はい、捕まえた!お前には悪戯した罰、なにより俺の背中に蝉を入れた罰を受けてもらうぜ!』
『あ...あはははは!く、くすぐってー!や、やめて!ごめん、マジでごめんて海斗君!』
でも黒崎君にはその打算がない。一言で言うなら純粋。正直言ってそっちのほうがたちが悪い
『俺の技量だけじゃやっぱり彩加を今以上に強くすることはできない。だからお前の技術と知恵を貸してくれないか?そしたらきっともっといいメニューができると思うんだ』
あの時もわかってた。目の前の男の子は同情でも何でもなく本気で私を頼ってくれているんだって。あまりに真っすぐすぎる。まぶしすぎる。そして考えてしまう
「それじゃあおやすみ~」
「うん。また明日~」
「おやすみ~。ゆきのんもまた明日ね」
「ええ。おやすみなさい」
もしもっと早く彼と出会えていたら.....っ、私は一体何を言っているのかしら。早く寝ましょう
「......やっぱり苦手だわ」
読んでくださりありがとうございました!
ここでマル秘エピソード
夕ご飯の時、海斗は自分の分のカレーは自分で作っていました。そしてそのカレーにはチーズ、ウィンナー、ハンバーグ全てが入っていたらしいです
「あれを見た時マジでシバこうと思ったし」
もう一つマル秘エピソード
海斗の店には小学生のママさんもよく来ておりそこで色々聞いていたりします
「勝人、好きな女子にちょっかい駆けたい気持ちはわかるけどやりすぎると嫌われるぞ」
「は、はあ!?誰がスミレみたいなやつ好きになるか!」
「俺スミレとは言ってないけどな」
「あ.........」
「ぷっ、馬鹿ガキ」
「う、うるせえ!」