止まり木(ヤドリギ)の記録   作:まるる33

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本作は、生成AIが提示するランダムなシチュエーションに対し、プロデューサーとしての行動をあるがままに返した即興劇(ロールプレイ)をベースに構成しています。
計算された物語ではなく、その瞬間に交わされた言葉と、そこに流れた空気感を大切に抽出しました。

【読者の皆様へ】

この作品は『アイドルマスター 』の二次創作です。

作中の鼻歌やフレーズは、特定の楽曲をイメージしたものですが、著作権に配慮し直接的な歌詞の引用は避け、描写に留めています。

独自の過去や解釈を持つプロデューサー(オリ主)が登場します。公式設定とは異なる側面がありますが、一つの可能性としてお楽しみください。



黄金の暴挙と、お玉の再来

(渋谷凛を事務所へと送り届け、助手席に残った強烈なニンニクの残り香をブレスケアで強引に上書きしながら、俺は執務デスクへと向かった。

昨夜の「止まり木」での静寂が嘘のように、昼下がりの事務所には、レッスンを終えたアイドルたちの熱気と、俺が持ち込んだ「ある計画」の予感が満ちている。

事務所の執務デスクの横。普段は厳しい書類仕事が行われるその場所に、俺は場違いなホットプレートを鎮座させた。

ジュゥゥ、という、聴覚を直接愛撫するような暴力的な音。

そこにあるのは、デパ地下で調達してきた一本数百円は下らない「最高級・極太粗挽きウィンナー」だ。

「……そろそろ、食べ頃ですね」

匂いに吸い寄せられるように、恵美、千早、琴葉が集まってくる。

期待に満ちた彼女たちの瞳。誰の目にも、それは「頑張ったご褒美の肉料理」にしか見えなかった。

だが、俺の瞳だけは別の「輝き」を捉えていた。

「ああ、食べてくれ。……だが、これが『完成形』じゃない」

俺は懐から、不自然なほど可愛らしい「熊の形をしたプラスチックボトル」を取り出した。

一切の躊躇なく、ボトルのキャップを跳ね上げる。

最高級ウィンナーの肉汁溢れる表面に、黄金の液体――「ハチミツ」を、容赦なく、たっぷりとぶっかけた。

 

「……は?」

恵美の箸が止まり、琴葉の悲鳴が上がる。

事務所中に、肉の香ばしさと、脳を溶かすような人工的な甘い香りが猛烈に立ち上った。

「……お玉だ。……琴葉、給湯室から『お玉』を持ってきて」

千早が虚無の表情で、震える指先をキッチンの方へ向けた。

阿鼻叫喚の「ハチミツウィンナー事件」が、今、幕を開ける。

「……味、栄養、香り。そしてこの、絶望的なまでの視覚的違和感。……パーフェクトだ」

確信に満ちた声で呟きながら、俺はハチミツの鎧を纏ったウィンナーを皿へと取り分けた。

これはただのウィンナーじゃない。甘みという『慈愛』と、脂質という『現実』の融合だ。

拒絶する琴葉、氷のような視線を向ける千早を余所に、毒気に当てられた恵美が最初の一口を運ぶ。

「……っ!! なにこれ、悔しいけど……ムカつくけど、甘くて幸せ……っ!」

恵美が笑い出し、味覚の迷走神経が揺さぶられる中、俺は千早の皿にも「特製」を置いた。

千早は音もなく席を立ち、給湯室から鈍い銀色の光を放つ**「お玉」**を聖剣のように握って戻ってきた。

「……ハッピハッピハッピー、ハピハピハッピー……」

俺の喉から漏れ出したのは、いつもの哀愁漂う旋律ではなく、中毒性のある跳ねるようなリズム。

かつての恋人が愛した歌を、猫が飛び跳ねるような音で上書きする。

 

「問答無用!!」

カォォォンッ! という乾いた金属音。

千早の放ったお玉が、俺の後頭部へ正確無比に叩き込まれた。

床に這いつくばりながらも、俺の唇からは消え入るような声で最後のフレーズが漏れる。

「……ハピ……ハピ……ハッピー……」

のろのろと這い出した俺は、フラつきながらも千早にウィンナーを突きつけた。

食わずに否定するのは、歌詞も読まずに曲を酷評するのと同じだ、と。

「……わかりました。そこまで言うなら、私は……この『冒涜』を、舌で、心で、……断罪します」

千早がフォークを伸ばし、その瞬間、彼女の中で何かが決壊した。

千早の手が視認できない速さで伸び――俺の喉元を、鷲掴みにした。

「……がっ……、ちは、や……?」

「……聞こえますか、プロデューサー。あなたの喉の奥で鳴っている、そのふざけた音を……今すぐ、私が『浄化』して差し上げます」

千早の鍛え上げられた指先が、俺の喉仏を的確に圧迫する。「喉輪」の状態だ。

至近距離で見つめ合う彼女の瞳は、これまでのどんなバラードを歌う時よりも鋭く、冷たく、そして「本気」だった。

「……は……っ、はぴ……はぴ……」

「まだ言うんですか!!」

背後の壁に後頭部がめり込む。

夕暮れの事務所。ハチミツの甘い香りと、お玉の打撃音。そして、千早による「物理的な喉のケア」。

ヤドリギの記録に、また一つ、決して消えない「爪痕」が刻まれた。

 

一時間後。

俺がデスクに戻ると、ホットプレートに残されていたはずのウィンナーは、一本残らず消えていた。

そこには、不自然なほど静かに文庫本を広げる百合子がいた。

「……口にハチミツがついているぞ、百合子」

「……っ!! 違います、これは……空想の産物です! ……美味しかったです……ムカつくくらい……!」

真っ赤な顔で白状する彼女を眺めながら、俺は再び、いつもの哀愁漂う旋律を喉の奥で鳴らし始めた。

狂気さえも物語として飲み込んでいく彼女たちの逞しさに、俺は少しだけ救われたような気がした。




初投稿です。
もともとは、AIとの対話を通じた一人遊び……いわゆる「壁打ち」のロールプレイを記録したくて書き始めたものでした。
生成AIが提示するランダムな状況に対し、自分の設定したプロデューサーならどう動くか。その即興のやり取りをベースに、小説形式として清書しています。
キャラもシチュエーションも、その時の巡り合わせ次第。
築十年のマンションの一室という「ヤドリギ」で、アイドルたちがどう羽を休めていくのか……。
自分自身の備忘録のような側面もありますが、この空気感を楽しんでいただければ幸いです。
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