剣聖「騎士団の教官になったから、気合い入れて厳しめに鍛えたら教え子全員殺意マシマシのガンギマリ集団になった」   作:アスピラント

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序盤ちょっとした怪文書注意


変わり者な彼女は推しである師の為に尽くす

 アタシ……トトにとってちゃんきょー(教官の事)は推しである。

 

 なんか剣聖とかいう、肌が痒くなるような二つ名背負っている人ってどんな人なのかなって思ったら、レイプ目タッパデカ杖つき男という属性てんこ盛りの人だった……癖に刺さっちまったよ、どうしてくれる。

 

 でもこの人ちゃんとアタシらに教えられるんか? ああん? ええんか? って思ったけど……指導がめちゃくちゃ厳しくて掌をぐるぐる返しました、はい。

 

 何であんなん厳しいの。

 おかげでマゾになった、どうしてくれる――すき。

 

 つー訳でアタシはひーこらいいながら修行してた。

 かなり厳しくて普通に折れそうになったけど、ある日ちゃんきょーが個人的に面談してくれたの!

 

 そしたら何て言われたと思う!!

 

 ――お前の事情はわかってる、少なくとも俺とアイツらはお前を家族だってちゃんと思ってるから――

 

 はい、堕ちました。

 実質この一言って一緒に墓に入るって言ってるのと同じだから。

 

 んで何やかんやあってアタシはちゃんきょーのメスになろうとしたけど、キアラたんが「お前が近づくと師が疲労する、部屋に引きこもるか()()()()()()()静かにしてくれ」ってマジ顔で言ってきたから、とりあえず粘ついた獣欲に濡れた目で見るだけに留めた。

 

 だからちゃんきょーは逆に感謝して欲しい。

 つまりアタシは何が言いたいかというと――

 

 ちゃんきょーのおかげでアタシはアタシらしくいられて毎日楽しいってコトさ!

 

 あ、ついでに他の皆も。

 

 ◇◆◇

 

 騎士団の事務室は朝から慌ただしかった。

 昨夜の遺跡での戦闘報告、被害状況の整理、魔物討伐数の照合。加えて逃走した首謀者の情報共有と、各部隊への警戒通達。机の上には書類が山のように積まれ、インク壺の減りもやけに早い。

 

 事務仕事をこなす従士がいる中で、ぽっかりと誰も座らない空間があった。その中央にゼヴルがいた。

 

「……」

 

 ゼヴルは無言で報告書に目を通し、必要事項を簡潔に書き加えていく。感情を挟まぬ事務的な筆致――のつもりだったが、筆圧が強くて文字が濃くなってる。

 

 それもそのはず――自分がヘマして逃した奴に関する任務の報告書だからだ。正確に書いていくにつれてムカつくのは無理もなかった。

 

 しかし彼が原因で周りはとんでもないことになっていた。

 

(おい! 誰か! ゼヴルさんに殺気が漏れ出て怖いって言え!)

(無理無理無理!)

(任務の時よりすごいぞ!?)

 

 戦いの場に出ない従士たちがすっかり萎縮というか、半ば恐慌状態になっていた。はっきり言って人の形をした公害みたいになっていた。

 

(だ、だれか助けてくれ……)

(鳥肌が……!)

 

 こりゃ仕事終わる頃には胃潰瘍もあり得ると絶望していると、一筋の光が現れた。

 

「ゼヴル……こんなとこに――って、殺気撒き散らしすぎだな……あいつ」

(キ、キアラさーん!!)

(止められるのは貴女だけです!!)

 

 まさに神がかりなタイミングで、頼れるお姉さん(任務の時以外)キアラが降臨した。そんな彼女は周りの従士たちがつかれた表情をしてるのを見た後、自らボッチになりにいってるゼヴルを見て納得した。

 

「ごめんね皆、ウチのバカが」

「……い、いえ」

 

 軽く申し訳なさそうにして後輩たちに謝罪した後、キアラは相変わらず殺気を撒き散らすゼヴルの近くに行くと――

 

「殺気を垂れ流すな」

「ガァ!?」

(((き、キアラさーん!?)))

 

 頭に手刀をぶちかまし、机の上にゼヴルの頭を叩きつけた。

 一瞬でゼヴルは顔を上げると、白けた目をしたキアラと目が合って、気まずそうな顔をする。

 

「キアラか……どんなバカが我に喧嘩を売ったのかと」

「お前が殺気ばら撒くせいで後輩が怖がってるんだ、まずは周りに謝っておけ」

「はいはい、悪い悪い」

「……ガキ」

 

 まさかそんな止め方があったのかと従士たちは戦々恐々としていた。ただそれが出来るのは2人の関係性によるものが大きい。

 

 キアラにとってゼヴルというのは同い年かつ力も対等なライバルだ。お互いにちゃんとリスペクトはある。ただクールを装う割にキレやすいし、素直に謝れないガキっぽさだけは直してほしいと思ってる。

 

「お前そういうとこは直せって、師から散々言われただろう?」

「今直し途中だ、わかってる事を何回も言うな」

「わかってたら昨日しくじってない筈だが?」

「な!」

 

 ゼヴルは苦虫を噛み潰して、更に味わったみたいな顔をした。まさかばれていたとは、どうするコイツ殺すか――という物騒な思考に陥った。

 

「師が朝方話したんだ、私は不可抗力で聞いた」

「……ちなみに他の奴らには知られたか?」

「あー…………トトは把握してる」

「――――――――」

 

 ゼヴルは今世紀一番絶望した。

 比喩じゃなくマジで。

 

「な……なぜ」

「ほら、お前と師が魔物蹴散らした北東の平原にはまだ下手人の遺物とか、死体とか……あとは魔力の残滓があるだろ? トトはロラーナに負けず劣らず、頭が回る」

「……別に意味で回ってる気がするがな」

「でも彼女は優秀だ、知ってるだろ」

「まぁな」

 

 つまり取り逃した野盗団のリーダーの行く末を調べるために、彼女が起用されたとのこと。理由はわかったがまさかレクスディアが仕事とは言え、積極的に彼女を頼るとは思わなかったゼヴルは、少々面食らっていた。

 

「じゃ……先輩は一緒に調べてるのか」

「いい加減先生とか教官とか言え……、ちなみに師はトトとは別行動中だ」

「あん?」

「多分アルバートを連れていくつもりだ」

 

 アルバート……レクスディアの教え子の1人であり、気質はキアラと近いが、頭がちょっと残念な奴だ。眼鏡キャラ唯一のアホという不名誉なあだ名をトトが付けて、殺し合いになりかけた事もある。

 

「アルバートは今何してる」

「なんか隣町まで行ったら道に迷ったって、師はお迎え」

「……よく騎士団にいれたもんだ」

「戦闘センスは高いから」

 

 今更ながらどうしてこんな癖強い奴らばっかなのかと、ゼヴルは自分のことを棚に上げながら作業する。やや間があってキアラは言った。

 

「師は私たちに準備だけはしておけって言ってる、お前が取り逃してしまった奴と裏にいる奴が分かったら、私たち全員で完膚なきまで潰すつもりだ」

「……わかっている」

「きっちり皆殺しにして借りを返してやれ」

 

 ふっと笑うキアラを見て、ゼヴルはそうだなと頷く。

 失態は成果で取り返す――そこまでまとまった上で、ゼヴルはふと気になったことを聞く。

 

「……ちなみにトトは今誰といるんだ」

「ああ、プリメラさんとだよ」

「……あの人は優しいからな」

 

 ゼヴルとキアラは何となく察した。

 きっと今トトの()()()で愉快な事になってるなと。

 

 ◇◆◇

 

 北東の平原――その遺跡。

 昨晩レクスディアが暴れたせいで、辺り一帯は魔物の死体と破壊された遺跡の残骸で荒れていた。

 

 当然ながらそんな現場はひどい悪臭が発生していた。

 ごくたまに――というか剣聖の教え子が担当した任務――現場がかなり悲惨な事になった際、騎士団が派遣されて調べ物がてらに片付けるのが一般的なのだが、今回はその中でも悪い方に当たる。

 

 ベテランの騎士、または冒険者は慣れっこだが普通に気持ち悪くなるレベルの惨状だ。現に派遣されている騎士たちは既に気分悪くなっており、剣聖め……次やるなら消し飛ばしてくれよと恨み節まで言う始末。

 

 もっとも消し飛ばしたら大事な証拠や痕跡が消えるため、剣聖に限らず他の騎士も残すだろう。

 

 閑話休題――。

 

 その現場にいち早く入り、愛しの師匠に大事な仕事を任されたと意気揚々となっていた、騎士団の中で一番の奇人と名高い彼女はというと――

 

「オロロロロロロ……」

「はーい……楽になった? トトちゃん」

「勿論ですよプリメラたん!! このアタシにかかればこの程度――こぽぉ」

「……全部出しちゃいなさーい……」

 

 絶賛口からキラキラを吐き出していた。

 近くにはレクスディアの同期にして、トトの世話人――プリメラがいた。彼女は遺跡の惨状を見て盛大にリバースしたトトの背中を摩っていた。

 

「うぃー……いやー……なんか美人なお姉さんに吐瀉物出してる最中によく頑張ったって言われるの、なんか色々滾っちゃうわ……うへへへ」

「うわぁ」

 

 トト――剣聖の教え子の中で一番の変わり者であり、騎士団の仲間たちから一番スカされている女である。見た目だけなら美少女とプリメラや女騎士たちから言われており、金髪ポニーテール、丸眼鏡、童顔、低身長だけどスタイルはかなりいいという、振る舞いと見た目が釣り合ってないと文句を言われている。

 

 そんな彼女は今プリメラの部隊と一緒に、現場検証しに来ていた。

 

「プリメラさん! こんなとこに――ってトト先輩リバースしたんですか……」

 

 声の主は、短く切り揃えた黒髪の女騎士――アーシャだった。今年入ったばかりの新人であり、規律をそのまま形にしたような佇まいで、きびきびとした足取りのままこちらへ歩いてくる。

 

 だが視線の先にあった光景に足を止めた。

 プリメラがトトの背をさすり、当のトトは涙目で地面に膝をついている。

 

「……」

 

 無言のまま、じとりと白い目を向ける。

 

「探しに来たら何をしているんですか、プリメラさん……」

「トトちゃんの介抱かな。まぁ仕方ないよ、トトちゃんは精霊とのハーフなんだから」

 

 プリメラは苦笑しつつ、優しく背を撫で続ける。

 

「得体の知れないものとか、気味の悪い魔力を前にすると気分悪くなる体質なの。今回のは、ちょっと濃すぎたみたい」

 

 周囲にはまだ瘴気の名残が漂っている。普通の騎士でも顔をしかめるほどだ。アーシャは一瞬、周囲を見回し、それから小さく息を吐いた。

 

「……それは、仕方ないかもしれませんが」

 

 そこまで言いかけて、言葉を飲み込む。

 

 ――じゃあ調査任務に向いていないのでは?

 

 喉元まで出かかった疑問を、彼女は理性で押し戻した。能力と体質は別だ。それにあの剣聖が任せているんだから、何かあってトトを派遣しているんだと()()()()納得した。

 

 その微妙な沈黙を、トトはしっかり感じ取っていた。

 

「……アーシャたんから冷たい目で見られている……」

 

 ふらりと顔を上げ、潤んだ瞳でアーシャを見る。

 

「アタシ先輩なのに……でもドキドキする。これって恋!? 新しい扉をこじ開けようとするノック音!?」

「……」

 

 アーシャは一切の反応を示さなかった。

 完全にシカトしている。

 結構キツイ対応されていたトトは「シカトプレイ!? 高度!!」と一人で悶える始末。こいつどうやって入団試験を通ったんだよとアーシャは頭を抱えたくなった。

 

「はぁ……やれやれ、世話の焼ける23歳児だなぁ……もう」

 

 プリメラは額に手を当て小さくため息をついた。

 彼女がこんなに変な理由はレクスディアから聞いてはいる。何を隠そう……こんな振る舞いをしておきながら、彼女は光の精霊という、精霊の中でも一番位の高い精霊と人間の間に生まれた子である。

 

 光の精霊というのは()()そのものが出来上がった当初からいるとされ、魔力を通じて様々な情報を空間や生物から沢山取り入れる性質を持つ。その性質を受け継いだ彼女は、どこから発信されたのかわからないカスみたいな情報も取り込むようになり、テンション上がるとそれをぶち撒ける。

 

 その結果――おもしれー女というより、見るに堪えない痛さが勝つ女になった。

 

「ほらトトちゃん、静かに。今は任務中」

「はぁい……優しすぎてメロい、ちゃんきょーいなかったら沼よ」

「はいはい、ちょっと休んでおきなさい。私はアーシャのとこ行くから」

「らじゃ」

 

 気分悪そうな顔をしながら敬礼するトトを置いて、プリメラはアーシャについて行くと、崩落した遺跡の中で一際大きな魔物の死骸が転がる場所にてアーシャは足を止めた。

 

「ここです」

 

 地面にしゃがみ込み、指先で魔物の死骸を指す。

 すると微かにだが、黒い煙のようなものがちょっとだけ立ち上っている。本当によく見ないとわからないため、うっかり見逃してしまいそうな痕跡だった。

 

「操られていたとされる魔物の死骸の周囲に、特有の残滓が残っています。魔力かなと思いましたが……どうにも違うようで……」

 

 淡々とした報告に、プリメラも膝をついて目を凝らす。

 確かに、瘴気とは別種の、どこか粘つくような何かを感じる。

 

「ちなみに……ゼヴルさんが倒した元人間にも似たようなものがありました」

「あー……人が魔物に……って奴ね」

「聞いたことあります? 人を魔物にって」

「ないかな、少なくとも私が担当したことある現場では」

 

 これに関しては過去に似た事例がないかを調べる必要があると見ていた。プリメラは慎重に観察しながら羅針盤のような見た目をした魔導具を取り出し、魔力が実際に放たれているか確認する。

 

「……むー……微妙な反応。魔力であって魔力じゃないのかな? 針があまり動かない」

「本当ですね……」

 

 2人して頭を悩ます。

 これじゃ魔力を使った追跡が出来ない。

 

「もしかして、これがレクスディアが言ってた“杖”の力なのかな」

 

 昨日彼が戦闘後にこぼした言葉を思い出す。妙な杖を使って魔物を操るという話だ。

 

「杖、ですか」

 

 アーシャが眉を寄せたその時。

 

「――これは何と興味深い!!」

「っ!?」

 

 真横から弾んだ声がして、二人は同時に肩を震わせた。

 いつの間にか、トトがぬっと隣に立っていたのだ。さっきまで青い顔で休んでいたはずなのに、もう元気溌剌になったのか目が爛々と輝いていた。

 

「トトちゃん!? もう大丈夫なの!?」

「何やら匂いがしたので」

「犬か」

 

 アーシャが思わず素で突っ込む。

 しかしトトは気にも留めず、ベルトに提げていた小さな球体状の魔導具を取り外した。掌に収まるほどの透明な珠。その内部には淡い光が揺らめいていた。

 

「とくとご覧あれ……アタシの御技に!」

「いい空気吸ってますね……」

「あはは……」

 

 トトは珠を地面にかざし、早口で呪文を唱え始める。光の精霊の血を引く彼女の声に呼応するように、球体の内部が明滅し、周囲の残滓が糸のように吸い上げられていく。

 

 空気がぴん、と張り詰めた。

 

「……やっぱり」

 

 トトの声音が、先ほどまでのふざけた調子とは別物になる。

 

「この魔物を操るために使われた魔力は、今までにないパターンだと思われがちだが、それは違う!」

 

 びし、と指を立てトトは捲し立てる。

 

「この同質の力は、アタシが昔ちゃんきょーに連れて行ってもらった頃に遡る! まだアタシが純真無垢な少女だったあの頃、夕暮れに染まる古戦場で――」

「結論を言ってください!」

「はい」

 

 トトがいきなり過去を捏造しながら話し出した瞬間、アーシャの鋭い一喝が飛び、回想が中断される。

 

「仕方ないにゃー……いい?」

 

 珠をくるりと回しながら、トトは少しだけ真面目な顔になる。

 

「この力……十の厄災が纏う独特の魔力が使われているのだー!」

「十の、厄災!? 嘘!?」

 

 プリメラはそれこそ今日一番の驚きを見せた。

 何故そんなものが……という驚きもあるが、それを突き止めた彼女の力や観察眼も改めて凄まじいものだと感心する。これにはアーシャも見直しかけたが……。

 

「多分……」

「多分!?」

 

 アーシャが声を裏返らせる。

 トトは自信なさげに視線を泳がせている。

 何だったんだ今の時間はと言いたくなった、わ

 

「だって完全一致じゃないんだもん。薄い、というか、加工されてる感じ? でも根っこの波形は同じ。アタシの観測ではそう出てる」

 

 アーシャとプリメラはごくりと喉を鳴らす。

 球体の内部にある禍々しい紫の光が、物凄く悍ましいものに見えてきた。

 

「勘違いという線はありませんか?」

「ちゃんきょーの身体を()()()()猛毒にも近い気配を感じるから、まぁ可能性は高いと思うヨ」

「何故犯してるという単語を強調したんです……?」

「おほほほ」

 

 ねっちょりと気持ち悪く言ったトトはさておき、プリメラは思案する。本当なら一大事だ……十の厄災は黒竜を含めて大半が消息不明――または休眠状態になっている。

 その強大さゆえに研究はあまり進んでおらず、休眠状態になっている個体は下手に触れないよう、人が近寄れないように封鎖されていたりする。

 

 だがもし仮に、その怪物の力を使おうとする悪党が背後にいるならば――

 

(何としても……突き止めないと……!)

 

 プリメラは表情を引き締めるとトトに聞いた。

 

「その残滓って……追跡できるかな、トトちゃん」

「できるぜ」

 

 ズビシっとドヤ顔したトトは、手に持っていた珠を空中に飛ばす。すると光を放って暫く静止する。

 

「今何をしているんですか?」

「半径2キロ以内に同じ力の残滓がないか確認してるのだよ」

 

 ふふんと偉そうにするトトを見て、アーシャは疑問を抱いた。それは彼女が剣を持たず、魔導具を積極的に使う姿に対してだ。

 

(トト先輩って……魔法剣士……だよね? 魔導具をよく使うなんて……騎士団の中じゃ珍しい……)

 

 新人であるアーシャは他国出身であり、剣聖の弟子に関しては噂話ぐらいしか知らなかった。行く先々でクレームをもらった際も、悲惨になった後を見ただけであり、トトが一体どう戦うのかも……どういう能力があるかをよく知らない。

 それもトトがキアラのように皆から慕われているわけじゃないため、仕方ない側面があるが……それでもこんなに積極的に魔導具を使う騎士はいないため、より異質に見えた。

 

「ん! 見つけた!」

「お! トトちゃんナイス!」

「うへへへへ、ぐひ……」

 

 ニチャアと笑う彼女は、空中に浮かぶ珠を指先でくるりと回した。すると珠はふわりと高度を上げ、北東の方角へとゆっくり滑るように移動を始める。

 

「さぁアタシに着いてきな!!!」

 

 そう言ってトトはまるで子供のようにはしゃぎながら走っていく。アーシャは本当に大丈夫なんだろうかと不安を抱えたまま、プリメラと一緒に後をついていった。

 

 それから数十分後――

 

 珠が導いた先にあったのは、崩れかけた岩壁の裂け目だった。周囲には不自然に踏み荒らされた跡が残り、冷たい風が奥から流れ出しており、かなり不気味な雰囲気だ。

 目的地に着いたトトは空中の珠を手元に戻し、目を細める。

 

「うん、間違いない。ここにさっきと同じエネルギーの反応がある」

「魔物を操っていた力と同じものがここに?」

「YES」

 

 トトはじっとりと洞窟の先に広がる闇を見ながら言った。

 

「転移魔法を使ったのか、空間の歪みみたいなのも計測された。多分ここが転移先に設定されてたんじゃないかな~」

「うん……私の計測用魔導具も反応してる」

 

 プリメラさんがいうなら間違いないのだろうと、アーシャは確信する。本来ならすぐに行きたいとこだが、場所が場所だけに及び腰になっていた。

 

「罠はありそうだ」

「ですよね……トト先輩、先に調べてから中に行きませんか?」

 

 するとトトはくるりと振り返り、にやりと笑った。

 

「罠があったらどうする、アーシャたん」

「……ですから慎重に確認します」

「違う!」

「え」

 

 びしっと指を立てる。

 

「答えは――飛び込む!! どりゃああああ!!!!」

 

 次の瞬間、トトは何の躊躇もなく洞窟へ突撃した。

 

「ええ!? だ、大丈夫なんですか!?」

 

 慌てるアーシャの横で、プリメラは肩をすくめる。

 

「あー、信じられないかもしれないけど……トトがいるから大丈夫だよ」

「は!?」

「信じられないかもしれないけど、トト……私よりずっと強いから」

 

 プリメラがポソリと呟いた内容が信じられなかったアーシャは、本当かよという顔をしていた。身振り素振りが明らかに強者のそれじゃないが……と思っていると、プリメラが追加で言った。

 

「弱かったらアイツの弟子になれてないからね」

「は、はぁ……」

 

 敬愛するプリメラの言葉を聞いても尚信じられないアーシャだったが、そんな彼女の言っていた意味をすぐ理解する事になる。

 

 ◇◆◇

 

 洞窟の中に足を踏み入れた瞬間、三人はわずかに目を見開いた。

 

 外から見た印象とは裏腹に、内部は予想以上に広かったのだ。天井は高く、奥へと続く通路も自然洞窟にしては不自然なほど均整が取れている。

 

 さらに驚くべきは清潔さだった。

 

「……思ったより、綺麗」

 

 アーシャが小声で呟く。地面には魔物の骨も糞もなく、湿気も少ない。壁面にはところどころ削られた跡があり、人の手が入っているのは明らかだった。

 

「簡易的に整備されてるね。隠れ家としては上出来」

 

 プリメラが周囲を警戒しながら言う。

 その横で、トトは鼻をひくひくさせていた。

 

「うんうん……いいねぇ……匂うぜ……」

「何か見つかりましたか?」

「いや雰囲気で言っただけ」

「……」

 

 どや顔で言い返しながら、トトはひょいひょいと奥へ進んでしまった。

 

「ちょ、ちょっと! 勝手に走らないでくださいよー!」

 

 アーシャの制止も空しく、トトは「お先にー!」と軽やかに駆け出してしまう。

 

「もう……!」

「マイペースって言葉を体現した子だよ、全く!」

 

 慌てて後を追う二人。

 やがて通路が開け、ぽっかりと大きな空間に出た。まるで地下広間のような場所だ。天井には小さな魔石灯が埋め込まれ、淡く空間を照らしている。

 

「……アジトですね」

「まぁ完全にそうだね」

 

 2人の意見は一致した。

 だがトトの姿が見えない。

 一体どこに見渡すと広間の中央にいるのを見つけて、プリメラは目を細めた。

 

「……家がある」

 

 場違いなほど小さな古屋がぽつんと建っていた。木材と石で作られた簡素な建物だが、崩れもなく、最近まで使われていた気配がある。

 

 その前でトトが仁王立ちしていた。

 

「アタシのちょー敏感なセンサーがびんびんだぜ……」

 

 珠を握りしめ、目をぎらりと光らせる。

 

「トトちゃん、気をつけてね」

「大丈夫大丈夫!」

 

 振り返りもせず、トトは言う。

 

「アタシら剣聖の弟子には一番大事にしている教訓がある!」

「……その心は?」

「罠はハマってから考える、あと基本的にサーチアンドデストロォォイ!!!」

「行き当たりばったりって事ですよね、それ!!」

 

 言うが早いか、トトは躊躇なく古屋の扉を押し開け、中へと滑り込んだ。

 

「ちょっ……!」

 

 止める間もない。

 プリメラとアーシャは顔を見合わせ、数歩遅れて入口へと近づく。中からは物音ひとつ聞こえない。

 

 そして1分ぐらい経つ。

 

「……爆発とかしませんね」

「してほしくはないけどね」

 

 ひそひそと会話していると、ひょこっと扉からトトが顔を出した。

 

「お二人ともお入りなさいな!」

「本当に大丈夫ですか?」

「今のところは」

「……不安だなぁ」

 

 微妙な言い回しに不安を覚えつつも、二人は中へ入る。

 古屋の内部は想像より広かった。簡易な机、椅子、棚。生活感はある。だが、引き出しは開け放たれ、書類は床に散乱し、明らかに慌てて出ていった形跡があった。

 

「……急いで撤収したみたいだね」

 

 組まなく探していくと、プリメラは床に散らばった宝石のカケラのようなものを発見する。手に取り、魔導具を使って調べると――

 

「通信用に使われたピアス形の魔導具だ……」

「!」

「解析されないよう砕いたんですね」

「でも甘いね……」

 

 よくやる手口だ。

 誰が使ったかわからないように魔導具を破壊するなど。

 ただみくびってもらっては困る、騎士団の中には何人も優秀な人材がいる。プリメラはこれを調べたら誰と会話していたか分かると睨んでいた。

 

「もっと何かあるかもしれない、もうちょっと調べよう」

「はい!」

 

 プリメラが棚の裏や床板を確かめようとした、その時だった。

 

「……」

 

 トトが固まった。

 珠を握ったまま、瞬きすらしない。

 

「……トトちゃん?」

「先輩?」

 

 二人が声をかけた瞬間――

 

「出るよ」

 

 トトの腕が二人の腰を同時に掴んだ。

 

「え」

「ちょ――」

 

 トトは床を蹴り、信じられない脚力で入口まで一気に跳び、外へ飛び出した。

 

 直後――古屋の床が内側から爆ぜた。木材と石片が吹き飛び、地下から黒い巨体が突き上がる。

 

「な、なにこれぇぇぇぇ!?」

 

 アーシャが悲鳴を上げる。

 地面を割って現れたのは、全高8メートルはあろうかという巨大なゴーレムだった。岩と金属を混ぜたような体躯。その全身には幾何学的な魔法陣が刻まれ、紫の光が脈動している。

 

「……しっかりと武装されてるね……やれやれ」

 

 プリメラが息を呑む。

 こんなとこで暴れられたら洞窟が崩落する。

 ゴーレムを置いたのは、生き埋めにするためだろう。

 

「どうやら罠はあったみたいだね!」

 

 しかしトトはいつも通り、これにはアーシャもポカンとしていた。

 

「たぎるなこりゃ」

「たぎってる場合ですか!?」

 

 トトは二人をそっと地面に下ろす。

 

「まぁまぁ下がってなさいな、アタシがちょいちょーいてやっつけるから!」

「え……?」

 

 トトはニコニコ笑っていた顔をゴーレムに向けた瞬間――

 

「敵ハ破壊スル」

「……!!」

 

 目から光が消え、顔は一瞬で無表情になる。

 あまりの変貌にアーシャは言葉を無くす。

 

「敵性存在ヲ確認」

 

 とてもさっきまでふざけていたとは思えない、抑揚のない声を発したトトは機械的に敵を分析する。

 

「脅威度、高……短期デノ解決ガ望マシイ。プリメラ、アーシャ、両名ノ生存ヲ最優先事項ト設定。敵ヲ排除スル」

「トト先輩……?」

 

 アーシャの呼びかけにも反応はない。

 トトは片手を上げ、指を弾いた。

 ベルトから小型の球体魔導具が複数射出され、二人の周囲を高速で周回する。

 

「防御陣、展開」

 

 球体同士が光の線で結ばれ、瞬時に半透明のドーム状シールドが形成された。紫の魔法陣の衝撃波が直撃しても、びくともしない。

 

「ドームカラ出ナイデ」

「ほら、アーシャ」

「は、はい……」

 

 2人の安全を確保したトトは前へ出る。

 同時に、背後から六基のビットが展開。高速回転しながら彼女の周囲に円環を描く。

 

 足元に純白の魔法陣が広がった。

 

「光属性出力、上限解放」

 

 ゴーレムが拳を振り上げる。

 その瞬間――ビットが一斉に軌道を固定した。

 

「照射」

 

 直後、空気が裂けた。

 ゴーレムの胸部に刻まれた魔法陣が激しく明滅し、灼熱の炎柱が渦を巻いて放たれる。洞窟内の温度が一瞬で跳ね上がり、岩肌が赤く染まった。

 

「……装甲ノ損傷ヲ確認」

 

 トトは一歩も動かない。

 六基のビットが唸りを上げ、高速で軌道を変える。放たれた炎に対し、ビットが交差するように滑り込み、光の刃を形成すると炎の奔流が真っ二つに切り裂かれた。

 

「炎属性ノ魔法ヲ検知」

 

 淡々と解析しながら、ビットが円陣を組む。中心に凝縮されていく光は、やがて脈動する巨大な光弾へと変貌した。

 ゴーレムが咆哮のような振動を発し、両腕を叩きつける。床が砕け、衝撃波が走る。

 

「発射」

 

 圧縮された光弾が一直線に放たれ、ゴーレムの上半身へ直撃した。爆ぜる光と共に巨体が宙を舞い、洞窟の壁面へと叩きつけられる。岩が崩れ、土煙が舞い上がった。

 

「な、なんなんですかあれぇぇ!?」

 

 ドーム内でアーシャが悲鳴を上げる。

 

「トト先輩どうしちゃったんですか!? なんかいきなりオートマトンみたいに……!」

 

 プリメラは目を細め、光の中で無表情に立つトトを見つめる。

 

「……あの子はね」

 

 再び立ち上がろうとするゴーレムを見据えながら、静かに言った。

 

「騎士団の中で、唯一魔法剣士じゃないの」

 

 アーシャが目を瞬かせる。

 

「え……?」

「とは言っても正確に彼女のスタイルをいうのは難しい。彼女は精霊由来の人智を超えた魔力操作技能を持っていてね。剣を使うより魔導具を持たせた方が強いの」

 

 飛び交う彼女を見ながらプリメラは語る。

 トトはどの戦闘スタイルにもない戦い方をしており、レクスディアからは剣術をはじめとした武術は教えていない。強いて言えば戦術的な考え方、精神、魔法の行使、魔導具に刻まれた術式そのものを、自分でいじったりする技術などだ。

 

 そして彼女は自らの手で魔導具を作り出し、彼女しか出来ない戦い方を編み出した。それは保有する約5000個の魔導具を活用した人型兵器という、殺戮に特化したスタイルだった。

 

「――そして彼女がいきなり無機質になったのは、戦闘時になると思考の全てを戦闘に割くからなの」

「へ……」

「今回で言えば……ゴーレムの破壊になる。すると彼女はゴーレムを壊すまでは止まらない」

 

 プリメラの中でトトは話していて楽しい後輩だ。

 クセしかない子だが、基本的にいい子だ。

 しかし戦闘時の彼女は個人的に剣聖の弟子の中じゃ一番怖いと思ってる。

 

「ある意味で……一番殺戮兵器を体現してるのは彼女よ」

「……そんなすごい人だったんですか」

「人は見かけに寄らないって奴ね」

 

 にしても変わりすぎだけど――と付け加えつつ、プリメラはトトを見る。

 

「もうそろそろ終わるわね……」

 

 プリメラの言葉を裏付けるかのように、トトの周囲でビットが再編成される。

 

「外殻硬度、再計測。中枢……位置、特定完了」

 

 解析されてるとも知らないゴーレムは立ち上がり、全身の魔法陣を最大出力で輝かせる。炎と衝撃波が同時に放たれ、洞窟を揺らした。

 

 だがトトは一歩踏み込む。

 

「一点突破」

 

 六基のビットが一直線に並び、収束した光が錐のように尖ると超高密度の光束がゴーレムの胸部へ穿たれた。装甲が赤熱し、次の瞬間、金属と岩が弾け飛ぶ。ぽっかりと空いた穴の奥に、脈動する核が覗いた。

 

「侵入」

 

 命令と同時に、ビットがその穴へ滑り込む。

 ゴーレムが暴れ、腕を振り回す。だが内部に入り込んだビットは止まらない。

 

「バラバラニシロ」

 

 直後、装甲の隙間という隙間から純白の光が漏れ出す。

 内側から放たれた光の刃が縦横無尽に走り、関節、支柱、魔力導管を寸断する。巨体が不自然に傾き、脚部が崩れ落ちた。

 

「中枢、破壊……確認」

 

 最後に胸部から巨大な光の柱が噴き上がる。

 次の瞬間、ゴーレムは内側から弾けるように四散した。岩の破片と金属片が雨のように降り注ぎ、やがて静寂が戻る。

 土煙の中、トトは無表情のまま立っていた。

 

「――ふぅ、やっぱ邪魔者はぶち殺すに限るね」

「…………ひぇ」

 

 ニコニコしながらドヤ顔するトトを見て、アーシャは思った。

 

 あとで散々舐めた口聞いてすみませんでしたと。

 

 ◇◆◇

 

 夜の王都は、昼間の喧騒が嘘のように静まり返っていた。石畳の大通りには魔導灯が等間隔に灯り、淡い光が三人の影を長く引き伸ばす。

 討伐の余韻を残したまま、トト、プリメラ、アーシャは王城へと戻ってきていた。

 

「とりあえず、ゴーレムの残骸は回収班に任せておいたわ。例の通信魔導具の破片は私が大団長にも共有して、明日あたり解析する」

 

 プリメラが書類束を軽く叩く。

 

「上に報告しないといけないことが山ほどあるわね。地下にあんな代物を仕込むなんて……一体誰がやったのやら」

「ですね……」

 

 アーシャは小さく頷きながらも、ちらちらとトトを見る。

 当の本人は、街路樹の枝にとまった虫を眺めながら鼻歌を歌っていた。ついさっきまで殺戮兵器と称された人物と同一とは、とても思えない。

 

「私たちは先に上へ報告に行くわ。トトは?」

「んー? アタシは自分の工房寄ってから帰るよ。魔導具の確認したいしー?」

 

 じゃあここでお別れか――そう思った瞬間、アーシャがトトの前に立つ。

 

「あの、トト先輩」

「ん? どったの」

 

 振り返るトトの顔は、いつもの人懐っこい笑みだ。

 アーシャはぎゅっと拳を握り、深く頭を下げた。

 

「さっきまで、その……失礼なことを沢山言ってしまって……申し訳ございませんでした!」

 

 夜の静寂に、はっきりとした声が響く。

 プリメラは黙って見守る。

 一瞬きょとんとしたトトは、やがてふっと柔らかく笑った。

 

「えー? 全然気にしてないけど?」

「で、でも……昼とかあんな失礼な事を……」

「いやいやナイスツッコミだったよ、素人にしちゃ」

「素人……?」

 

 玄人は何を指すのと頭にハテナを浮かべるアーシャをよそに、トトはアーシャの肩を軽く叩く。

 

「アタシは全然気にしない、むしろいつもより楽しかったよ? 久々にテンションぶち上がってヒョオオ↑ってなったし」

「……わ、私も楽しかったです! 蓋開けたら!」

「蓋」

 

 若干気になる言い方だったが、トトはアーシャの頭を撫でながら言った。

 

「だからさ、今後も仲良くしてくれ……かわいい子といるとアタシは楽しい」

「善処します!」

「それ絶対仲良くしないやつ!」

 

 わざとらしく肩を落とすトト。

 その仕草があまりにも“いつも通り”で、アーシャは思わずくすりと笑った。

 

「……なんか、トトさんらしいですね」

「でしょ? 安心した?」

「はい。ちょっとだけ」

「ちょっとかい!」

 

 びしっとツッコミを入れるとプリメラが小さく息をついた。

 

「ほら、行くわよアーシャ。上司を待たせると面倒よ」

「は、はい! それでは、トトさん……先に失礼します!」

「はーい、報告がんばってねー。変に盛らないでよ?」

「盛りません!」

 

 二人は城門の奥へと消えていく。

 残されたトトは、しばしその背を見送り――にやりと笑った。

 

「やっぱりかわいいナオンはたまらんじゃけぇ……」

「何でそんな嫌なおっさんみたいな事をいう」

「ぴょ!?」

 

 いきなり背後から声が聞こえてきて、驚いたトトが飛び上がる。振り返るとそこにいたのは――推し(レクスディア)だった。

 

「ちゃんきょー! 今日一緒じゃなかったの寂しかったぞー! ちゅっちゅっちゅ」

「はいはい」

 

 ガバッという効果音が聞こえる勢いでレクスディアに抱きついたトト。レクスディアはため息を吐いてはいたものの、飛び込んできた彼女を受け入れた。

 

「今日!! ちゃんと頑張ったぜ!!!」

「夜中だから声を小さくな」

「すんまへん」

 

 えへへと笑うトト。

 それを見たレクスディアはそんな彼女を優しく撫でた。

 

「わわ」

「トト、よくやったな」

「……」

 

 優しく撫でられたトトは、ふと昔を思い出した。

 

 ――俺たちはお前の味方だ、好きに振る舞え、そんなんで離れないから――

 

 トトは昔からこんな感じでずっとふざけていたせいで、友達がいなかった。両親を亡くし……騎士団に引き取られた後、真っ先にレクスディアと彼の教え子たちは仲良くしてくれたおかげで、変わり者だけど悪い奴じゃないと認識されてから友人も出来た。

 

 人生をいい方向に変えてくれたレクスディアに、彼女は全てを捧げると決めたのだ。

 

(あー……やっぱすきだなぁ)

 

 皆辛辣なツッコミをしてきてはいるが、なんだかんだで仲間意識はかなり強い。トトがピンチになったら、当たり前のように命懸けで助けるぐらい、大切に思っている。そしてそれはレクスディアも同じ。

 

「ちゃんきょー、今度は他の皆みたいに時間作ってね」

「当たり前だ、今日は近くにいてやれなくて悪かったな」

「ほんとだよ、埋め合わせよろぴく〜」

「お調子者め……仕方ない」

 

 トトはレクスディアと手を繋いで本部へ戻った。

 その姿はまるで本当の家族のような光景だった。

 




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