ソシャゲの序盤で死ぬヒロインにTS転生したけど、とりあえず主人公くんをいじりたい 作:あまぐりムリーパー
うー、海は疲れたね。家でぐったりしてる。
今日も、なぜか怜菜の作り置きがあるのでいただこう。おいしい。なんかあいつ、本当にずっと世話してくるんだけど。
……さすがに、水着を着た経験があるってだけでなんか、大事なものを失った気がする。
いや、他にも色々あったけどさ。
あの砂浜には、混合型一体倒して以降はすぐには深禍は出ないんだって。頑張った甲斐があったね。
……私、なにもしてなくない?
まずいかな。なんか、マヒロとちょっと知り合ったぐらいかな。
というか、そもそも私はメンタルを鍛えたかったんだよ。そのための運動をしたいよ!ってことだったのに、あんまりメンタルの変化を感じない。
強いて言えば、マヒロと話してるときは荒れることはないぐらいか。なんかね、自分よりも不安定だからさ。
……もしかして、ここによわよわメンタル改善の鍵が!?
よし、マヒロに無理矢理関わりにいくか。
これはもらったね。
……まあ、みんなに抱きつかれるのも満更じゃないけど、渚くんとの不健全すぎる関係もよくないしさ。
――ブブブブ
と、思っていたときにスマートフォンが震えた。
なんだろう、と思って画面を開くと学校からの連絡。
要約すると、私に出撃予定があるよ!ってことだ。……飯島夏音が戦えないもんなあ。
第四深禍災害までの道を私が作るってのはまあ、いいんだけど。ゲームなら、飯島夏音のサポートの下、渚くんたちが到達するはず。
チームブルースカイは割と上澄みだからね!
……まあ、でかいのに通じる火力は結局、帆花ぐらいしかないんだけども。
うーん、私が飯島夏音の代わりか。
そりゃ、アバドンの力を振るえばそこらの雑魚なんて全部、倒せるけどね。
でも、私の力を使うにはコネクトリンクが必須だし。私も結構、ギリギリの存在だから無事にいけるかな?
まあ、やるしかないけど。
……今回は無事終わるといいなあ。と、そんなことを不安になっていたら、久しぶりに寝不足になった。
もう、悪夢はほぼ解消したはずなのに。面倒だね。ふあぁ、ねむっ。
というわけで、ねむねむのまま学校に来たよ!寝不足だから、テンションも乱高下!
……まあ、私は保健室登校もどきだから、あんまりここでやることもないんだけどね。
なので、明上蒼空ちゃんは放課後まで暇しています。勉強とかはちょっとやるけどね。
それ用の教室でちょろっと授業を受けて、廊下で佇んでる。
「あー、暇だなー」
「そうですねっ!」
ん?
「あっ、どうも?」
右手にギプス、眼帯と左手に包帯を巻いた満身創痍の女の子がいた。
この黒い短髪と、表情だけで覗かせる妙な明るさの子。見覚えがある。
「私、飯島夏音って言いますっ!」
「え、えっと。私は明上蒼空だよ」
食い気味にくる飯島夏音に、ちょっと驚いて引いてる感じで答えちゃった。
……にしても、本当に大怪我だなこの子。
私の顔を見て、なにかに気付いたように「あ」と声を上げた。
「あなたが、明上蒼空さん?わー、聞いてた通りかわいいーっ!」
「……めっちゃ、ぐいぐいくるね?」
「えー、だってかわいいですもん。マヒロちゃんが言ってたの、本当だったんだー」
「そ、そう」
と、言いながら人のことをじろじろと見てくる。
……えっと、何?
飯島夏音がいるなーって思ったら、すごい近寄られてからめっちゃ見られてる。話の内容的に、マヒロが私のことを話してるみたいだし。
よくわかんないね。
こういうときにさ、かわいいって言われてもなんかあんまり嬉しくないんだよね。
なんでかなーって思ってたんだけど、私ってゲームのキャラだからそりゃそうでしょってなるんだよね。
悠里とか渚くんに言われたときには違ったから、ちょっと不思議。
気が済んだのか、夏音はぴたり、と止まってスマートフォンをいじり始めた。
なんか、マイペースだな。
「で、この前マヒロちゃんと会ったんですよねっ?」
「え、しってるの?」
「うん。この前、海行くって急に言い出して」
「……えっ、私たちは出撃ついでに行ったんだけど」
「マヒロちゃんは無断だよ。よっぽど、あなたと会いたかったんだね?」
「えっ、そうなのかな」
まあ、確かに興味津々だったけど。
つまりだ、水着選んでたときにこいつ海行くじゃん!って思われて、そのまま来たってこと?
マヒロさ、推しに対する行動力だけバグってるタイプだよね。普段、気弱なのにさ。
……まあ、ゲームの推しに会えるぞ!って気持ちならそうなるか。
いや、推しみたいなものなら監禁しようとするんじゃないよ。
「後から連絡したんですけど、なんかちょっと凹んでたと思ったら帰ってきたらわりと元気だし。蒼空ちゃん、何かしました?」
「いきなりちゃん呼びなの、距離の詰め方えぐ」
「ヘラってそうな子にはごり押しでいきますよ!」
「誰がメンヘラだよ」
「まあまあ。それはそれとして何かしました?」
「うーん……」
なにもしてないなあ。強いて言えば、マヒロと転生者同士ってわかったことぐらい?
もしかしたら、それだけかもしれないけど。
いやでも、あれかな。混合型一緒に倒したこととかかも。
「まあ、同じような存在ってわかったことぐらい?」
「やっぱりメンヘラだっ!?」
「おい」
「あははっ、冗談ですって。マヒロちゃんみたいにリスカしてなさそうだし」
「急にぶっ込んでくるなよ!」
「手首が横断歩道って言ったなあ」
「もはやジョークの域を越えてるよ!?」
とんでもないことを抜かしながら、けらけらと笑っている。
……確かに、こんなキャラだっけ。
飯島夏音は、だいたい敬語でマイペースで、楽観的から来る明るさをまわりに振り撒いてる。
原作だと、わりと渚くんも振り回されてたなあ。
「というわけで」
「どういうわけ?」
「私が怪我しちゃって、チームがあんまり機能してないんですよね」
「あー……」
飯島夏音の役割は、サポート役だからそれがいないとちょっと困るのかな。
「なので、マヒロちゃんをあなたに託します!」
「……なんで?」
「ほら、もうすでに知り合いだし?あっ、知ってます?私のスキルって、第四深禍に結構有効らしいんですけど」
「ちょっと待って、話が切り替わりすぎ」
「マヒロちゃんはそれちょっとコピーできるから、有用ですよ?」
「ああ、一応マヒロを売り込むための話だったんだ……」
まあ、マヒロがいると助かることはありそうだけど。
私だって、雑魚を殲滅してくれない?って連絡来てたしね。
「《サウンドウェーブ》――"ネガティブビート"」
どうしようかな、と考え込んでいたときに、低い音が少しずつ頭の中にじんわりと染み込んでくる。
じくじく、と心に嫌なものが染みてくる感覚。陰鬱な気持ちが広がる。
「ねっ、蒼空ちゃん」
「……ん」
それを、夏音の声が和らげる。心地いい声の響きが、私の気持ち悪さを晴らしていく。
手がとん、と頭の上に乗せられた。私の髪を静かに梳く。撫でられる感覚が心地いい。
「マヒロちゃんのこと、よろしくお願いしますね?」
「……はい」
気づけば、ゆっくりと頷いていた。
◇◇◇
ということがあり、チームの部屋に行く前に見つけたマヒロを強引に連れていった。
今思えば、洗脳か何かされていた気がするというか。スキルで変なことされてなかった?
……そんな描写、ゲーム上ではなかった気がするんだけど。
次、会うときは気を付けよう。あの子のテンションも独特だし。
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チーム内で怪我人が出た場合、そのチームは一時活動停止する場合があります。
出撃時の敵の規模によって決まりますが、大規模な作戦ではチームメンバーをそれぞれ別チームに割り振るなどして対応します。
なんか思ったよりもやばい子になっちゃった