ソシャゲの序盤で死ぬヒロインにTS転生したけど、とりあえず主人公くんをいじりたい   作:あまぐりムリーパー

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TS娘はもやもやするのでいじりたい

 チームの一員に臨時でマヒロが入ることになったよ!

 一員になったので、チームの部屋に来てもらうように言ってる。

 

 まあ、助かるよね。だって、マヒロのスキルって持続時間が短いだけでいろんなスキル使えるんでしょ?

 

 強いじゃんね。

 

 うん、それはいい。それはいいんだ。

 

「うう、蒼空ちゃん……なんでボクのこと撫でてるの?」

「八つ当たり」

「なんでぇ!?」

 

 マヒロの黒と灰の混じったような髪をわしわしとかき分けながら撫でてる。

 

 なんか、渚くんとマヒロが握手してるのを見てもやもやした。……なんでかはよくわからない。そういうことにしておく。

 

 だから、もやもやを晴らすためにマヒロをいじってる。

 

 なんかちょっと、髪の毛痛んでない?

 毛先いじいじしてるからそのせいかな。

 

「蒼空ちゃんってその……」

「ん、何?」

「いやその……」

「えっ、何?」

 

 何か言いかけたマヒロがずっと、その先を言わない。なんなんだよ。気になるじゃん。

 

 ムカついたので、ついでにほっぺもつついておく。

 

「ひゃんっ」

 

 ……変な声出されたからやめておこうかな。

 

「で、結局なんなの?」

「ひゅぐっ」

「あっ、ごめん」

 

 なんとなく感触が楽しくて、つつくのはやめたけど、ほっぺを引っ張ってしまってた。

 

 楽しいからつい。

 

「んで、なんだったの?」

「その、篠崎渚のこと……」

「渚くんのこと?」

「えと、好きなのかなって」

「あー、マヒロもそれ気にするやつかあ」

 

 うーん、みんなそんなに気になるのかなあ。

 

 そんなに周りから見てるとそうなるの?

 

 正直な話をすると、そこそこ好きではあると思う。

 でも、これぐらいは悠里も同じだったんじゃないかな。そう思うんだけど、違うような気もする。

 

 だからちょっと、本当にそういう関係になってみて確認したかった……んだけど、冗談で言ったら反撃されちゃったしなあ。

 

 ……あと、俺が本当に男とそういう関係になっても抵抗が本当にないのかって気持ちもあるけどな。

 

「その、この前嫉妬みたいな感じだったから……」

「ああ、なるほど?」

 

 えっ、このもやもやはそういうこと?

 

 いやでもなー、よくわからんし。

 

 よし、初心に戻ってみよう。まず、渚くんをいじって自分の気持ちをある程度整理するか。

 

 マヒロをいじいじしすぎたからね!

 

 まあでもね、マヒロと接してるとメンタルは荒れてないね。この子に甘えることあるわけないしな。

 

 ……長袖から覗かせてる包帯に突っ込んでいいのかとかよくわからないし。

 

 私も、そういうことしかけたことあるけど下手にスキルで回復できる分、限度を超えてしまいそうだから、やめたんだけども。

 

 ……ま、それは置いておいて。さっそくいくよ!

 

「なーぎーさーくーん」

「えっ、うわっ」

 

 後ろからガバッと勢い良く抱き締める。

 

 希沙と怜菜が目を丸くしてる。

 帆花に至っては普通に引いてる。

 

 でも、今はどうでもいい。接触してる部分から伝わる体の熱を感じる。

 

 じんわりと温かい。

 

「……蒼空さん、急にどうしたの」

「えーっと、実験?」

「甘えてるんじゃなくて?」

「甘えん坊じゃありませーん」

 

 ……いや、甘えてるかも。安心するんだよね、こういうの。

 

 ハグがストレスを緩和するって話があった気がするけど、そういうことかな。

 

 とくん、と鼓動が早くなっていく。

 

「……蒼空さん?」

「なぁに?」

「離れてくれない?」

「やだ」

 

 もう、渚くんは最初みたいに照れてくれない。悲しいね。

 

 ……何やってんだろ、俺。急に恥ずかしくなってきた。やっぱり不安定なんじゃない?

 

 渚くんで落ち着いてるのも変だし。

 

 不意に、手を触れられた。渚くんが、私の手を握っていた。

 

「蒼空さん、そろそろいい?」

「……ん」

 

 気付いたら頷いていた。顔が熱い。

 

 この触れ合いだけが、私の心を繋いでるのかもしれない。

 

 だって、この瞬間があるだけでこの心の空虚が消えてるから。

 

 これを言葉にするならもしかして、「依存」なんじゃ。

 

 なんて、ことを思いながら手の温もりを感じた。

 

◇◇◇

 

「ということがありまして」

「私は、なんで毎回相談されてるのかしら」

「帆花でもいいけど、からかわれそうだし」

「ナチュラルに黒河希沙は入ってないのね。わかるけれど」

 

 と、なんとなーくそれっぽい気持ちを自覚?したので、怜菜に相談してる。

 

 そのせいで、私を安定させるためのコネクトリンクの時もちょっと変な気持ちだった。

 

「で、メンタル安定のために運動するぞ!とか思ってたけど、そういう問題かなあと思ってね」

「ふうん。で、自分よりも下の西園マヒロと関わってるときはましになってるってことね」

「言い方なんとかならない?」

「でも、実際そうでしょう?」

「……まあそうだねえ」

 

 マヒロといると安定してるのは、いつもみたいに不安にならないからだ。

 

 だって、この子の方が不安定そうだから。

 

 たぶん、他のみんなは私がなんとかしないと!って思うことはない。私よりもしっかりしてる。

 

 でも、マヒロはそうじゃない。誰かがきっと、引っ張って上げないといけない。

 

 なんとも醜悪な人間性だ。自分よりも弱い人を見て安心するなんて。

 

「正直、あなたの心のことはゆっくり治していくべきよ。あんまり焦って考えることでもないわ」

「まあそうなんだけどさ……第四深禍災害でどうなるかわからないでしょ」

 

 今度、私が出撃するときはこの力を思いっきり使うことになる。

 

 別に、カースシーカーのスキルは精神に左右されるわけではないけど、アバドン化した私の力は不安定だから何が起きるかわからない。

 

 だから、焦ってしまったのはそのせいかもしれない。

 

 たぶん、もうすぐだしね。

 

「じゃあ、もう思いっきり篠崎渚に甘えてしまえばいいんじゃないかしら」

「……いや、でも」

「依存でもなんでもいいわ。あなたがまた死にそうになってしまうぐらいなら、そっちの方がいいもの」

「私はよくないんだけど」

「恥ずかしいから?」

「……まあ、そういうところはあるよね」

「へえ」

 

 はあ、やっぱり認めたくはないし。

 

 マヒロでメンタル強化を強行しながら、出撃まで頑張るか。

 

「まあでも、あなたが思いっきり篠崎渚に甘えてしまったら、私があなたを甘やかせなくなるのは残念ね」

「包容力では圧倒的に上だから問題ないんじゃない?」

「あまり変なこと言ってると、抱き枕にするわよ」

「それはやめて」

 

 ……でもまあ、みんなも甘やかそうとしすぎだと思う。

 


 

[アーカイブ]

 

 出撃に関する情報は育成機関から通達されます。

 これは国直属の対深禍機関からの命令が、育成機関を通じて連絡されています。

 

 稀に、育成機関を通さずにカースシーカー本人に連絡されることもあります




次はV回予定
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