ソシャゲの序盤で死ぬヒロインにTS転生したけど、とりあえず主人公くんをいじりたい 作:あまぐりムリーパー
肩にもたれ掛かる温もりを感じる。チームの部屋で、たまたま蒼空さんと二人になっていたら、いつの間にか蒼空さんが眠っていた。
「ん……」
さらさらとした銀色の髪が、いつの間にか後ろで括られてた。シュシュのようなもので後ろを結っている。
希沙さんと買いにいくって言ってたから、きっとそれだと思うけど。
寝ている蒼空さんの頭に手を伸ばした。髪や頬を、つい触ってしまう。
一度触ったその日から、少しずつ蒼空さんに心を侵食されてるような気がする。
好きなのかもしれない、そう思った。
思えば、チームを結成された日からずっと、蒼空さんのことばかり考えていた気がする。
「渚、くん?」
うっすらと、蒼空さんが目を開いた。まだ、頬を触れていたタイミングだった。
「……ねえ、触りすぎじゃない?」
「つい、触りたくなってしまって」
「えっち」
「ねえ、まだ触ってもいいかな?」
「いやあの……その、ほどほどにしてもらえると……」
頬を紅潮させて、縮こまる。そんな蒼空さんが愛おしくなって不意に抱きしめた。
「ふみゅっ!?」
まるで抱き潰すように、ぎゅっと抱きしめる。……やっぱり、この人のことが好きなのかもしれない。
「……はあ、しょうがないから許してあげるね」
「ありがとう、蒼空さん」
温もりが直に伝わる。僕の背中に、蒼空さんの手が回された。
とくん、と鼓動の音が響いていく。これは、蒼空さんの心臓の音だ。ここで生きている。
あの日、助けられて本当によかった。
「蒼空さん、もういなくなろうとしたりしないよね」
「何、急に。私はもうそういうの考えてないよ」
「そうなんだ。男っぽい蒼空さんも?」
「……俺のことも気にしてんの面倒くさいね」
「蒼空さんの方が面倒くさいけどね」
あはは、と胸の中で蒼空さんが笑った。
「結局、俺と私が混ざっててよくわからないんだよね」
「どっちの蒼空さんも、まあその……好きというか」
「……なんかはっきり言うようになってきたな。はずいんだからほどほどにしてよね」
「じゃあ、ずっとこうしてようかな」
「はよ離せ、ばーか」
ぐいっ、と急に引き離された。顔を真っ赤にしてて可愛い。
「昔、よく言ってたよね。僕を摂取してるだとかなんだとかって」
「……よく覚えてるね?」
「だから、僕も蒼空さんを摂取しててもいいかな」
「……勝手にすれば?」
赤い顔を隠すように蒼空さんは顔を背けた。
「一つ聞きたいんだけど」
「……なんですか?」
「蒼空さんは付き合ってもいいの?結局」
「……別にいいけど」
いいんだ。あの半分本気とか言ってたのって本当だったんだね。
「どうせ、私は渚くんといる時間が長いし。それに、割と渚くんに依存してるからね?」
「……そんな理由?」
「そんなもんでしょ。お触り魔の渚くんに心を全部許したらどうなるかわからないからね」
「……そこまでじゃないと思うけど」
「惜しいなら、私をちゃんと惚れさせてみてね」
いたずらっぽく笑う蒼空さんに、初めて出会った時の雰囲気を思い出して、懐かしくなった。
すっかり夏になってしまった、じめっとした風が流れていく。
「じゃあ、蒼空さんを惚れさせたら、お触り魔の僕が暴走してもいいんだ」
「……よくはないけど、許してしまうかもなってこと」
「なんか、蒼空さんの方がえっちじゃない?」
「なにおう」
こつん、と胸元を小突かれる。小さな白い手、いつか見たときに消えてしまいそうだったその手も今はここにある。
「……そういえば言い忘れたんだけど」
「どうしたの?」
「一応、私の前世って男だからな?」
「……ああ、だから俺とか言ってるんだね」
「いや、そっちじゃなくて。元男と付き合うことに抵抗とかないの?」
少しだけ心配そうに、揺れた瞳が見える。
「あんまり気にならないかな」
「……そうなの?」
「だって、蒼空さんがかわいいし」
「言えばいいと思ってんでしょ、アホ」
強めに肩を叩かれた。
でも、本当なのに。
たとえ、元々男だったとしても、別に今の蒼空さんはかわいいのは変わらないし。
というよりも、もしかしたら男が混じったからこそ不安定になって、その弱さがかわいく見えるのかもしれないけど。
少なくとも、この理不尽な世界でもう少し、蒼空さんと過ごせたらいいなと思いながら、この部屋に向かってくる足音の音が耳に届いた。
今日はもう触れられないのかと思うと、少し寂しい。
がらがらがら、と開く扉の音と共に、夏はどうやって蒼空さんと過ごそうか、そのことを考えた。
おそらくおまけはここぐらいまで
予想通りだけど、アンケートが圧倒的すぎる
好きなキャラ
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明上蒼空
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篠崎渚
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黒河希沙
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琴塚怜奈
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椎柴帆花
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西園マヒロ
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飯島夏音