ソシャゲの序盤で死ぬヒロインにTS転生したけど、とりあえず主人公くんをいじりたい 作:あまぐりムリーパー
TS娘、七夕でお願いごとをする
夏の日差しが眩しくなってきた。
なんていうか、疑似付き合いみたいな状況になっているんだけどね。
何がって?それはこう、言葉にしたくないっていうか。
「蒼空さん、どうしたの?」
「みゅっ、近いよ渚くん」
「だめなの?」
「……駄目じゃないけど」
……渚くんは、ずっとぐいぐい来る。なんなの、本当に。
第四深禍災害を倒してから、割と緩やかに過ごしている。
とは言っても、出撃しにくいんだけどね。だって、
相当やりにくそうだよね、上の人たちがね。
ふと思ったんだけど、私って元から黒髪黒目だったのにアバドン化の影響でこんなにキャラクターチックな見た目になってしまうなんて。ちょっと不思議だよね。
キャラクターだけどね。
……たまに、元の明上蒼空にキャラ崩壊でちょっと怒られないかなと思ったり。
さらり、と渚くんの手が私の髪に触れた。
「こら、このお触り魔め」
「ごめん、つい触りたくなって」
「今日は駄目」
渚くんの手をなんとか振り払う。この人は許すとどこまでもやってくるし!
ほどほどにさせないと。
今日は、たまたまショッピングモールに来ている。そこで短冊を見て、そういえばそんな時期だなと、ぼんやりと考えた。
夏祭りとかあるのかな。浴衣を着るなら誰が似合うんだろ。ゲーム内ではなかったっけ、そういうの。
……そういえば今まで着たことなかった気がする。妹の結愛は、着てたと思うけど。
結愛はいい子だったな、こんな歪な私でもなんとか受け入れて、ちゃんと女の子させようとしてくるタイプだった。
もしかしたら、私がちゃんと気を付けていたら。
結愛が生きる道もあったのかもしれないけど。
……なんて、しんみりとしたことをたまに考えてしまうのは変わらない。
もう一度、あの時失ったみんなと会いたいけど。
新しくつかみ取った未来にも、目を向けないといけないから。
「蒼空さん?」
「……なんでもないよ」
と言い終えると同時に手を握られた。熱がゆっくりと伝わってくる。
「何かあるなら言ってね」
「……お触り魔に、気遣いされちゃった」
「煽ってるなら、たくさん触るけどね」
「こら」
胸にじんわりと暖かいものが広がった。ずるいよ、本当に。
やるじゃん、主人公。
仕返しとばかりに、握ってる手に指を絡ませた。それに渚くんも応じてくる。最初はこれで赤くなるぐらいに可愛かったのにね。
まあ、ほぼ毎日繋いでるから仕方ないのかもしれないけど。
いや、毎日いちゃついてるの?って意味ではなく、コネクトリンクが必要なだからなだけだけどね?
……何に言い訳してるんだろ。別に、マヒロにしてもらってもいいけど、私はそのまま渚くんにしてもらっているし。
「書いてみる?蒼空さん」
「何を?」
「短冊」
ああ、そっか。そういうものだったな、これって。
「やろうかな」
「お願いしたいことでもあるの?」
「あったりなかったり」
「……気になることばっかり言うね」
「そんな変な子に付きまとわれてるのが君の運の尽き、なんちゃって」
「お得だけどね」
「こいつ」
調子に乗らないでよね、本当に。ちゃんとブレーキかけないと、どこまで暴走するかわからないし。
にしても、渚くんって原作からこうだったかなあ。ここまで積極的じゃなかったと思うんだけど。
えっ、じゃあ私のせい?
いやいや、そんな。……そうなの?
だとしたらさ、どこに影響されたんだろ。やっぱり、明上蒼空が生きているって状況なのかな。
まあ、原作キャラと私はだいぶ違いますけども。清楚ー!って感じだった気がするし。そんなテンション高くなかったし。
「蒼空さんは書かないの?」
渚くんはもう、願い事を書いたみたい。
「なんて書いたの」
「普通のことだよ」
「どんな感じのこと?」
「……蒼空さんと、平和に過ごせたらいいなって」
「それはせめて、チームのみんなでにしなよ」
「でも、一番大事なのは――」
「はいはい、私も書こうかな」
……こういうさりげない時でも、そういうことを言ってくるのがむかつく。
別に、そこまで大事にされなくてもいいよ。
私は、別にカースシーカーの一人でしかないんだからね。
というか、特別扱いされすぎるとみんなの目が変な感じになるの!勘弁して!
そんな文句を言えないまま、私は短冊に書き連ねた。
「蒼空さんってそういうところあるよね……」
それを覗き込んでくる渚くんがそういうもんだから、
「お願い事ぐらい好きにさせて」
と返してそっぽ向いた。
吊るされた短冊に、「みんなと生きたい」なんて書いたのを知られたら、チームのみんなにも同じような反応をされるのかな、なんて思ってしまうけど。
じめっとした風が通り過ぎていく。
私たちの日常も、こうやって続いていくといいな。
好きなキャラ
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篠崎渚
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黒河希沙
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琴塚怜奈
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