「親切なスパイ!ローネです〜」
「知ってるよ…ていうかいつも思うけどスパイ宣言していいのかよ」
「教主さんだからいいんです!どうせ隠さなくてもバレますし」
「バカ丸出しだな…あ、そうそうローネにプレゼントだよ」
朝、ローネが私の所に来ると急に言ってきたので部屋で出迎えた。そして何も出さないのはあれなので、私はローネに作りたてのとんかつを差し出す。もちろん、いつものやつだけど
「こ、この匂いと見た目は!私の好きなとんかつですよね!食べてもいいんですか?」
「あぁ…たくさん食べろ!おかわりもいいそ!」
「やった〜!!!」
一口目…サクッ
二口目…カサッ
三口目…カサッ
疑問に思ったローネはとんかつをよく見てみる。立派な衣に、立派な付け合わせに…中身のないとんかつ
「ヒィーーーーーヤーーーーー!!!!PTSD!PTSD!また空気とんかつです!!!私を何回も騙して酷いです!!!!教主さんなんて嫌いです〜〜!!!!」
「何度見ても面白いな…まぁ、今日はこれだけじゃないけど」
ゴロゴロと床を転がりながら暴れるローネは手当たり次第に物を壊そうとする
「教主さんのいじわる!本物のとんかつを食べさせてもらえると思ったのにぃ!スパイのプライドが消えてなくなっちゃいますぅ〜!!」
「スパイのプライドあったのか…ほら、今度こそちゃんとしたやつだからさ。機嫌直してよ」
私は隠してた2つ目のお皿を取り出し、ローネの目の前に置く。いつも空気食わせてるし流石にちゃんとしたとんかつを食べさせてやらないとな
「ぐすっ…今度こそ本当にとんかつなんですか?」
「本当のとんかつだよ。流石にちゃんとした物を食べさせようかなと思ったから作ったんだよ」
「分かりました…信じて食べてみますからね」
一口目…サクッ!
二口目…ジュワッ!
三口目…ザクザクッ!
ローネの口の中に素晴らしい味付けの肉の味と、それを包む衣が幸せを作る。そこに一緒に出されたお米に乗せて追いソースをし、一緒に食べる。これまた最高の組み合わせであり、究極のとんかつである
「お…美味しい…!!」
「そっか。本物を食えてよかったな」
「ありがとう…それしか言う言葉が見つかりません…!」
「さっきも言ったけどおかわりもいいぞ」
「本当ですか!?下さい!」
次もしっかりと肉の入ったとんかつを提供した。ご飯もよそって千切りキャベツも追加したら完璧な比率です。まるでエルフィンのようにとんかつをバクバク食べるローネは今までで一番幸せそうな顔をしている
「ふぅ…お腹いっぱいです。ありがとうございます教主さん」
「別にいいよ。面倒くさがって空気とんかつしか作ってこなかったからたまにはと思っただけだしな」
「ふふふ…あ!!」
ローネは慌てて鎧を外そうとしたが、慌ててるせいか中々外れない。何で急に外そうとしてるんだ?
「あぁ…どうせ遅かったからいいや…後でアメリアさんに呼び出されるかなぁ…」
「あぁ、盗聴器。別にいいんじゃない外さなくても。やらかして隠れたり、食べ飲みした物を経費で落とそうと色々誤魔化そうとしてないんだし」
「いえ…実は…その…」
「まさか…ローネお前」
「精霊の山で違法ブローカーとして仕事を斡旋する作業をサボって来てます…」
「バカお前!!!」
とりあえず拳骨を食らわせる。そしてもちほっぺを両手でもちもちした
「どうするんだよこれ。私も怒られない?」
「いえ、多分そこまで範囲を広げて怒りはしないと思いますけど…少なくとも、この会話を聞かれてるとは思いますし、私は間違いなく始末書を書く羽目になります」
「そりゃそうだろ。サボる気なら鎧外して来たら良かったのに」
「そんな!鎧を外すなんて信じられません!私のアイデンティティでもあるんですよ!」
「あっそ…とりあえず今からでも仕事に行くか?」
「はい…そうします…これ以上サボっていたら、とんでもない量の始末書を書かされた挙句ダークブルーカラーまで落とされてしまうかもしれませんし…」
ローネが悪いから私知らないもんね。でも行く手助けくらいは…あ、そうだ
「ローネ、そこの段ボール取って。で、鎧とローネ別々になって入ってよ」
「え?」
「ほら、いいからいいから。私を信じてみろって」
「わ、分かりました…」
ローネと鎧を丁寧に梱包し、私は妖精王国のスピード狂いを呼び出した
「シュパパパッ!呼んだ!?」
「良い仕事をくれてやろう。この2つの荷物、最高速度で精霊の山まで配達してきて。そうだな…どっちも精霊の山の湖の所まで運んだら置いていっていいよ」
「任せて!シュパボルトは誰にも追いつけないくらいのスピードで走るよ!」
「よっしゃ!飛び出していけ!宇宙の彼方まで!」
後日、アメリアとエレナに聞いてなんとかなったローネの様子を聞かせてもらった。一応教団へのスパイ行為として見なして処分してあげたらしい
おわり
ローネとシオン・ザ・だ〜くぶれっどは不憫な方が好き