「やぁジェイド。今日も本の虫かな?」
「やってきて早々になんの用だい。私は新しい本を読むのに忙しいんだが」
「いや、気になる事があって仕事をサボってきた。いつも片方折れてるのなんで?」
「なんだそんな事か。角は削るとシストに高く売れるんだ。折れてるように見えるのは、最近たくさん削ったからだろうね」
え〜…なんかこう、私の思ってる竜に当てはめてはいけないんだろうけど、自分の角を誇りに思うみたいなのないんだ…てか角売る相手が同じ竜族かよ
「角に誇りを持ってるとかないの?ほら、私の角は立派に反りの入った角だぞ〜!みたいな」
「角に誇り…?私達竜族が誇りに思うのは、せいぜい個人の能力と自分の宝石くらいなもんだろう。角なんて飾りさ!」
「やっぱりそんな感じなんだな…シストに角を売って、そのお金で本を買うみたいな感じ?」
「そうさ。しかし、頭の上に角があるもんだから、私達の手では割と削りづらくてね。どうだ教主?せっかく来たなら私の角を削って欲しいんだが」
まぁ、確かにその手の流さじゃ削りにくいだろうけども!こういうのって触ってもいいものなの?
「いや、削るだけなら私でもなんとかなるからな…そうだ!」
ジェイドは石を掘る用の道具を私に手渡して来る。まさか…?
「せっかくだから片方の何もしてない方の角を折ってくれ!削るよりも現物を渡したほうが値段も上がるだろう!」
うわ〜そんな事だろうと思ったよ。私にジェイドの角を折れって?なんか嫌なんだけど!ていうか、本当に角を削ったりするのに躊躇がないんだな
「これで私の角の中間辺りを強く彫る感じでやれば、多分綺麗に折れると思う。どうせ後で売るために手を出す物だ。遠慮なくやってくれたまえ」*2
「うーん…うん、折るのは分かった。ただ流石に心の準備くらいはさせてほしい。私も人の角を折るみたいな事はやったことがなくて…緊張しちゃうな」
ジェイドがいいと言ってるから良いんだろうけど…やっぱり怖くない?折ったら痛いとかない?
「すぅ〜〜っ……ふぅ。よし。じゃあ壁側向いて座ってて。後ろから折るよ」
「待て待て!後ろからなんて怖いじゃないか!それに、中間辺りと言っても私が決める事だ!だから私が見えるようにやってくれ!」
「まぁジェイドがそういうならいいけど…よし、やるぞ」
ジェイドの角に手を当てて、何処から折るか指示を聞きながら印を付けた。そしてその印に道具を当てて、私の力で強く叩くと、意外にも簡単にパキッと折れた
「頼み込んだのは私だが、怖かったな…でも、これで次にシストが来た時に大金が手にはいるぞ!」
「あぁ…そう…なんか私は無駄に緊張しちゃって疲れたよ。中途半端に折れたりとか、実は痛みが伴ったりとかあったら怖くて怖くて…大丈夫?」
「うむ、何ともないぞ!そもそも、折ったらダメな程痛い思いをするなら最初から削って売るなんてことも痛みを伴うだろう。痛くないことが分かってるから頼んだんだ」*3
「それは良かったよ。じゃあ私は地味に気になってた事も知れたし、そろそろ教団に帰らせてもらうよ」
「待て。今後も私の角が生えてきたら、教主が折るっていう契約書を書いて欲しい。こんなに楽に終わるなら、教主にやってもらったほうが早いだろう」
「いや、それ私にメリットなくない?」
「いやいや、契約と言うからには私からもメリットは提示しよう。何か悩み事や知識が必要な時に私が助けてやるのがメリットだ。どうだ?」*4
知識を使うチャンスに変えようとしてるじゃないか。でも、賢いやつの考えは結構大事だからな。そう考えたらいいメリットか…?
「ふ〜ん…まぁ、いいか。いいよ。契約成立だ!」
私はジェイドの手にある契約書にサインをし、角がいい感じに育ってきたら折るという事を続ける事にした。しかし後日、金庫が物凄い数のダイナマイトで爆破され、見事に契約書だけ盗まれたらしい。契約書がなければ不成立って事になるらしく、結局話はなかった事になった。でも、ジェイドが契約する必要もなく私の所に来て頼めばいいだけと気づいたから結局続ける事になった
おわり
角を折る時の衝撃とか音でビビリ散らかすジェイドが見てみたいです