【青学三次】青学スパイ達の徒然なる日々【短編集】 作:VISP
キヴォトスの産業、特に外食・食料生産業は全体的な質に関してはお世辞にも良いものではない。
否、はっきり言って悪い。
流石に外の世界のインドやベトナムにエジプト、アフリカや中東の更に下のストリートフードの様に食中毒とそれを原因とする死者が毎年報告される程ではないが、食品の消費期限や産地偽造は当たり前、コストカットのために敢えて不衛生な環境かつ家畜向けの材料で生産する業者すら存在する。
倫理観GTAなキヴォトスならば当然と言えるが、こんな事があらゆる業界で起きている。
そんなだからまともな原材料を仕入れるためにカイザーの様な自社グループで全て完結する企業群も生まれたりもする。
しかも治安の悪さから司法がまともに機能せず、暴れる犯罪者へ対応するのが精一杯なのが連邦生徒会や各地の風紀委員の現実だった。
だが、ある時からそんな悪徳業者が急激に失墜し始めた。
青学やミレニアムといった高い技術力を持った学校の台頭である。
この二校とその周辺の付属校や傘下の弱小校では安くはないが高い品質の工業製品を安定して生産する事で知られている。
しかし、両校はそれだけではなく、食料生産及び加工と販売でも安定して高い品質を持つ。
他の大学校、トリニティでは土地が貧しく食料生産には余り向かず、ゲヘナは逆に火山地帯の癖に土地が豊かで大規模農業を行っている。
食品加工についてはトリニティは高級志向から職人や老舗の業者に頼る割合が強く、ゲヘナも高級品に限っては同じだ。
しかし、安価な食品に関してはゲヘナは本当に「食中毒さえ出なければヨシ!」なあまりにも酷い品質の所も多い。
お前らそんなだから美食研みたいなテロリストが暴れ回るんだぞ(呆れ)。
こんな有様なので、外の世界でも最上位の食品衛生観を持った日本で産まれ育った前世を持つ生徒が殆どの青学生にとって、キヴォトスで安価で購入可能な商品の品質は(あらゆる分野で言える事だが)信用に値しなかった。
技術や発明に全力を出すミレニアムにとっては研究の邪魔で、前世由来の価値観を持つ青学にとってはとても見過ごせるものではなかった。
そのため、自分達の自治区は勿論、傘下校や経済支援している中小規模の学校の自治区ですらそういった悪徳業者との取引を禁じ、学園自治法の下に厳しい裁きを下した。
勿論有罪判決が下った業者は営業取り消しのみならず、食中毒患者を始めとした被害者への賠償も行う羽目になり、必然的に夜逃げ・・・する事も出来ず刑務所送りになったり、青学の手の入ったヘルメット団によって遠洋漁業や炭鉱等で働かされる事となる。
こうして、悪徳業者は因果応報の帰結として全てのものを失った。
しかし、未だに死滅してはいなかった!
貧しい自治区や大自治区の境界となる地域、廃校になって無政府状態となった土地やブラックマーケット等で彼らはしぶとく生き残っていたのだ!
勿論、大学園に喧嘩を売れば待っているのは破滅なので、基本的にはその外にちょっかいをかける事は無い。
本来ならそうして棲み分けしていたのだが、彼らにはなけなしのプライドと確かな恨みがあった。
故に僅かに漏れ聞こえた情報から、ミレニアムの商売を妨害してやろうと食うに困った不良生徒を焚き付けた。
報酬として全額前払い、必要な弾薬を買えばそれで尽きてしまう様な僅かな報酬どころか必要経費だけの金を持たせ、
そして一度成功すれば人は味を占めるもので、調子に乗った不良生徒によって襲撃は複数回起きた。
それはミレニアムのC&C、そして青学の非正規部隊でもあるぐろぐろヘルメット団が動くには十分な理由だった。
今宵もまた、ブラックマーケットにて愚者の処刑が始まる。
・・・・・・・・・・・・・・・
【原作】青学スパイ総合掲示板【遵守】 Part○○
307:名無しの青学生
えーという訳で無事解決しました
311:★ぐろぐろヘルメット団・団長
スケバンちゃんもお疲れ様ー
馬鹿共はこれから裏社会の流儀で賠償金返済コースに乗せるから安心してねー★
おら、きりきり歩け
313:名無しの青学生
ヒェッ!
316:名無しの青学生
怖E
320:名無しの青学生
やっぱ団長頼りになる~
(それはそれとして近付きたくないが)
323:名無しの青学生
それな(それな)
325:名無しの青学生
で、連中の情報入手ルート分かった?
326:名無しの青学生
ミレニアム傘下企業の情報なんて、重要じゃないもんとは言え簡単に漏れるもんじゃないだろ
327:名無しの青学生
電子面に関してはうち以上だしねあっちは
331:名無しの青学生
全恥とコユキというバグ枠がいるからねぇ
332:名無しの青学生
こっちもミクさん含めて頑張ってるだろ!
335:名無しの青学生
AIちゃん達のお陰で何とかなってるけど、それ以外だと厳しい
339:名無しの青学生
うーん、だとしたらアナログ?
別に警護厳しい会社でもないし、配送トラックを監視カメラやドローンで見張ったとか?
配送先だって別に隠してる訳じゃないし、商品の陳列から何処に売ってるかは大体分かるもんだし
341:名無しの青学生
だとしても情報流した奴は何でそんな真似したよ?
345:名無しの青学生
こっちの反応見るためとか?
要は威力偵察
347:名無しの青学生
微妙にありそうで嫌だな
349:名無しの青学生
ゲマの手口とは違うし、やるとしたらカイザーか?
350:名無しの青学生
今じゃうちの紐付きが?
原作から弱体化してるのにそんな暇あるかぁ?
354:名無しの青学生
生徒の悪戯にしては手が込んでる
悪い大人の手口だと思う
357:名無しの青学生
キヴォトスの生徒の仕業ならもっと率直に倫理観も考えもない行動してくるだろうし・・・うーん
360:名無しの青学生
一応カイザーと当たり付けて調べてみるけど何も出なかったらどうする?
362:名無しの青学生
そもミレニアム自治区内だからうちらじゃ表立って調べられないしね
363:名無しの青学生
当方保安部スパイだけどこっちでも今までの犯罪とは違ってて皆首傾げてる
364:名無しの青学生
実行した不良達はC&Cにボコられて収容
不良に情報流した悪徳業者sは団長にドナドナ
でも情報の大本は誰も知らない
368:名無しの青学生
狡猾だなぁ
370:名無しの青学生
取り敢えず調査は続行するけどこんな事する奴が証拠残すとも思えんので・・・
374:名無しの青学生
迷宮入りか
口惜しいが仕方ない
376:名無しの青学生
当方セミナースパイ、これを期にミレニアムで自治区内の悪徳業者の生き残り探して狩り出す事が決定
378:名無しの青学生
Oh・・・
382:名無しの青学生
折角息を潜めて生き残ってた業者さん達乙
384:名無しの青学生
まぁこれで他人食い物にしてるクズがまた少し減ると思えば良い事じゃんね
387:名無しの青学生
まぁうち含めた四大学園自治区の内の一つだけどな
390:名無しの青学生
これすら氷山の一角なんだからホントにキヴォトスは地獄だぜ(白目)
392:名無しの青学生
青学自治区は・・・生き残れないかそんな奴ら
395:名無しの青学生
商品の質とサービスと値段という健全な経済競争で鎬削ってる
397:名無しの青学生
キヴォトス一安全な自治区と呼ばれてるのは伊達じゃないぜ!
399:名無しの青学生
その分税金ちょっと重めだけどね
401:名無しの青学生
治安ヨシ!もしやらかす馬鹿が出たらガッツリ対応して保険もしっかり加入義務化!
404:名無しの青学生
カイバーが音頭取ってるのもあるけどキヴォトス内の割とまともな企業でフッ軽なのはこっちに来てる
406:名無しの青学生
なおカイザー
410:名無しの青学生
いるけど普通にまともに企業してるのよね
413:名無しの青学生
あいつらがPMCやSS(セキュリティーサービスの略)を私設部隊化してるのも割と残当なキヴォトス民度
414:名無しの青学生
原作キャラは好きだけど目の前にいてほしくはない
417:名無しの青学生
お前よくスパイ板にいるな»414
418:名無しの青学生
まぁ原作にない小自治区ならあんまり出会す事無いし
420:名無しの青学生
このまま時間かけてキヴォトスを多少は健全化できれば良かったんだけど・・・
422:名無しの青学生
間もなく原作開始です・・・
426:名無しの青学生
時間が・・・足りなくて・・・!
428:名無しの青学生
お金と技術はあるんですけどね・・・
432:名無しの青学生
お金と技術だけじゃ世界は救えないのだ・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
同時刻、カイザーコーポレーション本社 社長室
「今回はここまで、か。」
その部屋の主、嘗てはキヴォトス一の規模を誇った企業グループの長たる男、カイザープレジデントは事の顛末を記した報告書を読み終え、そう呟いた。
電子ハックによる情報漏洩を警戒し、完全アナログで上げられたただ一枚の報告書だが、それをプレジデントはあっさりとデスクに置かれた灰皿の上に置き、何の逡巡もなく火を着けた。
それがしっかりと灰になった事を確認すると、社長室の横のドアで繋がる仮眠室(と言うには些か豪華だが)にある洗面台に行き、蛇口を捻って水に流す。
これで今回の一件の証拠は完全に消えた。
ブラックマーケットのチンケな悪党に情報を流したのはカイザーの非正規工作部門が態々廃材から作った遠隔操作型の意思持たぬアンドロイドであり、それは既にネジ一本にまで解体し、残った廃材は全て溶かしてリサイクルか焼却済みだ。
そもそもの情報も件のミレニアム傘下企業周辺の監視カメラから情報を抜き取って精査したものに過ぎず、そのカメラもカイザーが設置したものではない。
ここまでやって、漸くカイザーへの足取りを完全に途絶えさせる事が出来た。
ミレニアムには電子・工業系技術で、青学には神秘系技術で大きく後塵を拝し、更に青学によるあらゆる分野での念入りな需要の奪取により、嘗て巨大なコングロマリットだったカイザーグループはその勢力を大きく減退してしまった。
無論、合法非合法問わずに青学の排除に躍起になった時期もあったが、四大学園の一角にして実質連邦生徒会と互角の勢力と正面から経済戦争を行うのは流石に最盛期のカイザーグループであっても無理があった。
しかし、その敗北の分だけ彼らはより狡猾に、より悪質になっていった。
合法と非合法を都合良く使い分けていくだけではいけない。
表向きにはグループをスリム化し、取引相手が納得し、喜んで取引するWinーwinの関係を可能な限り合法の範囲で目指す形に修正しつつ、より綿密に、絶対に足取りを掴ませない専門の非正規工作部門を密かに発足させた。
この部門はグループの役員達の中でも腹心のカイザージェネラルしか知らず、目の上のたん瘤である青学に気取られる事の無いように電子上に一切の痕跡を残さずに発足されたプレジデントの新たな手足だった。
今回の一件はそんな彼らの試金石だった。
結果は見事に成功であり、彼はあの恐るべき青学とて絶対ではない事を体験として知る事が出来た。
ならば後は目的達成のために然るべき準備を整えるべきだ。
奴らの目的は未だ図れないが、何れは全て食らいつくしてやろう。
だが、今はまだ忠実な、汚れ仕事を請け負う飼い犬として使われてやる。
その時が来るまでは、まだ。
「見ていろよ青学の小娘共。最後に勝つのは、キヴォトスを手にするのはこの私だ。」
巨大な野望を胸に秘め、プレジデントは壮絶に嗤った。
ちょっと前半おかしいかな?
あのカイザーの長が負けっぱなしで終わる訳ないし、渋の絵師さんがカイザーがより狡猾になったと書いてたので実際に狡猾にしてみました