【青学三次】青学スパイ達の徒然なる日々【短編集】   作:VISP

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今話は引き続き妄想主A氏の【青学三次】 妄想メインストーリー 【短編】及び土井中32氏の【青学三次】それいけ!青資秘密学園!の設定をお借りしています

今回グロ表現あるので注意


番外編 IFルート 先生襲来編その2 一部グロ表現あり

 

 「して先生、態々こちらの本拠地に来てまで、私に何を問いたい?」

 

 パリッとした仕立ての良い高級スーツをややピチピチにしながらも着こなして、カールは先生に問うた。

 普段の掲示板で話すカールくんではなく、神秘催眠を用いて今日一日だけだが彼は青学の理事にしてゲマトリアのカールとして振る舞う事が出来る。

 

 「貴方は青学の子供達をどうするつもりだ?」

 「その質問は私に言うべきではないな。私は彼女達との契約に則り、互助関係を結んでいるに過ぎない。基本的に余程の事が無ければ彼女達の方針に口を出す事はない。」

 「先日のエデン条約の時は例外だと?」

 「あの件では当時アリウスを治めていたベアトが先に動いていた故、優先権はあちらにあった。ゲマトリア間で過度な干渉をしない方針である私から動く事はゲマトリアによる青学への過度な干渉を招きかねん。その上で青学が干渉するには先にあちらから手出しをされたという事実が必要だった。」

 「だが、それで大勢の生徒が傷ついた。」

 「必要なプロセスだった。青学が他校から疑惑を集めていた以上、本格的な介入にはそれに足る理由が必要となる。」

 「人体実験もか?明らかに度が過ぎている。」

 「神秘の探求には必要なものだ。それに基本的に本人の同意か、最低限でも刑罰として行われる青学自治区内の法規には則ったものだ。」

 

 大人二人が真剣に話し合う傍ら、それを余所に生徒達三名はヒソヒソと内緒話をしていた。

 

 「あの、カール理事ってああ言ってますけどかなり生徒の事を大事にしていますよね?」

 「まぁ、うん。そうでもなきゃああも慕われないよ。」

 「おしゃべりインコマンも青学のキャラもの事業のためだったけど、元々はカールくんが青学内でも自由に過ごせるようにって考案されたものだしねぇ。ももフレンズグループの買収はマジで全方位から釘刺されたからね・・・。」

 「悪い大人ではあるんでしょうが・・・何というか、私が知る悪人とは違いますね?」

 「自己の利益や成したい事のために法や倫理を破る事は確かに悪事だから、不知火代表の意見は正しいよ。しかし、そうしてまで求め、得た結果と過程が善性のものであるのなら、その評価は異なるものとなる。」

 「正しい手順で求める結果が得られなければ、正しくない手順を取るしかない、か・・・。」

 「うーん、何とも身につまされる話ですねぇ。」

 

 なお、この会話も生放送され続けているが、ミレニアムではなく青学の回線を介した映像には隅っこに「おしゃべりインコマンフィギュア大好評発売中!」のテロップが流れていた。

 

 「自分の欲のためだけに、貴方はこんな所まで作ったのか?」

 「如何にも。私は神秘の探求者として、荒野だったこの地を子供らと共に切り拓き、互いに望む事を成している。全ては我らの原初の契約に基づいての事。」

 「契約?」

 「そう言えば先生は今のキヴォトス、今の青学しか知らぬままだったな。」

 

 車内に設置された画面が行き先から、少し古い画像へと切り替わった。

 そこにはあばら屋が疎らにあるだけの荒野、ブラックマーケット未満のスラム街の光景が映し出されていた。

 だが、先生とカヤ、そして生放送でこれを見ているキヴォトスの人々が注目したのはそれではない。

 道端にある死体、死体、死体。

 血痕に肉片、砕けた骨に腐肉が当たり前の様に映し出される。

 大人も子供も関係なく、当たり前の様に死体が転がっている有様だった。

 今のキヴォトスでは考えられない光景に、生放送を見ていた人々はその悍ましさに口元を抑え、或いは目線を逸らし、悲鳴を上げた。

 

 「15年程前、私が来たばかりのキヴォトスの一角は荒れ果てていた。中央の三大自治区やD.U.ですら路地裏には数の差こそあれ死体が転がり、小自治区同士の戦争は日常茶飯事。大自治区も連邦生徒会も、自分の膝元を守る事で手一杯だった。」

 

 映像の先には蛆の湧いた死体を漁り、襤褸切れ同然の衣服を剥ぎ取る子供の姿が映り、それを背後から大人が襲いかかって殺して奪っていく姿が流れる。

 他にもその辺に転がっていた動物や虫の死骸を食べる大人と、その大人を殺して齧り付いたり、バラバラのパーツにする子供達の姿が映る。

 地獄だった。

 この世の地獄にして、しかし実際に嘗てあった光景に、流石の先生も絶句した。

 それを絶賛生中継されているキヴォトスの人々は顔を真っ青にして嘔吐や絶叫、気絶に放送の切断を願う阿鼻叫喚のプチ地獄絵図だが、しかしそこはエンジニア部製、無駄に高い性能によってあらゆる妨害に耐え、更に先生達の身の安全のためにも放送を切る訳にもいかない。

 そんな訳で、嘗てキヴォトスの一角で実際にあった地獄の光景はそのまま全キヴォトスへと流れ続けた。

 色彩のせいで一度外れた青春のテクストがまた悲鳴を上げているが、そんな放送とか微塵も気にしてない青学の平和区画や各校の中等部や小等部、幼等部の存在により何とか維持されていた。

 

 「私は怒りを抱いた。全てを無くした名も無き神々が最後に流れ着く魂の流刑地にして神秘の残る理想郷とまで聞いたキヴォトス。苦労して赴いた先で見せつけられたのは紛争地帯ではよくある光景に過ぎなかったのだ。」

 

 先生は二の句が告げられなかった。

 確かに先生の知るキヴォトスは銃弾と爆発がしょっちゅう起こるが、ここまで惨たらしい光景は流石に見たことが無かったからだ。

 

 「それでいて、確かに彼女らには神秘が宿っていた。だが、蒙昧な輩はその価値を知らず、ただのゴミの様にそれらを扱い、放り捨てる。人として、探求者として、断じて許す事は出来なかった。」

 

 映像が切り替わる。

 僅かに残ったあばら屋の中に子供達が集められていた。

 皆痩せ細り、全身が大小無数の傷だらけで、服と呼ぶ事も烏滸がましいボロ布を纏い、異形の存在に怯えながら、それでも必死に生きようと威嚇しながら、こちら側へと視線を向けている。

 星明かり以外碌な光源の無い夜、不衛生で隙間風ばかりの環境で、映像が彼女達と目線を合わせるように下がる。

 この映像は記録ではない、カールが嘗て見た記憶を映像化したものなのだと視聴者は察した(勿論大体創作である)。

 

 『契約をしよう。君達は私の探求に協力する。その代価として、君達が幸福に生きられるためのものを与えよう。まだ生きたいと、少しでも幸福になりたいと思うのなら、私の手を取りたまえ。』

 

 映像の中で数瞬の躊躇いを挟み、おずおずと子供達が手を伸ばす。

 このまま生きていても、何も先は無いと彼女達も分かっていた。

 だが、それをどうにかする術も知らず、力もない彼女達は途方に暮れてその日を生きるだけだった。

 救ってくれる、引き上げてくれる誰かを待つ以外、彼女らに出来る事は無かった。

 だから、延びてきた糸を掴み損ねる事だけはしたくなかった。

 

 『けいやく、します。いきる、ために。しあわせになるために!』

 

 最初の一人が辿々しくも明確な意思を込めて、差し伸べられたカールの手を取った。

 片目が潰れ、火傷の痕が目立つその少女は、確かに自分の意思で選択した。

 

 『わたしも・・・』『わたしも!』『わたしも』

 

 その後は雪崩を打ったように次々と少女達が手を伸ばす。

 このまま死にたくない、幸せになりたい、せめて何かを成したい。

 そんな必死な思いのまま、彼女達は何処に繋がっているかも分からない糸を闇雲に掴む事を選んだ。

 

 『よろしい。これより我が叡智は君達と共に。ここに契約は成立した。』

 

 これが青資秘密学園の始まり。

 神秘の探求者カールとキヴォトスの何も持たない弱い子供達との契約の夜だった。

 

 勿論、ねつ造である!!

 

 シナリオライターや演劇部にアニメ制作部他諸々が前世の名作をベースをこねこねして作り上げた真っ赤な偽物、お涙頂戴の三文芝居なのである!!

 実際の所はこちらだ。

 

 『お?おっさんも日本出身なのかよ。よしじゃあアンタも今日からオレらの仲間な!』

 『いいねいいね!死んだと思ったらこんなクソ環境でクソ共ばかりだ。どうせ死ぬなら全力で前のめりだ!お前も手ぇ貸せ!国盗りすんぞ!』

 『どうせこんな様じゃ中央政府なんざあっても碌なもんじゃねぇ。だったら生き延びるために周り全部切り取って呑み込むしかねぇ。』

 『おっしゃぁ!カチコミじゃぁ!!』

 

 銃なんて上等な代物は一切無い。

 その辺に落ちてた石や廃材を手に手に、彼女らはヘルメット団やスケバン達が可愛く思える程の凶悪さをもってキヴォトス辺境の地にて産声を上げた。

 以来、彼女ら+1はドリフターズも斯くやの勢いで自らの生存圏の確保のために戦い続けた。

 他と違って纏まりのある彼女ら+カールくんは後に合流した原作知識持ちの転生者らと共に青学の設立と拡大に奔走するのだった。

 

 「おっと、そろそろ隔離区画だね。」

 「こっから先は一応警戒してね。前回みたく危ない所はいかないようにするけど、もしもの事が有り得るから。」

 「銃声が聞こえてきますね。今まで一発も聞こえてこなかったのに。」

 「カヤは初めてだっけ?私は前回来た時酷い事になったよ。」

 「彼女達もまた青学にて己の願いを叶えたに過ぎない。まぁ多大に問題のある者達でもあるが、あれ位はまだ可愛い方だ。」

 「あれで???」

 

 余りの衝撃にちょっと沈黙していた先生が漸く声を上げた。

 先生の脳裏に過るのは、エデン条約後にトリニティとゲヘナ両校から大量に青学へと去って行った生徒達の行方を追った時の事だった。

 あの時、先生はマジのガチで死にかけた。

 悪意は一切無い、しかし戦意に満ち溢れた隔離区画の戦闘狂のランカー達。

 先日の対色彩戦でも猛威を奮った彼女達がまだ可愛い扱いされるヤベーものがまだあるの???

 

 「さぁ覚悟してね。後、映像にモザイク入れるつもりならそちらでやってくれると助かるよ。」

 

 こうして、先生達は第二城壁の先、全区域が外と隔絶されている第一城壁の中、隔離区画へと入っていった。

 

 

 

 




キヴォトスの中央、連邦生徒会や三大校の膝元ならキヴォトスの青春テクストがある程度守ってくれるけど、原作のゲヘナの描写からして全域は不可能と判断
トリニティもユスティナ聖徒会の存在からそれは確か
であれば、中央から外れた場所はそれはもう崩壊後のメガテン世界ばりの状況になっていてもおかしくないと判断しての描写となります

二日前に投稿予定でしたが、疲れと寒暖差で風邪ひいて遅れました。申し訳ない
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