【青学三次】青学スパイ達の徒然なる日々【短編集】 作:VISP
本家様や他の三次作家様とは異なる独自設定等が出る可能性がありますが、予めご了承ください
トリニティ総合学園 ティーパーティーテラス
「・・・・・・・・・。」
「ナギサ様・・・。」
トリニティ総合学園生徒会ティーパーティーの暫定ホストとなった桐藤ナギサは紅茶を片手にじっと先生と不知火新連邦生徒会長らによる青資秘密学園の視察の生中継を見続けていた。
彼女自身は直接足を運んだ事こそないが・・・ティーパーティー入りしてからその名前を聞かなかった日は無かった。
あちらこちらに潜んでいる青学から派遣されたスパイ、スパイ、スパイ。
そして生粋の一般的トリニティ生よりも遙かに優しくて気遣いの出来る彼女達はモテた。それはもう凄く。
少数のガチで存在すら知られていないスパイ達の存在も脅威だが、モテまくる目立つスパイ(推定デコイ)によって情緒を乱されてやらかした生徒達は余りにも多い。
そして、目立ったスパイは余りにも目立ちすぎて悪影響だとして青学本校より離脱を指示される。
が、そうは問屋が卸さない。
好いたスパイ達を奪われまいとあの手この手が尽くされた。
穏当な説得は勿論の事、睡眠薬入りの紅茶で眠らせてからの監禁だったり。
ここまでは良・・・くないが、まだマシだ。
問題なのは監禁からの性的調教だったり、最後の記念にとデートに行った先でナイフで滅多刺しにするとか二人で冬の海にダイブして無理心中とかを図った場合である。
これを知ったナギサは紅茶をリバースし、胃薬の世話になったし、ミネ団長のお世話になった。
この時、ミネも目に入った書類からスパイ脱出時のトリニティ生のやらかしを知る事となった。
これはティーパーティーだけではどうにもならんという事で巻き込まれたサクラコ様にも知ってもらい、いつもの苦悩顔になった。
現在は何とか離脱してしまったスパイ達の再派遣を要請しているが、それは置いておく。
トリニティはお得意の諜報の対象を基本的に青学とゲヘナに対して行っている。
青雷戦争、雷帝戦争とも言われる青学と雷帝政権下のゲヘナ、そしてその後の当時のトリニティと雷帝派残党による青学との戦争の二つに勝利した彼の学園の力は計り知れなかった。
水面下で諜報戦をし続けてきたが・・・余りにも固い防備に一向に成果を上げる事は出来なかった。
こちらはギャグみたいに大量にスパイが入り込んでいるのに、あちらには微塵も入り込めない。
その余りのギャップに頭を抱えてきたが・・・ここに来て、遂にあの謎多き学園の核心に至る事が出来るかもしれない。
「不知火室長と共に先走った生徒達のリストは上がりましたか?」
「はい、こちらに。全て確認済みです。」
「よろしい。」
幼なじみのミカはクーデター及び外患誘致にして全ての権限を剥奪、前ホストであるセイアは未だ養療中であり、動けるトップは自分一人しかいない。
以前はそれでも腹心にして親友がいてくれたが・・・今はもういない、青学に行ってしまった。
「何か起こるとしたらこの視察が終わってからになるでしょうから、各員はそれまで待機を。正義実現委員会は何時でも動かせるように。」
「はい。」
心細さを振り解くためにも友人を取り戻したいという思いは勿論ある。
しかし、誉れあるティーパーティーのホストとして、トリニティが焼かれる様な選択と未来だけは避けねばならなかった。
・・・・・・・・・・・・・・・
ゲヘナ学園 万魔殿 生徒会室
「ふん、随分と嫌な名前を出す。」
その今代議長羽沼マコトは忌々しそうに鼻を鳴らした。
彼女は嘗ての雷帝政権時代、その優秀さから雷帝の右腕にして後継者としての教育を受けていた。
しかし、彼女はある日突然反旗を翻した。
だが、一度目のそれはあっさりと鎮圧され、雷帝によって捕らえられた。
過酷な拷問を受け、普通の生徒ならば死ぬ様な責め苦に苛まれながら、それでもマコトは生き残り、雷帝が青学に敗れて敗走した隙を突いてクーデターを実行し、成功させた。
内部に残っていた雷帝派残党もトリニティへと押し付けてほぼ浄化し終え、現在は馬鹿騒ぎをしながら雷帝の遺産と言われる発明品を発見しては処理していく。
嘗ての恐怖と暴力を背景とした絶対的な規律によって完全に統制されたゲヘナは最早潰え、現在は自由と混沌の馬鹿騒ぎが日常となって久しい。
先日の色彩との戦いで互いに協力したものの、雷帝時代以前からゲヘナを含む各地にスパイを放ってきた青学への不信と警戒は根強い。
殆どのスパイ達はのんびりまったり、或いは慌ただしくゲヘナで日常を過ごしているので害は無いのだが、それでも完全に警戒を解く事は無かった。
普段の半ば以上本気の昼行灯仕草をしながらも、その意識は常に一定以上スパイ達へと向けられていた。
イブキのお菓子係としてちゃっかりこの場にいたりする万魔殿へのスパイもその対象なのだが・・・戻ってイブキを笑顔にしてくれているので許してやっている。
「マコト先輩・・・。」
「イロハ、もう少し先にしておくつもりだったが・・・お前もしっかり見ておけ。キヴォトスに降り積もった業はお前が思うよりも深く大きい。」
なお、ドシリアスな雰囲気で真顔のマコトだが、コイツはコイツでエデン条約時に連邦生徒会肝いりの実質対雷帝・青学を見据えたトリニティとの軍事同盟であるエデン条約時にアリウスに通じてテロの幇助とゲヘナ風紀委員の排除という特大のやらかしをした挙げ句に先生が撃たれているため、青学がちょっと情報をお漏らししただけで失脚確定である。
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ミレニアムサイエンススクール セミナー事務室
「何としても馬鹿共を止めなさい!保安部もC&Cも全部動かして!この際多少の損害は呑み込むわ!」
その中で、実質生徒会長の業務を代行している№2である会計の早瀬ユウカは電話に大声で指示を出していた。
その原因は一つ、青学の生放送査察によって判明した巨大ロボット兵器とその主機関である第二種永久機関にあった。
青学の先進的な神秘関連技術を用いたモノとは言え、純粋な物理科学専門の研究者集団であるミレニアムの生徒達は「アレ凄い!研究したい!」とその知識欲に火が点いてしまったのだ。
是が非でも件の第二種永久機関を拝みたいとして、今多数のミレニアム生達が青学方面へと移動しようとしていた。
ハイランダーの管轄する駅に押し寄せて電車をジャックしようとする者、適当にタクシーを呼ぶ者、自前の乗り物で向かおうとする者と様々だ。
共通しているのは一つ、青学方面を目指して大移動しているという点だけ。
勿論、彼女達は難しい事は考えていない。
ただ凄い研究し甲斐のあるモノを見つけたから見に行く、それだけである。
その結果が単独ではキヴォトス最強と目される謎多き学園へ向けての大移動と不法侵入予定なのだから、セミナーが慌てるのも無理は無い。
最悪は青学スパイを取り戻そうと絶賛やらかしてる連中の事も合わさって、青学との全面戦争である。
戦闘狂の群れに戦略級ロボット兵器の相手なんて絶対に御免被るユウカは必死に生徒達を制止しようとあの手この手を尽くし、査察一行のお昼休憩が終わった事に気付くのが遅れる事となった。
なお、相方の書記である生塩ノアはちゃっかりユウカの手伝いを程々にしながら配信を見ていた。
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連邦生徒会所有セーフハウス
「・・・・・・・・・」
「リンさん・・・。」
カヤに押し込められた連邦生徒会所有の避暑地兼セーフハウスにて、七神リンは補佐役でもある岩櫃アユムと共に青学の視察生中継を見ていた。
その豊満な胸中を去来するのは如何なる思いなのか、それは付き合いの長いアユムを含めて余人には計り知れないものだった。
連邦生徒会長という希代の名君、超人の徒名を送られ、それに恥じない辣腕を振るってきた彼女の幼なじみとして彼女を支えてきた自負があり、また彼女の居場所を守ろうと突然彼女が消えてしまった日からずっと奮闘してきた。
力が足りない私じゃ無理だと泣き言を漏らす暇すら無かった彼女だが、その努力と献身は連邦生徒会の誰もが知っていた。
それと同じ位政治家としては致命的に愛想と慇懃無礼な態度が致命的だったが・・・それはさておき。
「取り敢えず、私達も昼食を摂りましょうアユム。」
「はい。軽めのもので良いでしょうか?」
「えぇ、お願いします。」
彼女達もまた、連邦生徒会長と不干渉条約を結んだ謎多き学園の内側を知るべく、生中継に齧り付いていた。
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青学分校 各校生徒会室
「で、ここまで知ってた奴はいるか?」
「医療分校ですが、色彩による汚染関連のみ私共は知らされていました。」
「工業校だが、素材の発注は受けてたがのう。ここまでもんを作ってるとは知らんかったわ。」
「農業校やが、何も知らんかったわ。」
「南方っすが、何も知らんかったすわ。」
彼女らは青学分校と言われる学校の生徒会長達だった。
嘗ての拡大期の青学周辺、或いはちょっと遠くの飛び地に存在する学園等、特色も様々な学校の集まりだ。
青学自治区が本来存在しない大学校となる前にその場に存在した第一分校の他、拡大の最中に余りに酷いその境遇に気付いた青学が影響力拡大(と内部からの人道的にも支援すべしとの突き上げ)のために支援される事となり、現在は青学分校と改名して運営している。
本来の歴史、青学の言う聖典においては完全に廃校してブラックマーケットに呑み込まれていた自治区の住人達が彼女達だ。
聖典通りならば今在学中の、そして卒業していった幾多の学生達の内、どれ程の割合が青春を謳歌せずに散っていったか計り知れない。
聖典の存在を知らずとも、命を救われた恩義だけは各員が共通して強く抱いている。
しかし、青学の本校生達は自分達の行いによる他校やシャーレとのいざこざに彼女達を巻き込むべからずと一線を(甘々だが)引いている。
スパイや本校の防衛部にも志願しているが、自校の運営と治安維持だけで十分と青学がそれを受け入れた事は今現在まで無い。
だが、彼女らは助けてくれなかった、存在を認知すらしていなかった連邦生徒会や三大校、最近出来たシャーレではなく、青学本校にこそ忠義を誓い、本校とは最後まで一蓮托生の腹づもりだったりする。
そんな彼女らが対外的にも見える形で協力できたほぼ唯一の例外は先日、色彩戦における神秘共有術式の汚染によってダウンした青学生達の回収騒動位なものだろう。
まだまだ恩義を返しきれていないと彼女達は歯がゆく思っているが、本校生はその辺全く認識していない。
『なんか分校の子達オレらの事で馬鹿にされるとすぐキレね?』
『ね。オレらがキモかったりするのは事実なのにね。』
『まぁ助けられた恩義で擁護してるだけでしょ。』
大体この程度の認識である。
お前らの頭は大鋸屑か何かなの???と言われても仕方ない察しの悪さである。
「なんにせよ、状況が動くなら査察が終了してからじゃろ。それまでは何があっても良いように準備せなあかん。」
「だね!カチコミの準備は勿論、防衛戦の用意もばっちりだよ!」
「電撃戦なら任せてよ!いっつも密猟者追いかけ回してるから機動戦は得意だよ!」
「救護の用意は済ませております。いつでもお申し付けください。」
なお、彼女らも神秘共有術式に適応しているが、汚染時は即座に一時切り離しが可能なので先日の色彩戦でも無事だったりする。
これは弱いとは言え一応正規のキヴォトス人であるからこそ出来る事であり、本校生がやったら下手すると先生ほどではないものの貧弱になって無力化してしまう可能性がある。
例外は他校の神秘を容量の半分以上受け入れている長期派遣スパイであるが・・・そうなると完全に現地の神秘に染まってしまう問題が起きてしまうので定期的に青学本校で神秘抜きや術式の更新が必要だったりする。
何にせよ、キヴォトスの多くの人々の注目は青学の査察、その後半戦へと注がれていた。
何か筆が進んだから更新するね
後の査察予定は本校舎&行政区画、地下の国家錬成陣、???となっております。