【青学三次】青学スパイ達の徒然なる日々【短編集】 作:VISP
青学において、戦車は余り重要視されていなかったりする。
あんなに金掛けてるのに嘘でしょ?とその金満ぶりを知るキヴォトスの住人達は疑問に思うが、キヴォトス全体で戦車は余り重要視されていない事からもおかしい事ではなかったりする。
個人や小規模な団体が数台を保有・運用している事例はヘルメット団やスケバン等の不良生徒を含め多数確認できるものの、大規模な戦車部隊となるとほぼ見られない。
実際、ゲヘナの万魔殿やカイザーグループに青学を除くと、戦車部隊を熱心に整備している勢力はほぼいない。
当の青学にしても過去に戦車を始めとした機甲戦力が活躍した過去があったが故のものであり、普段使いする事はほぼ無かったりする。
というのも、コスト問題があるからだ。
「いや、通常兵器持った歩兵で撃破できるでしょ。」
「要は装甲と移動力のある大砲でしょ?シールド持っても同じ位には固いし小回り利くじゃん。」
「火力欲しいならミサイルと榴弾砲、爆撃で十分じゃないの?」
「いいや!戦車はいる!絶対にいる!!」
キヴォトスでは安価な歩兵戦力の数と質こそが最重要かつ基本であり、後は自走砲や攻撃ヘリ、各種ドローン、時々パワーローダーや戦車位なもので、その需要はとても少なく、費用対効果は著しく低いのだ。
金を掛けて整備しても、手練れの生徒相手ではあっさり破壊され、何だったらヤクザキックで横転したり、片手で投げられたりする事もあるので当然っちゃ当然である。
こうしたマイナスの意見に対し、先達である初期青学生達が血で書いたノウハウを引き継ぎ、自治区同士の大規模戦争があれば真っ先に突っ込む特攻女郎Aチームな戦車道部・機甲部は必死に抵抗し続けている。
なお、真っ先に突っ込む理由は戦車を活躍させたいのと予算獲得のためである。
そんな上位ネームド生徒に比べればそこまで固くもなく、通常兵器で打倒されてしまう彼女らの駆る戦車だが、今現在のキヴォトスの状況及び青学の戦術ドクトリンに合致していないだけで決して弱い訳ではない。
それでも彼女ら戦車道部・機甲部が戦車に固執し続けるにはしっかり理由が存在する。
昔昔のその昔、具体的にはまだ青学が今の大自治区になる前は戦車は外の世界同様にとても頼りになる代物だった。
人力での移動の難しい重砲をスムーズに移動させ、また基本的に脆く遅い砲兵と違ってしっかり自衛も熟せて敵陣への切り込み役としたも戦車は貴重な戦力だった。
なお、最初期は移動砲台に装甲板を貼り付けた自走砲擬きか、テクニカルトラックに迫撃砲を載せたものだけだったりするので、それを知る面々は正規戦車を尚更ありがたがった。
しかし、戦車がありがたがれるのもそこまでだった。
神秘共有術式は、共有する生徒の数が多ければ多い程にその効力を増していく。
大自治区と言って十分な規模にまで増えた青学において、下手な装甲車や戦車よりも固くなった青学生達にとって、対戦車ドローンやミサイルによって容易に破壊されてしまう戦車は今ひとつ評価されない兵器となってしまった。
火力だけならば自走榴弾砲や砲撃仕様のATで十分前線へ火力投射できるし、他にもミサイルや爆撃機、何よりお手軽で正確に投射できるドローンがあるし、最終編後に至ってロジコマも増えた。
嘗て大自治区への拡張まで大いにその名を轟かせた青学の戦車だが、今のキヴォトスでは活躍できる場面はもう殆ど残っていなかった。
そのため、青学が大自治区となった後もノウハウの喪失を警戒して廃部にこそならなかったものの、戦車部隊は廃れつつあった。
実際、新規開発はほぼ行われず、既存戦車のカスタマイズに留められている。
こうした事情もあって、自治区同士やデカグラマトンの予言者を想定した戦争用の機甲部では専ら戦後の日本国自衛隊戦車の再現品を運用しながらも、最新鋭の10式戦車の開発は許可されなかった。
嘗ては青学の決戦兵器の一つも担当していた彼女達は今や落ち目も落ち目だった。
「いいやまだだ!あの神秘ヒルドルブの栄光を今一度!決戦用戦車の開発を進める!」
機甲部の失われた栄光の象徴、それこそが神秘ヒルドルブだった。
既存の機甲兵器としては破格の機動性・装甲・火力の全てを併存させた、嘗ての青学最大の地上戦力だった神秘ヒルドルブ。
突撃砲とモビルタンク形態を切り替え可能な野心的な設計による柔軟かつトリッキーな運用も可能な本車は嘗ての機甲部の栄光の象徴そのものだった。
だが、一般的な重戦車よりも倍以上のサイズに重量、射撃時の巨大な反動に何よりも多量のオーパーツを使用するが故の劣悪な生産・運用コストという問題は如何に雷帝率いるゲヘナ学園やトリニティ総合学園相手に活躍したとしても拭いきれるものではなかった。
物理的・財政的双方のインフラブレイカーの悪名と共に、神秘ヒルドルブは技術の発展によりその簡易版とも言える「壁上の壁」こと対空番長にして対地支援も可能なジャガーノートの完成と量産化と共に解体され、残っていた試作機もゲマトリア預かりなしてたら色彩に奪われ、最終的に破壊されてしまった。
そこで部の存続を賭けて空のミステリーバトラーと対となる陸の王者を開発すべく、決戦用新型戦車開発計画はスタートした。
そして元々原型となるペーパープランは存在した事、ヒルドルブのインフラブレイカーの反省を踏まえ、通常の戦車のサイズ・重量の範囲に抑えつつ、決戦兵器に足る戦車の開発計画はすんなり進んだ。
こうして開発されたのが「試作型対色彩・総力戦用戦車」である。
色彩勢力を相手取る最終編に向け、既存戦車では戦力にならない可能性があるとして計画は中止される事なく進み、青学自治区包囲攻撃への対応に急遽実戦投入、思う存分に活躍する事となった。
これを評価され、部の存続及び予算の増額を認められ、試作戦車の正式配備も決定された。
だがしかし、試作かつ戦略級戦力となる事を目標にしただけあって、一台当たりの生産コストは航空部で運用される神秘Fー22に匹敵する。
勿論、量産効果無しの現時点での話であるが、それでもただでさえ予算カツカツで配分に頭を抱えている七武生始め財政方は現状のままでの量産を却下した。
そのため、代案として件の新型戦車を量産に向けてコストや生産性を含め最適化すべく、現在改良を重ねているため、本格的な量産開始はまだまだ先となるだろう。
一方の戦車道部ではキヴォトスで一般的に販売されている戦車をベースにした青学式改修を施した戦車が運用されている。
これは先程も言った通りコスト問題が理由であり、部員がほぼ共通している戦車部も練習時は格安の旧式戦車を用いている。
とは言え、彼女らの予算は決して少なくは無い。
寧ろ青学自治区内の多くの部活に比べれば予算は多い方だ。
その原因が・・・
「ウス!今日も試合お願いします!」
「「「「「お願いします!」」」」」
「はい!今日もよろしくお願いします!」
青学分校及び支援校の生徒達だ。
彼女達は弱い。
流石に神秘共有術式無しの青学生程ではないが、キヴォトスの平均的生徒と比べて並以下でしかない。
そんな彼女達が自分達の自治区を再び荒らされないようにするには戦い、守るしかない。
そして、足りない実力を補う方法は三つだけ。
素の実力を伸ばすか、数を増やすか、装備を充実させるかだ。
青学からの教導含む戦力派遣だけでは自治区全体を中長期的にカバーするには足りない。
分校ならば神秘共有術式を含めた訓練と装備等の無償譲渡、支援校ならばその実情に合った支援を行う。
そうした支援の一つが旧式戦車の格安販売及び戦車隊の訓練である。
弱者である支援校の生徒達でもある程度は戦力として運用できる戦車は正規の戦車戦のみならず移動トーチカとしても運用可能であり、理に叶っていた。
今現在こそ有志により戦車道部としての形になっているが、元々は機甲部から分派(今も兼部してるオレらもいる)した部活動だ。
精神修養も多少合わさったとは言え戦闘系部活動である事に変わりは無く、ノウハウも共有している。
部活動の一貫として合法的に繋がりのある他校へと支援が出来、またその派手な試合の中継番組は青学のみならずキヴォトス全体でも人気が高いコンテンツの一つだ。
おまけに青学及び分校・支援校の精強さと繋がりの深さを合法的かつ利益の出る娯楽番組の形でキヴォトス全体に放送できる。
広報・興業・示威行為としても使えるこの戦車道部を廃部にする様な真似を七武生は取るつもりは無かった。
まぁ機甲部の様な桁違いの予算請求ではないとは言え、中古戦車のレストアや改修をした上で運用するだけでなく、分校・支援校に格安で販売(当初は無償譲渡だったが固辞された)するため、ギリギリ黒字だが出費は嵩んでるのでやっぱり財政面だけ見ればマイナスだったりする。
レース産業よろしく賭博もすれば利益はプラスに転じる見込みなのだが・・・
「いや、淑女教育に賭け事は駄目でしょ。」
「精神修養も含むので、賭博はちょっとイメージが・・・。」
「賭け事するにしても年間の試合数自体少ないし、勝敗は基本こっちが勝ち越してるんだから賭ける旨味も少ないよ。」
という現場の意見もあり、戦車道は戦車道のまま活動が継続される事となった。
そんな訳で今日も青学戦車道部と分校・支援校の戦車隊は意気昂揚のまま、大規模な戦車戦を行ってキヴォトス中の人々を沸き立たせた。
また、修行を積んだ戦車乙女達はキヴォトス基準の一般的な生徒達よりも遙かに規律と協調に厳しく、礼儀正しい事から市民からの人気も高い。
この様に、青学とその関連校において、戦車道部の活動は順調だった。
とは言え、問題が無い訳ではない。
「キキキ!我がゲヘナならばあの程度の小勢一捻り!と言う訳でイロハ、ちょっと行って虎丸であの連中を叩き潰すぞ!」
「いやちゃんと許可位取ってくださいよ。と言う訳で、ちょっとお手紙お願いしますね。」
「ういーすお任せあれー。」
そう、ゲヘナ学園万魔殿の参加要請である。
キヴォトス一と言っても過言ではない規模と練度の戦車部隊を運用しているゲヘナ学園。
三大校の一角が正式な書類での参加要請となると、相応の理由が無ければ断る事は出来ない。
「お土産は今期お勧めのカヌレの詰め合わせでいいかな?」
「色んなプリン詰め合わせじゃ駄目なの?」
最終戦後、昏倒と共に撤退してたのにノコノコ万魔殿に戻ってきた青学スパイ達の一部はお手紙を持ってまた青学へと出戻りした。
勿論、七武生はどうするかとまた頭を抱え、胃痛に苛まれる事となった。
・・・・・・・・・・・・・・・
【戦車】戦車道関連一般掲示板【最高★】 Part○○
1:名無しの学生
ここは戦車道に関する掲示板です。
戦車最高!戦車最高!戦車最高!!
お前も戦車最高と言いなさい!
それではマナーを守って利用しましょう。
2:名無しの学生
立て乙&戦車最高!
6:名無しの学生
乙!戦車最高!
9:名無しの学生
戦車最高!
13:名無しの学生
戦車最高!
いやー今期も激アツだったね!
15:名無しの学生
逃げ切れないと悟って足を止めての砲撃に専念するKVー2
VS
全ての砲撃を紙一重で回避して懐の死角に飛び込んでの砲塔付け根への接射するⅣ号戦車H型
18:名無しの学生
車載カメラだけじゃなく車内カメラも凄いよ
煤塗れになっても目が爛々と輝いてた
20:名無しの学生
あの可愛い顔でガッツリ戦士の顔になってるのイイよね・・・
23:名無しの学生
イイ・・・
24:名無しの学生
分かる・・・
27:名無しの学生
普段はおっとり系なのに真面目な場面ではスッと切り替わるギャップがまたね・・・
28:名無しの学生
分かり味が深い
31:名無しの学生
台詞もカッコイイのばっかで痺れる
32:名無しの学生
「電撃戦の要は火力じゃねぇ。速度だ。」
33:名無しの学生
「連中、もう勝った気でいるようですな。」
「よろしい。では本当の戦車道を教育してやれ。」
36:名無しの学生
「各車、我に続け。切り込むぞ。」
37:名無しの学生
「戦車道部諸君、我々は地獄へ行く。誰もが逃げ出すような場所へ、我々が道を切り拓くのだ。」
40:名無しの学生
余りにも熱い・・・!
41:名無しの学生
分かるマン
43:名無しの学生
実際、青学本校も分校も支援校も戦車部隊は何処も自治区防衛の要らしく士気が高い
46:名無しの学生
ねー
不良共の戦車を正面からぶち抜いたの見た時は喝采を上げちゃった
49:名無しの学生
何か噂だとゲヘナが参加要請出してるとか聞いたけどマジ?
52:名無しの学生
マジだぞ
万魔殿に出入りしてる青学スパイ連中が話してるの聞いたもん
55:名無しの学生
他校の生徒会へ出入りしてるのは良いのか・・・?
58:名無しの学生
いつもの事いつもの事
62:名無しの学生
三大校は何処もそんなもんだぞ
64:名無しの学生
そうしないと真面目に仕事する生徒が足りないんですよ何処も!!
65:名無しの学生
三大校どころか大体の学校はそんなもん定期
67:名無しの学生
真面目に仕事して報連相できる生徒集めると大体青学スパイになる
最低でも一人は必ずいる
70:名無しの学生
い つ も の
74:名無しの学生
何だったら元生徒会長だったけど青学に出戻りしたりするスパイもいる
75:名無しの学生
あの人はスパイなんかじゃないやい!うちの尊敬する生徒会長だよ!
ただちょっと青学に伝手があるだけで・・・
76:名無しの学生
それをスパイと言うんだよ
80:名無しの学生
話戻すよー
ゲヘナが戦車道の試合や合同演習に参加申請出したのはマジとして目的は?
81:名無しの学生
ゲヘナだから単に自分もやりたいだけでは?
82:名無しの学生
アイツらだけ目立ってズルい!私らもやる!
83:名無しの学生
ははは、まさかそんな訳が・・・
84:名無しの学生
ゲヘナだぞ?
86:名無しの学生
有りそうで草
88:名無しの学生
いやホントどうなってんだか
92:名無しの学生
青学とその関係校への示威行為?
94:名無しの学生
それもありそう
96:名無しの学生
学校の予算で思う存分戦車乗り回して良いんですかヤッター!
97:名無しの学生
マジで有りそう
98:名無しの学生
装甲兵器は金掛かるからな・・・
99:名無しの学生
ゲヘナ製戦車はどれも高性能だからなー
もしやり合うとなったら対抗できるの青学本校の一軍だけじゃね?
102:名無しの学生
ティーガー型は元より、高性能な中戦車も沢山あるからな
106:名無しの学生
パンターも良い
Ⅳ号も良い
マジで機能美なんだよゲヘナ戦車
110:名無しの学生
なお開発元
112:名無しの学生
暴君の話は止めろ 止めて
115:名無しの学生
うっ!(トラウマ発動)
119:名無しの学生
止め止めろ!
120:名無しの学生
実際、本校とやり合ったらどっちが勝つの?
123:名無しの学生
んー戦車道チーム相手なら一軍でも苦戦はするがゲヘナ
機甲部出張るなら青学だと思う
125:名無しの学生
確かに機甲部の戦車は滅多に出てこないけど高性能だし乗員もベテランばっかだしな
128:名無しの学生
ゲヘナは・・・個々は強いけど連携できるかと言うと・・・
132:名無しの学生
同じ部活・委員会内ならちゃんとやれるから・・・
135:名無しの学生
なお同じ学校内だと・・・
138:名無しの学生
万魔殿 VS 風紀委員
ゲヘナ2大テロリスト他不良生徒 VS 風紀委員
美食研究会 VS 給食部
139:名無しの学生
何でアイツら常時共食い状態なの・・・?
142:名無しの学生
だってゲヘナだし
144:名無しの学生
自由と混沌のksの群れに理屈は通じない
148:名無しの学生
草
152:名無しの学生
でも強いのは間違いない
156:名無しの学生
マッチングがどうなるか分からんが、次の試合も見逃せないな
なお、青学本校と分校では神秘共有術式が分けられており、分校生は色彩による汚染を受けてないと想定しています
でないと気絶した青学生を回収できなかったと思うので