この回は原作+アニメ+オリジナル要素が入っており、ほぼ原作と同じ内容ですがここは飛ばせないので書きました。
あと今回は一般男子の出番はありません。
先生Side
大将が仕掛けた爆弾に巻き込まれたカイザー理事は捨て台詞を吐いて撤退した。というより大将入院中じゃなかった!?
同じ事を思ってたアルちゃんは大将に詰め寄ったけど、大将はそそくさと逃げ出し、アルちゃん含めた便利屋メンバーは大将を追い掛けて行く。
「何時あんなに爆弾を仕掛けたのよ。」
「ん、知らない、でもあの隠密行動は見習うべき。あれは銀行強盗に役立つ。」
銀行強盗以外の事に役立てて欲しいかなシロコちゃん。
雑談しながらアビドス高校に戻って来る。でも皆の顔色はあんまり良くない。
「取り敢えず、なんとかカイザーPMCは追い返しましたけど。これからどうすれば⋯⋯。」
「⋯⋯ん?」
なんとなくシッテムの箱を手に取ると一通のメールが来ていた。これは⋯⋯。
「皆、ちょっとここで休憩してて。私はちょっと寄る所が出来たから。」
「分かりました〜、先生お気を付けてくださいね?」
「ありがとうノノミちゃん。」
メールの内容は怪しさ満点。でもこのタイミングで送られてきたって事は何かあるはず。
「何かあった時は、アロナちゃんお願いね。」
『任せてください!先生には触れさせません!』
メールの内容にあった場所に向かう。そこは使われていない廃オフィスだった。
「でも電気が付いている。怪しさ満点だね。」
玄関に入るとエレベーターがあったのでそれに乗って指定された階に行く。そしてエレベーターから降りて部屋に入る。
「うわっ、部屋真っ暗。本当にここで合ってるのかな?」
「ようこそ、お待ちしておりました先生。」
「っ!?」
いきなり部屋が少し明るくなる。窓のブラインドが少し上がって光が差したんだね。
窓の前に机と椅子があり、そこに座って机に両肘を立て、両手を顎の下に置いている異型の生物がいた。何かキモいよ。
「貴女とは一度こうして、顔を合わせてお話してみたかったのですよ。クックック。」
う、胡散臭い!しかも何かねっとりとした視線を感じる!
「⋯⋯貴女の事は知っています。連邦生徒会長が呼び出した不可解な存在。あのオーパーツである『シッテムの箱』の主であり、連邦捜査部『シャーレ』の先生。」
「貴女を過小評価する者もいるようですが、私達は違います。」
私
「クックック、ご安心ください。私達は貴女と敵対するつもりはありません。」
「⋯⋯どうだかね。」
口ではどうとでも言えるよ。敵対するつもりがないなら何でホシノちゃんに粘着した?
「クックック、そんな顔しないでください。むしろ協力したいと考えています。何故なら私達の計画において、一番の障害になりうるのは貴女だと考えているのです。」
「私が、一番の障害?」
「私達にとってアビドスなんて小さな学校は、全くもって大した問題ではありません。ですが先生、貴女の存在は決して些事とは言えません。敵対するのは避けたいのです。」
「⋯⋯貴方達は、一体何者なの?」
私がそう言うと目の前の生物は少し首を傾けた。こいつは男なの?
「おっと、先生とこうして話せるのが嬉しくてつい自己紹介を忘れておりました。私達は先生と同じキヴォトスの外部の者、ですが貴女とはまた違った領域の者です。」
つまり外の世界の人物、でも違った領域?人間じゃない?
「適切な名前がありましたので、今はそれを拝借して使っております。私達の事は『ゲマトリア』とお呼びください。貴女達が用いる言葉で説明するなら私が属する組織、と言ったところでしょうか?」
となると、目の前の黒い人物以外にもゲマトリアに属している人物はいるってことね。
「そして、私の事は『黒服』とでもお呼びください。この名前が気に入っていましてね。」
「黒服⋯⋯。」
黒い皮膚、黒いスーツを着ているから黒服ってことかな。
「私達ゲマトリアは観測者であり、探求者であり、研究者でもあります。その視点で見るなら、私達は貴女と同じ、『不可解な存在』だと考えていただいて問題ありません。」
「貴方達と同じにされるのは辞めてほしい。」
「クックック、そう言わないでください。」
黒服は面白可笑しそうに笑う。本当に不気味だね。
「ところで、一応お聞きしますが、私達ゲマトリアと協力する気はありませんか?」
「断る。」
こんな怪しい存在でしかない奴に協力する気は無い。
「ほぅ、即答ですか。真理と秘儀を手に入れられるこの提案を断ってまで、貴女はキヴォトスで何を追求するおつもりなのですか?」
「少なくともそんな提案に興味はないよ。私はただホシノを返して貰いに来ただけ。」
「クックック。」
また黒服は面白可笑しそうに笑った。
「先生?貴女の行動に正当性が無いことにお気づきですか?今の貴女に一体何の権利があって、そんな要求をされているのでしょうか?」
「ホシノさんはもうアビドスの生徒ではありません。届け出を確認されていないのですか?」
「見たよ。ホシノが置いていった退学届けを。」
「でしたら分かるでしょう。先生?貴女に出来ることはもう何もない。」
いや、そんな事はないんだよ黒服。重要な部分を一つ貴方は見落としている。
「それは違うよ黒服。退学届けの顧問承認欄、そこに『顧問』である私が、まだサインをしていない。」
「ほぅ⋯⋯。」
「だから、ホシノはまだ対策委員会所属のままだし。まだアビドスの副生徒会長のままだし。今でも私の生徒だから!」
私がそこまで言うと黒服は少しの間黙った。
「⋯⋯なるほど、貴女が先生である以上は担当生徒の去就には貴女のサインが必要。そういうことですか、なるほどなるほど。学校の生徒、そして先生。ふむ、中々厄介な概念ですね。」
「貴方達はあの子達を騙し、心を踏み躙り、その苦しみを利用した。」
「えぇ確かに先生の仰る通りです。他人の不幸よりも私達は自分の利益を優先しました。それを否定はしません、私達の行動は、善か悪かと問われればきっと悪でしょう。」
何の悪びれもなく黒服はそう淡々と話す。少しも焦りもしないなんて何を考えてるの?
「しかし、ルールの範疇です。そこは誤解しないでいただきましょうか。」
ルールの範疇?
「アビドスに降り掛かった災難は、私達のせいではありません。アビドスを襲ったあの砂嵐は大変珍しい事とはいえ、一定の確率で起こり得る現象です。誰か明確な悪役がいるわけでもない、天変地異とはそういうものでしょう?」
「⋯⋯⋯⋯。」
「私達はあくまで、その機会を利用しただけ。砂漠で水を求めて死にゆく者に水を提供する。ただし、一生奴隷として働いても返済出来ない額で。ただそれだけのことです。」
「それも自然な成り行きとでも言いたいの?」
私がそう言うと黒服はさっきよりも声を大きくして笑い出す。何が可笑しいの?
「さして珍しくもない。世の中にはありふれた話でしょう。何も私達が特別心を痛め、全ての責任を取るべきことではありません。」
そう言って黒服は椅子を90度回転させた後、立ち上がって首だけをこちらに向ける。不気味な行動しないといけない性質なの?
「私達が初めて作った事例でもなければ、私達がそれをしなかったところで消えるものでもないのですから。持つ者が持たざる者から搾取する。知識の多い者が、そうではない者から搾取する。」
「弱い者には選ぶ権利が無い。大人なら誰もが知っている厳然たる世の中の事実ではありませんか?」
そう言い黒服は私の方へと手を開いて差し出してくる。
「そういうことですから、アビドスから手を引いていただけないでしょうか先生?ホシノさんさえ諦めていただければ、あの学校については守って差し上げましょう。カイザーPMCの事についても、私達の方で解決致します。あの子達もどうにか、アビドス高等学校に通い続ける事が出来るはずです。」
「そしてこれは、あのホシノさんも望んでいる事のはず。いかがでしょうか先生?生徒達が安心して学校に通えますよ?」
「断る。仮にそうだったとしても、あの子達はそんな結果を望んでいないよ。」
黒服はいい条件を言ってる風に聞こえる。でも、それじゃあ駄目なんだよ。あの子達はホシノを含めた皆で学校に通いたいんだよ。
「⋯⋯どうして?どうあっても、私達と敵対するおつもりですか?貴女は無力です!戦う手段など、
黒服が段々声を荒げながら私の方へと歩いて来る。
「だとしても、助けを求めている人がいるなら戦わないといけない。どんなに強大な相手でも、声を上げ続ければきっと、誰かに届くということを!私は証明しなくてはいけないのよ!」
「⋯⋯何を馬鹿な事を。だったら何故未だに彼女達は、孤独なのですか?」
「少なくても私の耳には届いたよ。彼女達の声が。」
「放っておけばよいではありませんか。」
「放ってはおけない。それに、戦う手段が私には無いと言ったね黒服。」
スーツのポケットからクレジットカードのような物、『大人のカード』を取り出す。すると黒服の表情が目に見えるように困惑し始めた。
「⋯⋯先生、確かにそれは貴女だけの武器です。しかし、私はそのリスクも薄っすらとですが知っています。使えば使うほど、削られていく筈です。貴女の生が、時間が。そうでしょう?」
なんとなくそんな予感はしてたよ。まだ使ったことないけど、なんとなく分かる。
「ですから、そのカードはしまっておいてください先生。貴女にも貴女の生活があるはずです。あの子達よりも、もっと大事な事に使ってください先生。」
「先程も言いましたが、放っておいても良いではありませんか。元々貴女の与り知るところではないのですから。」
「断る。」
そう言った瞬間、黒服は私に圧を掛けながら更に近付いてくる。正直かなり怖い、でもここでビビっていられない!
「何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故!?何故!?何故!?何故!?」
「理解出来ません、何故断るのですか?どうして?先生、一体それは何のためなのですか?」
何故か。今から教えてあげるよ黒服。
「⋯⋯あの子達の苦しみに対して、責任を取る大人は誰もいなかった。」
「何が言いたいのですか先生?だから貴女が責任を取ると?貴女はあの子達の保護者でも家族でもありません。貴女は偶然アビドスに呼ばれ、偶然あの子達と会った他人です。一体どうして、何故取る必要の無い責任を取ろうとするのですか?」
「確かに、私はあの子達の家族でも何でもない。貴方の言う通り偶然アビドスに呼ばれ、偶然あの子達に出会った。たったそれだけの関係。」
私はそこまで言い、一呼吸置く。無意識に両手を握り締めながら。
「それが何だっていうのよ!?責任を取る理由!?子供が助けを求めたのよ!それだけで充分じゃない!」
「⋯⋯あぁそうですか。大人とは『責任を負うもの』そう言いたいのですか?先生、その考えは間違っています。大人とは望む通りに社会を改造し、法則を決めて、規則を決め、常識と非常識を決め、平凡と非凡を決める者です。」
声を荒げる私に対して黒服は冷静に言葉を発する。
「権力によって権力の無い者を、知識によって知識の無い物を、力によって力の無い者を支配する。それが大人です。自分とは関係の無い話、とは言わせませんよ先生。」
「⋯⋯⋯⋯。」
「貴女はこのキヴォトスの支配者にもなり得ました。この学園都市における莫大な権力と権限、そしてこの学園都市に存在する神秘。その全てが、一時的とはいえ貴女の手の上にありました。」
黒服はそこまで言うと私から離れ、両腕を横に広げた。シャーレ奪還時のサンクトゥムタワー権限の話ね。
「しかし、それを貴女は迷わず手放した。理解出来ません。一体その選択に何の意味があるのですか?真理と秘儀、権力、お金、力、その全てを捨てるという無意味な選択を、どうして!」
「⋯⋯言ってもきっと、貴方には理解出来ないと思うよ。」
あの子達、いや生徒の笑顔が見られるなら、私は真理、秘儀、権力、お金、力なんていらないのよ。
「⋯⋯良いでしょう、交渉は決裂です先生。私は貴女の事を気に入っていたのですが、仕方ありませんね。」
「貴方に気に入られても嬉しくないね。」
「クックック。先生、ホシノさんを助けたいですか?ホシノさんはアビドス砂漠のPMC基地の中央にある実験室にいます。『ミメシス』で観測した神秘の裏側、つまり恐怖。それを生きている生徒に適用することが出来るか、そんな実験を始めるつもりでした。」
何の為の実験かは分からないけど、早く助けた方がいいって事だね。
「もし、ホシノさんが失敗したらあの狼の神を代わりに、と思っていたのですが、ふぅ、どうやら前提から崩れてしまったようです。そういうことなので精々頑張って生徒を助けると良いでしょう。」
「もっとも、あの理事が基地内に貴女達を入れるかどうかは別の話です。お話出来て良かったです。微力ながら、幸運を祈っておりますよ。」
「⋯⋯ふん。」
ホシノちゃんの場所は分かった、なら早く戻って皆に伝えないとね。
『フフフッ、とても素晴らしい話でしたよ先生。』
「っ!誰!?」
女の人の声?一体何処から!?
『そんなに焦らなくてもすぐに顔をお見せしますよ。』
そう聞こえた後、部屋の入り口の方からホログラムが浮び上がった。そこに映っていたのは皮膚が赤く、白いドレスを着て、頭部に無数の目がある女性が映っていた。
『初めましてですね先生、私はある高校の生徒会長兼ゲマトリア所属のベアトリーチェと言います。』
「⋯⋯一体何の用ですかベアトリーチェ?」
『貴方に用なんてありませんよ黒服。用があるのは貴女です先生。』
黒服が不機嫌そうに言ったけど、ベアトリーチェはそれを軽くあしらった。ただの同僚という事か。
『貴女の大人としての考えは聞かせて貰いました。とても生徒思いで、世間知らずな小娘ですね。』
「何ですって?どういう意味かしら?」
『子供に対しての責任を取る。それは全生徒に当てはまりますか先生?』
「当てはまるよ。生徒達は皆いい子だと信じてるからね。」
私がそう言うとベアトリーチェは持っていた扇子を広げて口を隠した。こいつは黒服以上に胡散臭い。
『その信じている生徒が、生徒の殺人を犯していたとしてもですか先生?』
「!?」
殺人?生徒達は銃弾を喰らっても痛いで済むくらい頑丈。そんな生徒を殺した?
『ちなみに、その生徒は貴女もよく知っている生徒ですよ先生?』
「そんなわけない。生徒が生徒を殺すなんて!」
『ですが事実ですよ。そんな生徒の責任も貴女は負うのですか?』
「⋯⋯貴女はそんな事を言うためだけに通信しに来たのベアトリーチェ?」
『それもありますが、一番の目的は違います。』
そこまで言うとベアトリーチェは扇子を閉じ、その扇子を顎に当てる。何か様になってるのが嫌だ。
『先生、一般男子を外の世界に追放、もしくは殺していただけませんか?』
「断る。」
何で大将を?こいつと大将は一体何の関係があるの?
『断りますか。まあ予想の範囲内ですが、安易に断ってよかったのですか?行方不明になっているのは小鳥遊ホシノだけではないのですよ先生?』
「ベアトリーチェ、貴方は一体。」
『黙っていなさい黒服。どうです先生?気になりますよね?先程の提案を飲んでいただければ詳細をお教えいたしますよ?フフフッ、さあいかがで「断る。貴女の言ってる事の証拠がない。」⋯⋯よくもまあ、私に対してそんな態度をと』
ベアトリーチェがそこまで言った瞬間、ホログラムがぶつりと切れた。黒服がやったの?
「先生、貴女はホシノさんの救出を最優先に。時間はあまり残されておりませんよ?」
「ベアトリーチェの言ってた事は本当なの黒服?」
「⋯⋯分かりません、ですがそれを気にしてホシノさんの救出を諦めるのですか?ベアトリーチェの件は私の方で調べて教えますよ。」
「⋯⋯何でそこまでしてくれるの?」
黒服はこういう無駄な事は普段しないと思う。短い会話だったけど、そういう感じがした。それなのにするということは。
「クックック、手を貸す理由をお答えしましょうか先生?理由は2つです。一つ目は、大将に死なれてほしくないのですよ。彼は神秘ではない不可思議な力を使う、それをまだ観測したいのですから。」
「2つ目は、ベアトリーチェは私の研究対象に余計な手を加えたのです。内心ベアトリーチェにはキレていましてね、つまり仕返しですよ。」
「⋯⋯分かった。」
2つの理由は黒服の本心だと感じた。なら任せるしかない。早急にホシノちゃんを救う準備をしないと。
「おっと、一つ言い忘れておりました。先生、我々ゲマトリアは何時でも先生を見ておりますよ。」
ストーカーで訴えてやろうかなこの黒服。
先生
実は年齢が二十代前半で、大人になったばかりなので先生としてはまだ未熟。
黒服
推しの1人である先生と顔を合わせて話せたので実はテンション上がっている。ちゃっかり先生のモモトークを勝手に登録している。
もう1人の推しは一般男子。
ベアトリーチェ
ついに名前が出たある高校の生徒会長。本来なら出番はまだまだ先だが、一般男子によって出番が早まってしまった。
一般男子も先生も嫌いである。
一般男子
便利屋から逃げ切り、今はアビドス高校の近くの建物で待機している。
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