Blue Legend〜一般男子の物語〜   作:宗也

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感想、ここすき、お気に入りありがとうございます!

今回はパヴァーヌ第1章でユウカから話があったスズミとの手合わせです。


EX6 貴方の背中に追い付きたくて

ミレニアム 鍛錬室

 

「俺を何の用で呼び出したんだ守月?そもそもここを使う許可取ったのかよ?」

 

「許可はユウカさんにお願いして取っていただきました。」

 

パヴァーヌ第1章も終わり、少しのんびりしようとした時に守月からモモトークで鍛錬室に来てください、という連絡が来たから鍛錬室に入ると、戦闘準備万端の守月が部屋の中央にいた。

 

俺は特に守月とシャーレ奪還以降関わっていない筈だが?守月の目が真剣だから何かあるのは間違いない。

 

あっ、ユウカから守月が俺と手合わせしたいって言ってたからその件かな。

 

「俺との手合わせだったか?確かユウカがそう言ってたけど、間違いないか?」

 

「はい、間違いありません。ですが、今回はそれだけではありません。」

 

それだけじゃない?守月は真剣な目だ、でもよくよく見ると少し悲しそうな表情もしている。守月に何かした覚えはないぞ?

 

「大将、この手合わせで私が勝ちましたら、しばらく入院してもらいます。」

 

「⋯⋯はい?入院?いきなり何言ってんだよ守月、俺は健康そのものだぞ?」

 

「とぼけないでください!貴方が余命数カ月なのは知っているんですよ!」

 

「!!!??」

 

何でバレた!?その話をしている時はヒフミ達はまだ盗聴していない筈だ!黒服の野郎が匿名で誰かに伝えたのか!?

 

「トリニティの情報網を甘く見ない方がいいです。大将が黒い異型の人物と話をしていたカフェにフィリウス派の生徒が居ましたので、会話内容を聞いてしまったのですよ。」

 

あのカフェ個室に防音設備ねぇのかよ!?フィリウス派の生徒からグループモモトークメンバーに伝わったのか、だとしたらナギサがフィリウス派の生徒から聞いたのか。

 

いやこれはマズイぞ!非常にとてもかなりマズイ!入院になったら監視されて脱走も難しくなる、そうなったらストーリーに関われなくなるぞ!最悪回避出来るバッドエンドが回避出来なくなる!

 

「本来であればここにはナギサ様が来る予定でしたが、例の条約の件で手が離せないとのことなので。ヒフミさんは今日は外出しており、ハナエさんも救護騎士団の活動で手が離せないとの事で、ナギサ様から私に連絡がありました。」

 

「⋯⋯余命の件はトリニティの一部しか知らないで認識合ってるのか守月?」

 

多分グループモモトークメンバーには連絡していないと思う、連絡してたならネルとかキサキとかカンナが来るはずだ。

 

「はい、話を聞いていたフィリウス派の生徒、ナギサ様、それと私しか知りません。グループモモトークメンバーにはまだ連絡はしていないみたいです。大きな混乱を招きたくないとのことです。」

 

「そっか、それで俺を入院させる為に守月が来たって訳か。」

 

「その通りです。大将が言葉だけでは止まらないのは見てきていますので。なので勝負という形で止めさせていただきます。大将が勝った場合は、わ、私の事を、す、好きに、好きにしていいです!」

 

「いや何もしないからな守月!顔を真っ赤にして無理するくらいなら言うんじゃねぇよ!」

 

シリアスな雰囲気が一気に消し飛んだぞ全く。

 

「ゴホン、大将、私は全力で貴方を止めます。もう無茶をしなくても良いように、気張らなくても良いように。」

 

守月は先程の真っ赤な顔ではなく、微笑みながら言ってくる。守月がここまで言うなんて、よっぽど俺を止めたいんだな。

 

「分かった、なら手加減無しで行かせてもらうぞ。かなり痛い思いをする事になるけど、構わないんだな?」

 

「構いません、私も本気で行かせてもらいますので!」

 

守月はそう言った後に銃を構える。俺も『ゾーラの剣』と『ゾーラの盾』を装備してと。

 

「では、行きます!」

 

守月の声が聞こえた瞬間、守月のスカートから閃光弾が落ちて炸裂した。不意打ちかよ、予め準備していやがったな!

 

「けど、想定の範囲内だぞ守月!」

 

視界が潰されたけど、関係ねぇな!守月の走る足音、匂い、空気の流れで位置はわかるんだよ!

 

「そこだ!」

 

「くっ!流石大将ですね、視界が潰されても見えてるかのように私の位置を把握して剣で攻撃してくるなんて。」

 

剣を振り降ろすと金属と金属がぶつかる音が響き渡った。守月は銃を盾にして剣を防いだな。

 

「ですが、至近距離での格闘なら防げないですよね!」

 

目がまだ見えないから他部位で得た情報なら、守月は肘打ちで俺の腹に攻撃してくる。

 

それを冷静に盾で防ぐが、思っていた以上に威力が強くて踏ん張っても後ろに後退させられた。守月のパワー上がってないか!?

 

「驚いていますね大将。シャーレ奪還の件以降、鍛え直しましたので。」

 

ようやく視界が戻ったから守月の方を見ると、アサルトライフルの銃口を俺に向けていた。

 

そして予想通り銃弾を放ってきたから、ゾーラの盾で自分に当たる銃弾だけ防ぐ。やたらと顔面狙いの銃弾が多いが、まさか。

 

「うおっ!?」

 

いつの間にか接近されていた守月に足払いされて仰向けに倒される。盾で俺の視界が制限されるようにして接近、そして気付かれる前に攻撃したのか!

 

そして守月が俺の腹の上に跨り、銃口を俺の額に当ててくる。

 

「これで終わりです!」

 

「いや、まだ終わりじゃないぞ守月。」

 

素早く『疾風のブーメラン』を装備して守月に向けて投げる。いきなり強風が襲ったから守月は目を瞑った。

 

その隙に腕力だけで『盾アタック』を守月の体に放って吹き飛ばし、立ち上がる。

 

「ふぅ、前に手合わせした時よりもかなり強くなったな守月。」

 

「まだですよ大将!まだ私は大将に全力をぶつけていません!」

 

守月は後ろに転がりながら体勢を整えて接近してくる。さっきまでの感じだと、様子見してたら後手になるからこっちから攻めないとな。

 

⋯⋯ちなみに守月は制服姿で、スカートの丈が短いから、見えるんだよなぁ。気にしてられないけどさ。

 

「そろそろ攻めるぞ守月。」

 

俺も盾を構えながら守月に向かって駆け出す。守月は俺が駆け出してくるとは思わなかったのか一瞬動揺した。戦闘でそういう隙を晒すのは良くないぞ?

 

剣を横に薙ぎ払う為に腰の位置に剣を構える。それを見た守月は銃を縦にして防ごうとしている。

 

「ふんっ!」

 

「えっ、何処に剣を!?」

 

剣を振り抜こうとするフリをして守月の横の空間目掛けて投げ飛ばし、『兵士の大剣』を装備し『トパーズ』をスクラビルドし、呆然としている守月に向けて薙ぎ払う。

 

対応が遅れた守月はまともに喰らって吹き飛ばされた。電撃も喰らってるから上手く動けずにいるな。

 

「ごふっ、体が痺れて、思うように動かない。でも、大将を止めないといけないんです!」

 

咳き込みながら守月は立ち上がった。前なら一撃与えればしばらく動けていなかったんだけどな。

 

「接近戦は危険。なら遠距離から!」

 

守月は走り回りながら銃弾を放ってくる。なるほど、走り回りながら銃弾を放って隙を作り、閃光弾や接近しての徒手空拳か。

 

悪くないけど、俺に向けてただ銃弾を放ったら駄目だぞ。

 

「さっきは様子見で律儀に銃弾を防いでいたけど、んなこと本来はしないんだよなぁ!」

 

当たらない銃弾は無視して、自分に当たる銃弾を装備し直した盾でガードジャストして全て守月に跳ね返しながら接近する。

 

「うぐっ!大将のガードジャスト後の硬直時間が短くなってる!?」

 

「鍛錬してたのは守月だけじゃないんだぜ!俺だって自分の弱点は克服する為に色々するさ!」

 

「やっぱり、大将は凄いですね。だからこそ、これ以上大将を無茶させない為に止めます!」

 

遠距離じゃ埒が明かないと判断したのか守月は閃光弾を落とし、それを俺に向けて蹴飛ばそうとする。

 

「それを黙って見てる訳ないだろ!『ウルトラハンド』発動!」

 

『ウルトラハンド』で閃光弾を掴み、位置をずらす。蹴りが空振った守月は目を見開いてしまい、同時に閃光弾が炸裂する。

 

もろに光を受けそうになった守月は銃を持っていない腕で目を保護しようとする。その瞬間を見逃さずに守月の懐に入り、盾を使って殴り飛ばす。

 

「カハッ!」

 

守月はたたらを踏むが、倒れるのだけは防いだ。タフさも上がったな。いや、想いの強さだけで耐えてるのか。

 

「負けられ、ないんです!私の、憧れの大将を、救う為に、負けられない!そうです、負けられないんです!」

 

「助けを求めている生徒を、地位、学年、所属、どれも関係なく救っている大将を見て、私は憧れたんです!」

 

「トリニティだけでなく、他学園でも変わらずに自分の正義を信じて行動する大将を見て、私はこの人のようになりたいと思った!」

 

「なのに!私は、上からの圧力で、生徒を助け出した大将を、感謝されるはずだった大将を、悪人として捕まえてしまった!大将の顔に泥を塗ってしまった!」

 

「だから、グループモモトークには入れない。いえ、入る資格すら無いんです!だから、大将から嫌われる行為は、私がしないといけないんです!大将を想う資格は、私になんか、無い。」

 

⋯⋯マズイな、守月が両手で頭を抱えてちょっと暴走してる。何か守月のヘイローがビキビキって音を立ててる気がする!今まで溜まっていた悪感情が爆発しかけてるのか!

 

今まではすぐに気絶してたからこうはならなかった。それと俺の余命の件の心労も重なってるのか!

 

「落ち着け守月!俺は別に守月、いやスズミに逮捕された事について気にしてないぞ!だから自分を責めるんじゃねえ!」

 

大声で呼び掛けても反応すらしない、強引にでも衝撃を与えないと駄目か!

 

けどスズミに接近しようとするとすぐに逃げられる。なら『電気の実』を投げ付ければ、いや駄目だ、衝撃が弱過ぎるかもだし、そもそも当たる保障がない。

 

「中途半端な威力だと効果が無い、なら!」

 

『トアルの剣』を装備し、スズミが反応しないギリギリまで近付き、剣を両手で持って剣先を上にして腰を落として力を溜める。

 

「ンンンッ、ホウッヘアァァ!!」

 

そうして力が溜まりきった時、前方へジャンプしながら守月目掛けて剣を斜めに振り降ろす!

 

奥義の『大ジャンプ斬り』を発動してスズミの意識を一気に飛ばす、喰らった守月は壁に激突して地面に倒れ伏した。ちょっと手荒な方法になってごめんよ。

 

ヘイローは消えてるから気絶してる。ふぅー、何とかなったか。

 

「取り敢えず、休憩室まで運んでベッドに寝かせるか。」

 

スズミをお姫様抱っこで運んでと、靴を脱がしベッドに寝かせてと。起きるまで体力回復の為に料理でも食べてるか。

 

「んぅ、あれ?ここは?」

 

そうして約30分経過した頃にスズミが目を覚ました。ヘイローは特に問題なさそうだな、ヨシッ!

 

「あの、どうして大将は某猫の安全確認の指差しポーズで私のヘイローを指差しているのですか?」

 

「気絶する前はスズミのヘイローがちょっとヤバい状態だったからな。無事に目が覚めて良かった、体の方は大丈夫か?」

 

「少し全身が痛いくらいなので大丈夫です。あの、すみません大将、見苦しいところを見せてしまいまして⋯⋯。」

 

スズミは恥ずかしそうに羽で左目を隠しながら布団を口元まで上げて隠れようとする。可愛い。

 

「別に問題ないぞ。」

 

「勝負は、大将が勝ったのですよね?なら、わ、私の体を!?せめてシャワーを浴びて来てもよろしいでしょうか!?」

 

「何もしないからな?おい、ちょっとがっかりするんじゃありません。なら、グループモモトークに入ってくれ。」

 

俺がそう言うと、スズミは嬉しそうな、でも申し訳なさそうな表情をし始めた。

 

「い、いいのでしょうか?」

 

「構わないぞ、いや俺が決める事でもないんだけどさ。ナギサ達も良いって多分言うと思うぞ?」

 

「でも、私は、わぷっ!?」

 

うだうだ言うスズミの頭をちょっと乱暴に撫でる。うーん、触り心地の良い髪だな。

 

「私は、女の子らしく、ないですし。非公認の部活に入っていますし、権限なんて私にはないんです。」

 

「どこがだよ、スズミは充分女の子らしいだろ。俺が保障する、だから自信持っていいんだよ。それに、誰かを助けるのに権限なんているのか?」

 

「!!!今私の事を名前で!?

 

あれ?スズミの顔がまた赤くなってきた。俺は変なこと言ってるつもりはないんだけどな。権限なんて、学園に所属してないから、スズミ以上に俺は持ってないんだぞ?

 

「こんな臆病者の私を、大将や皆さんは受け入れてくれるのでしょうか?」

 

「スズミが臆病者?ないない、それはない。臆病者なら連邦生徒会長がいなくなって、キヴォトス大混乱の時に、1人で連邦生徒会まで行かないだろ。とても勇敢だよスズミは、先生にも聞いてみたらどうだ?」

 

「誰も言わないなら俺が言おう。スズミは良く頑張ってる、とても優しい正義の味方だよ。」

 

俺の考える正義の味方は『正しく有ろうとする人の助っ人』って考えてる。ならスズミは正義の味方だろうな。

 

「あう、あうあうあう〜。」

 

「じゃ、俺は鍛錬室の掃除をして来る。ここにはシャワーもあるし、自由に使っていいからな。」

 

顔を真っ赤にしてフリーズしてるスズミを置いて鍛錬室に戻る。うーん、盾で攻撃を防いでも、力負けした時に後ろに下がっちまうな。『アイアンブーツ』でも探しに行くか。




一般男子
スズミとの戦闘ではほぼ攻撃を回避していたが、かなりギリギリだったので冷や汗がドバドバだった。

余命については、後日慕われているメンバーにバレた。

守月スズミ
一般男子に憧れを持っているが、自分はグループモモトークに入る資格なんて無いと思っていた。

感謝される筈の一般男子を捕まえてしまった、余命の件、色々重なって悪感情が爆発しかけた。一般男子が下手な対応をしていたらテラー化もあり得た。

一般男子の言葉を聞いてグループモモトークに入ることを決意。家に戻った後、ベッドの上でゴロゴロと悶えていた。


猫の安全確認の指差しポーズ
現場猫の指差しポーズ、あれを考えた人は天才だと思う。


『大ジャンプ斬り』
トワプリに出てくる奥義、終盤で習得出来る。威力はかなり高いが、結構隙が大きいので乱発は出来ない。奥義を出す際の声が独特。


『アイアンブーツ』
いくつかのゼルダシリーズで出てくるアイテム。作品によっては『ヘビーブーツ』とも呼ばれる。重い靴なので強風に吹き飛ばされずに済んだり、水の中に沈んだりする事が出来る。デザインは風タクが一番好き。
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