Blue Legend〜一般男子の物語〜   作:宗也

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今回からエデン条約編です。


エデン条約編 第1章
ティーパーティーからの依頼


「こんにちは先生、こうして公共の場でお会いするのは初めてですね。」

 

トリニティのテラスで先生とナギサがテーブルを挟んで座っている。トリニティに行きたいから着いてきてって言われたから俺も居るぞ、ついでに聖園も。

 

「改めまして、ティーパーティーのホスト、桐藤ナギサと申します。」

 

「うん、改めてよろしくねナギサちゃん!」

 

「そしてあちらに座っているのが、同じくティーパーティーのメンバー、聖園ミカさんです。」

 

先生の視線に気付いた聖園は笑顔でペコリと会釈をした。うーん、ナギサが出した紅茶、またお高いのを出したなこりゃ。

 

「私達がトリニティの生徒会、ティーパーティーです。」

 

「へー、これが噂の先生かー。あんまり私達と変わらない感じなんだね?」

 

聖園は先生をじろじろ見ながら呟くように言う。むっ、このマカロン旨い、また腕を上げたなナギサ。

 

「⋯⋯うん!私は結構いいと思う!ナギちゃん的にはどう?あと大将!そのマカロン取っておいてよね!」

 

「まだ1つしか食べてないんだけど聖園?お前お菓子を全部食べるつもりなのか?太るぞ?」

 

「あー!女の子に言っちゃいけない事を言ったねー!」

 

聖園が膨れっ面になりながら睨んでくるけど気にしない気にしない。まっ、聖園は良く動くから太らないと思うけどな。

 

「ミカさん、初対面でそう言った話はあまり礼儀がなっていませんよ?あと大将、女性に体重の話は禁句ですよ。」

 

「悪い悪い、つい言葉が出ちまったんだ。すまんな聖園。」

 

「誠意が籠ってなーい!まあいいけどさ、取り敢えずよろしくってことで先生!」

 

「こちらこそよろしくねミカちゃん!」

 

聖園と先生が笑顔で言った後、皆一度紅茶を飲む。紅茶は飲んだ先生は驚いた表情になったな。

 

「この紅茶凄く美味しいね!どこの茶葉を使ってるのかな?高級なのかな?」

 

「あー、先生。ティーパーティーで出される紅茶の種類や値段は聞かない方がいいですよ?なあ聖園?」

 

これは何十万する茶葉を使ってると思う、俺は別に数千クレジットくらいの茶葉で良いんだけどなぁ。

 

「大将の言う通りだねー。ナギちゃん、この紅茶はいくらの紅茶なの?」

 

「以前に大将をもてなす際に数百万の茶葉を用意しましたが、その後怒られてしまいましたのでランクは少し下げています。80万クレジットのお手頃な茶葉ですよ。」

 

ナギサの言葉を聞いた先生はピシッと体が固まった。約100万はお手頃じゃないんだよナギサ。聖園はあちゃーといった表情を浮かべている。聖園は本当に庶民的な思考よりだよな。

 

「ごごご、ごめんねナギサちゃん。80万の茶葉はお手頃じゃないんだよ。最高級品なんだよ!?」

 

「先生、慣れてください。トリニティはお嬢様が集まる場所なんです。数十万とか数百万とかはざらなので。」

 

「あはは☆大将の顔黄昏ていておもしろーい!」

 

俺を指差して笑うな聖園。ナギサの笑顔が段々引き攣って来てるから、ロールケーキブチ込まれても知らんぞ。

 

「トリニティの外の方が、このティーパーティーの場に招待されたのは、私の記憶では先生が初めてです。」

 

「おーーーい!ナギサ!?俺もトリニティの外の方なんだけどなー!?」

 

「大将は名誉フィリウス派のトリニティ生徒なので無視して「ハァッ☆」普段はトリニティの一般な生徒達も簡単には招待されない席で「あー、何それナギちゃんちょっといやらしい!恩着せがましい感じー!」あら、手が滑りました。」

 

「「ぐもっ!?」」

 

急にナギサがロールケーキを俺と聖園の口に投げ込んで来た。予備動作無しで正確に俺と聖園の口に投げ入れる、投擲技術も上がってるようでなにより!

 

「な、ナギサちゃん?今ロールケーキ投げなかった?」

 

「はて?気のせいですよ先生。お二人は急にロールケーキを食べたくなったようなので、食べているだけですよ。」

 

「「むしゃむしゃゴクン。」」

 

俺と聖園は同時にロールケーキを食べ終わる。聖園はこいつ出来る!みたいな顔してる、今までナギサからロールケーキを何百本もブチ込まれてるからな、ロールケーキの早食いはお手の物だ。

 

「では、改めて。こうして先生をご招待したのは、少々お願いしたいことがありまして。」

 

「お願い?」

 

「おおっ!?ナギちゃんいきなりだね!?もうちょっとこう、アイスブレイクとか要らないの?ちょっとした小粋な雑談とかは?天気が良いですねとか、昨日は何食べたのですか、とか。そういうのは挟まないの?ほら、ティーパーティーって、基本的には社交界なんだし?」

 

聖園が話す度に段々ナギサの額に青筋が浮かんで来てるぞ。これはまたロールケーキブチ込まれますね。

 

「ナギちゃん、そんな綺麗な目で睨んでも、これはティーパーティーとしての在り方の問題なんだからダメー!きちんとしないと!」

 

「⋯⋯それもそうですね。ミカさんの言う通り、少し話の方向性を変えましょうか。」

 

おお、ナギサは何とか怒りを抑えたみたいだ。

 

「貴方達がトリニティの生徒会長なんだよね?」

 

「おお、先生の方から空気を読んでくれた!ほら、ナギちゃん見た!?これが大人の話術だよ!自然な会話への誘導!」

 

何か聖園の話し方が大袈裟だな?まあ、指摘しても面倒臭くなりそうだし、放っておくか。

 

「先生の仰る通り、私達がトリニティ総合学園の生徒会長達です。説明しますと、トリニティの生徒会長は代々複数人で担ってるものなのです。」

 

「あれ?ナギちゃん無視?もしかして無視かな?おーい?」

 

面倒臭くなったからナギサは聖園を無視し始めた。俺に目線で助けを求めても無駄だぞ聖園、大人しくしていろよ。

 

「昔⋯⋯『トリニティ総合学園』が生まれる前、各分派の代表達が紛争を解決するために『ティーパーティー』を開いた事からこの歴史は始まりました。」

 

「え、ひどっ、くすん、私ちょっと傷付いた。大将慰めて?」

 

「よ〜しよしよしよしよしよしよし!!」

 

「ちょっと!わぷっ!?その頭の撫で方やだ!私は動物じゃないんだよ!?」

 

聖園が俺の席の近くまで来たから某小説家みたいに聖園の頭を乱暴に撫で回す。聖園はブーブー文句言ってるけど、嘘泣きする奴なんかこんな慰め方で充分だ。

 

おっと、またナギサの顔に青筋が浮かんで来た。文句は聖園に言ってくれよな。

 

「⋯⋯パテル、フィリウス、サンクトゥス、それら三つの学園を代表を筆頭にティーパーティーを開き、和解への流れが生み出されたのです。本当はアリウスもいたのですがね。

 

「!?」

 

先生はナギサが小さな声で呟いたアリウスって言葉に反応したな?でもここでその話題を出すと聖園が何をするか分からないから聖園に見えないように人差し指を唇に当て、先生に向けてジェスチャーをする。

 

先生は俺のジェスチャーを見て追求しないように黙った。何とか伝わったか。

 

「えーん!ナギちゃんが本当に無視した、嫌がらせだぁ、酷くない?私達は一応十年来の幼馴染だよ?こんな事今までに、結構あったかもだけど。」

 

「その後から、トリニティの生徒会は『ティーパーティー』という通称で呼ばれるようになり、各派閥の代表達が順番にホストを⋯⋯。」

 

「こうなったら大将に抱き着いて更に慰めてもらうんだからね!大将!ギュッとして!」

 

「構わんよ聖園!さあ、一般男子の胸に飛び込んでおいでー!」

 

「ああもう五月蝿いですね!?あと大将に抱き着かないでくださいミカさん!」

 

俺が聖園を抱き締めた瞬間に、ナギサが乱暴にティーカップを置いてガタッと立ち上がった。やべ、騒ぎ過ぎたか?

 

「今、私が説明をしているんですよ!?それなのにさっきからずっと!ぶつぶつぶつぶつと!おまけに大将とイチャイチャして!」

 

「な、ナギサちゃん落ち着いて!」

 

ナギサがズンズンと俺と聖園に威圧を掛けながら近付いてくる。これは、ロールケーキブチ込まれますね。

 

「どうしても黙れないのでしたら、お二人の口に。」

 

「ロールケーキをブチ込みますよっ!?いえ、もうブチ込んで差し上げます!口開け!」

 

「「うぶえっ!?」」

 

いつの間にかナギサが両手に1つずつ持っていたロールケーキを俺と聖園の口にブチ込んで来た。あれ!?俺だけ聖園にブチ込まれたロールケーキの倍の長さなんだけど!?

 

「ミカさんとイチャイチャした罰です大将。搾り取られないだけありがたく思ってください!」

 

「ふんまへーん!」

 

「⋯⋯失礼しました先生、少々はしたない言葉遣いでしたね。」

 

先生はナギサが人の口にロールケーキをブチ込む姿と汚い言葉遣いを見て、苦笑いを浮かべていた。あんなお清楚オーラや見た目からは想像出来ないもんな。

 

しかし、ブチ込まれたロールケーキが食い終わらねぇ。どうやって作ったんだよこれぇ。

 

「いやー、怖い怖い。大将大丈夫?食べ切れ「ふぅ、食べ切るのにちょっと時間掛かったな。」何であの長さのロールケーキを1分弱で食べ切れるのかなぁ。」

 

早食いは必須スキル。ナギサの手作りだけあってとても美味しいから食べるのは苦じゃないからな。

 

「そろそろ本題に入りましょうか。私達が先生にお願いしたいのは、簡単な事です。」

 

「簡単だけど、重要な事だよ。」

 

「ミカさんの言う通りです。先生には、補習授業部の、顧問になっていただけませんか?」

 

やっぱり補習授業部は設立されるんだな。先生は頭に疑問符を浮かべている。

 

「補習授業部?」

 

「はい。つまり、落第の危機に陥っている生徒達を救っていただきたいのです。『部』という形ではありますが、今回は顧問というより『担任の先生』と言った方が良いかもしれませんね。」

 

「トリニティ総合学園は、昔からキヴォトスにおいて『文武両道』を掲げる歴史と伝統が息づく学園です。クソみたいな伝統もありますが⋯⋯。

 

本音漏れてんぞナギサー。

 

「それなのにあろうことか、よりにもよってこの時期に、成績の振るわない方がなんと4名もいらっしゃいまして⋯⋯。」

 

「私達としては、ちょっと困ったタイミングでっていうか。『エデン条約』の件で、今はバタバタしててね。あの子達の件も何とか解決しないといけないんだけど、人手と時間も足りなくって。」

 

これは本当だ、マジで今トリニティ全体がバタバタしているぞ。

 

「その時に丁度見つけたの!新聞に載ってた『シャーレ』の活躍っぷりを!猫探し、街の掃除、宅配便の配達まで、八面六臂の大活躍!このシャーレになら、きっと面倒事を任せられそうだなって!」

 

聖園の評価を聞いて先生は喜んでいいのかどうか、複雑な表情を浮かべていた。もうちょい何か無かったのかよ聖園。

 

「面倒事なんて言ってはいけませんよミカさん。」

 

「ま、まあでも、ある意味本当の事でもあるし。それに、『先生』なんでしょ?今は皆BDで学習する時代だし、学校の職員とか、教授とかならまだしも『先生』って概念は珍しいんだよね。」

 

ここが歪だよなキヴォトス、学園都市って言われてるのに、まあ俺がどうこう出来る範囲を超えてるからスルーするしかないんだけどさ。

 

「先の道を生きると書いて『先生』、つまり『導いてくれる役割』って事だよね?尊敬の対象、あるいは生きる指針として皆に手を差し伸べ、導く。『補習授業部』の顧問として、これはぴったりだなって思って!」

 

「噂では『尊敬』という言葉が合うかどうかについては、意見が割れているようですが。」

 

生徒の足を舐めたり、汗かいてる生徒を抱き締めて頭の匂いを嗅いだりしてるもんな先生。俺はある意味で尊敬してるぞ!

 

「あー、そうだったね。報告書によって全然違うっていうか、まあ、これは先生の名誉の為に何も言わないでおくね。」

 

「(一体どんな噂が⋯⋯、うん、聞かなかった事にしようかな!)」

 

思い当たる節があるのか、先生はすまし顔で紅茶を飲んだ。

 

「とにかく!今はちょっと忙しい事もあって、ぜひ先生に、この子達を引き受けてほしいの!」

 

「もう少々説明しますと、この『補習授業部』は常設されているものではなく、特殊な事態に応じて創設し、救済が必要な生徒達を加入させるものです。」

 

「少々特殊な形ではありますが、急ぎということもあり、シャーレの超法規的な権限をお借りしつつ、といった形で、ですね。」

 

「色々とややこしいですが、本質はあくまで『成績の振るわない生徒達を救済すること』にあります。だからこそ、こういった特殊な形での創設が許された訳ですが。」

 

ナギサはそこまで言った後、一度紅茶を飲む。おっ、出された紅茶は冷めても旨いな。

 

「いかがでしょう先生?助けが必要な生徒達に、手を差し伸べていただけませんか?」

 

「私に出来ることであれば、喜んで。」

 

紅茶を飲み干した先生は笑顔を浮かべながらナギサからの依頼を受けた。こういうところで即答出来るのが先生だよな。

 

「やった!ありがとー先生!」

 

「ありがとうございます。では、こちらを。」

 

ナギサはテーブルの上に用意していた生徒達の名簿が記載された紙を先生に渡した。さっきまで名簿の紙はテーブルに無かったんだけど?テーブルの下に隠してたのか。

 

「そちらの方々が対象です。」

 

「つまり、トリニティのやっか「補習が必要な方々です。」まあ呼び方は何でもいいけどねー。」

 

ナギサと聖園が話している最中に、先生は渡された名簿の紙を見ていく。そしてある生徒の名前が書かれてある事に気付いた。やっぱお前の名前あるよな!

 

「先生、もしかしてヒフミちゃんが名簿の中にいる事に驚いてる?ヒフミちゃんはモモフレンズのライブとテスト日程が被ってるのに気付かなくて、何度もテストをすっぽかしたから入ってるんだよ!」

 

「全くヒフミさんは⋯⋯、詳しい内容についてはまた追ってご連絡いたします。他に気になる点はございませんか?」

 

「あー、俺から一点いいか?この補習授業部って、数回テストがあるんだろ?もし全てのテストの結果が芳しくない場合ってどうなるんだ?退学か?」

 

「いえ、退学(・・)ではなく、留年(・・)になりますよ大将。」

 

だよな、ヒフミが補習授業部にいるのに原作であった退学処分にはさせないもんな。

 

「ごめんナギサちゃん。『エデン条約』って何かな?」

 

「うーん、それは、何て言えばいいのかなぁ。」

 

「ざっくり言うと、いがみ合いをやめて仲良くしましょうという条約だぞ先生。詳しくはナギサに聞いてください。」

 

「エデン条約の説明は中々時間が掛かってしまうので、また後日お話します。一応、それなりに内部機密な情報なので。」

 

「そっか、あともう一つだけ。もう一人の生徒会長は?」

 

先生がそう質問すると、聖園とナギサの表情に悲しみが浮かんだ。

 

「セイアちゃんは、トリニティにいないの。今は入院中で⋯⋯。」

 

「本来であれば、今のホストはセイアさんだったのですが、そう言った事情の為、私がホストを務めているところです。」

 

「そっか、早く良くなるといいね。今聞きたいのはこれくらいかな。」

 

百合園の今の状態は原作知識で知ってるけど、言わないでおこう。

 

「承知しました、また何かあれば聞いてください。では準備が整い次第、先生にはトリニティ総合学園に派遣という形で来ていただくことにできればと。」

 

「じゃ、またね先生!大将!また会えるのかどうか分からないけど!」

 

そう言って聖園は席を立って去っていった。今の状況でも聖園はナギサと良く顔を合わせてるからな。やんちゃするナギサを止めるといった形で。

 

「大将は出来たらで構いませんので先生のサポートをお願いしますね。」

 

「了解っと。」

 

さあて、こっからエデン条約編の開始だ。気合入れて行くか!




一般男子
ミカへの接し方は結構雑、この後はナギサの執務室に連行され、ナギサが満足するため抱き締められた。


先生
原作通り補習授業部の顧問になった。勉強はどちらかと言えば苦手なので、ちゃんと教えられるかなと不安になっている。


桐藤ナギサ
原作通り補習授業部を創設した。ヒフミにはテストをすっぽかすなと注意していたが、直らなかったので仕方なく補習授業部入りさせた。

原作よりも疑り深くないため、テストで不合格の場合は退学ではなく留年にしている。だが、この後パテル派の生徒の仕業でルールを変えられてしまう。


聖園ミカ
大将の事は嫌いじゃない。ナギサの性格を変えた事については感謝しつつも文句を言いたいとのこと。

こういう時は日頃の鬱憤晴らしも兼ねてナギサをからかっている。


某小説家の撫で方
ムツ◯ロウさんが動物を撫でる時のやり方。実際に真似してみると意外と難しい。


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