口論で頼れる相手
「そういや合宿所に補習授業部が入ってから様子を見てなかったな、ちょっと様子見てくるか。」
ブラックマーケットから家に戻った後、店を営業して料理を作りながらふと思い出す。補習授業部の事は先生に任してるけど、ちょっと不安なんだよな。
心配なのは補習授業部というより先生だけど、ゲーム版やアニメ版の先生よりも何か頼りがいがない気がする。そんなもんだったっけ?
俺が先生が来る前に動き回ったせいかもしれない、でももう過去は変えられないし、どうすっかな。
「昼間に行くのはまずいか、トリニティ生徒の誰かに見付かってら面倒な事になるし、特にパテル派の生徒。」
となると夜だな、補習授業部は結構遅くまで勉強しているらしいから差し入れを持って行くついでに様子見だな。
勉強で脳が疲れてると思うから糖分補給の為に甘い物がいいか。でも女の子はカロリーとか気にするからケーキとかは控えた方がいいよな。
「ならプリンが妥当か。早速『たまごプリン』と『ハチミツアメ』も作って持って行くか。」
飴は手も塞がれないし手軽に食べられる、それでいて糖分補給も出来る優れものだ。俺も勉強する時は飴を食べてるし、ただ『ハチミツアメ』だけ持って行く訳にはいかないから別の味の飴も用意しないと。
「大将、オーダーが入ってるわよ。」
厨房内にアビドスの制服の上にエプロンを着けてるセリカが入って来る。何か急にセリカがやって来て、体が心配だから俺の店でアルバイトする事にしたらしい。
許可はナギサと柴大将から取ったんだと、俺は許可してないんだけどなぁ。まあちょっと人手不足だったから丁度良いんだけどさ。
「はいよ、すぐに作る。」
アルバイト用の制服を作らないと、でも服なんて俺は作れないから、エンジニア部の猫塚にでも頼んでみるか。
「お願いす「大将!久し振りに来たぞ!」う、うるさっ!?声の大きさが半端ないんだけど!?」
玄関付近から大きな声が聞こえてきた。ここ厨房で声が聞こえにくい筈なんだけど。
「ちょっと今来た客と話してくる。さっききたオーダーの料理はもう作ってあるから運んどいてくれセリカ。」
「本当に料理作るスピード速いわね大将。分かったわ。」
作った料理をセリカに渡してカウンターに向かう。そこには長い黒髪を降ろしてマフラーと『工務部』と書かれている腕章が着いたジャンバーを席にかけている生徒がいた。
「珍しいな、俺の店に来るなんて。工務部の作業帰りか安守?」
「D.U地区の建設作業だったからな、大将の店から近かったからついでに寄ったんだ!」
出されたお冷を飲みながらニカッと笑うのはレッドウィンター所属で工務部部長の安守ミノリだ。レッドウィンターは豪雪地帯だから安守は厚着の格好をしている。
工務部だから建設や土木といった工務に関わる作業をしている。まあ、趣味がストライキやデモっていうヤバい一面もあるけど良い子だよ。
「昼食はまだだったからな、メニューは色々あるし、何を頼もうか⋯⋯。」
安守と出会ったのは俺がその豪雪地帯でパンツ一丁で盾サーフィンしていた時に会ったんだよな。ギョッとした顔をした安守に引き摺られ、建物の中に連行されて説教されたのが出会ったきっかけだ。
こんな寒空の中で何してるんだとか、お前は馬鹿なのかとか言われたっけ?まあその時は『ピリ辛薬レベル3』を飲んでたから寒さとか感じていなかったけど。
その後もレッドウィンターで盾サーフィンを続けて、安守に何回か見付かったけど、説教はして来なくなった。顔を赤くしながら俺の体をじっと見つめていたけどな。
「決めた、『チキンカレー』と『魚貝トマトスープ』と『たまごプリン』を頼む!」
「はいよ、ちょっと待っててくれよ。」
安守からのオーダーを受け取って厨房内に戻る。プリンは安守が他の二つを食べ終わってから出すか、それまでは冷蔵庫に入れといてと。
「はいお待たせ、火傷しないようにな。」
完全した『チキンカレー』と『魚貝トマトスープ』をトレイに乗せて運び、安守が座っているカウンターテーブルに置く。
「大将の料理の提供スピードは相変わらず速いな。この提供スピードはあたし達工務部も見習わないとな。」
「見習わなくていいから。」
安守は出された料理をパクパク食べていく。女の子が料理をパクパク食べていく姿って何か観察したくなる。
「⋯⋯大将、料理を食べてる姿をじっと見られるのは流石のあたしも恥ずかしいんだぞ。」
「そうよ大将、ちょっとデリカシーが欠けてるわよ?」
観察してたら安守が恥ずかしそうにジト目、セリカが呆れたような表情で同じようにジト目で俺を見てくる。
「すまんすまん、安守が美味しそうに料理を食べてくれるからつい観察しちまった。」
「あたしだからいいけど、他の人にやるなよ。」
「それは無理ね、大将は色々な人の料理を食べてる姿は観察してるから。」
「そ、そうなのか。そう言えばプリンが出て来ていないんだが?」
「安守が食べ終わるまで冷蔵庫で冷やしてある。丁度食べ終わったみたいだし持ってくるか。」
ジト目で見てくる二人の圧に気まずくなったから、そそくさと厨房内に戻って冷蔵庫に置いて冷やしてあったプリンをトレイに乗せて運ぶ。
「ほい、プリン持ってきたぞ。」
「頂きます!やはり美味しいな!」
プリンを受け取った安守はスプーンで一口掬って口に運ぶ、そして食べた瞬間にパァッという効果音が付きそうなくらいの笑顔になった。可愛い。
「これは、大将が観察したくなるのもわかる気がするわ。」
「そう感じるだろセリカ?こうやって自分が作った料理をああいう風に食べてくれるからな。工務部の生徒達用のプリンもいるか安守?」
腕を組みながら安守の食べてる様子をセリカと観察する。視線に気付いた安守は顔を真っ赤にして俯きながらプリンを食べ続けてる。
「⋯⋯⋯⋯いる。いるからじっと見るのは止めてくれないか!?」
「だが断る!安守の恥ずかしそうにしてる顔は見てると癒されるんだ!写メ取って「それは止めなさいよ!」あべしっ!?」
スマホを取り出そうとした瞬間にセリカに穴を蹴られた。意外と痛くないけど厨房までぶっ飛ばされた。工務部の生徒達用のプリン用意するか。
袋に詰めて戻ると丁度会計を済ませているところだった。
「いてて、工務部の生徒達用のプリン持ってきたぞ安守。」
「すまないな、これで皆も喜ぶ。大将、ネルから聞いてるぞ、無茶を相変わらずしてるって。何かあればあたしにも言ってほしい。」
「なら、近々力を貸してほしい事がある。ある学園のクソ生徒会長をぶっ飛ばし「つまりデモだな!?任せてくれ!」いやデモじゃないんだけど!?」
安守は俺にズイッと近付いて目を輝かせながら言ってきた。ちょ、近い近い!
「大丈夫だ!大将があたしに言うって事は相当危険な相手なんだろう、でも権力者を糾弾するデモならいつでも大歓迎だ!いつ始めるんだ!?」
「良いのかよ?下手したら怪我じゃ済まな「問題無い!怪我なら慣れているからな!」分かったよ、日程は後で連絡するぞ。」
「うむ!ではまたな大将!」
安守は俺の腕をバシバシと叩いた後、プリンが入った袋を持って店から出た。
「関係無い人まで巻き込んで良かったの大将?」
「安守は良いんだよ。あいつはストライキやデモ活動が趣味なんだから。下手したら勝手に来て勝手にデモする気だぞ。それに意外と強いしな安守。」
何か原作よりも強くなってるんだよな安守。最強格には及ばないけど口論で相手のリズムを崩し、隙を生んで攻撃するから厄介な相手だってネルが言ってた。
「ストライキやデモが趣味って何なのよ。お客も居なくなったし私は帰るわ。大将、何かあったら私達を呼びなさい、いいわね!?」
「善処す「か・な・ら・ず!呼びなさい!」はい。」
トリニティ 合宿所
夜遅くに補習授業部がいる合宿所に辿り着いた。確か白洲が罠を仕掛けてあるんだっけ?
「まっ、『フックショット』を使えば罠を仕掛けられてる地帯を飛び越えれるけど。」
屋上に丁度フェンスがあるからそこに鎖を引っ掛けてと。よし、問題なく屋上に移動出来たな。
「って屋上から建物内に入れないのかよ。まあいいや、外壁にしがみついてゆっくり降りればいいか。」
屋上から明かりが付いてる部屋までゆっくり降りていく。スタミナは余裕があるしいけるいける。
明かりが付いてる部屋の窓まで近付くと誰かの声が聞こえる。この声は、先生とヒフミか?
「昨日よりも遅い時間になってしまって申し訳ありません。実は⋯⋯。」
ん?部屋の扉が開く音が聞こえてきた。窓が開いてるからそっと中の様子を見ると、浦和が部屋の中に入ろうとしていた。
あいつ何でスクール水着なんだ?確かパジャマとか言ってたっけ?
「⋯⋯本当に失礼しましたぁ!?ご、ごめんなさい!私、そんな事とは知らずに!ぜ、全然知らなかったんです本当です!?え、一体いつから!?」
「⋯⋯ヒフミちゃん、今『昨日よりも遅い時間』って言いましたよね!?つまり昨晩も来たということですよね!?そうなんですよね!?」
「⋯⋯ほへー?」
面白ぇ、ヒフミの慌てっぷりと浦和の勘違いっぷりと状況について行けてなくてポカンとしている先生の姿。見に来た甲斐があったな!
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!?また後で、は駄目ですよね!?どうすれば良いですか、今晩は止めた方がいいですか!?知らなくてごめんなさい間に入ってごめんなさい空気壊してごめんなさいっ!?エッチな雰囲気壊してごめんなさい!?」
すげー、あの長い台詞を息継ぎ無しで一気に喋り切ってるぞヒフミ。
「待ってくださいヒフミちゃん、詳しく教えてください!昨晩はお二人で何をしていたんですか、今晩は何をする予定だったのですか!?是非説明を、いえ、いっそ今から私の前で実際に再現を!?」
「私がそういう事をするのは大将だけですっ!」
「つまり、ヒフミちゃんは、大将とえっちな事をした事があるんですね!?どうでしたか気持ち良かったんですか痛くなかったんですか!?詳しい説明をお願いします!」
「二人ともお願いだから、一旦落ち着いて。」
「そうだぞ先生の言う通り落ち着けよ二人とも。」
窓から少し顔を出して注意するとヒフミと浦和と先生はビクッ!として体が固まり、錆びた機械みたいにゆっくりと俺の方向を向いてきた。
「ハァイ、ヒフミィ、浦和ァ、先生ィ、飴ちゃん食べる?」
「「「き、きゃあああああぁぁぁぁぁぁ!!?」」」
一般男子
レッドウィンターでもたまに盾サーフィンをしている、勿論パンツ一丁で。ミノリ以外の生徒にも見付かってるが基本見て見ぬふりをしている。
ある同人作家は涎を垂らしながらガン見しているが。
しばらくアホな事してなかったなと思ったので驚かす為に合宿所の建物内に入らずに外から様子を伺った。
黒見セリカ
一般男子が心配なのでバイトという形で店に入り浸るようになる。柴関ラーメンのバイトと掛け持ちだが、柴大将が上手い具合にシフトを調整している。
安守ミノリ
一般男子がパンツ一丁で盾サーフィンしている姿を発見してから交流が始まった。何度も一般男子のパンツ一丁姿を見ているが今だに見るのが恥ずかしい。
一般男子に対しては弟みたいな感じで接している。グループモモトークには入っていないが、ネルとメッセージのやり取りをしている。
実は一般男子が遺書を残しているメンバーの一人でもある。
『ハチミツアメ』
ブレワイとティアキンに出てくる料理。ガンバリハチのハチミツのみ素材にした場合に出来る。ちょっと美味しそう。