今回は短めです。
トリニティ ある建物
「よ、快適に過ごせてるか梯?」
エデン条約調印式まであと1日、体調が少し回復してハナエの監視が無くなったので梯達アリウス生徒の様子を見に来た。
えっ?襲われて体調回復するのかって?いや非ッッッ常に納得いかないんだけど少し回復したんだよ。
かなり搾り取られたけど。それに皆から『好き』だとか『愛してる』とか言われ続けた。
正直、とても嬉しい。けど、それに応えることは出来ない。いやしてはいけない、それは本来先生が受けるべき愛情、先生じゃない一般モブの俺が受け取るべきじゃない。
「大将ですか、まあ快適には過ごせていますよ。アリウス自治区にいた時より快適過ぎて逆に落ち着きませんが。」
建物のロビーで梯と椅子に向かい合って座りながら話してる。
他のアリウス生徒は初めて見る食べ物や飲み物に興味津々で目を輝かせながら飲み食いしてる。
「それで、私の顔を見に来たわけじゃないのでしょう?」
「用事の一つとしてはあるぞ。梯達が不自由なく過ごせてるか確認したかったからな。アリウス自治区の事情はよく知ってる、だからこそ、な。」
「⋯⋯ふん、ありがとうございます。」
梯は顔を若干赤く染めてテーブルに置いていた紅茶が注がれてるカップを持って飲み始める。
「あ、美味しい。ですがこれだけ美味しいと飲むのに抵抗がありますね。トリニティは高級品で溢れているのでしょう?」
「まあな。けど安心しろ、ここの建物の食べ物飲み物はトリニティ外で俺が買ってある。その紅茶も数百円程の紅茶だ。」
俺もティーポットから紅茶をカップに注いで飲む。うん、美味しい。
「大将が?トリニティの生徒に任せておけばいいのでは?」
「トリニティの生徒に任せると高級品買ってくるんだよ。何十万の紅茶とか飲みたいか梯?」
「⋯⋯嘘ですよね?」
「⋯⋯嘘じゃないぞ。」
ナギサも大分金銭感覚は庶民よりになってるけど、まだまだだもんな。
安心して買い物を任せられるのはトリニティだとスズミくらいか。ヒフミもハナエもなんやかんやお嬢様だから高級品買ってくるもん。
「さて、アイスブレイクはここまでにして。梯、アリウス生徒はエデン条約調印式に襲撃を掛けると思うか?」
「間違いなく襲撃すると思いますよ。」
だよな、ゲヘナとトリニティの重要人物が1箇所に集まる。そこで痛手を食らわせれば有利になるもんな。
「けど調印式に襲撃と言っても正面からは来ない、ぶっ放すつもりなんだろ?ミサイル。」
「よくこ存知で。マダムは大将の言う通り調印式の会場にミサイルを放つつもりです。」
「何個放つとか、ミサイルの種類まで分かるか?」
一発なわけない、俺がいるから妨害される事も計算に恐らく入れてんだろあのクソババア。
「そこまでは分かりません。その情報はアリウススクワッドにしか知らされていないので。」
アリウススクワッドか、アリウス生徒の中でも特に戦闘力の高い小隊。錠前サオリがリーダー、今のコンディションで小隊全員と戦うのは避けたい。
「やっぱりか。話してくれてありがとう梯。」
少なくともミサイルが撃ち込まれることが分かった。それだけで充分、体を張って止めればなんとかなるか。
「大将は調印式に参列するのですか?」
「そりゃ勿論。襲撃されるのは分かってるから防衛としてだよ。」
ミサイルを全て防げればいいんだが。ここがターニングポイントの一つだし。
先生が死ぬ可能性は大いにある。そして死ななくても銃弾を食らう、それは何としても回避させたい。
そういうのを回避するのに今まで行動してきたんだ。最悪ここで命を落としてもいいくらいの覚悟で行かないと!
「大将、まさか死ぬつもりですか?」
「そんな風に見えたか?」
「そういう目をする人を何人も見てきましたから。襲撃しに来た私が言うのもなんですが、死なないでください。大将が死なれては困りますので。」
「⋯⋯ありがとな。」
椅子から立ち上がって心配そうに見つめて来る梯の頭を撫でると、梯は俯きながらされるがままになっている。
「大将に撫でられると安心します。兄がいたらこんな感じだったのですね。」
「⋯⋯ちなみに俺は梯より歳下だぞ。」
「はいっ!?」
今俺が16で梯が三年生だから17だろ?基本三年生は年上で二年生が同い年だ。老けて見えんのかな俺?
「あーー!スバル先輩だけ撫でてもらってズルい!」
『私達も撫でてーーー!!』
梯の頭を撫でてるとそれに気付いたアリウス生徒達が続々と集まって来る。
お前らクソババアの洗脳完全に解けてね?やっぱ衣食住が揃ってたらクソババアの洗脳なんて解けやすいのか。
「はいはい、俺は逃げないから順番にな。」
一人ずつ順番に頭を撫でる。このアリウス生徒達は守ってやらないと。勿論今も苦しんでるアリウス自治区にいる生徒もな。
父親ってこういう気持ちだったんだ、父親なんていなかったから知らんけどな!
アリウス生徒全員の頭を撫でた後に建物から出ると、ナギサの側近生徒が待っていた。
「待っていたのか?別に一人で動けるから待たなくてもいいのに。」
「そうはいきません。大将様に何かあってはナギサ様達に顔向け出来ませんので。」
修復されたトリニティの学園内を歩きながら側近生徒と会話する。隣同士じゃなくて側近生徒は俺の後ろに着いて来ている。
「それに「パテル派生徒が襲いに来るかもしれないからだろ?」気付いていらっしゃいましたか。」
現に物陰から見られてるし。懲りない奴等だよ、調印式の時にも余計な事をするじゃないだろうなトリカス達は。
ちょっと振り向いて側近生徒に目配せすると、一瞬だけ側近生徒が消えて、また戻って来た。
トリカスのうざい視線や気配が消えたから何かしたんだな。本当に優秀過ぎじゃないか?
「大将様、一つ確認したい事がございます。大将様は、ナギサ様達の好意に気付いておりますか?」
「流石に気付いてるよ。そんなクソボケじゃ「ではどうして好意を受け取らないのでしょうか?」それは、言えない。」
「⋯⋯この先何かあるのですね。誰かが犠牲にならないといけない状況、そんな状況になった時に真っ先に大将様が犠牲になろうとするからですか?」
「キッショ、なんで分かるんだよ!?あっ⋯⋯。」
「やはりそうでしたか。」
ねぇ怖いんだけどこの子!?本当に原作に出ていない一般生徒なんだよなお前!?
「名前を名乗らない理由、それも先程申し上げた事に関係しておりますね?」
「黙秘権を行使します!」
「そうおっしゃる時点で暗に認めているようなものです。」
側近生徒はクスッと笑った。このまま話を続けていたらヤバい事になりそうな気がする!主に俺の覚悟が!
何か話題を逸らさないと!そういえばこの子の名前を聞いていない、話題変更の為に聞くか!
「なぁ、色々あって聞けなかったんだけど。名前を教えてくれないか?」
「露骨に話題を逸らしましたね大将様。まあ良いでしょう、本日はこのくらいにしておきます。」
本日って、後日また聞く気か!?
「私の名前ですね。外部の方にはお教えしないのですが、大将様には特別にお教え致します。」
そこまで言った後、側近生徒はロングスカートを掴み、少し持ち上げながら頭を下げた。
「私の名前は『雪水リエル』と申します。末永くよろしくお願い致しますね大将様♪」
「ああ、よろしく頼、待って!?末永くって言わなかったか!?気のせいじゃないよな雪水!?」
「大将様。名前で呼んでくださいませ。」
「いやそういう訳にはいかないよ雪「名前で呼んでくださいませ?」だから雪み「な・ま・えで呼んでくださいませ?」俺は自分曲げな「ナギサ様直伝のロールケーキをブチ込みましょうか?」やれるもんならやってフオォ!?」
目に見えない速度で口にロールケーキをブチ込まれた。どんな教育してるんだよナギサァ!
「私もナギサ様の側近に成りたての時にブチ込まれた事がございましたので、勝手に技術を盗みました。制圧時に中々便利ですよ。」
「絵面的にどうなのそれ⋯⋯。」
この子は怒らせないようにしよう。また濃いメンバーが増えたなぁ。
一般男子
心配なのでスバルの様子を見に行った。元気そうでほっとしている。早くアリウス自治区にいる生徒達も助けないとと思っている。
リエルの優秀さにドン引きしている。
梯スバル
捕まってからは建物内で過ごしている。洗脳が完全に解けてるため脱走しようとはしない。
でもアリウス自治区に残してきた生徒が心配なのでどうしようかと悩んでいる。
一般男子には何故か甘えたくなる。多分無意識に拠り所を探しているため。
雪水リエル
この世界線オリジナル生徒。ナギサの側近生徒として何度も出て来ている。
薄水色の髪色でサイドテールにしていて、ナギサと同じ制服を着ているが、長袖ではなく半袖、スカートはくるぶしに掛かるか掛からないか程のロングスカート。でもスリットが入っているため機動力も確保している。
一般男子の事はとても好いている。ずっと近くでお仕えしたいと思うほど。
トリカス生徒
一般男子への復讐は諦めておらず、何やら企んでいる模様。