Blue Legend〜一般男子の物語〜   作:宗也

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貴方を一人にはしない

救護騎士団本部 病室

 

ナギサSide

 

「すぅ、すぅ。」

 

「ふふっ、寝顔は本当に可愛らしいですね。」

 

「だな、こうやって見ればまだまだ大将は子供だ。あたしやナギサより歳下なのに無茶ばっかしやがって。」

 

「そうですね。」

 

私とネルさんとチナツさんの3人で気絶するように眠った大将を添い寝しながら静かに会話する。

 

怪我は大丈夫ですかって?そんなもの神秘を使って速攻で治しましたよ。

 

「すみませんナギサさん、ネルさん、私が付いていながら大将を守る事が出来なくて⋯⋯。」

 

「チナツが謝る事じゃねぇ。家に待ち構えられていて、爆弾のトラップが仕掛けられてるなんて誰が想像出来んだよ。ブラックマーケットならともかく、D.U地区でよ。」

 

「ネルさんの言う通りです。悪いのはクソトリカスです。」

 

「⋯⋯なぁ、それは分かるんだが、トリカスはパテル派に多いんだろ?パテル派のトップはミカ、つまりミカがトリカスをたくさん生んだって事か?」

 

ネルさんからの質問には首を横に振る。確かにパテル派のトップはミカさんですが、ミカさんがあんなトリカスを生んだ訳ではありません。

 

「それはあり得ません、と断言は出来ないですね。厳密に言うとトリニティというクソな伝統のせいですね。」

 

「それお前が言っちゃダメだろ。」

 

「言いたくもなります。他者を蹴落とす為に偽りの仮面を被り、外面の愛想は良くして、誰かの隙が出来たらそれを徹底的に突いて叩き落とす。」

 

「そんな腹の探り合いを常にしているのですよトリニティでは。それが淑女として当たり前だと言わんばかりに。」

 

「勿論政治や外交の場面とかでは必要でしょう。ですが日常生活の時までそれをしてたら疲れます。面倒臭いです。」

 

「随分とハッキリ言うじゃねぇか。まあ、それには同意するがな。」

 

聞いていたチナツさんもうんうん頷いていますね。

 

「そんな校風を変えるキッカケを作ってくれたのが大将です。流石にトリニティ全体の校風を変えるのは無理なので、まずは大将と協力してフィリウス派の生徒の認識から変えました。」

 

「結果、それは成功しましたが。代わりにフィリウス派以外の生徒から恨まれる事になったのです。ただのぽっと出が格式あるトリニティの校風を汚すんじゃねえと。」

 

「でもそれは大将の陰口を叩くだけで済んでいました。ミカさんが今回の騒動を起こすまでは。」

 

「なるほどなぁ、ミカは戦闘力もトップクラス、もし大将と戦闘になってもミカならなんとかしてくれると思ったから、溜まってた憎悪を解放するように色々やった訳か。」

 

ネルさんの考察に頷きます。普段は陰口を叩くだけなのに、自分を守ってくれる盾を味方にしたら調子に乗る、まるで自分は無敵だと言わんばかりに。

 

「今回の大将の家を燃やしたトリカスは犯行を揉み消す気なんだろ?しかも結構な権力を持っている家出身と来た。どう対応する気だナギサ?」

 

「ふふ、それに関しては心配入りませんよ。ネルさん、よく大将のお店を利用する犬獣人さんは知っておりますよね?」

 

「ああ、あたしが手伝ってる時にも何回か来たからな。気前の良いおっちゃんだと思ってたんだが、ありゃ相当な権力持ちだろ?」

 

「はい、あの方はカイザーコーポレーションと同等の権力を持っております。今回の件は全てリンさんから伝えており、証拠も渡しておりますので。」

 

「ハッ!あのトリカスはご愁傷様だな!」

 

ネルさんがニヤリと笑ったので私も同じように笑います。チナツさんは、同じように笑ってますね。

 

「う、うぅ!」

 

「「「!!!」」」

 

いきなり大将が苦しそうな呻き声を上げながら汗をかき始めた!?

 

「こんなとこで、止まってられない、俺は、生徒じゃない、先生でもない、なら、俺の全てを、投げ売ってでも⋯⋯。」

 

「犠牲になるのは、俺一人で⋯⋯。」

 

「大丈夫です、大将が犠牲になる必要は無いのです。だから、そんなに気負わないでください。」

 

苦しんでる大将の頭をポンポンと叩いてリラックスさせます。本当は胸を叩きたかったのですが、ネルさんが大将の上に乗ってますからね。

 

しばらく苦しそうに呻いていた大将ですが、落ち着きを取り戻したようです。

 

「なあナギサ?大将はどうやったら自己犠牲を止めてくれるんだろうな。」

 

「分かりません。大将は私達にも言えない何かを隠しておりますから。ですが、一つ気になる事を前にリエルさんから聞いています。」

 

私の言葉に二人はピクリと反応しました。

 

「気になる事、ですかナギサさん?」

 

「はい、大将は『誰かが犠牲にならないといけない状況が来ると確信しており、そんな状況になった時に真っ先に大将様が犠牲になろうとしている』と。」

 

「それで悔恨を残さないように好意に気付いていない振りをしてるってわけか。」

 

「そして、その時は近くまで来ているかもしれないとリエルさんは言っておりました。この事はグループモモトークメンバーに共有しますが、決して大将を問い詰めないように。」

 

「分かってる、あたしからも釘を刺しておくぜ。」

 

ネルさんが釘を刺してくれるなら大丈夫でしょう。さて、そろそろ私達も寝ましょう。

 

「あの、リエルさんの様子はどうでしたかナギサさん?」

 

「変わらず部屋に引きこもっています。私からも声を掛けましたが、駄目ですね。恐らくですが、今のリエルさんをなんとか説得出来るのは大将だけです。」

 

情けないですね、自分の側近一人救えないなんて。

 

「んな顔すんじゃねえぞナギサ。リエルが部屋から出た時に暖かく迎えてやれ。それはテメェにしか出来ねぇことだろうが。」

 

「そう、ですね。ありがとうございますネルさん。」

 

「気にすんな、おら、とっとと寝るぞ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大将Side

 

気絶するように眠った翌日、目を覚ますとまだ暗闇が広がっていた。

 

あれ?何で?もう朝だよな?病室の外でバタバタと足音が響いてるし。取り敢えず起き「あっ、く、くすぐってぇから!」は?

 

この小ぶりだけど柔らかさも感じて、甘い匂いの中に爽やかな匂いもあるこれは、ネルか!?

 

「ちょ!お前!っうん!う、動くんじゃねえよ!」

 

「悪い!というよりネルが俺の顔を抱き締めてるからだろうが!」

 

ネルの色っぽい声が聞こえたから慌てて飛び起き、横を向いて引き剥がす。

 

「恥ずかしいならやるアラァーーー!?」

 

ベットの上なのも忘れて後ろに逃げたから思いっ切り背中から地面に叩き付けられた。

 

「おい!大丈夫なのかよ!?」

 

「受け身取ったから大丈夫。ところでネルは何で俺の顔を抱き締めてたんだよ?」

 

「あたしだけじゃねぇよ。大将を慕うメンバーで交代で抱き締めてたんだよ、お前が起きたのが丁度あたしの時だったんだよ。」

 

少し恥ずかしそうに言うネルを見ながら立ち上がり、ポーチから『マックスサーモン焼き』を取り出して食べる。

 

うん、冷めてても美味しい!怪我の具合は、欠損部分は回復したけど火傷部分はまだ回復してないか。

 

「おはようございます大将、欠損部分は無事に回復出来たようですね。」

 

病室の扉が開いてナギサが入って来る。ん?手に何か持ってるな?

 

「大将の着る服が無いと思いましたので持ってきました。いつも着ている服を複製したものです。」

 

服か、そういや全部燃えたんだよな。もう少しで復活するけど、その間下着一丁でいるのは辛いからな。

 

「ありがとうナギサ、ここで着替えるからナギサとネルは病室から出てくれないか?」

 

「嫌です。」

 

「嫌だね。」

 

「嫌ですよ。」

 

「即答すんじゃねぇ!しかもしれっと入って来るなヒフミ!」

 

ナギサの後ろからヒフミがひょこっと顔を出しながら言ってきた。って待て待て!何でジリジリ距離を詰める!?

 

「大将はまだ怪我人です。なら安静にするべき、着替えは私達がしてあげます。」

 

「ついでに風呂も入れてないから体を拭くのもな、遠慮しなくていいぞ?」

 

「窓から逃げても天井をすり抜ける技を使ってもダメですよ大将。『フックショット』で捕まえますから!」

 

詰みじゃねえか!あ!ちょっと待て!自分で着替える事が出来る状態で誰かに着替えられるのは抵抗があるんだよォォォォォォ!

 

そうしてナギサ達にからかわれながら着替えさせられた後、リエルが引きこもってる部屋まで歩いて来た。

 

「リエルー?起きてるかー?」

 

扉をノックしたけど、開ける気配は無い。部屋の中でモゾモゾ動いているのは分かるんだけど。

 

ドアノブを捻って開けようにも、中から鍵を閉められてるから開けれない。

 

「大将でもリエルさんは反応しませんか。」

 

「ならちょっと強引に部屋の中に入るか。ナギサ、リエルの部屋の一つ下は空室だったよな?」

 

「そうですが、なるほど。天井をすり抜ける技で中に入るのですね。」

 

そういう事、『トーレルーフ』なら鍵が掛かってても中に入れる。

 

一つ下の階に降りて、リエルが引きこもってる部屋の真下の部屋に行く。中に入って『トーレルーフ』発動!

 

「じゃ、行ってくる。」

 

「リエルさんを、よろしくお願いします。」

 

ナギサに一言言ってからリエルが引きこもってる部屋に入る。出る場所は何処かな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リエルSide

 

「リエルー?起きてるかー?」

 

病室に入った後、何もやる気が起きず、部屋の中で体育座りで放心していますと大将様の声が聞こえて来ました。

 

大将様は回復したのですね。ですが、今の私に大将様と会う資格なんてありません。

 

大将様を守れなかった不良品な私は、こうやって引きこもってるのがお似合いです。

 

なので、早く去ってください。そう思ってると大将様の気配が遠くなりました。

 

「これで、いいのです。」

 

大将様は私なんかよりも素敵な人達がたくさん慕っております。私がいなくても、大丈夫。

 

でも、大将様に見捨てられるのは、そう考えると涙が溢れて止まりません。

 

大将様に見捨てられたくない、でも私はもう戦えない。

 

「誰か、助けてよ⋯⋯。」

 

こんなに辛いのなら、苦しいのなら、いっそここで自g「よっす、リエル!」へ?

 

大将様の顔が体育座りしている私の足の間にいきなり現れ!?って今の私は布団を被ってるだけで、は、はだ、はだっ!

 

「きゃあーーーーーーーーー!!」

 

「何で全裸なんだよーーーーーー!?」




一般男子
取り敢えずメンタル崩壊寸前からは回復した。でもまだまだ危ない状態、かなり無理をしている。


桐藤ナギサ
前にリエルから言われたことを思い出した。一般男子が犠牲になるなんて絶対にさせないと改めて誓った。

それはそれとして着替えで恥ずかしがる一般男子をからかった。

今はリエルの部屋の前で待っている。


美甘ネル
小柄な体格なので一般男子の上に乗っかって寝ることがある。


火宮チナツ
一般男子を守れなくて傷心中。ナギサとネルに慰められて回復はした。

ナギサと同じく自分の怪我は神秘で速攻治した。


阿慈谷ヒフミ
朝に一般男子の様子を見に来たらからかってる現場を発見したので悪ノリした。一般男子のメンタルがまだヤバいことには直感で気付いている。


雪水リエル
一日経ったがまだ引きこもり中で、食事も手を付けていない。体は拭いている。

憂鬱な気持ちになってたら、突然足元に一般男子がニョキっと現れ、自分が裸だったこともあり、悲鳴を上げた。


アラァーーー!?
某ハンバーガーのキャラの悲鳴、このネタも二十年くらい前になる事に驚愕。


ヒフミが持ってるフックショット
神トラのフックショット、元々は漁師が魚を捕るのに使うアイテムだが、リンクは全く別の使い方をしている。


Q.一般男子ってまたメンタルブレイクする可能性ある?
A.あります。というよりこの章でもう一度ブレイクします。
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