いきなり評価やお気に入りがいつも以上に増えてびっくり、何があったんだ⋯⋯。
今回は少し短いです。
先生Side
「⋯⋯大将を見殺しにするか、生徒一人に押し付けて見殺しにするか。どちらも選べないよ。」
今も大将は苦しんでる。苦しみながら周りをドス黒いオーラで放出して破壊してる。
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!」
「大将!気をしっかり持ってください!」
「駄目ですナギサ様!大将様から放たれるオーラの攻撃が激しくて近付けません!」
「近付かないと声が届かない!時間が無いのに!」
ナギサちゃん、リエルちゃん、ヒフミちゃんが必死に語り掛けてるけど、大将にその声は届いていない。
「迷ってる暇はないか。大将を見殺しにしない、かと言って生徒一人に押し付けたりもしない。これは、私が受け止めるべき事。」
大将の不調を見抜けなかった私の責任。大将なら大丈夫と慢心していた私の責任。
「先生!?何をするつもりなの!?」
「大将を助ける為にこれを使う。大将がああなってしまったのは私の責任、だから責任は私が負わないとね。」
スーツの内ポケットから『大人のカード』を取り出す。使い方は何故か頭の中に浮かんでくる。
「や、やめてください先生!そのカードが何なのかは分かりませんが、とても嫌な予感がします!」
「ハナコの言う通りよ!それは使っちゃダメ!」
「大丈夫だよハナコちゃん、コハルちゃん。」
生徒に押し付けるなら私が背負えばいい。ハナコちゃんとコハルちゃんが止めようとしてくるけど、私は微笑んで二人の動きを止める。
向こうにいるシロコちゃんやノノミちゃん達も気付いたけど、結構距離はあるから止められるより、私が使う方が早い。
「お願い!大将の「その選択は愚策だぞ先生。」誰っ!?」
『大人のカード』を使おうとした瞬間に誰かにカードを持っている腕を掴まれた。何か硬い感触?って木人形!?
「どうやら間に合ったようだ。先生、それを使ってしまえばその先は破滅だ。」
人とは思えない異形、黒いタキシードに身を包んで、首からは二つの頭が生えている木人形がいた。
「貴方は誰なの?」
「失礼、自己紹介がまだであったな。芸術への敬意を込めてマエストロ、とでも呼んでほしい。」
マエストロはギギギと体を軋ませながら自己紹介してきた。異形、そして私を知っている、まさか!
「貴方も、ゲマトリアの一員なの?」
「その通りだ先生。黒服から先生の話は聞いていたぞ、一度会話してみたかったのだ。」
「⋯⋯マエストロ、貴方は敵なの?味方なの?」
黒服はなんやかんやで味方、ベアトリーチェは敵、ならこの目の前にいるマエストロは?
「味方だ、そうでなければ先生がそのカードを使うのを止めたりしない。私は大将を救う為にここに来た。」
「⋯⋯色々聞きたい事はあるけど、時間が無いから一つだけ質問するから答えて。」
「先生!?こんなどう見ても怪しい奴の事を信じるの!?さっさと「コハルちゃん、大丈夫だよ。」先生!」
コハルちゃんがマエストロに銃を向けようとするのを手で制する。怪しむ気持ちは凄く分かるけどね。
「よかろう。」
「どうして、大将を助けようとするの?」
「一言で言うなら、私が大将のファンだからだ。」
えっ?マエストロが大将のファン?どういうこと?
「大将のやる事、特に奇行は私の芸術性を高めてくれるからだ。誰もがやらないであろう奇想天外な事をやる、見たことのないアイテムを使用する、誰も知らない曲を奏でる、これほど私のインスピレーションを高めてくれる存在はいない。」
「だからこそ、ここで大将が死なれてしまっては困るのだ。私の芸術はまだ完成していないのでな。」
マエストロは、本気で言っている。黒服といいマエストロといい、大将は異形にも好かれるのかな?いやベアトリーチェを除いてね。
「分かった、マエストロを味方だと信じるよ。それで、どうして『大人のカード』を使ったら駄目なのかな?」
「それがあのパテル派生徒の狙いだからだ。大将を蝕んでいるもの、それは『恐怖』だ。」
恐怖、黒服がホシノちゃんに実験で使うつもりだったやつかな。でもどうして大将の体に恐怖が蝕んでるの?
「恐らく誰かから注入されたのだろう。注入された恐怖は段々大将の体を蝕んでいった。そして『ヘイロー生成弾』を食らってしまい、ヘイローが出来てしまったからああなったのだ。」
「普通『ヘイロー生成弾』を食らってもああはならない。だが大将はずっと精神ダメージを受けて来たのだ、この世界に来てからずっと。」
「いつ心が壊れてもおかしくなかった。そしてエデン条約の件で膨大な精神ダメージを受け、ついに壊れてしまったのだ。」
それじゃあ大将は、ずっと耐えて続けてきたってことなんだね。情けないな私、先生なのに気付かなかった。
いや、悔やむのは後でも出来る。今は大将を助けないとね!
「うへぇ〜、先生そんな奴の言う事なんか聞かなくていいよ。また私達を騙そうとする気でしょお前?」
「ホシノちゃん!?」
いつの間にかホシノちゃんがマエストロの後ろに立っていてショットガンの銃口をマエストロの体に押し付けていた。
「小鳥遊ホシノか。今この状況でそなたらを騙して私に何の得がある?」
「そりゃあるんじゃないの?お前は黒服の仲間なんでしょ?信じろって言う方が無理だね。」
「ホシノちゃん!今は言い争ってる場合じゃないよ!信じられなくてもいいからマエストロから銃口を離して!」
「ごめんね先生、いくら先生でもそれは聞けない。コイツを野放しにしたら後輩達に被害が及ぶ可能性があるから。」
くっ、こんなところで時間を食ってる場合じゃないのに!ホシノちゃんは頑固だから並大抵の言葉じゃ意見を曲げてくれない。
どうすればいい、どうすれば⋯⋯。
「ふむ、ではこうしよう。この場で手を引いてくれたら、黒服をぶん殴れるように手配しようではないか。」
「うへっ!?」
黒服を売った!?予想外な言葉にホシノちゃんのアホ毛がピーンってなったよ!?
「⋯⋯それは出任せで言ってるんじゃないんだよね?」
「当たり前だ。黒服にまんまとしてやられたのだろう?やり返す権利は小鳥遊ホシノにはある。」
「⋯⋯⋯⋯。」
ホシノちゃんは複雑な表情を浮かべながらマエストロに押し付けていたショットガンの銃口を離してくれた。
「少しでも怪しい動きをしたら撃つから。」
「構わん、好きなようにするがいい。」
な、なんとかなったのかな。いや安心するのはまだ早い、大将を助けてから安心しないとね!
「それでマエストロ、どうして『大人のカード』で大将の蝕んでる恐怖を私に移したら駄目なの?」
「そんな事しようとしてたの先生!?」
「単純に先生が耐えられないからだ。大将の積み重なった負の感情は相当なもの、どんなに精神が強靭な人でも耐えられないだろう。」
「⋯⋯さっき私が受け止める事がパテル派No.2生徒の狙いと言ったね、それはどういう事かなマエストロ?」
「あの生徒は大将と先生を排除したいと考えてるからだ。自分の私欲の為にな、流石に見逃せん。」
あの場で2択を迫ったのは、私に第三の選択肢をわざと見付けさせて、それを実行させるつもりだったんだね。
「あの生徒は自分さえ良ければ他はどうでもいいと考えてる生徒だ。はっきり言おう先生、あの生徒に舐められているぞ。」
それは言葉の節々から伝わってきているよ。良心が少しでもあればいいんだけど、甘過ぎるかな。
「で、結局どうすればいいのさ。誰も犠牲にせずに助ける方法とかあるの?」
「ある。単純な方法だ小鳥遊ホシノ、一人に押し付けて耐えられないのなら、複数人で分けて負担すればいい。」
「「!!!」」
そっか!焦り過ぎてて気付かなかった!
「耐えられそうな生徒はいるの?言っておくけどシロコちゃん達に「安心したまえ、アビドス高校の生徒には無理だ、小鳥遊ホシノも含めてな。」それはおじさんを舐めてるのかな〜?」
「客観的に見て判断しただけだ。耐えられる生徒は大将との関わりが長い生徒だ。」
大将との関わりが長い生徒、ナギサちゃんやヒフミちゃんかな!
「桐藤ナギサ、美甘ネル、火宮チナツの3名で大将の恐怖を分ければ大将を助けられる。大将の恐怖を吸収する方法は、あの3人なら分かる筈だ。」
「ただし、本当に助けられるかは未知数。確率にしても1%もないかもしれん、それでも「やるわよ。」そなたが来るとはな。」
私が言う前に誰かがマエストロの言葉に即答した。あの赤い長髪、スナイパーライフル、制服の上にコート、アルちゃん!?
「1%でも助かる可能性があるのなら、それを実行するまでよ。大切な人は何がなんでも助ける、それがアウトローってもんよ!」
「アルちゃん、来てくれてありがとう!」
「お礼はいらないわ先生。それに、私だけ来た訳じゃないのよ。」
アルちゃんが髪をなびかせながら言うと、続々とこっちに生徒がやって来る。
最初からいたナギサちゃん、ヒフミちゃん、リエルちゃん、セリカちゃん。
「大将は私達を何度も助けてくれました。今度は私達が大将を助ける番です。」
「ハッピーエンドには大将も含まれなきゃいけないんです!」
「大将様、もう少しだけお待ちください!」
「絶対に助け出してやるんだから!」
それに、駆け付けてくれたスズミちゃん、チナツちゃん、ハナエちゃん、ミネちゃん。
「いつでも行けます。援護はお任せください!」
「行きますよハナエさん。大将を救う為に!」
「はいっ!救護騎士団団員朝顔ハナエ!」
「救護騎士団団長蒼森ミネ、大将を救護します!」
そして、ミカちゃんも来てくれた。
「ミカさん、貴方まで来てくれるとは思いませんでした。」
「大将がああなった要因は私にもあるからスズミちゃん、責任は取らないとね!それに、フウカちゃんからも託されたから!」
あとはネルちゃんが来てくれれば「コールサイン00、到着したぜぇ!」ネルちゃん!
「道が混んでて乗り物が乗れねぇから全力で走ってきたけど、なんとか間に合ったな!」
えぇ、ミレニアムからトリニティまで走って来たのネルちゃん。
「話は聞いてるぜ先生。あのバカを止めればいいんだな!」
「うん。時間が無いから私からは一言だけ、皆の力を貸して!」
『はい!!』
もう少しだけ耐えて大将、すぐに助けてあげるからね!
先生
一般男子を助ける為に大人のカードを使おうとしたが止められた。ちなみにマエストロが来ないで先生が受け止めても、一般男子を見殺しにしても、誰か一人に押し付けても、バッドエンドでした。クソゲーである。
マエストロ
キヴォトス滅亡の危機だったので急いで来た。黒服じゃなくてマエストロが来たのは現場にホシノがいたから。
本来ならヒエロニムスを先生達に仕向けるが、一般男子と敵対したくないためそんな事はしない。
黒服に続く一般男子の大ファンである。
Q.あれ?フウカは?
A.全てが終わった後、優しく迎え入れる為に救護騎士団本部で待機してます。想いはミカに託しています。
Q.どうやって一般男子から恐怖を吸収するの?
A.詳細は次回にて、方法は、あれです。