好きだった子が死んだ自分の墓の前で告白している件 作:MK60ff
オリジナルの男生徒で見たい恋愛物を自分で書いてみようと思い生み出した産物です。
設定とかおかしなとこ誤字脱字あったら遠慮なく指摘よろしくです。
第1話 それぞれの後悔と残骸
「...なんでちゃんと言わなかったんだろ」
桜井ミヨがとある少年の墓の前で懺悔していた。
目に涙を浮かべ宝物にしていた彼との2ショット写真を収めたペンダントを握りしめている。
恥ずかしがってカメラから目線を逸らし離れようとする彼を少し強引に引き寄せて撮った写真。
彼と初めて行った遊園地で撮った写真。
友人からもさっさと告白して付き合えばいいじゃないかと揶揄われた。
好きと自覚していながらもいざ告白する場面を想像すると顔が赤くなって頭から湯気がでる。
そうしてずるずると引き延ばしていた。
そんな時だったある日唐突に彼の死を聞いたのは。
頭が真っ白になり何も考えられなかった。嘘だと信じたかった。
けれど彼の遺体と血に濡れた遺留品が否が応でも残酷な事実を突きつける。
彼は連邦生徒会の特殊な調査機関に在籍しある事件を追っていた。
その事件を追う中で殉職したとそれ以上は機密事項だとして何も教えてもらえない。
彼の元同僚と名乗り一緒にある事件を追っていた金髪の少女からはすまなかったと、自分が守ることができなかったと謝罪を受けたが混乱する頭で彼女の言葉を受け入れることができずただ呆然と立ち尽くすことしかできなかった。
彼の部屋のほとんどのものが回収され形見も大して残ることはなかった。
いくつか残った中にあるアルバムには一緒に遊んだ写真が残っておりそれを見た時、もうこの時間が戻らないことが胸を締め付けどうしようもない現実が心臓を握り潰すように感じて苦しい。
いっそ自分もと心がすり減り友人達にはひどく心配をかけた。
「ねえ、私今度新作の恋愛小説を出すんだ。一番に君に見せて最後の告白のセリフを君に入れて欲しかったんだよ...」
顔をあげ涙を流しながら声を絞り出すように思いを告げる。
「私、君のこと大好きだよ。何年経ってもずっとこの想いは変わらないよ」
生きてる時に伝えたかったなと心の底からの後悔とこれからもこの想いが消えないことを告げて墓を後にする。
燦々と照らす太陽が酷く眩しいせいかいつもより前が見えなかった。
心の内を吐き出して少し楽になった。
けれどしばらく恋愛小説は書けそうにはない。
***
「て感じで好きだった幼馴染が死を偽装した俺の墓の前で告白してたんだけど俺もうミヨの前に出れそうにないんですけど、あんな後悔を背負わせて辛い思いをさせておいて今更はい生きてましたってこんな全身やけど後まみれで包帯だらけのミイラ男でどうしろと?おまけにチャームポイントだった黒い翼も片方が根本からなくなっちゃってどう会えるていうのかな先生」
そう言って傷だらけの体を強調するように胸を張るのは墓の前で告白していた桜井ミヨの幼馴染にして想い人。
灰鴉 リョウスケ
その人だった。
「いやね、確かに事件がまだ解決してない以上、連中の組織の規模と君の身の安全を考慮して書類上とはいえ死んだことにして一時的に身を隠した方がいいと提言したのは僕だけども、君も同意していただろ。それに君も彼女の事好きだったなら告白しておけばよかったじゃないか」
そうだけどさと少し拗ねたように言葉を続けるリョウスケ。
「アイツとは幼馴染で確かに好きだったけど、伝えたら関係が壊れる気がして怖かったしなによりあそこまでなんて思わなかったんだよ。てか色んな女子生徒に唾つけてる先生がそれいう。先生ももしもの時に備えていい加減誰か1人に絞って告白しておけば?」
「僕は関係ないだろ。それに僕とみんなはあくまで先生と生徒の関係だよ。先生が生徒に手を出すわけにはいかないよ。変なことを言うんじゃありません」
大人を揶揄うんじゃないと諭すように返す先生にリョウスケは本気で心配してると返すもあいも変わらずそんなまさかと笑うばかりだった。
「先生、割とガチでそんな調子ならいつか刺されるよ」
「はは、まさかそんな事。でもそれ前に誰かに同じことを言われたような」
あるのかよと本気で先生の身が危ない気がするリョウスケ。悲惨な現場の第一発見者にならない事を心から願うばかりだった。
「心当たりあるんかい、てかほんとに気をつけないと刺されて俺より悲惨な事になるよ主に人間関係で」
そうして雑談を続け気がつけば夕方ごろそろそろ当番の生徒が来る時間だと他の生徒に目撃される前に去るために別れを告げる。
「そんじゃね先生、そろそろ当番の子も来るだろうし見つからないうちに行くよ。次はまた定期報告で1週間後に来るからそん時に誰かに刺されてましたなんて事ないようにね」
はいはい、君も無事でねと軽口を返し彼の背が自動ドアの向こうに消えるまで見守っていた。
安心した。
しっかり回復していつもの調子に戻っていた彼に。
彼が重傷を負ったと聞いた時は気が気でなかった。もしかしたら目覚めることすらないと。
いつもの容姿とかけ離れた全身に火傷を負い全身包帯だらけの体に片方欠けた黒い翼。
もはや絶望的な状況だった中で彼が目覚めた時はその生命力の高さに驚いたがそれ以上に生きていたことが嬉しくて仕方なかった。
出来れば危ない事は控えて欲しいが彼はあれだけの怪我を負っても変わらず裏から事件を追うと言って聞かない。
先生として出来うる限りの支援をするができる事なら手を引いて欲しかった。
「まあ、手を引くなら君はこの事件に初めから関わっていないってカンナも言っていたっけ。せめてやれる事を、生徒の願いには答える。君にだけもう無茶はさせないよリョウスケ」
本人の前で言えば恥ずかしがって茶化すだろうなと彼がいなくなったシャーレの執務室で先生は1人笑った。
***
キヴォトスのとある廃ビルの一室、そこでロボット兵と不良少女達が集まっていた。
「ほらよ、例のブツだ受け取れ」
「有り難え、これがあればうちらのグループはもっと力をつけられる」
ロボット兵が雑にスーツケースを不良少女達に投げ渡す。
「いいんですか、また無闇にばら撒いて。そのせいでこの前は連邦生徒会の小僧に嗅ぎつけられて危うく尻尾を掴まれかけたんですよ。もうデータはしっかり取れたんですからコイツらとの関係もさっさと切るべきでは?」
不良生徒に聞かれないように小声でリーダーに話しかけるロボット。
「心配すんな例の厄介な小僧は罠にかけて殺した。死亡報告も死体も確かなものだった。もう少しデータを取ったところで連邦生徒会長不在の今の腑抜けどもには嗅ぎつけられまい」
だがリーダーは問題ないと、自慢げに少年を始末した事を語りデータも多ければいい多いほどいいと不敵に笑った。
「それじゃあわかっているとは思うが」
「わかってるよあんたらの名前は出さないそう言う取引だからな」
そうして二つのグループがこの廃ビルから離れようとした時。
地面に何かが転がってきた。
「あん、なんだこれ」
「これは、スモークグレ」
ロボットが転がってきたものの正体を言い切る前にそれは爆ぜてこの部屋一面を白い煙が覆う。
突然の出来事に二つのグループは混乱し何人かが錯乱し銃を乱射する。
「クソなんだまさか嗅ぎつけられたのか!」
「どこに嫌がる卑怯者!鉛玉ぶち込んでやる!」
「よせ!この状況で無闇に銃を撃つな!」
混乱が一瞬で伝播する。
もはや敵味方の区別もつかない視界の中で何かが走る音が聞こえた。
それと同時に次々とロボットと不良生徒が倒されていく音が響いていく。
「ガッ!」
「グエ!」
「ちょっ腹はやめ」
白い煙の中で響く悲鳴と共に徐々に銃撃の音がなくなっていく。
徐々に視界が晴れる中でロボット側のリーダーが目にしたのは自分以外のここにいた全員が床に倒れ伏している光景だった。
「なんだ何が!」
「はい残念、大人しくしてね」
背中に突きつけられる冷たい感触。
一瞬のうちに20名近くいたここのメンバーを倒し自身の背後を取った正体不明な乱入者。
複数人ではなくたった1人による強襲という事実がその乱入者の実力を示した。
何より聞き覚えのある少年の声。
このキヴォトスで少年は1人しか知らない。
始末したと考えていた件の少年。
「バカなお前がなぜ死んだはずじゃ」
「まあ、強いていうなら運が良かったからかな。死体に関してはグレーゾーンだけどその手のそっくりな人形を作れるヤツに伝手があるんでね」
巫山戯るなと死人がまた邪魔をするのかと激昂するが一瞬で組み伏せられる。
「借りは返させてもらうよ。おかげさまでこんなミイラ男にされたんだ吐けるだけ情報は吐いてもらうよヴァルキューレに突き出すのはその後だ」
静かに怒りを露わにし両腕と両足を縛り頭に銃を突きつける。
ロボット兵のリーダーは反抗的な態度を崩さず口を割らない。
「誰がお前みたいなクソ餓鬼に!」
「そう、なら」
少年の20式小銃が火花を散らし弾丸がロボットの装甲を削った。
次は装甲を貫くと脅すように銃口を押し付ける。
「お互い時間は無駄に出来ないだろ」
声を低めに脅すように言い放つ。
本気の殺意がこもった目に少年の異名をロボットは思い出した。
凶鳥、ヴァルキューレに所属していた時についた犯罪者に不幸を知らせる鳥。黒い翼を持った生徒。
何度もしてやられ何人もの手下が彼のせいでヴァルキューレに捕まった。
憎むべき宿敵。傭兵の協力を得て罠を張り確実に殺したはずだっただというのに。
「誰がお前なんかに話すか、くたばれクソ餓鬼が」
そうかと、冷徹にリョウスケは引き金を引こうとした時。
焦げ臭い匂いがした。
灰の匂い。
やな予感がした。
半ば本能に任せるように窓をぶち破って飛び出した。
その直後。
さっきまでいた部屋が丸ごと轟音を鳴らして爆発で吹き飛んだ。
危なかったと。
少しでも遅れていれば巻き込まれていた。
「口封じてことか、あの感じアイツ自身が爆弾だったのか。酷いことするね連中」
サイレンの音が響いてる。
ヴァルキューレが来たのだろう。
なら自分の仕事はここまでだ。
見つからないうちにそそくさと暗闇に紛れその場を後にした。
***
「負傷者多数、現場から確認されたケースの残骸から例の事件との関連性が強いと思われますカンナ局長!」
「そうか、引き続き調査を頼む」
カンナは爆発したビルの一室見上げながらため息を吐いた。
元後輩と共に追っていたとある違法な薬の売買の案件。
薬を流通させている大元のグループの尻尾は未だ掴めず何も知らない使い捨ての下っ端ばかりが捕まるばかりのイタチごっこ。
だがこの前後一歩で尻尾を掴めそうだった。
けれど先走りすぎた。敵の罠に気付かず後輩が自分を庇い殉職した。
出来のいい後輩だった。
短い時間だったが多くの事件を2人で解決し日々が輝いて見えた。
だが彼はもういない。
全身焼かれた彼の姿を直視できなかった。
もし彼が自分を庇うことがなければこうなっていたのは自分の方だった。
その事実に安堵している自分に自己嫌悪を続ける日々が続いていた。
けれどまだ事件は解決していない。
カンナは彼の墓前と彼の幼馴染の少女に誓った。
必ずこの事件を解決すると、仇は自分が打つと。
ふと近くに黒い羽が落ちてあることに気づく。
カラスが落としたのだろうとそれを拾い上げ少年の顔を思い出す。
今度の休みに彼の墓前に好物だったメロンパンでも持って行ってやろうとこれから片さなければならない書類に覚悟を決めた。
今夜は長くなりそうだ。
***
扉を開けて銃を置き場に掛ける。
病み上がりだが体は問題なく動くことを確認し情報が得られなかったことは残念だと思いつつもまあこれからまた探ればいいかととにかく今は疲れた体を休めたかった。
久々の病み上がりに動かした体は休憩を求め吸い寄せられるようにベッドへと体を投げ出した。
「やっぱまだきついよねー、しばらくは大人しくしてますか」
深夜の室内、暗闇の静寂が心を落ち着かせる。
ふと横を見ると昔、幼馴染のミヨと撮った2ショットの写真が目に入った。
(ミヨ、元気にしてるかな。会いたいなー、いやこんな姿で会えるわけないよね。カンナ先輩も俺のこと思い詰めてないといいけど)
幼馴染と先輩の顔が浮かんだ。
告白しておけば良かったと後悔した。
もっと先輩に成長した姿を見せたかった。
(今更遅いよね。ごめんミヨ、ごめん先輩)
枕に顔を埋める。
後悔ばかりが押し寄せる。
暗闇が心に染みて暖かいものが両目から溢れて枕を汚す。
夜は寂しい日がずっと続いている。
体はあの日から冷たいままだ。
死んでもいないのに見た目通りの死体のように心も体も凄く冷たくて凍えそうだった。
許されるなら今すぐにでも会いに行きたかった。
ヒロインだけじゃなく主人公もヤンデル方が盛り上がるよね