好きだった子が死んだ自分の墓の前で告白している件   作:MK60ff

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 主人公の容姿のイメージは黒髪に赤メッシュが入っていて出歩く時はバイクのヘルメットをかぶって服装はライダースーツ
ちなみに身長は165cm

てか1話投稿してから読み直したらめっちゃ誤字してた!
やっぱ何事もちゃんと頭働いてる時間にやらなきゃだめだな


第2話 ペロロガールとブラックマーケット

 

 ビル爆破事件の後から数日経った後、リョウスケは暇を持て余していた。体を回復させるために家での休息をとってから数日、今のリョウスケの容姿は完全にミイラ男である以上周りの目もあり簡単に出歩く事が出来ない。

 それ以上に死んだ事になっている都合上正体がバレるわけにはいかない。

 実質今の拠点に軟禁状態の日々が続いていた。

 彼が生きている事を知っているのはごくわずか、シャーレの先生と連邦生徒会のごく一部。

 それ以外にもゲヘナの風紀委員の委員長など一部の生徒は彼の生存を知っているためたまに秘密裏に食料などを持ってきてもらっている。

 

 けれど人間はずっと同じ場所に居続ければストレスがかかる。

 キヴォトスの生徒と言えどそれは同じだ。

 

 早い話しが退屈で死にそう。

 そんな感覚を味わいながら地面に寝そべる姿は容姿も相成り完全に死体のそれだった。

 

 普通の人が何も知らずにこの場を見れば悲鳴を上げて逃げる事だろう。

 

 そんなくだらない事を考えている時携帯が音を鳴らして震えた。

 

「はい、もしもしミイラ男でーす」

 

 気の抜けた言葉で電話に出る。

 相手もそうくるとわかっていたのか冷静な返答が来た。

 

「ふざける余裕があるくらいには元気そうで何よりよ」

 

「そっちも元気そうだねヒナ委員長」

 

 自身の生存を知る生徒の一人、ヒナ委員長からの電話だった。

 お互いに軽口を交わす。

 彼女とはゲヘナの問題児がゲヘナ以外でも問題を起こしその対処の際に知り合い、自身が追っている薬の事件がゲヘナにも影響を及ぼしているため今現在は協力体制を敷いている。

 

「電話してきたってことは重要な話しだよね?例の件の元締めの尻尾掴んだとか?」

 

「残念ながらまだよ、こっちも忙しくてね。あまり人員をそちらに回せていないの。けどもしかしたら手掛かりになるかもしれない情報がこっちに流れてきた」

 

 それだけでも嬉しい話しだった。今はどんな些細な情報でも欲しい。

 そうして出てきたのはとある情報屋の名前と馴染みのある場所の名前だった。

 

「ブラックマーケット」

 

 古巣にいた時、捜査で立ち寄ることもあれば情報を求めグレーゾーンなやり方で捜査を行った場所。

 馴染みのある場所の名前とそこのとある店が彼女から告げられた。

 

 

***

 

 

「相変わらず人相の悪い奴の溜まり場だなここは」

 

 最も不良生徒以外は大半がロボットで大した表情の変化はないが。

 それはバイクのヘルメットで顔を覆う自分も人のことを言えないがと自虐する。むしろ格好で言えば今の自分の方が相当怪しいのだろう。

 何せ一皮剥けば全身包帯だらけのミイラ男だ。きっとハロウィンのコスプレには今後困らない。

 

「さてと、情報屋タナトスね。最近名前を売り始めてる情報屋だったか」

 

 ヒナ委員長から教えられた情報屋を求めて足を進める。

 そんなに経っていないはずだが何処か懐かしい空気を感じた。

 仕事でカンナ先輩と共に立ち寄り情報を求めて一癖も二癖もあるこのブラックマーケットの住人相手に立ち回ったり、ときたま銃撃戦にも巻き込まれたりした時は流石に先輩から苦情をもらった。

 

(ここで会うことはないと思いたいけど警戒しとくか)

 

 今は会いたくない。

 こんな姿で会えるはずがない。

 ミイラ男みたいな姿になった後輩なんてとてもみれた物じゃないだろう。

 

 そんな自己嫌悪に頭を悩ましている時だ。

 遠くから複数の足音が聞こえる。

 気になり振り向くとそこには。

 

「どういう状況だあれ?」

 

 淡いベージュ色の髪の少女、とてもこの場に似つかわしくない可愛らしい少女が複数人から追いかけまわされていた。

 

「ひぃーーー!助けてくださいぃーー!」

 

「待てや嬢ちゃん!その手に持った人形置いてけー!」

 

 少女はブサイクな人形を抱き抱え必死に走っていた。

 関わらない方がいいかなと思いつつも気付けばかなり近づいていた。

 

「そこの人ーー助けてくださいぃーー!」

 

 できれば今は目立つ行動を避けたかったがそうも言っていられないらしい。

 仕方ないと少女と少女を追っている不良にの間に割って入った。

 不良は邪魔だと顔に出しながらこちらに問いかける。

 

「なんだてめえは!邪魔すんのか!」

 

 今にも食ってかかってきそうな勢いの不良を宥め交渉を試みる。

 

「まあまあ、ちょっと話そうよこっちとしては荒事は避けたいんだけどまずなんで君らはこの子を追ってるのかな?もしこの子に非があるて言うなら俺が間に入って話すけど」

 

「違います!私何も悪いことしてないですよ!ただペロロ様の幻の限定ハロウィン仕様のぬいぐるみが捨ててあって可哀想だから拾って綺麗にしてあげようと!」

 

 ペロロ様?限定?見知らぬ単語に頭を捻る。

 盗んだわけではないようなら何故こんなにも不良はこの子をここまでしつこく追っているのだろう?

 

「てことだけど、そっちの不良少女達はなんでこの子を追っかけてるのかな?盗んだわけじゃないなら彼女に非はないみたいだけど」

 

 まあ捨ててあるのを拾うのも駄目な気がするが不良から盗んでいないなら少なくとも彼女らに追われる理由はない。

 

「うるせえ、誰が不良少女だ!否定できねえけど」

 

「私らは名前も知らない連中に雇われただけだ。どういう訳か知らねえがそのぬいぐるみを持ってこいってな!」

 

 名前も知らない連中?もしかしてかなり厄介なことに巻き込まれたのではと勘繰る。

 あのぬいぐるみにそこまでの価値があるのか。

 何度見てもただブサイクな表情のぬいぐるみにしか見えない。

 

「うう、ペロロ様が欲しいだけなのになんでいつもこうなるんだろう」

 

 後ろでペロロ様と呼ばれたぬいぐるみを強く抱きしめ涙目になりながら自身の不運を呪う少女。

 いやそもそも普通の可愛い物好きな女の子が来るべきところではないだろう。あのぬいぐるみが可愛いかは審議の必要があると感じるが。

 

「いいからそこどきやがれ、このヘルメット頭!」

 

 どこぞの不良集団と一緒にするなと内心思いながらこちらに攻撃を仕掛けようとする不良に仕方ないとこちらから攻撃を仕掛けた。

 相手は訓練も受けていないただの不良。

 単調な動きで先読みは余裕だった。

 

「ゴフ!」

 

「はっ、何が」

 

 先頭にいた不良に銃を抜く隙を与えず一瞬で懐に入り無防備な腹に右ストレートを叩き込む。

 哀れ不良は体を綺麗にくの字に曲げ吹っ飛んだ。

 一瞬で行われた無慈悲な一撃。

 不良達は誰一人反応できた者はいなかった。

 

「おい、なんだ今の!」

 

「急に吹っ飛んだぞ!あいつがやったのか!」

 

 突然の理解できない光景に驚愕し呆気に取られる不良達。

 出来ればこれで逃げてくれないかなーと内心思いながら更に圧力を加える。

 

「弾が勿体無いでね、特別授業だよ不良生徒の皆んな。鬼教官直伝の体術を味わいたい人から順場に挑んできな!」

 

 不良達は目の前にいる正体不明なヘルメットとの実力差を理解した。

 一瞬で自分達が狩られる側である事をわからされ顔面蒼白になりそれぞれが散り散りに逃げていく。

 

「くっそう!楽なバイトだと思ったのによ!」

 

「こんなのがいるなんて聞いてねえよー」

 

 騒がしかった周囲の喧騒は消え去り元の静かな通りになる。

 後ろを振り向き少女の方を確認する。

 やはり何度見てもこの場には似つかわしくない少女だ。

 お嬢様学校にでもそれこそトリニティ総合学園に通っていそうな少女だなと感じますますここにいる理由に、何故そんなブサイクなぬいぐるみのために必死になるのか理解できないと思うものの人の趣味をとやかく言うべきではないのだろう。

 

「君、名前は?」

 

「私は阿慈谷ヒフミです。あ、あの助けてくださってありがとうございます!」

 

「阿慈谷さんね。俺はレン。ここは君みたいな子が来るところじゃないよ。これに懲りたらもう来ない方がいい」

 

 当然偽名だ。昔、ミヨと呼んだ恋愛小説の主人公の名前。

 ミヨが好きだった主人公の名前。

 女々しいなと自分ながらに思ってしまった。

 余計な思考を振り払うべく咳払いをして本題を切り出す。

 

「と言うかなんでそのぬいぐるみが狙われてるんだ」

 

「私にもよくわかりません、確かにペロロ様は可愛らしいですけど」

 

 可愛いか?あの顔を見るたびに疑問に思う。

 まああの顔が好きだと言う人もいるだろう。

 違うそうじゃないとまたぶれそうになる話を戻す。

 

「出来ればそのぬいぐるみ捨てて行った方がいいと思うけど。さっきのレベルの不良程度ならともかく、もっと厄介なやつを寄越してくるかも知れないよ」

 

「ペロロ様を捨てる!絶対にあり得ませんそんなこと!」

 

 相当なペロロ様信者だなと、改めて見れば背中に背負うバッグもペロロ様がデザインされている。仕方ないとまたため息を深くつく。

 

「仕方ない、君を家まで送ってくよ。あいつらを雇った連中がそれを追いかけて出張ってくるかも知れないし」

 

「ごめんなさい、ご迷惑を...」

 

「そう思うなら出来ればそのぬいぐるみ置いて行って欲しいんだけどねそうすれば面倒も減るし」

 

「それだけは...」

 

 また涙目になる少女。

 叱られて萎れた子犬のような。

 何処か昔のミヨを思い出した。

 

(そいえばアイツも小説欲しがって駄々こねてる時があったっけ)

 

 ずっと昔のお互いがまだ小さかった時。もう戻らない日々、この焼け爛れた体と同じ手に入らない過去を実感して段々と彼女の顔を見れなくなった。

 やめよう、今はこの子の安全を確保することだけに意識を向けよう。

 情報屋はにはまた後日来れる。

 この子を家まで送りそれでも解決できないようならこの子の学園に保護を求める。

 トリニティほどの規模ならそう簡単に手を出せない。

 

「じゃあ、とっととブラックマーケットから出よっか」

 

「は、はい!」

 

 彼女を送り届けようと歩き出した時。

 

 またやな匂いがした。

 

 最近、何か巨大な爆発が起きそうな時なんでかそれを匂いとして感じる。この前のビルの自爆でもした灰のような匂い。

 

 咄嗟に彼女の手を掴んでこの場から走り去った。

 

 さっきまで二人がいた場所が巨大な爆破で吹き飛んだ。

 

「今度はなんなんですかー!」

 

「言わんこっちゃない!」

 

 遠目から爆炎の向こうにこちらを狙った犯人を確認する。

 装甲車の上からロボット兵が4連式のロケットランチャーでこちらを狙っている。

 本当にブラックマーケットとはいえ情報屋を訪ねに来ただけで何故こんな目に遭うのか、治安がゲヘナより少しマシかと思っていたがそうではないらしい。

 はやく帰りたかった。

 装甲車を相手に阿慈谷さんを守りながら戦える自信はなかった。

 増援が来るかも知れない以上逃げるが勝ちだ。

 

 阿慈谷さんを連れて建物の脇道へと駆け込んだ。

 

「全く、どうして連中もそこまでそのペロロ様にお熱なんだよ」

 

「本当にごめんなさい!私がレンさんを巻き込んでしまったばっかりに!」

 

 細い路地を全力でかける。

 そこに自分達以外の足跡が重なってきた事に気づいた。

 装甲車に乗っていたのと同じタイプのロボット兵がこちらに向かってきていた。

 

「よっぽどそのペロロ様が欲しいみたいだね連中は!」

 

「もういいです!置いていきましょう本当はやですけど、これ以上レンさんを巻き込めません!」

 

 目に大粒の涙を溜めながら心底やだけどと言うような表情を浮かべそれでもこれ以上巻き込めないと、ペロロ様を諦めようとしていた。

 確かにそれが確実なんだろ。

 けれどそれをするのは何処か違う気がした。

 何よりこのぬいぐるみの価値がわからないがあれだけのことをする連中に渡してロクな結末になる未来が見えなかった。

 

「いや、決心してくれた所悪いけどここまでしてくる連中に渡したら駄目な気がしてきた。そのぬいぐるみの正体がなんなのかわからないけど渡してもどうせロクな結末にならない!」

 

「でもどうするんですか!私達だけで逃げ切れないですよ!」

 

「いや、なんとかして逃げ切る!」

 

 とはいえどうすればいいのか明確な打開策があるわけでもなく。二人で戦って勝てるわけがない。

 逃げ切れる可能性も薄い。

 詰み。

 そんな言葉が浮かんだ。

 

「おい」

 

「阿慈谷さん今なんか言った?」

 

「へ、私は何も言ってないですけど?」

 

「おい」

 

 いや聞こえる。

 誰かの声が。

 ついに追いつかれたかと身構える。

 周りにロボット兵はいなかった。

 いるのは自分と阿慈谷さん、そして

 

「まさか...」

 

 ありえないと思いつつもペロロ様のぬいぐるみをじっと見つめる。

 

「やっと気づいたか二人ともさっきから呼んでも返事せんから聞こえてないかと思ったぞ!」

 

「ペロロ様が...」

 

「このぬいぐるみが」

 

「「喋ったーーー!!」」

 

 二人の叫びが夕日が照らすオレンジ色の空に響いた。

 

 

***

 

 

「ミヨちゃん、最近どう無理してない?」

 

「ありがとう、ヒロミちゃん大丈夫だよ。これ以上みんなに迷惑かけられないから」

 

 そう言うミヨの様子はとても無理をしていないとはいえない様子だった。

 明らかに無理をしている。

 彼が死んだ時はもっと酷かったのを覚えている。下手をすればそのまま彼の元に消えてしまいそうなほどに。

 

 マシになったとはいえ今も酷く憔悴しているその様子にこちらの心も締め付けられる。

 

 「無理しないでね、何をしても大切な人を亡くした心を埋めるなんてできないと思うけど、寄り添ってあげる事は出来るから何かあればすぐに言ってね」

 

 心の傷は簡単に消えない。

 それが大切な人を亡くした傷ならなおさら。

 それを癒すことができるのは時間だけだろう。

 

「ありがとう、そう言ってくれるだけで嬉しいから」

 

 まだ16歳の少女がその傷を受け入れるのもそれをこれから癒すのも時間がかかる。それを抱えて生きていく胸に空いた喪失感はきっと誰にも理解しきれるものではないのだろう。

 

 ヒロミは何処かでそれを察して何故大切な友人がこんな思いをしなければと何処か暗い感情を抱いてしまう。

 

 死者に対しそんな感情を抱いてはいけないと直ぐに思考を切り替える。

 

「お茶買ってくるね、ミヨちゃんも飲むでしょ?」

 

「うん、ありがとう。なんだか同じことばかり言ってるね私」

 

 浮かべた笑みは作り笑いだった。

 以前とは違う。こっちを安心させようと無理をしている。

 それをこれ以上見たくなかったからヒロミは足早に教室を出て行った。

 

 一人になった教室。

 今日は雨が降っていて雨が窓を打ち付ける音色が幻想的な世界を作っていた。

 それが酷く居心地を良くさせてミヨを教室に留めていた。

 一時だけでも、ここにいれば忘れられる気がした。

 彼のいない孤独と胸に空いた喪失感。

 

「こんな、結末を見たかったわけじゃないのに...辛いよ、リョウスケ」

 

 机に腕で枕を作り頭を沈めながら虚しく呟いた独り言。

 いっそこのままこの雨に溶けてしまいたかった。

 風に攫われて消えてしまいたかった。




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