ARMORED CORE Ⅵ FIRES OF KIVOTOS 作:かきフライ
「ありゃー。先生、用事ができちゃったから直接シャーレに帰るんだってさ」
私、黒見セリカは絶句した。
「あらら……」ノノミ先輩が残念そうに声を上げる。
「お礼を言う機会、逃しちゃったね」シロコ先輩が言った。
恥ずかしくなって、つい机を叩いてしまった。
私はさっきまで、不覚にもカタカタヘルメット団に捕まってしまい、トラックに乗せられていた。暗いコンテナの中、もうダメだと思った時、助けに来てくれたのがアビドスのみんなと、先生だった。
「……なんでよ」
小さく呟いたつもりだったのに、思ったより大きな声が出た。
助けに来てくれて、無茶して、血まで流して。
それなのに、何も言わずに帰るなんて。
「ま、先生らしいよねぇ」ホシノ先輩が肩を竦める。
らしいって、何よ。
机をもう一度叩きそうになって、ぐっと堪えた。
「……私、シャーレに行く」私は立ち上がる。
正直、明日以降にお礼を言えそうになかった。
「お〜、いいねぇ」
「じゃあみんなで行きましょう!」
「ん。私もシャーレに興味ある」
「連絡、入れておきましょうか?」
「いや〜、そこはサプライズってことで。先生の驚いた顔、見れるかもよ〜?」
みんなが一斉に準備に取り掛かる。
「えっ……ちょっと!?」
流石に、直接お礼を言うところをみんなに見られるのは恥ずかし過ぎる。
「なーに、セリカちゃん。もしかして先生を独り占めするつもりだったのー?」ホシノ先輩がいたずらっぽく笑う。
「そんなつもりないから!」思わず大声を出す。
「ほらほら、顔赤いよー?」ホシノ先輩がニヤニヤする。
「赤くない!」
「うん、赤い」シロコ先輩が即答する。
「赤いですね☆」ノノミ先輩まで乗っかってくる。
「アヤネちゃん、何とか言ってよ!」
「え、ええと……」アヤネちゃんが目を逸らす。
味方がいない。
……いや、違う。
みんな分かってる。
私が、ただお礼を言いたいだけじゃないことを。
その上で、悪ノリしている。
先生は、何も言わずに帰った。
助けたことを特別扱いしない。
血を流しても、「軽傷だ」で済ませる。
あんなの、ずるい。
だから、仕返しをしたい。
どんな形であれ、ビックリさせてやりたい。
みんなも、そうなのかもしれない。
「もう。行くなら、早く行くわよ!」
みんなが頷いた。少し、悪い顔をしていたかもしれない。
私は一つため息をついた。
たった一言を言うだけなのに、何でこんなに勇気がいるのだろう。
「あの人の中で、生徒を助けるのは当たり前なんだよ。きっと」ホシノ先輩が真面目な声音で言う。「本人は『仕事だから』なーんて思ってるんだろうねぇ」
「何それ。仕事じゃなかったら助けないってこと?」
私には、そうは思えなかった。
「……行こっか。それを確かめに」
ふにゃりと笑うホシノ先輩。
私も、少し笑って頷いた。
◯
セリカ救出後。俺はカタカタヘルメット団を連れて、シャーレに戻ってきていた。
『レイヴン。連邦生徒会からの要求額ですが……』
「今回ばかりは仕方あるまい。俺のポケットマネーから支払ってくれ」言いながら、俺はため息をついた。
俺の個人資産を知ったら、生徒たちはどう思うだろうか。
「先生ー!これどこ持ってくの?」
声がした方を向くと、台車で大量の衣服を運ぶ小柄な生徒がいた。
彼女の名は
「脱衣場に持っていってくれ」
「りょーかーい!」
元気に言い放ったシナオは駆け足でシャワー室に向かっていく。
「エア。彼女らの様子はどうだ」
『今は大人しく入浴しています』エアが怪訝そうに続ける。『監視を強化した方が良いのでは?』
現在、シャワー室にはカタカタヘルメット団が列を成しており、その誘導はククリに任せている。
『もし彼女たちが反乱を起こせば、ククリだけでは些か荷重です』
「彼女らは反乱などしない。少なくとも、食事をとるまではな」
あれは単なる空腹ではない。飢餓だ。
今、事を起こせば食事は手に入らない。彼女らはそれを理解している。
『……あなたの判断は、合理的なようで非合理的なことがあります』エアが言う。
「合理的な正が、正解とされないこともある」俺は答える。「その間にあるのが何なのか、俺にはまだ分からない。だから、これから学習する」
合理と非合理の
「先生ー!」シナオが戻ってくる。「服持っていったよー!」
「よくやった。彼女らの様子は?」
「んー、並んでる子たちは怯えてたかな。でも出てきた子たちはちょっと安心してた気がする」シナオは身振り手振りを交えながら言う。
少しでも警戒が解けているのならいいのだが。
「他に何かすることあるー?」
「食堂でテツを手伝ってくれ」
「りょーかい!」シナオはパタパタと駆けていく。
あの明るさは、重く冷たい空気を少し和らげる。いわゆるムードメーカー的役割だ。ククリも明るい方だが、シナオを欠いてはこのチームは成り立たないだろう。
……チーム、だと?
俺はどこかで、彼女らを自分直属の部下のように思っているのかも知れない。
彼女らはここで必要なことを学び、ゆくゆくは復学することになる。俺が
……ウォルターも、こういう事を考えていたのだろうか。
◯
シャーレビルの居住区には食堂がある。いつもなら物言わぬロボットがプログラムの通りに調理しているのだが今日に限っては違った。
扉を開けると、湯気と共に米の匂いが流れてきた。
大きな鍋が三つ。コンロの上で静かに沸いている。
その前に立っているのは、テツとシナオだった。
「準備は?」
「できてる」テツは鍋の中身を一度確かめ、火を少し弱めた。「お粥だよ」
「固形物はまだ厳しいか」
「うん。急に食べさせると吐くだろうね」
少しだけ間を置いてから、続ける。
「最悪、死ぬ」
人間の体は想像以上に不便で、弱い。
「テツー、言われてた作業終わったよ!」
「分かった」テツは器を並べ始める。「シナオも手伝って」
「はーい!」
「先生はみんなを呼んで来て」
「ああ」
俺は食堂を後にし、休憩室へ向かった。
入浴を済ませたカタカタヘルメット団の生徒たちが、新しい服を着てそこにいた。
だが、やはり警戒している。
当然だ。
「約束通り、食事を用意した」
誰も動かない。
一人が言った。
「……食っていいのか?」
「ああ」俺は頷く。「そのために作らせた」
そこで初めて、リーダーらしき生徒が動きを見せた。
「連れてけ」
その態度は、一口に言ってしまえば反抗的だった。
俺の顔を視線で射殺さんばかりに睨みつけている。
「ついて来い」俺はただ一言だけを返した。
リーダーの合図を受け、全員がおずおずと立ち上がり、後をついてくる。
食堂は休憩室と同じ階にあるためすぐに行き来できる。
俺は再び扉を開けた。
米と出汁の匂いが、休憩室の空気を押し返すように広がる。
「好きな席につけ」俺は言った。
彼女らは言われた通り席に座る。テーブルには、先程の粥が並べられていた。
「味は薄いけど我慢して」テツが厨房から出てくる。「おかわりが必要なら言って。二杯目からは、具を増やす」
その言葉を聞いても、彼女らは静まり返っていた。
「……言っとくけど、毒なんか入れるくらいなら助けてないしここにも連れてきてない」テツは続ける。「要らないなら下げる」
少女たちは顔を見合わせる。不安は、完全には拭えない。
だが。
最初の一人が、恐る恐る器を手に取り、スプーンを持つ。
さっきのリーダーではない。この中で、一番気弱そうな少女だ。
そして、一口。
ゆっくり飲み込む。
その少女の目が、大きく開いた。
「……あったかい」
その言葉を聞いた瞬間、空気が緩んだ。
次々に、粥を口に運ぶ。
テツはそれを見ながら、もう一つの鍋に火を入れた。
「次は肉を入れる」
「もうか?」
「うん。細かく刻ませた」
なるほど。先程シナオに頼んでいたのはこれか。
「……先生も食べる?」テツがそんな事を言う。
「俺はいい」
「強がらないで。今朝から何も食べてないでしょ」
テツの言う通り、俺は今朝から何も口にしていない。偏にタイミングが無かったからだ。
どれだけ言い訳をしようと、腹は空いていた。
「それは彼女らの分だ」
「一人増えたくらいでなくならない」
「俺が加われば、警戒される」
「同じ釜の飯を食うって言葉もある」
平行線だった。
「……私の料理は食べたくない?」
テツのその言葉が決定打になったのは言うまでもない。
俺は反論の言葉をなくし、空いている席に座った。
何人かの顔が俺を見上げる。
「……すまない」俺は言葉を探しながら言う。「俺も、腹が空いている」
少女たちが顔を見合わせ、少し笑った。
何故か居た堪れなくなる。
暫く待っていれば、テツとシナオがワゴンを使って配膳を始める。
「変な顔」テツが言った。
「いつもの顔だ」俺は返す。
少女たちは器を見つめる。
そして、一人、また一人と食べ始めた。
不安はまだあるのだろう。が、確実に薄まってはいた。
俺もスプーンを口に運ぶ。
味は薄く、しかし身に沁みる温かさがあった。
「どう?」
「……美味い」
「当たり前」テツの口角が、僅かに上がった。「少なくとも初日に先生が出したのよりはマシ」
「むぅ……」
思わず苦々しい声を出してしまった。
「料理は、したことがなかった」苦し紛れに反論する。
「だからって塩と砂糖を間違えないで」
俺の反論はいとも容易く防がれた。
あの時のテツの言葉は今でも覚えている。
──二度と料理しないで
それを聞いた時、口数が少なく大人しい少女という印象はガラリと変わった。この銀髪の少女は、言うことははっきり言う人間だった。
「お前らは……」
不意に声をかけられる。隣に座っている少女からだった。
カタカタヘルメット団のリーダーだった。
「お前は、何なんだよ」
「レイヴン」俺は答える。「連邦捜査部の顧問だ」
「そう言うことじゃねぇよ」
質問者はスプーンを置き、こちらを向く。
「お前はアビドスに味方した。なのに、私たちに飯を食わせている。敵である私たちに」
眉間にしわを寄せる。
「一体何が目的だ?」
それは至極当然な疑問だった。
敵に保護され、衣食住の前者二つを施されている。全く持って意味不明な状況だろう。
「……ない」俺は再び答えた。
「は?」
「俺は、今お前たちに対してできる支援を行なっているに過ぎない。その後のことは、自分で判断しろ」
「……ここから出てくか、お前の下につくか?」
「端的に言えばそうだ。だが少し違う」俺もスプーンを置く。「不良に戻るか、復学するかだ」
少女が目を丸くする。
話を聞いていた少女たちが、同じ反応をした。
テツは、ワゴンを押して厨房に戻っていく。
「復学……?」
「そうだ。訓練し、能力を高め、不良を脱する」
「そんな事できるわけ──」
「できるかどうかはお前ら次第だ」俺は続ける。「不良に戻る選択をしても俺がお前たちを拒むことはない。ここにも自由に出入りしてくれて構わない。だが、復学の道を選ぶなら、俺は最大限支援をしよう」
これは強制ではない。
ただ、選択を迫っているにすぎない。
それは彼女たちにとって強制よりも苦しいことなのかもしれない。
──選ばない奴とは、敵にも味方にもなれない
そう言ったのは、ウォルターの友人、“シンダー”・カーラだ。生徒を敵と認識するつもりはないが、俺は彼女たちに選ばせなければならない。
「……だが先に、飯を食え」俺はスプーンを持ち直す。「それが、いまお前たちがやるべき仕事だ」
少女たちはしばらく黙っていたが、やがて一人が再び粥を口に運んだ。そして伝播するように、皆がスプーンを手に取った。
◯
電車に揺られ、少し歩いた所で一際高いビルを見つけた。多分あれがシャーレビルなのだろう。
「セリカちゃーん。準備いいー?」ホシノ先輩が声をかけてくる。
「やめてよ、変に構えちゃうじゃん!」
先輩は笑いながら自動ドアをくぐった。
私たちも続いてくぐる。
綺麗なエントランスだった。白を基調にしたその空間は清潔感があり、近未来的な印象を受けた。
六つの自動ドアが六角型にエントランスを囲み、それぞれ図書館や研究室など、別々の機能を持つ部屋だと分かる。
内一つのドアが開き、眼鏡をかけた少女が現れる。
少女と言っても私と同じかそれより下くらいだ。多分シャーレの部員だろう。
「あ。ようこそシャーレへ」少女が一礼する。「本日はどのようなご用でいらっしゃいましたか?」
「あっ……えっと……」
あのボサ髪の子や銀髪の子と違って丁寧な言葉遣いだったので少し驚く。
「うへー。私たち、先生に助けられたんだけど、お礼言う前に帰っちゃってさ。はるばるアビドスから来たってワケ」ホシノ先輩が言う。
「……わざわざ足を運んで頂いて申し訳ありません」ため息交じりにそう言う。「どうぞ。部室にご案内します」
促されるまま、私たちは眼鏡の子とエレベーターに同乗した。
「あなたも、シャーレの部員?」シロコ先輩が質問する。
「あぁ……自己紹介が遅れました。私はシャーレ部員の
「い、いえいえ、気にしないでください。寧ろ私たちが迷惑をかけたというか……」アヤネちゃんが言う。
その言葉は少しだけ私の胸を刺した。
私が変なドジをしなければこんな結果にはならなかったのだから。
エレベーターを降りて少し歩くと、そこにはガラス張りのオフィスがあった。
「ここが部室です」
巨大な窓の向こうには街と空が広がる。その色を反射し、白い壁と床が青色に染まっている。
見回していると、見覚えのあるボサ髪が視界に入った。
「お?おー、アビドスの」
「さっきぶりです、ククリちゃん」ノノミ先輩が言う。
「急に帰って悪かったな。急ぎの用事ができちまってよ」
ククリと呼ばれた少女がこちらを見る。
「名乗ってなかったよな。私は九野ククリだ」
「黒見セリカよ……今朝は助けてくれてありがと」
「どういたしまして。先生にも言いなよ」ククリが歯を見せて笑う。「茶、淹れてくる」
「私は先生を呼んできます」
「ありがとね〜」
部室に、少しだけ沈黙が落ちた。
私は窓の外を見た。
……何て言えばいいんだろう。
単に「ありがとう」の一言で済ますのは何か違う気がする。だからと言って長々と感謝を伝えるのも変だ。そもそも、シャーレに来たのはお礼を言うためだけじゃない。あの唐変木な先生に仕返しをするためだ。少しくらい、憎まれ口を叩いても許されるだろうか。
「お待たせ~。って、なんだよ、そんなに眉間にしわ寄せてさ」ククリがお茶を持ってきてくれる。
「いや……別に何でも──」
「先生に何て言うか考えてるんだよ~、セリカちゃんは」ホシノ先輩が余計な事を言う。
「なーんだ。そんなことか」お茶を置きながら言う。
「そ、そんなことって!」
私は真面目に考えているのに、それを「そんなこと」で片付けられた。
「真面目に考えるだけ無駄だよ。先生は生徒を助けるのを当たり前だと思ってるんだ。感謝されても小首を傾げて『仕事をしただけだ』とか言うぜ、きっと」
お茶を配り終えたククリが、ソファに座る。
「……私らん時も、そうだったからな」そう言って、苦笑した。
「それってどう言う──」
その時、部室のドアが開く音がした。
私は気が付いても何故かそっちを見るのを躊躇った。
結局、言葉は見つからなかったから。
「お前たちが来るのは、想定外だった」
先生の声がした。
いつも通り無感情そうな、平坦な声音。
私には、一切悪びれていない
私は思わず立ち上がった。
「アンタねぇ!」
自分でも、声が思ったより大きく出たのが分かった。
「助けたなら助けたで、なんで何も言わず帰るのよ!」
「急ぎの仕事が入った」
「そういう問題じゃないでしょ!そりゃシャーレの先生はやらなきゃいけない仕事が沢山あるんだろうけど、帰りにちょっと学校に寄って一言二言交わす余裕もないわけ!?」
「せ、セリカ。落ち着いて……」シロコ先輩が困ったように私を制止する。
アヤネちゃんとノノミ先輩も同じような表情を浮かべている。ただ一人、ホシノ先輩は頬杖をついてニヤついている。
「……て言うか!先生が助けに来なくってもあれくらい切り抜けられたし!ヘルメット団だって私一人で……」
ダメだ。
口を開けば開くほど心にもない言葉が飛び出し、お礼の言葉から遠ざかっていく。
こんな事を言いたいわけじゃないのに。
先生の方を見ると、さっきと同じ姿勢で立っている。その瞳は、私ではなく右上に向けられていた。
まるで
「ちょっと!ちゃんと聞いて──」
「すまなかった」
私の言葉を遮って、先生が頭を下げた。
小さく、後ろから口笛が聞こえた。多分ククリだ。
「お〜」ホシノ先輩が感嘆の声を上げる。
「……へ?」当の私は、素っ頓狂な声を上げた。
「お前の気持ちを汲めず、配慮を欠いてしまった」先生は更に深く頭を下げる。「申し訳なかった」
「ちょっ……!」
「どうすんの、セリカちゃーん。このままじゃセリカちゃんがワルモノだよ〜?」ホシノ先輩が茶々を入れる。
「うぅ……」
ここまで頭を下げられると罪悪感が湧いてくる。
「わ、私も言い過ぎちゃったし……先生が忙しいのも事実だから……その」
視線を右往左往させて、最終的に先生を見る。
「ごめんなさい」私も同じように頭を下げた。
また少し、沈黙が訪れた。私は居た堪れなくなって勢い良く顔を上げる。
「こ、これでお相子だから。先生も頭を上げてよね!」
そう言うと、先生は私とは対照的にゆっくりと顔を上げた。
その表情は、相変わらず無表情だったけれど。さっきまでの憎々しさは消えていた。
「おんや〜?安心するのはまだ早いんじゃない?」
「え?」
「一番言うべきことを言えてませんよね、セリカちゃん」
ホシノ先輩とノノミ先輩がそんな風に言う。
「……分かってる」私は再び先生を見据えた。
少し、顔が熱くなるのが分かった。
「えっと……」
勇気を出して、口を開く。
「助けてくれて……ありがとう。先生」
顔が更に熱くなる。
お礼を言っただけなのに、何故こんなに恥ずかしいのだろう。
私は思わず先生から目を逸らす。
「よく言えました!」ノノミ先輩が私の頭を撫でる。
「ちょっと!」私は振り払おうと頭を振る。
「さてさて先生〜。折角セリカちゃんがデレたんだから、何か言ってあげてもいいんじゃない?」
今度は先生がホシノ先輩の標的になる。
「そうか」
そう言って、今度は右下を向く。
さっきとは違って何か言葉を探しているようだった。
数秒後、こちらを真っ直ぐ見た。
「セリカ。お前が無事でよかった」
先生は一瞬躊躇いを見せたが、言葉を続けた。
「……安心した」
意外な言葉だった。
「なっ……!?」
それはククリも同じだったようで、ソファから立ち上がったかと思うと早足で先生に詰め寄っていった。
「先生……何か変なモンでも食ったのか?」
「テツが作った粥を──」
「だーっ、もう!いつもの先生に戻ってる!」ククリが頭を抱える。「言っとくけど、今のはすげーレアな反応だったんだぞ!」
会ってまだ数日しか経ってないのに、分かる気がした。
だからこそ、私は呆れつつも、少し特別な愉悦感を抱かずにはいられなかった。
生徒にレイヴンに対する恋情を持たせるか否か
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持たせても良い
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オリキャラには持たせるな
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オリキャラにも持たせて良い
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持たせるべきじゃないと思う