令和ゆるふわ女子大学生の、邪神的コンテンツ消費録 作:V01-125,734,943,672
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「──『万象を消滅させる力』を付与するわ」
それだけ言われて、私は原始地球に放逐された。
本当に酷い話だと思う。
確かに私は何回ほどか『昔に戻れればなぁ』と考えたことはあるけれど、まさか生命誕生以前──遥か数十億年の過去に戻されるとは思わないじゃない。
そんなこんなで無限の時間を手に入れ、半分全知全能になったので。
『人類文明』とかいう、人類最大のコンテンツを消費して楽しもうかなって。
◇
まあ、シンプルにね。
ここまでの経緯紹介でもしようか。
とっても
令和の女子大学生らしく周囲の流行にあわせて漫然と振る舞い、世間の潮流に逆らったりせず、ゆるふわに生きてきた私としては。
流石に突然、原始地球に左遷させられるというのは予想外だった。
ただ幸福だったのは、左遷直前の言葉──『万象を消滅させる力』なるものは事実として私に付与されており、それはその名前が冠する通りに万象を消滅させることが出来た。
例えば。
私が放逐された原始地球というのは、マグマ・オーシャンによって絶賛灼熱地獄となっていたわけだけれど。
この能力を使ったことで数千度の温度ですら、私の体に危害を加えられなくなった。
何なら、纏っていた衣服も含めて完全に。
しかも、こういう能力にありがちな『使ったら使った分だけ代償が必要』だとか『一気に何度も使えない』だとか、そういった複雑な制限がない。
好きな時に好きなだけ、どんなものでも消滅させられる。
何かを創ることは能わずとも、万象を消滅させられるというのは──まあ、全能とまで言わなくても半能くらいは名乗れるんじゃないか、というお話。
実際、私の体は『化学的変化によって損傷を受ける可能性』だったり『物理的変化によって損傷を受ける可能性』だったり、『精神的発狂が発生する可能性』を消滅させているので、これだけでも結構無敵になっている。
それで。
私は考えた。この能力を使って、上手い感じに人類文明を発展させてあげれば退屈しないんじゃないか、とね。
万象を消滅させられる半能神とはいえ、暇な時間は暇な時間として存在してしまう。
他人の人生をSNSなどを通じてコンテンツとして消費していた私としては、流石に暇過ぎるのはNGになってしまう。
勿論、『暇と感じる感性』を消滅させてもいいんだけれど……そこまですると、最早私が私じゃないような気がしてね。
都合の悪いものかつ、自分自身に関与するものをガンガン消してると何処かでアイデンティティが完全に崩壊しそうだから。
まあ、そんなわけで暇は半能の私にとって大敵であった。
というわけで、人類文明をコンテンツとして──ああいや。人類文明を是非とも発展させて、私を楽しませるようなものを創出してもらう、という作戦になったわけ。
そういうわけで、『おおよそ四十六億年の体感時間』を消滅させ、改めて令和の時代にやってきた。
そこで『戸籍偽造がバレる可能性』を消滅させたり、『入学試験に落第する可能性』を消滅させたり、そんな些細な消滅をすることで、前世では完遂出来なかったキャンパスライフを送っていたのだけれど。
「──どういうこと?」
目の前にいるのは魔法少女らしいマジカルステッキを持った二人の少々。
『年齢推定を誤る可能性』を消滅させた上で、二人の年齢を推定すれば、二人とも十六歳であることはすぐにわかる。
そんな二人が、私に向けてマジカルでミミカルな魔法ステッキを私に向けている。
「私、何かしてるわけじゃないけどなぁ。そんな物騒な代物を向けられるような事、してないよ?」
あくまで平和的に。
いざとなれば、二人の存在ごと消滅出来るようにしながら。
『焦っていないとバレる可能性』を消滅させながら、生理的発汗を誘発する。
「──ルネ、やっぱりこの人からだよ。絶えず
……あー、なるほどね。
なるほど、なるほど。そういうことか。
確かに私は『戸籍偽造が発覚する可能性』だとかそういった法律上のリスクは消滅させていたけれど、この消滅自体を検知される可能性は残していたね。
気付かなかった、気付かなかった。
いやぁ、これは私の落ち度──と、言えれば良かったのだろうけれど。
嗚呼、人類よ。
そもそも、私は普通のキャンパスライフを送りに来ているわけじゃない。あくまで主目的は一貫して『暇潰し』。
バレるリスクが完全に存在しないなんて、つまらない。面白くない。
まあでも、
「改編痕……? それが何か知らないけれど、私は魔法世界に住んでいるわけじゃなくて。空想主義者の譫言に付き合っている暇は──」
「『カイキアス・ウィンド』!」
そう銘打たれた風刃が、真っ直ぐに私へと向けられる。
流石に、避けないのは変だよね。
そして、避けても変だね。まあ避けるけれど。
「──近頃の人類は野蛮だね。弥生時代の人類だって、種族内不和が悪手であると知っていた。だからこそクニを作ったというのに」
そんなことないけれど。実際は、貯蓄物が出来て定住する必要が出来たから。それ故の分業化。『本能的行動』ってやつだね。
「レイ! この人、私の
レイとルネ、ね。
一応名前は覚えておく。何かに使えるかもしれないからね。
いざという時の知恵ストックは、何に使えるかわからないから。
「嗚呼、本当に野蛮だ。だが、それは無謀ではない。安心するがいい。彼我の実力差がわからないのは正常である」
彼我の実力差を正しく認識出来る存在、なんてあれば私がバレる可能性がなくなるじゃん。そんな可能性、消滅させるに決まっている。当たり前だよね。
「ルネ、防御をお願い!」
「『アイオーン・ブロック』!」
とりあえず、『これから起こることが余人にバレる可能性』を消滅させる。
折角面白そうな状況になったんだ。最後まで味わうのが礼節ってもの。親しき仲にも礼儀ありなんだから、見知らぬ仲には況んやおや。
「蛮勇を誇るがいい。その攻勢はきっと無駄にはならない。ああでも、事前に謝罪をしておくね。戦闘とか、したことないから」
私、前世はノーマル女子大学生だったので。
体育の授業や通学時のダッシュが、体を動かす最大限だったから。
「手始めに──『此処に、即座に隕石が降って来ない可能性』を消滅させよう」
勿論、『消滅させるものが私の意に沿わない可能性』──つまり、「ここじゃない場所に即座に降ってくる」とか「ここに、数百年後に降ってくる」みたいな可能性を消去した上で。
刹那の後、目を灼くような大量の光と共に巨大な隕石がこの場に
おや、確かに一個に指定はしていなかったっけ。まあいいや。
連続する轟音と、捲れていく地盤。
地獄の責め苦でももう少し静かな空間が数十秒ほど続き、地面が粗方原型をとどめなく──あ、やり過ぎたかな、これ。まずい。とても。
直後、当然発生するのは周囲のビルなどの大量倒壊。
直径数メートルの隕石を数百落としたのだから、まあ妥当な結末。というか、被害は明確にそれだけでは済まずに、更に広がっていく。
明確にやらかした感を抱きながら、その爆心地に視線を向ける。
「…………っ……ル、ネ……無、事……?」
これで生きてるとか、魔法少女はどうなってるのか。
火山の中に投げ込んでも煙とかにならず、普通に這い上がって来そうだよね。
レイと呼ばれていた人物は息も絶え絶えと言った様子で、ルネ──相方を探している。
ただ、残念ながら相方である『ルネ』は既にこの世に存在しない。
『ルネという人間の生死を私が見誤る可能性』を消滅させた上で言うんだから、間違いない。
まあ、うん。あれでしょ。
命を代償にレイだけでも生存させる、みたいな。
火事場の馬鹿力──火事場の馬鹿魔法みたいなもの。いいね、コンテンツとしては面白いよ。
ただ、ちょっと人類文明君はそれどころじゃないだけで。
返事が無いことでルネの死を悟ったらしいレイは──持っていた魔法ステッキを私に向かって投擲する。
最早、避ける意味はない。
物理的変化によって体に損傷が発生する可能性自体存在しない私にとって、ただの投擲なんて何の意味も
まあここまでか、と嘆息しようとして。
「──『
その魔法杖が、爆発する。
咄嗟に左手で体を守るも、代償として左腕は
ああ、そうだった。物理的・化学的変化は無力化していたけれど──魔法による損傷は無効化していなかったっけ。
これは明確に反省点だね。
紛れもない命の輝きとやらに
目的を変えて自分のいたらなさに嘆息しながら、『この怪我により私が死ぬ可能性』を消滅させる。
「バケモノ……」
いやいや、バケモノとは心外な。
これでも
「ああそうだ、なら私に名前をつけてよ。人類は未知の物に名前をつけることで解明しようとするんでしょ?」
「──『運命邪神』カハヤム」
悪態をつく余裕すらないらしく、それだけ言い残してレイの命は尽きる。
わざわざ私のご意見・ご要望に応えてくれたのは、ただネーミングセンスを披露してくれる為ではないことぐらいわかっている。
魔法少女を統括するような所に連絡するためであり、情報共有する為である。
カハヤム、カハヤムね。
まあいいでしょう。
ただ、申し訳ないけれど。
もうこの人類文明はダメな気がするんだよね。
大都市圏の崩壊が起きてるし、二人がいなくなったことで『余人にバレる可能性』の消滅が意味をなさなくなり、魔法少女らしき軍勢が私のところに向かってきているから。
そういうのは別に私の好みじゃない。この現状と同様に。
と、いうわけで。
「『四十六億年に亘る私の行動と時間経過』──消滅してね」
さ、もう一回やろうね。
今度はもうちょっと上手くやるから。
──