令和ゆるふわ女子大学生の、邪神的コンテンツ消費録 作:V01-125,734,943,672
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えー、というわけで127周目。
なんか全然上手く行かないんだよね。
毎回毎回どうでもいいところでバレたりして、いいかんじに発展してくれない。
いや、私だって色々やったんだよ?
94周目とか、卑弥呼の側近として彼女の占星術的なものを強化したり。
或いは102周目では思いきって、弥生時代になった時点で日本以外の全大陸を消滅させてみたり。
でも全然上手く行かない。
なんか内輪揉めしたり、文明として真面目に発展してくれなかったり、もしくはようやく令和らしい文明が見られたと思ったら、1周目みたいなオチだったり。
全然、まったくもって埒が明かないので。
「ねね、君。どう思う?」
1周目と基本的には同条件で、『レイとルネが魔法少女になる可能性』だけ消滅させるという仕込みでの127周目。
「どう思う、って……」
完全に一般人であるルネ──
高校一年生として文芸部に入部している彼女に、文芸部部長である私は問いかける。
「いやぁ。今度の
現在、文芸部の部員は私を含めて二人。
というかそうなるように仕向けたのは私だから、余程のことがない限り二人から変わることはないんだけれど。
「先輩は何故かSFと歴史小説が得意なんですから、いつもみたいにそれ書けばいいんじゃないですか?」
いやまあ、そりゃあね。
ちょっとだけ介入した何周目かの記憶をもとに書けば、リアリティ抜群の仮想歴史小説は書けるとも。
さっき挙げた『もし卑弥呼の力がもうちょっと強かったら』もそうだし、『藤原道長の寿命が無制限になったとしたら』も書ける。何なら『古代エジプト文明が西暦2000年代まで続いたら』なんてものも書けたり──体験してたりする。
何なら似たループを何回かしてるし、周回によっては体感時間をざっくり飛ばすんじゃなくて、数日とか数週間単位でちょこちょこ飛ばしてる周もあったからね。
そりゃあ綿密に書けるとも、という感じ。
「そろそろあの手のにも飽きてきてね」
如何せん、私には想像力というものが欠如しているもので。
ただ備忘録を書くだけ、というのは流石に飽きてくる。
それにチマチマと原稿を打ち込んでも、どうせ時間経過リセットしたら消えるわけだし。謎の虚無感はあるよね。
「折角だから可愛い後輩を題材にしたものを書いちゃったり──ってのもアリかなって。題して『文芸部の魔法少女』。どう?」
はぁ、と溜め息をつくルネ。
「先輩、前から思っていましたが
おや。おやおや。
文芸部設立以降、殆ど能力を使っていないというのに。
何なら、今回は情報収集に徹するからと『改編痕が生じる可能性』も消滅させているというのに。
128周目の準備を一応しながら、ルネと向き合う。
無駄に広い文芸部部室の中に、机を挟んで二人だけ。
「ウソ、ね。私は嘘を吐いた記憶はないけれど」
真実を言わないことは多々ある。
なんなら、それしかないと言っても過言じゃない。
ほら、だって。
沈黙は最も雄弁な真理の言証法だと言うのならば、私は語り続けなければならない。
かたって、かたって、かたって──私が無限に持つ時間を消費する必要がある。
人類の底を、宇宙の底を、世界の真理を私に見せてくれるな。
それが見えれば、私はいずれそれに飽いてしまうのだから。
撹乱せよ。攪拌せよ。濁った秩序で以てビーカーの底を覆い隠せ。
「先輩、あんまり社会とかに興味ありませんよね。なのに、
──30点。再試に期待、だね。
再試でも採点は甘くならないよ?
能力があるから興味ない、という前提がそもそもの誤りだね。
ただ、何も前提条件がないところから『天才的能力がある』まで確信出来たという部分点で、30点。
まあ、なんでもいいんだけれど。そんな点数。
一切本質的じゃないからね。所詮、答案用紙上のものでしかない。
「ちょっと違うかな。私に
「……文字通りに全てを知っていること。或いは、真に全能であること。もしくは、未来予測を実現する知恵や能力があること……ですか?」
唐突な話の切り替わりに、恐る恐るといった様子でルネは答える。
全知──英語で言うならば“Omniscience”と表現するべき存在。それを名乗り、真実とする方法は何個かある。
基本的にはルネの言っている通り、それで全てではある──のだけれど。
「あとは、もうひとつ。
私の場合は、どれにあたるかと問われればこれにあたる。
気が済むまで無限回リセットを繰り返すことで、何回でも
実のところ、この万象を消滅させる能力の最も便利な点はそこだと思ってるんだよね。
私は半能である。前に言ったね。そして、私は全知に
というわけで、改めて。
私は半知半能ってところ。クォーター全能神だね。
「その話を持ち出すということは──やっぱり、先輩は」
「まあ、普通の人ではないね。私だって好き好んでこんなことしてるわけではないんだけど」
もとはと言えば原始惑星にいきなり吹き飛ばしてきたあの存在のせい、とも言える。
無論、実行犯である私の方が罪は大きいけれど。
「さあ。君には何個か──うん?」
何処からともなく取り出された
おかしい。ルネが魔法少女になる可能性はきっちり取り除いたはず。
突然のあり得ない
私の目の前まで飛んできた
「ルネ──『紫園ルネ』よ、これはどういうことか説明してくれる?」
少なくとも、平和な学園物には少々似つかわしくないものが存在している。
ああいや、そういうのが嫌いなわけではない。
表では普通の女子生徒、裏では世界を守る為に奔走する魔法少女──なんてのは胸躍る展開だから、是非是非やって欲しいんだけれども。
そうじゃない。
私は、確かに『ルネが魔法少女になる可能性』を消滅させた。
いいね、いいね。面白いよ。飽きてきた料理には味変が欲しくなるからね。
「やっぱり先輩、そっちが本性なんですね」
「私の疑問に答えてくれるかな。まあ、答えてくれなくてもいいんだけれど。それもそれで面白いから」
一介の女子高生では外せない、どころか骨が折れるほどの強度で締め付けてくる鎖状拘束。
これ、私が痛覚を消滅させていなかったら会話どころじゃないよね。はぁ、本当に野蛮だね。
「母親から貰った
近頃の母親は随分と防犯性と殺傷性の高いお守りを子供に持たせるね。背骨を圧壊させるような威力のお守りなんて、どうみても過剰防衛だろうに。
「ちなみに、お母様はなんて?」
「『大罪人はこれを受けてなお、
ああ、その定義で言うならば私は大罪人か。
間違っていない。その推定に一切の誤謬はないとも。
それにしても、母親が魔法使いか。
なるほど、そのパターンは想定していなかった。
本人が魔法少女にならなかったとしても、魔法使いあたりからこうして『お守り』を貰うことがある、と。
なるほどなるほど、今周の収穫だね。
「じゃあ最後にもうひとつ。どうしたら、バレなくなると思う?」
何一つ動じていない私を見て、後退りをしているルネに問いかける。
「……もうちょっと関心を持ったほうがいいですよ。全部に」
おっけー、了解。
じゃあ、128回目に行こうか。
まあ最低限の情報は回収出来たでしょう。
『四十六億年に亘る私の行動と時間経過』を消滅させようとして。
「──先輩。そういえば先輩の名前って、なんですか?」
その言葉を無視してリセットしようとして。
まあ。最後の質問に答えてもらったしこれぐらいは、と思い直す。
「先輩の名前も覚えてくれない後輩を持って、部長としては悲しい限りだね」
出血大サービスとして、鎖状拘束を消滅させてから。
「『運命邪神』カハヤム──そんな名前を五千億年以上前につけられたりした、ゆるふわ一般人かな」
というわけで、改めて。
レッツゴー、128周目。