令和ゆるふわ女子大学生の、邪神的コンテンツ消費録 作:V01-125,734,943,672
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まあ、失敗をいつまでも引きずっているのも変な話だからね。
理由はわからずとも、その結果が失敗に繋がるのだとわかっているならば、同一条件を設定しなければいいだけ。きりかえてこー、ってね。
真面目な話、私があまりにも関与しまくったのがいけないんだとは思うけどねぇ。実際にあの発展文明チャート、実現させるのはとてつもないほどの
ほら、ポジティブに考えよう。
あそこまで頑固だと魔法やそういう能力、あるいは洗脳によるものって可能性もあるわけだからね。崩れる可能性があるうえで、あれを保ち続けていたってことを評価しよう。
というわけで、最近は原点回帰しようとのんびり一般女子大学生キャンパスライフを謳歌していた。
勿論、毎回ちょこちょこ細かいところは変えている。
ある周回では隻眼の数学者の寿命をもう十年伸ばしてみたり、またある周回では万能の天才が極めて裕福な家庭にて養育されるようにしてみたり。
まあ、そんな細々とした変更をして日常を謳歌してみた。
人類の歴史というのは案外しぶとく、何だかんだ一人の人生が変わったくらいでは破局的変化というのは発生しないことが多い。
もちろん、そんなことないパターンも全然あるよ。
とある半島の火薬庫での銃撃事件を阻止したりしたら、それはもう世界の様相は全然違っていた。或いは、水銀ドカ飲み不老不死倶楽部の結成を阻止したりしても、それは同様に。
でも、大半の場合は『偉人』と称される存在であっても──死のうが、生きようが、人類文明に大した影響は与えない。
大体。火薬庫爆発も水銀中毒も、その人の死による影響が大きかったのもあるけれど、あまりにもそれに影響する人の数が多すぎたからこそ、歴史的改変になるわけで。
つまるところ、やっぱり人類ってのは群れている状況でこそ真価を発揮する──なんて見方も出来るのかもしれない。なんてね。
さて、そろそろのこの周回も暇になったし例の二人でも探しに行こうかな──
「そこの人、ちょっといいですか!」
おや、知らない人。
いやまあ私にとっては大抵は知らない人なんだけれど。一々覚えていたら脳の容量が勿体ないからね。そんなものに浪費していたら、それ専門の怪異とか出て来てしまう。
浪費は優越性を示す為の道具、みたいなところがあるんだから。他人と比較して『こんなこと出来るんだぞ』的な。
「ごめんね、私はちょっと忙しくて。道案内とかなら他の人を頼ってくれれば──」
「ああいや、そうじゃないです! ちょっとお話したくて!」
……新手のナンパかな? にしても強引過ぎる。
女性だからそういうわけじゃなさそう──ああ、こういう思考は色々と怖いからナイナイで。
偏見とかマイクロアグレッション、怖いからねぇ。
うんうん、あれだね。
『逆らう事なきを宗とせよ』ってやつ。
あれが十七個しかない条文の
よっぽど当時は血みどろ政争が大流行していたんだろうね。マリトッツォとかボンボローニ、みたいな感じで。
「……っ、すみません……! 申し訳ないです、私の友達が……!」
続いて息切れしながら走ってきた人も、女性。
ふむ。明確に知り合いだということを明示している。
ということはあれかな。海外旅行であるあるの『ナンパや誘拐から撃退してくれた人が、真の犯罪者』みたいなパターンじゃないってことかな。
「いやいや、そんな気にしてないから。元気っ娘のお世話は大変だからね。じゃあ、私はこれで──」
「ううん、ダメ。ちょっとお話してくれませんか!」
ちらり、と牽引の方を見る。
宥めてはいるものの、この人が興味を抱いている私自身への
なるほどね。警戒しているなら、いいじゃん。
たまのループくらいは、知らない人と交流しても。
人間ってのは、一人だと想像力の限界があるからね。
複数人での意見交換や思考解体によって、想像性というのは広がっていく。
まあ、よく世間でやられてる『グループワーク』とかは浅瀬でちゃぷちゃぷしてお茶を濁しているだけの場合が多いけれど。
ほら、ああいうのって明文化されてないだけのルールが大量にあるから。社会と同じ。
明文化されてないだけで、うっすらと通奏している慣習法に試され続けているから。
遠慮だよ、遠慮。良い文化だね、謙遜とか遠慮。
私は好きだよ。調和がとれるからね。
「──なんで、そんなつまらなさそうなの?」
いいね。アディショナルポイント、添加しちゃう。着色料ばりに。
「君、名前は?」
「
だから、名乗らないで。
啖呵を切った彼女は、ツレの人に対してそう警告する。
「名乗れば終わる、ね。どういうことか教えてもらっても?」
「わからない。でも、この
彼女の言葉を受けて、ツレの表情が明確に変化する。
うっすらとした警戒だったのが、見透かすような視線へ。
私も色々な都合で会ったことがあるけれど、真面目な時の紅色の枢機卿、みたいな感じ。
あの透徹した合理的思考、私は結構好きだからね。あそこまで吹っ切れていると、ってやつ。
「じゃあ、そっち。どうして君は私を
「……友人が、ここまで言うことは珍しいからです」
慎重に言葉を選びながらも、注意は一切私から散逸しない。その双眼から放たれる視線は、痛いほど真っ直ぐに私を貫いている。
「では、改めて。
慎重を期する論理タイプと、激情で動く直感タイプ。
どちらがコンテンツとして面白いかと言われれば、それは意外と悩まざるを得ない。
もちろん、論理タイプは直感タイプに比べて理解しやすい。ロジックがあるのだから、そのロジックの根幹さえ見抜ければ後は全自動的に理解出来る。
言い換えれば、私にとっては底が見えやすいということ。それ即ち、飽きが来やすいということ。
ただ、論理タイプだとしても──その根幹は人類なのだから。
究極的にはロジック以外が介在している。していないわけがない。
それを暴くまでの過程は、直感タイプからでは得られない栄養素だからね。
「──
あれだね。よく言うやつ。
別にそこまで珍しい言葉じゃない。
ただ、それを
「ならば、私は世界が嫌いだよ。勿論、人類も」
「違うよ。大事なのは、
「白黒ハッキリさせること。それを放棄するのは、ちょっとばかし暴論過ぎる気がするけどね」
0と1の境界というのは、何よりも大きい。
『他の如何なる比較』と比較しても、その差異は歴然。
圧倒的であり、絶対的であり、不可侵のもの。決して乗り越えられない、断崖である。
それを、放棄するというのはあまりにも暴論が過ぎる。
「そう。だから、全部を見ようとするの。喜劇も、悲劇も、物語も、宇宙も──そして、皆のことを。ありったけ全部見て、噛み砕いたうえで考え続けるの。悩み続けるの。それこそが、
ああ、そういうことか。
だとしたら、私と致命的に合致しない。するわけがない。
どこまでも。そう、本当に何処までいっても。
コンテンツ。『コンテンツ』を要求しよう。
手軽に摂取することが出来て、簡便に嚥下することが出来る──それでいて、毎回新鮮な味を提供して、私に満足感を与えてくれる、コンテンツを。
そんな面倒なこと、一々やっていられるか。
悩んで悩んで、考えて考えて──そんなことしなくても、目の前にその
それを噛み砕き、味わう方がよっぽど楽で美味でしょうに。
「結果こそ、美味なのだから。悩み抜いて得られた結論こそが美味だとするならば。大樹になる果実を収穫することの、何が悪い」
「本当に美味しいのは、
いいね。いいね。
これこそが、『コンテンツ』だ。
更新されたものを、消費していく。
初めて見たものを貪り、嘲り、楽しみ、そして消化する。
「何処まで行けども、理想論だね。それは育成すること能う人のみの特権だ。育成せんと望めど、果実が実る前に死に絶える人は数多い。それどころか、枝すら伸びずに失意の中、生を終える人も多い。それでも、君は言い続けるの?」
「そんなの、あたりまえだよ! 果実は一人で作るものじゃない。
いいね。今回の収穫はあった。しかも、潤沢に。
満足した。美味しかったとも。
「では、改めて問おう。君は何者なのかな?」
「そんなの、決まってるよ。
なるほど、相応しい。ぴったりじゃん。
「もうっ、そろそろ帰る時間ですよ。ゆっくりしている時間はないんですから」
「はーい。そうだ! 今日、家行ってもいい?」
「……わかりました。準備しておきますね」
それじゃあ、良い気分のまま次に行こう。
24,965周目、だね。