リリたま 作:まめつぶ
「いやー、なんかすみませんねぇ」
片手にはコンビニ弁当。
向かい側には金髪少女がいた。
「そういや親御さんは?」
「ここにはいない」
「あそう」
空になった容器を置き、デザートに手を付ける。
「そろそろ渡して」
「あん?」
「青い石」
「あー、はいはい」
ポケットをまさぐり石を取り出す。
「ほらよ」
「なんだいこれは?」
アルフが怪訝な表情をする。
石からは一切の魔力が感じられなかった。目的の物と形も違う。
「なんだ、知らねぇのか? そいつは飛行石ってんだ。滅びの呪文を唱えると……」
「ふざけんてじゃないよ」
眼光が銀時を貫く。
口からは鋭い牙を覗かせていた。
「じょ、冗談だって。あまりにも仏頂面だったからよ。少しは空気を緩めようとしてだな」
無言の圧力が銀時を襲う。
それ以上何か言おうものなら実力行使もいとわない雰囲気だ。
今度は素直に青い石を机の上に置く。
「バルディッシュ」
ジュエルシードの回収が完了する。
「ふぅ。食った食った」
満腹により幸福感で満たされる。
「そんじゃ、先に寝させてもらうわ」
「寝るな」
銀時が横になる。
「少し寒いな。暖房上げてくれ」
「叩き出していいかい? 叩き出してもいいよね?」
アルフの額に青筋が走る。
そんなアルフをなだめるため、フェイトが優しく撫でてあげた。
寝ている銀時を一瞥する。
その視線からは興味というものがひとかけらも感じられなかった。
「……朝になったら帰って」
その言葉を残し、フェイトは外へと出かけた。
チャイムが鳴る。
モニターで訪問者を確認すると、そこには天然パーマがいた。
『何の用?』
インターホン越しに冷たい声が届く。
「俺が言うのもなんだけどよ。もう少し愛想良くしてもいいんじゃねぇか? そりゃ無口キャラは人気よ? 綾波レイに星野ルリ、ミステリアスな魅力にファンが多いのも事実だ。けどな現実では大概欠点にしかならねぇんだよ。ちゃんと目を見て挨拶をする。そこからが社会への第一歩となる……」
「何の用かって聞いてんだよ」
「いだだだだだ!!!」
いつの間にか後ろにはアルフがいた。
アイアンクローが銀時を襲う。
昨日の鬱憤も溜まっていたせいか力加減という言葉は存在しなかった。
「われちゃうぅぅぅ! 目ん玉飛び出しちゃうぅぅぅ!」
「その死んだ魚みたいな目が少しは良くなるんじゃないかい? アンタは目が飛び出るくらいがちょうどいいだろうさ!!」
「ぎゃああああ! 待て待て待て! これだよこれぇぇぇ!」
銀時の手にはジュエルシードがあった。
「これが必要なんだろ! 見つけたから持ってきてやったんだよ!」
アルフが手を離す。
「ったく、もう少しでザクロになるところだったぜ」
「最初から出してりゃ良かったんじゃないか」
ドアが開く。
「入って」
「ふぅ、ようやく家に帰れたぜ」
「アンタの家じゃないんだけど」
「とりあえず何か食わせてくれ。朝から何も食べてなくてな」
「アンタ、子どもにたかって恥ずかしくないのかい?」
「人ってのはな。衣食住が揃って初めて恥を掻く余裕が生まれるんだよ。恥を搔かせたいなら最低限の生活をさせてからにするんだな」
「威張ることなのかい?」
アルフは呆れていた。
「買ってくる」
「何? 出かけんの? ならファミレス行こうぜ」
「ファミレス?」
「そこならパフェも食えるしな」
「フェイト、こんなやつの言うことなんか聞くことないよ」
「うん。でもジュエルシードが手に入るなら何だっていい」
「てかよ。そのジュエルシードって何なんだよ」
「ロストロギア」
「ロストロギア? ……まあいいや。それを集めてどうすんだ? 七個集めりゃ願いでも叶うのか?」
二人の足が止まる。
異変を感じて銀時が振り向く。
二人からはただならぬ視線が向けられていた。
「え? 何? ホントに願う叶うの? 神龍呼び出せちゃう感じ?」
「フェイト、やっぱこいつ危険だよ」
「ちょ、待てって。別に盗ったりしねぇよ。あ、でも三つ願い叶うなら銀さんも一つぐらいお願いごとしたいなぁ、なんて」
フェイトが銀時の横を通り過ぎる。
「諦めて」
告げるのは一言だけ。
相変わらずの不愛想具合に肩を竦める。
これ以上聞いても返答はない。そのためまたの機会にしようと考え、そのまま二人の後についていった。