リリたま 作:まめつぶ
木刀が空気を切り裂き、傀儡兵を破壊する。
金属質の鎧には魔法による保護が施され、通常の武器では傷一つつけられないはずだった。
「銀時」
「アンタ」
「どうやら祭りには間に合ったみてぇだな」
軽口を叩きながらも、銀時は一瞬たりとも油断しない。目の前の傀儡兵たちは単なる操り人形ではない。自律的な判断能力を持ち、連携して襲いかかってくる高度な兵器だ。
銀時の背後に巨大な傀儡兵が現れる。
振り向けばすでに武器が振り下ろされようとしていた。
「銀時さん!」
なのはの叫び声が響く。
「心配すんな」
木刀に魔力を溜める。
そうして勢いよく振り上げた。
「月牙天衝!」
『やめてぇぇぇ! モロだから! それモロパクリだからぁぁぁ!!』
傀儡兵が真っ二つになる。
しかし、まだまだ敵は多い。次々と現れては銀時を囲んでいく。
「母ちゃんのとこに行きな。露払いはしといてやらぁ」
フェイトが躊躇する。その背中を銀時が後押しした。
「ガキが遠慮するこたぁねぇ。てめぇの母ちゃんに自分は言いなりの人形じゃねぇってとこ見せてやんな」
再び襲ってきた傀儡兵を迎え撃つ。
「行け」
前方の敵を一刀両断する。
いつもとは違う頼もしい姿。
その戦いぶりからして心配は不要だった。
「……うん」
フェイトたちが先へ行こうとする。
だが一人だけ止まったままの者がいた。
「アルフ?」
動かないままの使い魔。
アルフはじっと銀時を見つめていた。
「ごめん、フェイト」
申し訳なさそうに、けれど目には決意が宿っていた。
「あのバカを一人にはできないからさ」
初めてかもしれなかった。
使い魔は主人を守り、何よりも主人を優先する。
その理を無視して、アルフはフェイト以外のために行動しようとしていた。
フェイトによって生み出された存在。
主人の言うことは必ず聞く。行動方針も自分が与えたものであり、そこにアルフの意思はなかった。
けれどアルフはその常識を打ち破っていた。
誰かに生み出された存在だとしても、決して人形なんかではない。今のフェイトにとって、その背中からはそう言っているような気がした。
銀時からだけではない。
フェイトは自らの使い魔からも背中を押されていた。
「わかった。守ってあげて」
アルフの意思を肯定する。
それは自分自身を鼓舞するためでもあった。
「アンタたち。フェイトを頼めるかい?」
なのはとユーノが力強く頷く。
フェイトが飛び立つ。そのあとを続くように二人が飛び立った。
銀時の後ろから攻撃が迫る。
その背中を守るようにシールドが張られる。
「どうした? 子守りはしなくていいのか?」
「みんなアンタよりかは立派だからね。一番のダメ人間を放っておくわけにはいかないだろ?」
二人で傀儡兵を相手にする。
初めての共闘。
だが二人の息は合っていた。
銀時がしゃがむ。頭上をアルフの拳が通り過ぎ、傀儡兵の頭を粉砕する。
アルフの背後を狙う敵を銀時が薙ぎ払う。
次々と破壊していき、粗方壊しつくしていく。
そうして邪魔者の排除を終え、二人もフェイトの後を追った。