詭妄の冠   作:Xelphyr

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ハーメルン自体慣れないので手探りでやってます。


プロローグ
不可解


「…見つからない?」

 

 

 

 

 

 

「うん。お主様がウイさんの手助けでくれたカタコンベの地図を照会して『道具箱』にたどり着いたのは良かったけど…」"TENET"

 

 

 

 

「既に盗掘済みだった…か…」

 

 

 

 

S.C.H.A.L.Eの先生ことアズガルド連合学園学長(象徴元首)紅咲カヲルは、その報に頭を抱えていた。

 

 

 

 

と言うのも、母リリアが残した『道具箱』が何者かの手によって盗掘され、既に蛻の殻だったとの事。しかも

 

 

 

 

「それで、盗掘された時期は比較的最近みたい…」"TENET"

 

 

 

 

「ほう?」

 

 

 

 

コードネーム"TENET"こと倉山スズネの発言に、彼は妙に突っかかるような顔をする。

 

 

 

 

「直近で…?」

 

 

 

 

「うん。それももう、昨日やられたぐらいには。埃も全然積もってなかったし。」スズネ

 

 

 

 

彼の頭に色々な事がよぎる。カタコンベの解読作業、あの時トリニティやゲヘナの叡智を結集し、古代聖徒会のカタコンベ地図を修復した。

 

 

 

 

その時にいた面々に容疑者、否、犯人がいると見込んでいた。

 

 

 

 

(いや…違う、ベアトリーチェにやられたか?)

 

 

 

 

彼の脳裏にベアトリーチェが浮かぶ。しかし、

 

 

 

 

(ベアトリーチェをコロコロしたのは暫く前、しかしスズネは「昨日盗掘された程には」との証言、つまり…)

 

 

 

 

彼の脳内で、一つの結論に至る。

 

 

 

 

 

(犯人はあのメンバーの中に居る、と言う事か?)

 

 

 

 

つまり犯人は…

 

 

 

 

風紀委員会(当時)

正義実現委員会

万魔殿(パンデモニウム・ソサエティー)(当時)

ティーパーティー(当時)

シスターフッド

図書委員会(当時)

補習授業部(当時)

 

 

 

 

に絞られるが…

 

 

 

 

 

 

 

(図書委員会は魔導書こそ価値ある物品として処理するかもしれないが…頼むからそういうのは報連相してからにしてくれ…いや、この感じミレニアムのおかげと言っちゃなんだが、キヴォトスでは魔法体系そのものが壊滅している以上、魔導書(グリモワール)の価値に気づく事さえ…いや、少し尖った趣味の本として処理したんだろうな)

 

 

 

 

 

そんな事を思いながら、彼はスズネに訊く。

 

 

 

 

 

「スズネ、盗られた物品はなんだ?」

 

 

 

 

 

 

彼女は慌てながら資料を取り出し、読み上げる。

 

 

 

 

 

 

「え、え〜っと…

 

 

魔導書(グリモワール)13冊

聖紋(シジル)入りの杖3本

聖紋なしの杖5本

宝珠(オーブ)9個

 

…かな」

 

 

 

 

 

 

……マズイな…かなり

 

 

 

 

 

 

カヲルはなんとなく、嫌な予感を察知していた。宝珠を奪われただけならまだ良い。ただ魔導書(グリモワール)聖紋(シジル)入りの杖を奪われたとなれば話は別だ。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

そもそもの話、聖紋入りの杖は無しの杖と異なる特徴を持っている。

 

 

 

 

 

聖紋は喜怒哀楽といった一定の形を持たない概念を具現化する能力を持っている上、無しの杖と異なり、杖そのものが魔法を行使する、つまり持ち主の意志に依らず防御魔法を展開したり攻撃魔法を強化するなど、持っている杖の聖紋の有無で結果は大きく変わるのだ。尤も、彼は聖紋入りの杖こそ持っているが、杖そのものを殆ど用いないが。

 

 

 

 

 

 

そして魔導書(グリモワール)は、彼の住まう世界に於いて成人(14歳)までに大抵の人間が一度は目にするし手に取る代物だ。

 

 

 

 

 

 

属性に応じた様々な技や効能、状態変化などがほぼ全て刻まれた存在。大抵の人間が成人までに手にし、手に技をつけて家を出る。そんな存在だ。そして戦闘用から治癒用まで、様々な魔法の技が刻まれた存在でもある。

 

 

 

 

 

 

つまりこの二つが何者かに奪われた事の意味するそれは…

 

 

 

 

 

 

(このキヴォトスのどこかに、魔法を手に入れ力も手にし、なんらかの理由で行使しようとする集団がいる…と言う訳か…厄介な事になって来たなコイツは)

 

 

 

 

 

 

「スズネ」

 

 

 

 

 

 

カヲルが呼ぶ。

 

 

 

 

 

 

「はっ、はい!?」

 

 

 

 

 

 

突然呼び出され、びっくりするスズネ。

 

 

 

 

 

 

「盗まれた聖紋入りの杖の紋様は分かるか?」

 

 

 

 

 

 

「あ、うん…リリア様の使っていた『ヤルダバオト(JALDABAOTH)』の杖は無事が確認。でも…『テミス(THEMIS)』の杖と『ユースティティア(JUSTITIA)』の杖は奪われちゃったみたいで…」

 

 

 

 

 

 

「…そうか。」

 

 

 

 

 

 

そう口にし、夕陽に黄昏ている時、時計塔が17時を告げた。

 

 

 

 

 

 

時計塔の鐘の音は、これから始まる波乱を告げるかのような低い声で、深く啼いていた。

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