詭妄の冠   作:Xelphyr

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注意事項:コイツは原作を踏み躙る勢いでカヤを蹴落としてSRTの復興とヴァルキューレの浄化をしています。なのでしれっとSRTが復活してます。なんで省略したのかって?そりゃ勿論書くのが面d(((


閑話
新兵器


某日…エデン条約の一件が一般に認知され、アリウスの生徒らも次第に馴染んできた頃。

 

 

 

 

ゲヘナ学園風紀委員会風紀委員長改めアスガルド連合学園公安局風紀課長空崎ヒナ

アリウススクワッド改めSRT特殊学園W.O.L.F.小隊所属錠前サオリ

シャーレの先生兼アスガルド連合学園学長であるカヲル

 

 

 

 

の三人は、ミレニアムのエンジニア部からの呼び出しを受け、工房へと足を運んでいた。

 

 

 

 

「エンジニア部か……あの日調印式以来全く会っていなかったが、何故急に私たちを?」

 

 

 

 

サオリが疑問に思うのも当然だ。この場に呼ばれたのはヒナとサオリ、そしてカヲルの三人だけだ。

 

 

 

 

「呼んだのは俺だ。」

 

 

 

 

カヲルの声が響く。

 

 

 

 

「…サオリさん、大丈夫?」ヒナ

 

 

 

 

「し、心配ない……」

 

 

 

 

「それなら、まぁ……」ヒナ

 

 

 

 

「それに私達は、まだ恩をまだ返しきれてない、なのにこれ以上、先生から何か与えられたら私は…

 

 

 

 

少し悲しそうな、申し訳なさそうな顔をするサオリに対し、カヲルは…

 

 

 

 

「何、少しの間預かってたライフルを返却するだけだ。」

 

 

 

 

元アリウスの生徒達は、ゲヘナやトリニティに比べると明らかに人数が少なく、二つの学校の生徒数とは程遠い。しかし彼女らはマインドコントロールを受けていたとはいえど長年戦いに身を投じた戦いのエキスパート。再び武器を与えれば、彼の援護において多大な活躍を見せてくれることだろう。

 

 

 

 

「それにしても、本当に信用して大丈夫なの?巷の噂じゃ、エンジニア部は()()()()()頭がおかしいって聞くけど」ヒナ

 

 

 

 

「何、依頼の折には変な事をしないよう少し鞭を与えたからな。まあ、変な事すればどうなるかは…ね?」カヲル

 

 

 

 

「怖っ

 

 

 

 

そんな雑談をしていると、気づけばエンジニア部の格納庫の前に辿り着いていた。エンジニア部の一行が待つ格納庫の前に立ち、カヲルが扉に手をかける。

 

 

 

 

そして金庫のように重厚な金属の扉を開ける。

 

 

 

 

「ようこそ先生、そしてサオリさん、ヒナさん。歓迎するよ」

 

 

 

 

頬や額を煤で汚したウタハは、カヲル一行を格納庫へと招き入れた。彼女たちを待っていたのは、細部まで磨き上げられ、丁寧に修理されたサオリや他のアリウス生の装備。どこか輝いて見える愛銃が、整然とラックに並べられている光景だった。

 

 

 

 

損耗して限界に近い有り様だった武器の数々が、新品よりも良質な状態で手元に戻って来る。過酷な毎日を共に生き延びた武器が生まれ変わって戻ってきたような感覚に、サオリは少なからず興奮と喜びを感じていた。

 

 

 

 

「……ああ、やっぱりしっくり来る」サオリ

 

 

 

 

「装飾も、元の状態よりも華やかで綺麗だね。それにアリウスの校章じゃなくて、シャーレとSRTのマークが刻んである……キヴォトスの仲間、って感じがする」ヒナ

 

 

 

 

「ここまで完璧に仕上げてもらって……すまない、世話になってばかりだ」サオリ

 

 

 

 

「ふふっ、謝る必要はないさ……」ウタハ

 

 

 

 

サオリは諸事情でここに立ち会えなかったヒヨリやミサキなど他のアリウス生の武器を彼が貸してくれた四次元収納に預ける。

 

 

 

 

自分達が持っていた武器が全て新品に置き換わったものの、愛用武器らが戻って来てどこか懐かしく思っていた。装飾自体が完全に変わっており、以前よりもはるかに綺麗な色になっていて、シャーレとSRTのマークがそれぞれ深く刻まれていた。

 

 

 

 

「ウタハ、感謝するよ。俺の言う通りにしてくれて」カヲル

 

 

 

 

「こちらこそ…と言いたいが、あれほど言われたらなぁ…」ウタハ

 

 

 

 

苦笑いをしながら、ウタハは彼に語る。彼が笑顔で彼女らに要求外の改造をしないように()()したのは、エンジニア部そしてカヲルの墓場まで持っていく秘密である。

 

 

 

 

ヒナとサオリ、カヲルとウタハの間で話に花が咲く。そんな時だった

 

 

 

 

「実は預かっていた武器の他に、新兵器を開発していてね。今回はそれの引き渡し…?みたいなものだ」

 

 

 

 

「待ってたぞメインディッシュ!」

 

 

 

 

 

そう言い、喜ぶカヲルとは対照的に、いきなり新兵器と言われ胸騒ぎがするヒナとサオリ。

 

 

 

 

「ああ、ヒビキ、コトリ。二人を案内してくれ」

 

 

 

 

「おまかせを!!」コトリ

 

 

 

 

「なっ…いつの間に…!?」サオリ

 

 

 

 

「さあみなさん、どうぞこちらへ」ヒビキ

 

 

 

 

サオリとヒナの二人は、彼女ら二人に強引に連れられる形で、新兵器とご対面することとなった。

 

 

 

 


 

 

 

 

「さあ…これが新兵器だ」

 

 

 

 

その"新兵器"を、彼女ら二人は初めて目にする。

 

 

 

 

「これは……!」

 

 

 

 

ヒナこそ見当がつかなかったが、サオリには見覚えがあった。

 

 

 

 

あの日、アリウス自治区から発射された、古聖堂に撃ち込まれた、あの兵器。

 

 

 

 

太く長い円筒形の胴体、約10メートルはあろう全長。灰色や白に近い淡い色、滑らかな円錐形で、空気抵抗を減らす流線型の先端。胴体中央の大きな三角翼、十字形に配置された尾翼、エンジン…

 

 

 

 

「バカな…」

 

 

 

 

そう、彼が作成を依頼し、アスガルドで初めて標準装備されるキヴォトス最強とも言える新兵器、その名は…

 

 

 

 

巡航ミサイルだ。

 

 

 

 

「これこそ、連邦生徒会とシャーレの技術提供と援助を受け、我々エンジニア部が開発した巡航ミサイル、H.A.M.M.U.R.A.B.I.です!」

 

 

 

 

コトリが自信満々そうに言う。そりゃそうだ、これはシャーレ基彼の技術提供、そして連邦生徒会からの資金提供を得た、エンジニア部でもスーパーノヴァと一二を競う程の稀代の発明品、H.A.M.M.U.R.A.B.I.。

 

 

 

 

しかし、残念な事にこれは正式な名称ではない。

 

 

 

 

「まー尤も、ハンムラビ(H.A.M.M.U.R.A.B.I.)っていうのは略称で正式名称は高精度自律型多機能移動型単一射程距離拡張攻撃弾道阻止装置なんだけどな」

 

 

 

 

「すまん、良く聞こえなかった」サオリ

 

 

 

 

「長すぎでしょ」ヒナ

 

 

 

 

当初はエンジニア部のあまりにもダサいセンスに則りハンムラビ単体で決めようとしたものの、彼の提案で名称がバクロニム*1になる事が運悪く決まってしまい、結果としてここまで長い名前になってしまった。

 

 

 

 

そんなこんなで話が弾む中、ヒナの質問が彼を遮る。

 

 

 

 

「先生」

 

 

 

 

ヒナの質問に、彼は振り返る。

 

 

 

 

「どうした?ヒナ」

 

 

 

 

ヒナは自ら質問したにも関わらず、若干声が曇ってしまう。しかし喉から言葉を汲み上げ、彼に意を決して訊く。

 

 

 

 

「先生は……どうして…」

 

 

 

 

「?」

 

 

 

 

「どうしてこんな危険なものを作ったの?」

 

 

 

 

「!!」

 

 

 

 

ヒナの質問はもっともだった。エデン条約を除いて、キヴォトスで特に大きな騒乱が起こったのも彼が赴任してから数える程だ。

 

 

 

 

彼も痛い所を突かれたような表情をしており、エンジニア部の工房は微妙な空気に包まれた。暫くして、彼が口を開く。

 

 

 

 

「…抑止の為だ」

 

 

 

 

「抑止?」

 

 

 

 

彼女の疑問を遮る形で、彼は口を開く。

 

 

 

 

「確かにここキヴォトスは紛争が絶えないような場所だ。君達公安局が相手するスケバンや度を越した部活動なら公安局だけでも善処できる。ただ、一つ問題がある。」

 

 

 

 

「…問題?」

 

 

 

 

彼の指摘に、彼女は目を丸くする。

 

 

 

 

「例えば、もし、もしだが。学園内の治安維持を担う君達公安局が俺に対し叛乱した時、俺はどうやってその叛乱を潰す?」

 

 

 

 

「…それこそ、先生の持っている魔法?」ヒナ

 

 

 

 

「ブッブー!不正解だ」カヲル

 

 

 

 

!?

 

 

 

 

「第一、戦闘魔法(バトルマジック)は使うまでに踏むプロセス(手順)が多い、それこそ奇襲という形になった場合、それは顕著だ。そんな時に叛乱鎮圧に役立つ武器ってのが、この伝家の宝刀(H.A.M.M.U.R.A.B.I.)って訳だ。魔弾やらなんやらエンジニア部にも調節して貰ったから、組織的な叛乱を根元から破壊する事が出来る、それがこのミサイルって訳だ。勿論、余程の事がない限りは使わないがな?」

 

 

 

 

「でもそれはそれで、宝の持ち腐れにならないかしら?」

 

 

 

 

「……まあ……無いよりは幾分もマシだ。」

 

 

 

 

彼は微妙な表情をし、再び振り戻った。

 

 

 

 

「ウタハ、コトリ、ヒビキ」

 

 

 

 

「はい?どうかされましたか?」コトリ

 

 

 

 

コトリの質問に、彼は答える。

 

 

 

 

「組み立てて貰った所悪いが、H.A.M.M.U.R.A.B.I.を一旦解体してくれないか?()()に運ぶまでにバレたら厄介だからな。それと、組み間違いで事故らないよう、君達も同行してくれないか?」

 

 

 

 

「はい!お任せ下さい!」

 

 

 

 

エンジニア部に指示を出す彼の背中を見て、サオリとヒナは安心と信頼を覚える反面、先生の読めない思考回路に些か混乱していた。

*1
既存の単語や略称に対し、後付けで別の意味や語源をこじつけて新しい頭字語を作り出す言葉遊び

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