作戦会議
「…誘拐?」
「はい、既に
カヲルは侍従、
「犯行声明の類は出ていないか?」
「ええ…それが…
旧衛隊から『正義の鉄槌』なる声明が送られており…」
「──!すぐに持ってきてくれ」
彼がそう言うと、"OPERA"基
「こ…こちらです」ノエル
その紙は手汗か何か知らないが、既に若干波打って湿っていた。
「どれどれ…」
我々は、真理へと至る轍を見つけたり。嗚呼……我らはトリニティ也、我らは鉄槌也、邪悪を断罪する正義也…
「ほうほう…」
カヲルはただ只管ひたすら正義について騙る旧衛隊の文章を深く読み込む。
「なるほど…」
最後まで読んだ後、彼はこう口にした。
「枢密局及び評議会に伝令、暫定統一司令部を設置する、繰り返す、
暫定統一司令部を設置する
とは言えど、暫定統一司令部の情報の扱いは機密性が高く、外部に漏洩しようものならそれこそ
カヲルは、同じく司令部へ向かう生徒が待つ場所へと向かった……しかし。
「……何もこんな時間帯に呼び出さなくてもいいのに」
その姿を見て、彼の頭がショートする。
(……だめだ俺疲れてるかもしれん。念の為…いや変質者だから110か?もしかするとあいつが疲れてるのかもしれん。119でも良いのかもしれないな)
指定されていた場所、そこに立っていたのはピンク髪の──上半身は服を肌脱げさせ、ブラに意味深なファスナーがついている生徒。流石にそんなわけはないとカヲルは目を擦り、頭を何度か電柱に打ち付けてからもう一度生徒の方を見る。
しかし、何度目を擦ろうと、頭を打ち付けようと、そこにある風景に変わりはなかった。
(ウゾダドンドコドーン!*1)
今までアコやらツバキやら百鬼夜行の一行やら矢鱈と露出度の高いorどうしてそうなったかよくわからない服を来ている生徒らを散々見て来たカヲルでさえも、今回ばかりは流石におかしいだろうとツッコミを入れざるをえなかった。
それもそのはず、相手はほぼ全裸なのだ。
「──熱い……」???
そう言いながら、ピンク髪の生徒は胸のファスナーに手を伸ばす。
「ステイステイステイ」
勿論彼がそれを黙って見過ごすわけがない。
「わっ……誰?」???
「シャーレの顧問、紅咲カヲルだ。」
「あ…先生か」???
(あっぶね──一歩遅かったら俺もコイツも社会的に死んでたな)
ピンク髪の生徒は、ふと思い出したような表情をして、先生に向かい合う。
「自己紹介してなかった……私、
「エイミ…か……ところで、一応聞いておきたいがその格好って」カヲル
「格好?服がどうかしたの?」エイミ
「公共の場で水着着るのは色々と問題ありそうなんだが…」カヲル
「私暑がりなんだ、だからこれぐらい薄着じゃないと死にそうになるの」エイミ
「そこまで…?」カヲル
「先生は暑くないの?」エイミ
「いや暑いよ?でも流石にいくら夜更けで人通りがないとは言えど公共の場でしょ?流石に着ないとまずいかなって思って…下は薄着だけど」カヲル
「そうなんだ、あと道はよく分からないから案内してくれない?」エイミ
エイミの服装についてはさておき、彼女はカヲルについていく事にした。
しかし、先進技術に満ち溢れた近未来的な雰囲気のミレニアムとは対照的に、高層ビルではなく古典建築が立ち並び、アスファルトではなくレンガで舗装された道に、LEDの街灯ではなくガス灯が灯る…そんなアスガルド、基旧トリニティ自治区には、まだエイミは慣れない。
慣れない夜の暗さも相俟って、エイミは少し怯えていた。彼はそれを察知し、雑談で気を紛らわせようとする。
「正直聞きたいんだが…」カヲル
「どうしたの?先生?」エイミ
「アンタが言うそのヒマリって子は、どんな奴だ?」カヲル
カヲルの質問に対し、エイミは言葉を紡ぐ。
「一言で言えば天才、キヴォトス内でも先生含めて一二を争うぐらいかな」エイミ
「なるほど、すげぇ奴だってのは分かった」カヲル
「むしろ凄すぎる人……性格で損してるけど」エイミ
「…あ〜」カヲル
カヲルはなんとなく察しがついた。頭が良い人の代償を。即ちバカである事を。
「いい人ではあるけど、なんと言うか……うん、今は気にしなくてもいいかも」エイミ
「匂わせてくるなぁエイミ」カヲル
「どうせ話せばなんとなくわかっちゃうよ…」エイミ
そんな雑談をしていると…
「おお。着いたようだな、今回の場所に」カヲル
「あれ?いつのまに…」エイミ
そうこう話しているうちに、ヒマリが先に着いている司令室へと到着した。カヲルは『こっちだ』と手招きをし、エイミは中へと素直に入る。
「……初めまして、先生」???
中で待っていたのは、近未来的な白い車椅子に乗っている、他の生徒とは明らかな違いのある女性。まるで大人のような凛とした姿に声色。風格や容姿からは同じく白基調の服を纏ったナギサやリンを思い浮かべる。
「私の名前は明星ヒマリ。普段は特異現象捜査部の部長を務めております」
「貴方がヒマリさんですか…どうも初めまして。シャーレの先生兼アスガルド連合学園学長を務めます、紅咲カヲルと申します。本日はどうぞよろしくお願いします」
「先生キャラ変わったけど本当に大丈夫?」
「しゃーなしやろこういうフォーマルな場じゃ礼節ぐらい弁えないと人としてアカンやろ」
「ん?どうかしましたか?」
「い、いえ別に。」(あぶねーバレたら首すっ飛んでたわ)
「それに私そこそこ有名人なので、一度くらいは噂など聞いたことがあるのではないでしょうか?」
「Nothing!」
あまりにも清々しい回答に、エイミもヒマリも愕然とする。
「な…ま…まさかシャーレの先生であろう方が知らないなんて…一度は聞いた事あるでしょう!?ミレニアムで歴代三人しか獲得者がいない『全知』の称号を持つ正体不明のヴェリタスの超美人部長とか、ミレニアムが誇る超天才清楚系病弱美少女ハッカーであり、『全知』の学位を持つ眉目秀麗な乙女であり、そしてミレニアムに咲く一輪の高嶺の花である『特異現象捜査部』部長ですとか……ミレニアムの清楚な高嶺の花であり、みなさんの憧れである『全知』の学位を持つ眉目秀麗な乙女とか、一つくらい聞いた事がありませんか?」
「一個もないな」
「ふふっ、それほどでも」
「褒めてな……いや褒めてるにはいるのかこれ」
かなりの自信家で図太く、確かに「
「あーあ、また部長が調子乗っちゃった……責任を持ってちゃんと元に戻してね、先生」
「その言い方は心外ですねエイミ、私は事実確認を通じて全てが順調であることを証明しただけです……とにかく、私は先ほど、先生に呼ばれたばかりでして…」