オブ・ザ・キングドラ 作:スパボンがswitchで遊べる
カントー地方にはセキチク、グレン、マサラを結ぶ19から21までの水道がある。
この三つの水道をまたぐ巨大なメノクラゲの群れについて、カントーの海に住む水ポケモンたちで知らぬ者はいない。
湾内に広く分布するメノクラゲは、カントーのトレーナーたちにとって最も遭遇率の高いポケモンの一つだが。数ヶ月までは群れと言っても点在する小さな纏まりで、はぐれも多く存在していた。
それを北から流されてきた一匹のメノクラゲが、瞬く間に纏め上げてしまったのだ。
タッツーは自分たちの群れの次期リーダー候補として、そのメノクラゲを遠巻きに眺めたことがある。
そのメノクラゲの群れは、全てが集まると小島ほどの大きさになると言われていたが、そのときは数匹のメノクラゲを中心に、十匹から二十匹ほどの纏まりが護衛するかのように流れていた。
中心のメノクラゲのうちどれかなのだろうと、護衛たちに睨まれぬように観察すると、青い体に大きな赤い水晶を二つ持った通常の個体とは別に、紫の体に緑の水晶の、いわゆる色違いのポケモンが三匹居た。
その中のどれかがボスなのだろうと、随伴していたシードラの一匹に尋ねてみると、彼の答えは否であった。
メノクラゲの群れのボスは、その三匹を侍らせているのであって、内のどれかではなく通常色であるという。
タッツーは色違いのポケモンと遭遇する、確率というやつを考えて眩暈を起こした。1/8192。それが三匹。
珍しさではない、この巨大な群れを統率する根拠は断じて珍しさではないのだ。体がずば抜けて大きかろうが、例え足が一本多かろうが、色違いの珍しさと神秘性に敵うものではない。ならば強さか。
ふとタッツーの脳裏に閃くものがあった。色違い三匹分を上回る低確率。強さに直結する。ああ、正しくあのメノクラゲは、この巨大な群れを腕っ節で治めているのか。
HP、攻撃、防御、特攻、特防、素早さ。この六つに生まれつき0から31まで与えられる才能と呼ぶべきもの、固体値。
ほぼ間違いなく三つ以上、最大値である固体値31があるのだろう。それを持ってすれば、色違い三匹を従えるなど、造作もないことだ。
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触鞭が襲い掛かり、しかし突き抜ける事なく弾かれる。かのドククラゲが加わってから何度も繰り返された光景だ。
さほど威力はない。怯みもしない。私自身窮することはないし、次手に控えるシャワーズもそうだろう。
眼前でドククラゲが生まれ持った威を振るっている。ああ彼はその力の振るい方を知らないのだ。卵の殻を割った時から、その触鞭を振るうだけで全てがひれ伏した。だがそれは効きやしない。
その力に意味はない。その鋭さに意味はない。しかし最も重要で、私たちの彼女を助ける。
この技が! 相対する誰かの持ち物をただ「はたきおとす」だけで。どれほど助かるか!
私を救ってくれるか! 知っているか!