キングドラはボールの中から見ていた。
私たちの彼女が、唇を結び、ひとときの隙も見逃すまいと瞬きを減らし、しかしどこか楽しげに立つ様を。
ここまで来ると約束し、ここまで来た。
彼女は一年の旅のなかで、沢山のものを得た。
タケシからトレーナーの役割を。
カスミからは不安や弱気の打ち砕き方。
マチスからは統一された意志と訓練。
エリカからはトレーナーも一緒に戦っていること。
ナツメからは仲間との意思の束ね方。
キョウからは仲間に寄り添うこと。
カツラからは好きなことを愛すること。
サカキからは信じて委ねること。
全てが血肉となった。全てが教師だった。
カントー地方のトレーナーは幸運だ。こんなにも優れた教師たちが彼や彼女を待っているのだから。
それを一年間、キングドラは特等席で見ていた。
ジムチャレンジが授業だとしたら、今日のこれは試験だろうか。
確かに今、自分たちは答え合わせをしている。
こおり使いのカンナ、かくとう使いのシバ、ゴースト使いのキクコ、いずれも難敵だった。
しかし十分な準備ができていた。沢山のものを得て、全てこの場に持ってきた。
キングドラは独り言のように、少女に向け語った。
「昔のことを思い出していたよ」
「昔って? タッツーだった頃?」
「いいやもっと、もっと昔だ」
かつて人間だった頃。そして少年だった頃を。
「何でも出来ると思っていた。
集まっていく仲間達、より強くなっていく力と技。
自分たちが最強だった」
両手に握った小さな画面のなかで、キングドラは最強だった。
「それってさ」
少女が仲間たちを見渡して言った。
「今の私たちだね!」
そのとき対戦相手の登場に合わせて、スタジアムの歓声がキングドラの耳に響いた。
あの頃モノクロだった風景が、色とにおいを連れてきていた。
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『シャワーズの"れいとうビーム"が直撃!』
『そして、ああ! 倒れたーー!!』
『信じられない光景です、この三年間、一度も! 一度も片膝すらつかなかったカイリューが!』
『起き上がれません! なんてことだ!』
『ただいまジャッジが確認に向かっております、少々お待ちください』
『判定は、はい、はい、"きぜつ"、気絶です!』
『カイリュー、戦闘不能!』
『リーグ史に残る、歴史的な瞬間です!』
『カイリューの気絶判定により、チャンピオンワタルの手元には、戦えるポケモンがいない!』
『信じられない! セキエイリーグの最も高い壁、最強のドラゴン使い、チャンピオンのワタルがついに破られた!』
『そして、新たなチャンピオンの誕生です!!』
『一年前の今日、誰が予想したことでしょう、今年旅立ったばかり、わずか十歳の新人トレーナーが!』
『私たちの新しいチャンピオンだ!』
『あらためて、あらためて宣言させてください』
『勝者』
『■■■ーーーー!!』
書きたい所を書きたくなったら書くと言ったな
本当
まだ書くけど先にエンディング書いた