IF 〜もしもあの時〜   作:マグウェル

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第二幕 Buckshot act.1

 

 

 

 

 

 

―アメリカ 早朝

 

デニスモーリスの自宅

 

 

日中の動画アップロードに間に合わせるようにと撮影準備を終えたデニスが撮影に取り掛かる。散らかった部屋を整理し、マイクとカメラのチェックを終えてから本番を始めた。

 

 

 

「よお、デニスのファクトリーチャンネルの時間がやってきたぜ!みんな、いつも動画視聴ありがとな!!

さて、今日もホットなニュースを持ってきたぜ!!

おっと、この動画を見て面白いと思ったらチャンネル登録とグッドボタンよろしく頼むぜ!

てなわけで、まずは最初の話題からだ!!この動画を見てくれ!!」

 

 

 

そう言ってパソコンを操作して彼が自分の顔に貼り付けたのは...今ガチで撮影されたハジメのあのジムカーナ映像だ。

イントロから入り、港に停められたトラックの荷台の箱をぶち破るようにして飛び出した1000馬力の白いGRヤリス。

ヴァァッ!ヴァッ!ヴァヴァッ!!と飢えた猛獣の咆哮のようなエキゾーストを発しながらもキィィィッ!!とスキール音を鳴らしてドリフト態勢に入る。モクモクと真っ白なタイヤスモークを上げながらも港の外周に沿うようにライン形成...今ガチメンバーが乗っていたクルーザーに"手を伸ばせば届く距離"のラインを通した。

そして、次の獲物を探すように左右に振るようにスライドさせると次に目を付けるのは作業中のフォークリフト。その周辺を周回するように円描きドリフトを披露...徐行しているのに合わせて少しずつラインをズラしていく。

その間にモニターに映し出されるはフォークリフト視点での猛獣の動きだ。360°カメラがヴァァッ!ヴァッ!ヴァァッ!!咆えるようなエキゾーストを響かせる猛獣の動きに追従するように動き、その姿を捉える...

 

そして、その次に廂の下で開けっ放しになっていた冷蔵庫のドアをドリフトしてパンッ!と締めるトリック。

 

 

第一部のある程度のところまで見せたところでデニスが一旦動画を停止させては視聴者に向けての語りを始めた。

 

 

 

 

 

「今見てる動画、なんの動画だと思う?

俺はてっきりケン·ブロックの新しいジムカーナ動画が投稿されたと思ったが、ところがどっこい。

なんと...日本の恋愛リアリティショーらしい!

しかも、これを披露してるのがリアリティショーの参加者だからってんだから驚きだ!!

主食がコメになるとここまでクレイジーな思考になるんだな!!」

 

 

 

 

そう熱く語っては再び動画を再生させるデニス。

白煙をモクモク上げるバーンナウトからジャンプ台で輸送船への飛び乗り、そこからの貨物コンテナを避けるような連続ドリフトの数々にWow!と合いの手を入れて演出は3部目へ...港のシャッターが開き、ヴォォゥンッ!ヴォォゥンッ!!と次々と出てくるスポーツカーの群れにデニスも興奮マックス。そして、動画を流し続けながらも再びこう語った。

 

 

 

 

 

「今の見たか!?

予想できたか、このスポーツカーの群れ!!

演出的に完全にFast and furious 2のオマージュだ!!

何処かにポールウォーカーが居るんじゃねえかって探しちまったよ!!」

 

 

 

 

 

ここまで語ってもデニスの興奮は止むことはない。群れの中から飛び出して出てきてクルーザーの近くで円描きドリフトを見せる黒いシルビアと赤いマスタングに注目し、そこで一度動画を停めた。

 

 

 

 

 

「このシルビアとマスタング、どこかで見覚えがあると思ったらベリッシモ·モーターワークスの車両だ!

しかも、調べたらシルビアに乗ってるのはダイゴ·イイヌマ。更にマスタングに乗ってるのはシュン·アカサカだ。

二人ともフォーミュラードリフトの表彰台に乗るほど実力、しかもアカサカに関しては3年前チャンピオンになってる!」

 

 

 

 

 

そして、更に再生すると最後の小柏とハジメの師弟ドリフトに差し掛かる。青いGRスープラに追随してドリフトするシルバーの80スープラ...そのシーンでデニスは再び動画停めた。

 

 

 

 

 

「極めつけはコイツだ。

この80スープラのドライバー、誰だか分かるか?

なんと、あのカイ·コガシワだ!

WECでトヨタを表彰台に導き、今度のデイトナではアキュラ(北米ホンダ)の代表ドライバーの一員として参加する予定の男だ!

すげえよ、アベンジャーズを観てる気分だぜ!

ここまで来るとアイアンマンやキャプテン·アメリカが顔を出しても俺は驚かねえよ!」

 

 

 

 

 

そして、再び動画を再生させるデニス。

 

最後の衝突すれすれの2台の円描きドリフトに差し掛かる。

そのままタイヤスモークがモクモクと上がる中で2台は左右対局的な方向を向いて停車し、動画は終了。

 

デニスはパチパチ!と強い拍手を送ってはBravo!Bravo!と何度も称賛の声を上げた。

 

 

 

 

「とてつもない映像だった!

動画としては5分もないのに長編映画を観たような満足感だ!

IMAXやMX4Dで上映されたら是非観に行きたいところだが...何度も言うがコイツは映画でもドキュメンタリーでもない、日本の恋愛リアリティショーの動画だ!

全く、俺らアメリカ人もクレイジーって自覚はあるが、コメ食ってる奴には敵わなかったなぁー!

サイコーの狂い方だぜ!!」

 

 

 

 

そう言ってキリの良いところまで語り尽くしたデニス。

尺も丁度いい具合だと時間を確認すると「じゃ、次の話題だ、兄弟」と話を切り替えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

               ・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―イギリス BBC

 

 

黄色のポルシェが飾られた紺色の背景が主体になっているスタジオ。

身体を張ったコーナーを終え、観客席からパチパチ!と熱い拍手を受けながらも立つのはこの番組を仕切る三人の男。

一人はガタイがいい短髪白髪頭の男、一人は同じく白髪だがやや髪が長めの落ち着いた印象の男...もう一人は髭を生やした二人よりも若く見える茶髪のお調子者の男だ。

 

観客席からの拍手が収まったところでガタイのいい男が次のコーナーに移りトークの話題を繰り出した。

 

 

 

 

 

「さて、次の話題。ここで皆さんにコチラの動画を見て頂きたい」

 

 

 

 

 

そう言って番組内で流れたのはデニスがYOUTUBE撮影で流したのと同じ今ガチのジムカーナの動画だ。

ヴァァッ!ヴァヴァッ!!とエキゾーストを上げながらモクモクとタイヤスモークを上げる1000馬力の猛獣のドリフトする姿に落ち着いた様子の男もお調子者の男もWow...!と興奮した様子だ。

 

 

 

 

 

「これは驚いたな...!」

 

 

 

 

 

「スゴいぞ!見たか、今のドリフト!?

海にいるクルーザーにぶつかりそうになるギリギリのラインだ!!

見ていてお腹がギュッとなるぐらいの衝撃的な映像だよ!!」

 

 

 

 

 

二人ともそれぞれが驚いている中、ガタイのいい男は事前に調べて置いたメモを片手に説明を始めた。

 

 

 

 

 

「このヤリスはベリッシモ·モーターワークスのもので2JZにエンジンスワップして3.4リッターにボアアップしたフォーミュラードリフト向けの車両で実測1000馬力出ている。

そしてこの映像は、先週日本で放送された恋愛リアリティショー映像らしい」

 

 

 

 

 

「これが恋愛リアリティショーの映像?

ゲストにケン·ブロックでも呼んだのか?」

 

 

 

 

 

「それが...これを披露しているのは参加者の一人らしい。

彼は一応プロのレーサーらしいが、ドリフトは専門外みたいだ」

 

 

 

 

 

「専門外ッ!?ウソだよ、そんなの!

専門でもなきゃこんな神がかったトリックが出来るわけがない!!」

 

 

 

 

 

お調子者の男がややオーバーにも見えるようなリアクションを見せる中、動画が最後の新旧スープラによるツインドリフトに入る。すると、ガタイのいい男はこうポツリと呟いた。

 

 

 

 

 

 

「80スープラを出すとはなかなかイカしてるじゃないか...

それで、何故BMWのZ4が先頭でドリフトしているんだ?」

 

 

 

 

 

「おいおい、よしてくれ。話をややこしくするな」

 

 

 

 

 

「確かにGRスープラの中身はBMWだし見た目も少し似てるけど、販売メーカーはトヨタだよ!

キミは進行役なのにそんな事も知らないのか!?」

 

 

 

 

 

動画が終わり、全員がパチパチと拍手する中でガタイのいい男にカメラの視点が寄ると彼は「素晴らしい」と一言言ってからある言葉を残した。

 

 

 

 

 

「しかし、私が同じ条件でドリフトをすればもっといい結果になるでしょう」

 

 

 

 

 

至って真面目なトーンで真っ直ぐとした眼差しで伝えるガタイのいい男...しかし、落ち着いた印象の男がこれに対して冷ややかな目で突っ込みを入れた。

 

 

 

 

 

「キミ、この前のジムカーナにチャレンジする企画を忘れたんじゃないだろうな?」

 

 

 

 

 

それと共に映像として出てきたのは番組内の過去の企画のダイジェスト。

ガタイのいい男が動画の編集次第で完璧なジムカーナ動画が撮れると意気込んで挑んだ農場でのジムカーナ企画だ。

結果としては農場の納屋の入り口と柱をぶっ壊し、家畜として飼っていた羊を7匹轢き殺し、更には乗っていたWRCのレプリカ仕様のインプレッサはフロントガラスがパキパキに割れて車体も全体的にベコベコに凹んだ状態...

リアバンパーに関しては外れかけていていつ脱落してもおかしくない状態だった。

 

ダイジェストを見てクスクスと観客席から笑いが起きる中で表情を変えずに目を逸らすようにするガタイのいい男。

 

「さて、知らないな」とシラを切っていると落ち着いた様子の男に落ち着いた印象の男が現実を伝えた。

 

 

 

 

 

「キミが同じ内容で挑戦した場合、まず一番最初のクルーザーに向けてのドリフトでクルーザーを巻き込みながらも落水。車両を変えて再チャレンジしてもフォークリフトへの円描きドリフトのシーンで作業員ごと巻き込むようにフォークリフトを薙ぎ倒し、冷蔵庫に向けてのドリフトでは見事にホームランを見せる。そして、ジャンプのシーンで速度が足りずに輸送船に乗り切れずに再び落水する」

 

 

 

 

 

「つまり...どういうことなんだ?」

 

 

 

 

 

「キミがこのチャレンジをした場合、クルーザーに乗っていた7人とフォークリフトに乗っている作業員の計8人の死体袋が出来上がり...2台のGRヤリスとフォークリフト、それから冷蔵庫がスクラップ行きに。

結果としてキミの家に多額の請求書と大量の訴訟状が届く」

 

 

 

 

 

落ち着いた印象の男のジョーク混じりの言葉にHAHAHA!と笑い声が起きるとぐうの音も出ない様子のガタイのいい男...

何を話そうかと迷うように天井に目を向けてキョロキョロと視線を動かしてから「さて...」と何事もないように話を切り替える。観客席からHAHAHA!!と先程よりも更に大きい笑い声を受けながらもそのままトークを続けた。

 

 

 

 

 

「君らは彼に乗って欲しい車とかあるかな?

ちなみに私はアルファロメオの4Cに乗って欲しい、あの美しいミッドシップをどのように乗りこなすのか...気になるところだ」

 

 

 

 

 

「ボクはモデルチェンジしたばかりのマスタングに乗って欲しい!

V8の咆哮を轟かせながらも派手にドリフトしてほしいね!!」

 

 

 

 

 

「ボクはFK8型のシビックタイプRに乗って欲しいな。

ドリフトではなく、本業の純粋な速さでどれほどの走りが出来るのか見てみたい」

 

 

 

 

 

落ち着いた印象の男に対して何か言いたげに眉間にシワを寄せる二人。そのまま我慢できずにガタイのいい男から口出しした。

 

 

 

 

 

「シビックタイプR?相変わらず賓がないな」

 

 

 

 

 

「ダメだよ!あのやり過ぎなリアビューは!!

小学生が描いた落書きみたいで生理的に受け付けない!!」

 

 

 

 

 

「そうか?速さを追い求めた延長線であのようなデザインになったとボクは考えているよ。そう考えると機能美に長けたクールなデザインだと思うが」

 

 

 

 

 

「これは意見が合いそうにないな...

ただ、一番乗ってほしくない車なら意見が合いそうだ。

一番乗って欲しくない車はニッサンの...」

 

 

 

 

 

「「「ジューク」」」

 

 

 

 

 

三人の息が合った答えに観客席からHAHAHA!と再び笑い声が上がる。そして、静まってきたところで落ち着いた印象の男が「ところで...」とガタイのいい男にある事を問いかけた。

 

 

 

 

 

「これをやったのは参加者の一人だと言ったな。

専門外にも関わらず、どうしてこんな派手な見世物をやったんだ?」

 

 

 

 

 

「それが...狙っている女性が居て、その娘にアピールするために披露したらしい。

彼はこれを終えた後に彼女をデートに誘ったって話だ」

 

 

 

 

 

「デートに..か。それでデート先で告白したと?」

 

 

 

 

 

「いや、それが親しい間柄になったが二人はまだ結ばれたわけじゃないらしい。番組は続いていてライバルの男との彼女の取り合いが始まったって話だ」

 

 

 

 

 

ガタイのいい男の話にお調子者の男が「ウソだろ!?」とオーバーリアクションを見せると再び割り込むような形で話しに加勢してきた。

 

 

 

 

 

「僕が女の立場でこんなの見せつけられたら告白のOK、NGどころの話じゃないよ!

その日のウチに婚姻届を持ってきて"結婚してください!"ってコチラから頼みに行くよ!!」

 

 

 

 

 

「まあ、女性というのは我々男性では一生分からないような思考回路を持っているからな。

それと、私や君達のような男は身体こそは大きくなっているが精神年齢は3歳のままだ...きっと彼女は精神年齢がかなり上なんだろうね」

 

 

 

 

 

そう語ったガタイのいい男。

次のコーナーに向けて持っていたメモを切り替えつつもこう切り出した。

 

 

 

「さて、恋路の行方がやや気になるところですが時間も押している...次のコーナーに移ろう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

              ・

 

 

 

 

 

 

 

 

―イチゴプロ 事務所

 

 

 

ソファーに寛ぐようにしながらもスマホを触る星野ルビー...裏アカウントでSNSでエゴサーチしているようだ。

 

この前のハジメのジムカーナ以来、アクあかカップリング推し一強だった構図がハジあか派カップリング推しという新興勢力が現れた。

国内のSNSを見る限り、アクあか派が7割でハジあか派が3割と言ったところ...

 

だが、これが海外になると勢力図が一気に変わる。

 

海外だと9割以上がハジあか推しだ。何故かというと理由は簡単、彼らの今ガチの入り口はハジメのあのジムカーナだからだ。

 

 

今日も兄の為に裏アカウントでアクあか推しの投稿をしようと考えていたルビー。エゴサを終えるとポチポチと操作して早速SNSで投稿していく。

 

 

 

 

 

今回の今ガチ、アクあか以外考えられない!

#今ガチ #アクあか #アクあか応援 

              @ru_bycom15lov

 

 

 

 

 

投稿を終えてヨシッと小さく意気込むように呟くルビー...

しかし、それから間もなくして誰かから来たリプライを確認すると思わず眉間のシワを寄せた。

 

 

 

 

 

ハジあか一択でしょ、本当に番組見てる?

#今ガチ #ハジあか #ハジあか応援 

               @mana86_46m

 

 

 

 

 

わざわざリプライで言いつけて来たことにルビーのプライドのような何かが刺激される...グヌヌと噛みつきたくなるような表情を浮かべながらも直ぐ様反論に移った。 

 

 

 

 

 

最初からずっと観てるよ!アナタこそ本当に観てるの?

               @ru_bycom15lov

 

 

 

 

 

観てるよー!

あれれー?ひょっとしてあかねちゃんがアクアに見せる笑顔が本物の笑顔って思ってる派閥の方ですかー?

いい眼科知ってるんでご紹介しましょうかー?

                @mana86_46m

 

 

 

 

 

煽るような返信に「コイツ...ッ!」と更に怒りのボルテージが上がるルビー...

無視しても良いが、このまま言われっぱなしだと自分の兄の負けだと認めた気がして気に食わない。

それに、ルビーにはもう一つあかねとアクアがくっついて欲しい理由があった。

 

 

 

 

 

「(もし、お兄ちゃんが黒川さんとくっついたら私にとって

お姉ちゃんみたいな存在になるわけだ...!

あんな美人で性格が良さそうなお姉ちゃん私にも欲しい!!)」

 

 

 

 

 

そう思いながらも先ほどよりのタップを強めにパッパッパッ!とスマホを操作して入力。負けるものかとレスバを続ける。

 

 

 

 

 

なんなのよ、アナタ!!

ご心配なく、両目視力1.5以上あるので!

アナタの方こそ視力大丈夫?

               @ru_bycom15lov

 

 

 

 

 

私はちゃんとした眼科で視力測って2.0だよ!

アナタ、おヤブのところで測ったんでしょ?

というか、返信からしてスゴいイライラしてるように見えるねー。

カルシウムちゃんと摂ってる?牛乳飲んでる?

眼科だけじゃなくて精神科も紹介してあげよっかー?

                @mana86_46m

 

 

 

 

 

「(返信がキレッキレ過ぎる...!負けてたまるか!!)」

 

 

 

 

 

そのまま鬼の形相でレスバを展開し続けるルビー...

しばらくすると「ただいま」と誰かが帰ってきた。

アクアだ。しかし、帰ってきて目に入ってきたソファーに座りながらも鬼の形相でスマホを操作する妹の姿に思わず頭上に?を浮かべるようにして固まった。

 

 

 

 

 

「何してんだ、そんな鬼みたいな顔して...」

 

 

 

 

 

「何でもない!お兄ちゃんはあっち行って!」

 

 

 

 

 

そのまま鬼の形相でレスバを続けると英文で割り込んでくる男が一人出てきた...嫌な予感がしながらも翻訳を掛けて見ると嫌な予感は的中した。

 

 

 

 

 

何言ってんだ、ハジあか一択だろ。

それ以外を選ぶやつらはエイリアンの一種だ。

アクア?あんな軟弱そうなやつ、ウチに置いてあるマスタングでぶっ飛ばしてやるよ。V8の咆哮を喰らいな!

@god_v8knc_

 

 

 

 

 

 

 

「(か、海外勢乱入してきたー!!)」

 

 

 

 

 

面倒な展開になったと内心思うも、兄を軟弱者と言われたことが気に食わなかったルビー。ムスッとしながらももっと出来ることがあると「今日甘」のラストシーンでナイフ男として出演したワンカットを貼り付けてはこう返信した。

 

 

 

 

 

アクア、これぐらいの演技出来るんですけど!

【今日甘出演シーン添付】

               @ru_bycom15lov

 

 

 

 

 

HAHAHA! コイツは笑ったぜ!

ヴィン・ディーゼルなら小指だけでぶちのめせそうだな!

               @god_v8knc_

 

 

 

 

 

ドヴェインなら息吹きかけただけで崩れるかもな!

               @jdmkng06usd

 

 

 

 

 

「(ふ、2人に増殖したーッ!?)」

 

 

 

 

 

状況が悪化してることに内心ツッコミながらも少し考えるようにしてから相手のレスからのカウンターを狙うことにしたルビー。気持ちを落ち着かせるとパッパッと操作してこう返信した。

 

 

 

 

 

ハジメもヴィン・ディーゼルやドヴェインにブチのめされそうだけど?

               @ru_bycom15lov

 

 

 

 

 

 

ヤツならファミリーの一員になるだろうな!

自宅の庭でコロナビールを手に一緒にバーベーキューしてそうだ!

               @god_v8knc_

 

 

 

 

 

おっと、食事前のお祈りは忘れるんじゃないぞ?

それからヤツはまだ19だ

あと1年は待ってやらないとな!

               @jdmkng06usd

 

 

 

 

HAHAHA!と笑いながらも文字を打ち込んでいる2人の姿が脳裏に浮かび上がるルビー。ぐぬぬ...!となりながらもその後もレスバを展開するも勝てそうになかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

               ・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーチューニングショップ スパイラル

 

 

 

整備を終えた86の前でポチポチとスマホを操作する真奈美。

時折、ハハハッ!と笑う姿が気になると作業を終えたばかりの奥山が彼女の隣に立つようにしながらも問いかけた。

 

 

 

 

 

「何してるんだ?」

 

 

 

 

 

「何って、SNSでちょっとしたレスバしてたら海外の人が乱入してきて面白い展開になったので...!

このru_bycom15lovってやつ、アクあか投稿ばかりしてて...昨日なんて1日で20件ぐらい投稿してたんですよ。もうスパムかよって感じで鬱陶しかったんで絡んでみたらこういう展開に」

 

 

 

 

 

真奈美からスマホを見せてもらい、一連の流れを一通り読んだ奥山。彼は少し間を空けるようにして思わず苦笑いの笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

「真奈美ちゃんの返信、キレがいいな...あまり相手にしたくないっていうか」

 

 

 

 

 

そう呟きながらも辺りを軽く見回す奥山。

あることに気付き、「そういえば...」と話を切り替えるように前置きしてからこう質問した。

 

 

 

 

 

「ハジメのヤツは?今日は今ガチ鑑賞会の日だろ」

 

 

 

 

 

「あ、奥山さん聞いてませんか?

今日、ハジメくん十勝にいますよ」

 

 

 

 

 

「十勝...?十勝スピードウェイか」

 

 

 

 

 

軽く腕を組みながらもやや夕焼け色に染まり始めた空を仰ぐように見る奥山。彼が走っているイメージを脳裏に浮かべると強めの風が吹き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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