IF 〜もしもあの時〜   作:マグウェル

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第四幕 Radioactive act.7

 

 

 

―夕方 ベリッシモモーターワークス前

 

 

ハジメの送迎の為に出入り口前にフィットを横付けする吉住。あれからテレワークで個人スポンサー各位とやり取りを済ませたがその際に気づいた事がある...今までメモに書き込んでいたメモ帳をどこかに無くしてしなったのだ。

 

送迎前に車内や家の中など、手当たり次第にありそうな所を探したが結局見つからずに今に至る。

 

 

打ち合わせ内容やスケジュールなんかもビッシリと書き記されている...もし、外部に漏れでもしたら大問題だ。

 

 

 

ど、どうしよう....?

 

 

 

そう不安を抱えている間に何も知らないハジメが現れた。

助手席に乗って荷物を後部座席に投げ入れてからシートベルトを締めると「おつかれさん、出してくれ」と促される...

いつになく落ち着かない様子で「は、はい!」と答えながらも車を出す様子を見せる吉住に違和感を感じつつも彼はシートに背中を預けるように凭れては質問を投げ掛けた。

 

 

 

 

「明日のスケジュール確認したいが、頼めるか?」

 

 

 

 

「あ、はい....えっと...」

 

 

 

 

誤魔化そうと思いその場で思い出そうとするが、運悪く信号待ちで停まるフィット。いつもならこのタイミングでメモ帳を出して読み上げるが、ハンドルから手を離さずに小さく震えている...そんな彼に更に違和感を感じ取るとハジメは単刀直入に問い掛けた。

 

 

 

 

「...吉住、いつものメモは?」

 

 

 

 

「え、あ...えっと...その家に置き忘れて...!」

 

 

 

 

「あんなに仕事中に肌身隠さず持っていたメモを?」

 

 

 

 

咄嗟の誤魔化しも寧ろ逆効果だった。

追及されるように問われると流石に言い逃れは出来ない...

 

 

 

 

「すいませんでした!!」

 

 

 

 

ハンドルを離し、ハジメに向けて勢いよく深々と頭を下げる吉住。シフト周りに頭をぶつけそうな角度のまま、何があったのか正直に語り始めた。

 

 

 

 

「実は、テレワークでスポンサーと打ち合わせしてる時にメモ帳がない事に気づいて...!」

 

 

 

 

「...いつまであったか覚えてる?」

 

 

 

 

「今朝の出勤の時に五十嵐さんのスケジュール読み上げた時までです...!それ以降は...!!」

 

 

 

 

「探したのか?」

 

 

 

 

「は、はい!でも、見つからなくて...

バックアップは一応PCの方に...!」

 

 

 

 

そう言って逃れようとする吉住。

しかし、ハジメは「そういう問題じゃないだろ!」と怒りを露わにしてはその怒りの理由について語り始めた。

 

 

 

 

「元業界の人間なら分かるだろ!?

あのメモ帳には取引先にとっては表には未公開の情報もある!もし、外部なんかに流出して公表なんてされた矢先には先方にも迷惑掛かるんだよ!!」

 

 

 

 

「すいません、本当にすいません...!!」

 

 

 

 

必死に頭を下げて謝罪する吉住...そんな彼に対し、怒りの表情を露わにしつつもチラリと前を見ると信号が青になっているのを確認。ハァ...と思わずため息をつきながらも「信号、青だぞ。行け」と促して吉住に運転を促した。

 

 

 

気まずい雰囲気が漂う車内...

しばらくするとテレビ局に到着。地下の駐車場に停まると後部座席から荷物を手に取ったハジメは軽く吉住を睨むようにしながらもこう言い残した。

 

 

 

 

「収録は俺一人で行ってくる。

お前はここでメモを探せ、絶対見つけろ。いいな?」

 

 

 

 

そう言ってバンッ!と強めにドアを締めるハジメ。そのままいつもよりもズカズカと強い歩調で屋内へと歩く彼の姿を見た吉住は自分がどれほどの失態をしてしまったのか、再認識した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

               ・

 

 

 

 

 

 

 

 

―1時間後後 収録スタジオ 

 

 

 

収録の合間に裏に周って並べられた椅子の一つに座り、休憩するハジメ...

雰囲気からいつもと違うと察したアクアは台本を丸めながらも彼に歩み寄っては話し掛けた。

 

 

 

 

「いつになく不機嫌そうだな...」

 

 

 

 

「...まあな、ちょっと色々あってな」

 

 

 

そう話を聞きながらも隣の椅子に座るアクア。

ハジメの方が内心"他人に興味を持つなんて珍しい"と思いながらもミネラルウォーターを手にして飲んでいると更に珍しくこんな問い掛けをしてきた。

 

 

 

 

「...何かあったのか?」

 

 

 

「何かって...」

 

 

 

「何かあるだろ、自分自身が要因か...

はたまた、他人が原因か」

 

 

 

 

「まるで医者みたいな聞き方だな。次は聴診器でも出すのか?」

 

 

 

 

 

フッと小さく笑いながらの返しに対してどこか意表を突かれたように目線を逸らしたアクア。

 

何か変なこと言ったかな...?

 

内心気になるが、それは一旦置いておこうとハジメはため息混じりに語り始めた。

 

 

 

 

 

「...ここでADやってた吉住が転職してウチでマネージャーやってるのは知ってるよな?」

 

 

 

 

「ああ、それがどうした?」

 

 

 

 

「アイツ...打ち合わせとか、スケジュールの内容が書かれたメモ帳をどこかに無くしたみたいなんだ。

 

俺のスケジュールは別にどうでもいい、バックアップもあるみたいだから。

ただ、打ち合わせ内容がな...まだ一般的に未公開になってるようなものもあってさ。もし、外に落としてて第三者がそれを拾って世間に広めたらヤバいだろ?流石に」

 

 

 

 

「確かにな...でも、あの吉住ADがそんな基本的なミスをするとは思えないがな」

 

 

 

 

「俺も信じられなかった。

でも、事実は事実だ...もし見つからなかった時のことも考えての動きを考えないと」

 

 

 

 

手を軽く組むようにして考え込むハジメ...

彼なりに思考を巡りに巡らせている中、アクアは意外にもこう持ち掛けてきた。

 

 

 

 

「...手伝おうか?探すの」

 

 

 

 

「探すって、深掘れのスタジオにあるわけないだろ...

今日がアイツ雇ってから一発目の収録なんだから」

 

 

 

 

「ここだけじゃない。お前、最近他の色んな局行ってるだろ?そのツテも当たる」

 

 

 

 

そう提案されて半信半疑のハジメ...

2年前...あかねを巡る戦いの中で自分はこの男にハメられ掛けている。

果たして、信用していいだろうか?

 

腕を組んで考え込むようにしていると疑うような雰囲気が漂っていたのか、アクアが察するようにハァ...と小さく息をついてからこう促した。

 

 

 

 

「安心しろ、昔と違って今のお前をハメた所で俺は何も得しない」

 

 

 

 

本当かよ...

疑問が募りに募るが、今は正直頼れるものならどんなものでも頼みたい。

ハジメは組んでいた腕を崩すと頭を掻いてからこう答えた。

 

 

 

 

「グレーのメモ帳、A6サイズの奴で...

表にマネージメント、吉住って書いてあった気が」

 

 

 

 

「わかった、ツテを当たってみる」

 

 

 

 

そう言いながら立ち上がるアクア...

彼の背中を見たハジメは本当に頼んで良かったのだろうかと自分自身の心の中で何度も問い掛けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

               ・

 

 

 

 

 

 

 

 

―1時間後 駐車場

 

 

フィットの車内を隈無く探す吉住。

 

グローブボックス、後部座席、トランク、座席の下....全て隈無く探したが、見つかる気配はない。

スマホで時間を確認...もう収録が終わる時間が迫ってきてる。

 

 

ダメだ、また怒られる....!

 

 

 

その焦りが募りに募る中、後ろからコツコツ...という足音が近づいてくるのに気づいた。振り向くとそこには星野ルビーの姿が...

 

 

 

 

「吉住さーん、奇遇ですねっ。こんなに会うなんて」

 

 

 

 

「る、ルビー...さん?」

 

 

 

 

「ん、どうしたんですか?そんなに青ざめた顔して...」

 

 

 

 

惚けたように問い掛けるルビーに対して相談できる相手が彼女しかいないと縋るように迫る吉住。「じつは...!」と慌てた様子で語る彼を見て"まんまと自分の術中にハマった"と内心思いながらも相談を聞く素振りでウンウンと頷くルビー。

吉住が今抱える問題を全て語った所で彼女は自分の計画を無邪気な笑顔を振り撒きながらも語り始めた。

 

 

 

 

 

「メモ帳一つでそんな怒るって、沸点低すぎませんかー?」

 

 

 

 

 

「沸点低いって...そのメモ帳には第三者に今知られたらマズいことも書いてあるんだよ」

 

 

 

 

「んー、でもー...

そういう時に冷静な判断が出来てなんぼってヤツじゃないですか?この業界。

五十嵐さんのところって現状、吉住さんとマンツーマンで仕事していて、五十嵐さんが社長兼実働役って感じですよねー?

社長がそんなんでいいんですかねー?

やっぱり、その肩書き通りにもーっとドッシリと構えないと...!」

 

 

 

 

不満を積み重ねさせるような言葉を次々と発していくルビー...吉住の表情が自問自答するようになった所で内心チャンスだと思えば隙かさず本命である話題を切り出した。

 

 

 

 

 

「吉住さーん、よかったらウチでマネージャーになりませんか?」

 

 

 

 

「え、イチゴプロ所属のマネージャーに...?」

 

 

 

 

 

「そうですよー!

今、ウチの事務所人手いなくてメチャクチャ困ってるんですよー!!ホントに猫の手も借りたいぐらい!」

 

 

 

 

その言葉に考え込むように必死な形相で顎に手を当てる吉住に対し、ルビーはクスッと小さく笑みを浮かべて見せては余裕を見せるようにこう言い残した。

 

 

 

 

「今すぐに答えなくても大丈夫ですよー?

次の深掘れの収録の時ぐらいにまた答え聞きますからー」

 

 

 

 

そう言って背中を向けて立ち去るルビー...

その際に獲物を捕らえきったという不敵な笑みが小さく溢れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

               ・

 

 

 

 

 

 

 

 

―翌日

 

 

 

結局吉住のメモ帳が見つからずに翌日を迎えた...

本日は束の間の休日。

この頃、テレビやラジオでの仕事も増えて流石に疲労困憊のハジメ...しかし、毎朝のルーティンであるウォームアップを済ませてから借家の個室にあるシミュレーターで走り込み、その感覚を自分の中に落とし込んでいく。

 

休日でも感覚を失わない為に数本走っては休憩を繰り返す...

 

 

そのまま昼になると昼食をゼリー型の栄養補給剤のみで済ませてから、確認するように再びシミュレーターに座って数本走り込み...時間を確認すると夕方になっていた。

 

 

 

 

「(こんなぐらいにするか...)」

 

 

 

 

切り上げてからシャワーを浴びてリセットに取り掛かる。

スッキリしたところで今度は地味な寝間着姿に着替えると簡単なおつまみとビールを持ってきてソファーに座るとノートPCを開いた。

 

スマホのデータを移してからカタカタとタイピング音を響かせるようにして文章を打ち込んでいく。時折持ってきたおつまみやビールを口にする中でピロピロ!という着信音が鳴り響く。

 

相手を確認する...あかねだ。

 

早速ピッと電話に出て応じるとスピーカーモードにしてテーブル上に置いた。

 

 

 

 

「もしもし?」

 

 

 

 

「―もしもし、ハジメくん?今日お休みだったよね?

よかったら今から一緒にドライブに...!」

 

 

 

 

「あ、ゴメン...もう飲んじゃった」

 

 

 

 

ハジメの答えに「―えぇー!?」と驚いたような反応を見せるあかね。少ししてから「―もう、飲むの早すぎだよ...」と呆れ混じりに言う彼女に対し、苦笑いしながら「ごめんごめん」と答えると付け足すようにこう伝えた。

 

 

 

 

「まあ、飲んでなくても...今日はやることあるから断ってただろうけど」

 

 

 

 

「―え...やることって?」

 

 

 

 

「まだ終わってない書類仕事。

今、ちょうど取り掛かってるんだけど...ちょっと時間が掛かりそうなんだ。今日は通話だけでいい?」

 

 

 

 

 

「―まあ、そう言うことなら...いいよ。通話だけでも」

 

 

 

 

 

「ありがと」

 

 

 

 

小さく微笑みながらも再びPCと向き合ってカタカタとタイピングしていくハジメ。電話越しに聞こえる音からあかねがふとこんなことを呟いてきた。

 

 

 

 

 

「―前のスケジュールの時よりも進んでそうだね、お仕事」

 

 

 

 

そう言われて小さく微笑みながらも「まあな」と答えつつもタイピングを続けるハジメ。切りが良い所でタイピングをピタッと止めてビールを一口飲むと少し間を空けるようにしてから「なあ、あかね」と電話越しに彼女を呼んではこんな呟きをした。

 

 

 

 

 

「...大変だな。人の上に立って誰かを雇うってのは」

 

 

 

 

「―急にどうしたの...?吉住さんと何かあったの?」

 

 

 

 

「まあな...ちょっと色々ゴタゴタがあってさ」

 

 

 

 

詳細を省きながらも簡潔に説明するハジメ。思い詰めたように頭を軽く掻いてからボーッとした表情で天井を仰ぐように眺めるとそこから「なあ」と再び話し掛けるようにしつつもあかねのこう問い掛けた。

 

 

 

 

「俺はいい雇い主に...いい上司になれるかな?」

 

 

 

 

質問に対して「―うーん...」と考えるようにするあかね。

しかし、そこから程なくして温かい口調で「―なれるよ」と答えては続けるように理由を告げた。

 

 

 

 

「―前にも話したかもしれないけど...

キミの中にある優しさから出る厳しさは相手のことを思う時ほど出やすい。それは誰かを育てる為には理想的とも言える。優しいだけでは人はどうしても甘えが出てしまう、何処かに厳しさもないと。それに...そろそろキミの優しい部分が動いてるんじゃないかなって私は予想してるよ」

 

 

 

 

優しい部分というフレーズを聞いてビクッと反応するハジメ。行動を全て見透かされているような感覚になりながらも思わずハァ...とため息をつくとやや自嘲的な口調でこう答えた。

 

 

 

 

 

「そんな優しくなんかないよ、俺は...」

 

 

 

 

「―そっか。じゃあ、言葉を付け足そうかな...

優しいくせにその優しさを隠したがる恥ずかしがり屋さん」

 

 

 

 

「っ...からかってる?」

 

 

 

 

「―ううん。からかってない、からかってない...」

 

 

 

 

クスクスと笑い混じりにそう答えるあかねに心理を見抜くだけでなく、昔よりも言う場面で言うようになったと内心思うハジメだったが、彼女の笑い声に釣られるようにクスリと笑ってしまうと再びPCと向き合った。

 

 

 

 

「...ありがと、あかね。いつも支えてくれて」

 

 

 

 

「―ううん、礼を言うのは私の方だよ。私もキミの知らない所でキミに支えられてるから」

 

 

 

 

 

「そっか...これからもお互い支え合おうな」

 

 

 

 

小さく笑みを浮かべながらも再びPCと向き合ってカタカタと文章を打ち込んでいくハジメ。打ち込まれた文章には企画の詳細や自動車用語が箇条書きに並べられていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

              ・

 

 

 

 

 

 

 

 

―翌日 駅前のロータリー

 

 

 

いつも通りにフィットを停め、ハジメの到着を待つ吉住。

しかし、その顔は青ざめていてお世辞にも良いとは言えない...理由は紛失したメモ帳が見つからないことだけでない、紛失前日にメモを取った内容がPCにバックアップされてなかったのだ。

 

 

 

 

「(ど、どうしよう...!何話してるかもよく分からなかったあの内容を書き起こすなんて無理だよ...!!)」

 

 

 

 

そうこうしている間に解決案も浮かばない状況下でハジメの姿が見えた...もう終わりだ。

 

そんな中でふと脳裏に浮かび上がるのはルビーの言葉、イチゴプロ所属のマネージャーになって欲しいという勧誘だ。

 

 

どうしよう、あの勧誘に甘えてその道に逃げようかな...?

 

 

そう思っている間に助手席に乗り込んでくるハジメ。やや気まずいながらも「おはよ」という短い挨拶を交わしながらもシートベルトを締める彼に「お、おはようございます」と返しつつも正直に話すことにした。

 

 

 

 

 

「あの、メモの件ですが...もう一つ問題が」

 

 

 

 

「...なんだ?」

 

 

 

 

「紛失の前日に書いていた内容がバックアップされてなくて...本当に申し訳ありません!」

 

 

 

 

必死に頭を下げる吉住。

そんな彼に対して「はぁ...」というため息が聞こえてくる...怒られると身構えていたが、意外にも何もなかった。

そして、頭を下げていて車内の床ぐらいしかまともに見えない視界の中からサッと印刷された書類がいきなり視界に入ってくる。

「えっ...?」と戸惑いながらも受け取って中身を確認すると、そこには自分が取ったメモの中身の写真とそれに対する添削などが記載されている。恐らく、写真は移動中にメモを見た時にこっそり撮ったのであろう。更に別に添付されている書類には企画や単語に対する説明なども書かれていた。

 

 

 

 

「悪いな、勝手にメモの中身写真撮ったりして」

 

 

 

 

そう言いながらも腕を組んで車内の天井を軽く仰ぐように眺めるハジメ。そんな彼に対し、吉住は説明文をペラペラと捲るようにして内容を確認し始めた。彼が読んだ内容以下のようになっている。

 

 

 

 

 

 

 

________

 

 

_____

 

 

__

 

 

 

 

・マッハスポーツ誌企画

"新型RZ34vs旧型Z34"について

 

RZ34とZ34はどちらも日産自動車、フェアレディZの系譜のスポーツカーとなっている。この企画の趣旨は新型で実質7代目フェアレディZに当たるRZ34と旧型6代目フェアレディZのZ34の新旧フェアレディZの比較テストである。以下は2台の大まかなスペックになる。

 

 

 

RZ34(新型)

市場価格549万円〜(新車)

エンジン:VR30DDTT

V型6気筒3リッターツインターボエンジン

最大出力405馬力、最大トルク48.4 kgf·m

 

※ツインターボ

エンジンから出た排ガスをタービンに送り込み、その排ガスをタービンを伝ってエンジンに再び送り込むことによって大きなパワーを得るシステム。ツインターボの場合は一般的にターボの弱点でもある排ガスを送り込まれる際に発生するラグ(通称ターボラグ)を減らす為にメインのタービンとは別に小型のタービンがついており、排圧が低い低回転時はこのタービンが回ることによってなるべくラグがなくフラットに回るように働きかけている。

 

 

 

 

Z34(旧型)

市場価格100万円前後〜(中古)

エンジン:VQ37DETT

V型6気筒3.7リッター自然吸気エンジン

最大馬力336馬力、最大トルク37.2 kgf·m

 

※自然吸気

別名でNatural Aspiration、略してNAエンジンとも呼ばれるタイプ。このエンジンは前述のターボや後述するスーパーチャージャーのようなエンジンの馬力を補助する過給器システムを導入しないタイプのエンジン。強みはラグのないダイレクトなレスポンスと直感的なサウンド。それが故にシステム上パワーは出にくいが、熱烈なファン層もいるエンジン。

 

 

 

 

以下はミーティング時に出てきた単語について....

 

 

 

__

 

_____

 

 

_________

 

 

 

 

こんな感じにズラズラと噛み砕いての説明がズラリと並べられていた。

 

まさか、昨日の休日の間にわざわざコレを...?

 

そう思いながらも書類を見ていた吉住。だが、「遅刻するから早く出てくれ」と促され、慌てた様子で書類をしまって運転に切り替えた。

 

運転する吉住に対していつものように車内から流れる景色をボーッとした表情で眺めてるハジメ...すると、「なあ、吉住」と話し掛けてはこんなことを確認するように問い掛けてきた。

 

 

 

 

「今日、夕方から予定空いてたよな」

 

 

 

「あ、はい」

 

 

 

「一緒に関係してる先方に頭下げに行くぞ」

 

 

 

「え、どうして...!?僕のミスですよね、だったら僕だけが頭を下げに....!!」

 

 

 

 

 

驚いたような反応を見せる吉住に対し、目を合わせずに窓から流れる景色を眺め続けるハジメ。そのままドアの方に頬杖をつきながらもこう話し続けた。

 

 

 

 

 

「マンツーマンで仕事やってる以上、お前のミスは俺のミスでもある。尻拭いするのは当然だろう」

 

 

 

 

「で、でも...五十嵐さん....僕なんて...!」

 

 

 

 

「深く考え込むなよ、どうせ自分は出来ないとか考えてたんだろうけど...そんなことない。

実際のところ、お前に助けて貰ってる部分は結構ある。主に最近増えてきたテレビやラジオのスケジュール組み、業界知ってるだけのこともあってスムーズに事が運べてる。一人でやってる時はあんな風には行かなかった」

 

 

 

そう素直に話すと共に頬杖を崩して正面の景色に目を向けるハジメ。それと共に吉住に対して諭すようにこう告げた。

 

 

 

 

「俺もお前も長所もあれば短所もある。お互いにカバーし合って行けば本気で上を目指せるって俺は思ってる。

 

今後とも俺の夢を叶える手伝いをして欲しい...出来るか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

              ・

 

 

 

 

 

 

 

 

―数日後 

 

深掘れ!ワンチャン、スタジオ裏にある個室

 

 

 

ルビーは休憩の合間に吉住を呼び出すと自分の勧誘に対しての答えを聞こうと試みる。スタッフなどもほとんど出入りがない小道具などが詰め込まれた部屋の中で白いショルダーバッグを肩に掛けた彼女は腕を軽く組みながらも満面の笑みで単刀直入に問い掛けた。

 

 

 

 

「この前の件、考えてくれましたかー?」

 

 

 

 

もう獲物は術中にハマってYESと答えるとたかを括っていたルビー。

しかし、勧誘されている吉住の頭の中ではある光景が浮かんでいた...

それは夢に関して真っすぐとした眼で熱く語っていた光景だ。

 

 

 

 

"歴史や人々の記憶に名を刻むドライバー。それが俺の夢"

 

 

 

 

その光景が脳裏に浮かび上がって自分の中にあるもの強く訴えかけてきたのだ。そして...彼は「ごめんなさい!」という却下の言葉が聞こえてくると共に大きく頭を下げた。

 

 

 

 

 

「僕はあの人と仕事を続けたいです...!

あの人を支えてあの人の夢を叶えさせてあげたい!

そして....その夢が叶った舞台を見届けたい!

 

それが...今の僕の思いです」

 

 

 

 

そう告げて「本当にごめんなさい」ともう一度頭を下げてから個室から出ていく吉住...

 

 

....そうか、意外にもあっちに行っちゃったか。

 

 

そう思うもルビーには切り札があった...盗んだメモ帳のネット上への流出だ。ここまですれば、流石に責任追及されてクビを覚悟しなければならないだろう。

 

そう思いながらバッグからメモ帳を取り出そうとする。

しかし、幾ら探してもない。

 

 

そう思いながらも焦っていると誰かが個室に入ってきた。入って来たのは星野アクア、ため息をつきそうな表情でルビーを見ていた。

 

 

 

 

 

「お前だろ、吉住ADからメモ帳盗み取ったの」

 

 

 

 

「え、な...何の話?」

 

 

 

 

「惚けるなよ....事務所に見覚えのないメモ帳持ち歩いてるところを偶然に見て怪しいと思ったんだ。それで、ここから出る前にバックの中を漁らせて貰って回収した」

 

 

 

 

「か、回収したって...メモ帳はどこに行ったの?」

 

 

 

 

「俺がアイツ(ハジメ)に手渡した。安心しろ、お前のことは一言も話してない」

 

 

 

 

そう淡々と答えるアクアに自分の計画の邪魔をしたと嫌気が差し始めたルビー。そのまま実の兄を強く睨むようにしながらこう呟いた。

 

 

 

 

「アクア、昔と比べて随分牙抜けたね」

 

 

 

 

牙が抜けた...その自覚はアクア自身の中でもあった。

というのも、彼の中で自分の復讐は終わったんだという気持ちが出来たからだ。

 

東京ブレイドの舞台で共演した姫川大輝、DNA検査で自分の異母兄弟に当たると分かった上にその父親の上原清十郎は自分たちが幼少期の頃に亡くなったという話からだ。その情報が分かってからというもの、アクアはのらりくらりと適当な人生を送ってきた。今回の件を助けたのもアイを亡くす前にあった優しさのようなものが無意識にも芽生えたからかもしれない。

 

内心そう思っていたアクアだったが、この場で彼はルビーに対してこう言い返した。

 

 

 

 

「お前は逆に牙が生えてきてる、それもかなり鋭利なヤツだ。...何があった?」

 

 

 

 

アクアに指摘されたルビーは無言で圧を与えるようにしてから背中を見せるとこう答えた。

 

 

 

 

「私は...この業界でトップになる必要がある。

その為ならどんなものでも踏み台にして、伸し上がらなければいけない。

 

...吉住のことはもうどうでもいい、手間だけど他に使えそうな子勧誘するから」

 

 

 

 

そう言って颯爽と横を通り過ぎて去ろうと試みるルビー。

そんな彼女を「待て」と呼び止めたアクアは最後に一つこう彼女に伝えた。

 

 

 

 

 

「アイツの周りにはチョッカイ出さない方がいい。...痛い目に遭うぞ?」

 

 

 

 

「ふーん...それは自分が痛い目に遭ったからってこと?

悪いけど、同じ目に遭うなんて思わない方がいいよ。

私はヘマしないでしっかりやるから...伸し上がれるならどんなものでも踏み台にして伸し上がってみせる」

 

 

 

 

そう言って忠告を無視するように個室から出ていくルビー...すると、表のスタッフ達は何やら忙しそうに企画書を手にしてブツブツと会話を繰り広げていた。

 

 

 

 

「―今度の深掘れ!大賞、誰映すのか早急にリストアップして決めないとなぁ...」

 

 

 

 

「―あ、例のコスプレの娘...!なーんて名前だっけな...?」

 

 

 

 

「―斎藤真奈美のこと?あれは放送からあまりスパン空いてないから微妙じゃないか?」

 

 

 

 

斎藤真奈美....五十嵐ハジメに近い女。

この前の見下したような説教もあった上に吉住を取られた苛立ち...この女を踏み台にして目にものを見せてやろう。

 

そう考えたルビーはニッコリとした笑顔を振り撒きながらも会話するスタッフ達の輪に入った。

 

 

 

 

「斎藤さん!?私、いいと思いますよー!

SNSで話題になってますしー!!」

 

 

 

 

 

 













_______________









後書き【心境】
低評価つけられる度に執筆してるの馬鹿馬鹿しくなるんですが、どうしましょうか?
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