IF 〜もしもあの時〜   作:マグウェル

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第一幕 HEART BEAT act.5

 

 

 

 

 

 

 

―富士スピードウェイ 昼

 

 

本コースから離れた小高い丘に陣取る3人組。

コースの一部が見れる隠れスポットだ...快晴が故に綺麗に見える富士山を眺めながらもレジャーシートを広げていき、準備完了して座ったところであかねが持ってきた大きな鞄からあるものを取り出した。重箱に入った昼食だ。エビフライやハンバーグなど全て冷凍などではなく手作りとかなり手が込んでいる。

 

 

 

 

 

「えー!あかねちゃんスゴーい!!」

 

 

 

 

 

「これ...自分で作ったのか?」

 

 

 

 

 

少し頬を赤らめながらもコクリと頷くあかね...そんな彼女を見たハジメは何やら苦笑いの表情を浮かべている。

 

何かおかしいことでも...?

 

内心そう思いながらもハジメを見ていると間もなくしてその理由が明かされた。

 

 

 

 

 

「実はさ...俺も持ってきてるんだ、昼飯」

 

 

 

 

 

そう言って取り出したのは蓋付きのバスケット...中には様々な種類のパンが敷き詰められていた。

 

 

 

 

 

「コレは...?」

 

 

 

 

 

「俺が作ってきた」

 

 

 

 

 

「つ、作った...って、自家製ですか!?」

 

 

 

 

 

「まあ、な。一応パンづくりも趣味でさ....ガキの頃に母親から教わって、今でもこんな感じに作ったりするんだ」

 

 

 

小っ恥ずかしそうに額ポリポリと掻くような素振りを見せるハジメ。そんな彼の言葉に付け足すように真奈美が横槍を入れてきた。

 

 

 

 

 

「ちなみにハジメくん、資格も持ってるからパン屋さん始めようと思えばいつでも始められるよ。それだけじゃなくて、味もお店顔負けでチョー美味しいから、食べて食べて!!」

 

 

 

 

 

そう言って3人での昼食が始まった...互いの提供したモノを"美味しい"と言い合いながらも食べ進めていると半分ほど食したところで真奈美が急に「あっ」と何かに気付いて立ち上がった。

 

 

 

 

 

「車に忘れ物置き忘れちゃった...ちょっと取りに行ってくるね」

 

 

 

 

 

そう言ってスキップ気味な足取りでその場から一旦離れる真奈美...「ちょっ...!」と手を伸ばすようにして止めようとするハジメだが、そのまま丘を下ってパドックAの駐車場へと行ってしまった。

 

二人きりになってしまったあかねとハジメ...

 

やや気不味そうに目を泳がせるハジメに対し、あかねが「あの...」と恐る恐る切り出してきた。

 

 

 

 

 

「今日はありがとうございました、今までこんな貴重な経験したことがないので...」

 

 

 

 

 

「いや、大したことしてないって。それより...どうだった、初のサーキット同乗」

 

 

 

 

 

「楽しかったです!えっと、ジェットコースターに似ているような...似ていない、ような?不思議な感覚でした」

 

 

 

 

 

あかねのやや首を傾げながらの答え方に小さく笑みを浮かべながらも「そうか」と答えるハジメ。遠くを見据えるようにコースを眺めるとそのまま語り続けた。

 

 

 

 

 

「自分でハンドル握って走らせるともっと楽しいぞ」

 

 

 

 

 

「そうですか?でも、私...あんな運転出来る気がしません」

 

 

 

 

 

「まあ、最初から出来るやつなんていないよ。俺も最初はダメダメだったし...」

 

 

 

 

 

ハハハ...と苦笑いしているとふと気になることが浮かび上がってきたあかね。苦笑いに釣られるように小さく笑みを浮かべると単刀直入にこう問いかけた。

 

 

 

 

 

「五十嵐さんが運転していて楽しいと思える瞬間って...やはり速く走れてる時でしょうか?」

 

 

 

 

 

その問いかけに苦笑いをやめるハジメ。

空を仰ぐように「んー...」と考え込むと少し間を空けてから答えた。

 

 

 

 

 

「それもあるけど、それだけじゃないな」

 

 

 

 

「と、言うと...?」

 

 

 

 

 

「色々あるけど...その色々の中でも強いて上げるとすれば車と一体になれてるような不思議な感覚になった時かな」

 

 

 

 

 

「車と一体...?」

 

 

 

 

 

「ああ。本当に手足のように使いこなせてるような...そんな錯覚に陥る場面があるんだ。意外にもサーキットで走ってる時だけじゃなく、普通の道で速度を出さずに何となくで走ってる時もそうなるような場面があるんだ」

 

 

 

 

 

そう言いながらもふと吹いた一風に身を委ねるように目を閉じるハジメ。そこからゆっくりと開けるとあかねの方に顔を向けながらもこう付け足した。

 

 

 

 

 

「車ってさ、単なる移動手段だと思われがちだけど...それだけじゃ済まない何かがあると思う。運転してやること自体はただ単に"走らせる"という単純なことだけど、奥が深い...いや、単純だからこそ奥が深いのかも」

 

 

 

 

 

「単純だから奥が深い...なんかだか分かるような、分からないような」

 

 

 

 

 

「まあ、実際に自分でハンドル握れば分かると思う。

黒川は来年18だろ?その時になったら免許取りなよ、持ってるだけでも損はしないだろうし」

 

 

 

 

 

 

 

 

               ・

 

 

 

 

 

 

 

 

―夕方 パドックA 駐車場

 

 

日も暮れはじめた中で走行会も終わり、解散の時間。

このまま真奈美とこの場で解散してあかねを送っていこうと考えているハジメのスマホが急にピロピロ!と鳴り始める。

 

ピッと応じて「もしもし?」と出るハジメ...しばらく対応するように返事してからピッと通話を切ると顔を上げて真奈美とあかねにふと問いかけた。

 

 

 

 

 

「二次会やるらしいけど、いくか?」

 

 

 

 

 

「えっ?えっと...どちらでですか?」

 

 

 

 

 

「スパイラルっていう箱根近辺にある店。チューニングショップっていう車をイジる店なんだけど、そこでBBQやるらしい」

 

 

 

 

ハジメからの言葉に「うわー!」と前のめりになって目をキラキラと輝かせる真奈美。そのまま手をブンブンと振るようにしてこう答えた。

 

 

 

 

 

「行く行くー!ねえ、あかねちゃんも行くよね!行くよね!?」

 

 

 

 

 

あかねの両手をガシッと取ってはキラキラした眼差しを向け続け、半ば強要するように問いかける真奈美。ハジメは呆れたように「コラ」と一言掛けるとため息混じりにこう呟いた。

 

 

 

 

 

「元々の予定にないイレギュラーなスケジュールだ、無理に強要しなくていいだろ。黒川には黒川のスケジュールがある訳だし...」

 

 

 

 

そう言いながらもハジメがあかねの方を様子見するようにチラリと確認...だが、彼女は少し考えるようにしてからコクリと頷いてから答えた。

 

 

 

 

 

「いいですよ...私もちょっと興味あります」

 

 

 

 

 

「え、えっと...無理してない?」

 

 

 

 

 

「はい、無理してません。五十嵐さんが用事あるのなら無理には言いませんが...ここまで乗せて頂いている身なので」

 

 

 

 

 

そう言われると行くなとも言いづらくなるハジメ。仕方ないなと言わないばかりに息をつきそうな表情を浮かべると「分かった、行こう」と了承。それと共に真奈美が「やったぁぁー!!」と両手を大きく広げて上げるようにしてあかねの手を取った。

 

 

 

 

 

「あかねちゃん、私と一緒にいこっ!」

 

 

 

 

「バーカ、なに言ってんだ。お前の車ん中、タイヤまみれだろ」

 

 

 

 

 

「アハハ....そういえばそうだった」

 

 

 

 

 

指摘に苦笑いしながらもそう言ってあかねから離れる真奈美。それを確認したハジメは小声で「たく...」と呟くとNSXの助手席側のドアを開けるとあかねに乗るように促した。

 

 

 

 

「行こうか、ここから箱根まで1時間はかかるだろうし...」

 

 

 

 

 

「あ、はいっ」

 

 

 

 

 

あかねがコクリと頷きながらも助手席に乗り込んだところでドアを閉めるハジメ...そのまま自分も運転席に乗り込もうと回り込んでいると真奈美がジト目で見るような視線を向けているのに気付いた。

 

 

 

 

 

「...んだよ?なんか言いたいのか?」

 

 

 

 

 

「いーや、私への指導もそれぐらい優しくしてくれたらいいのになーって...」

 

 

 

 

 

「充分優しいだろ。寝言は寝てから言え、タコスケ」

 

 

 

 

 

「タコスケじゃないモーン!睡眠10時間取ったから眠たくないモーン!!」

 

 

 

 

 

子供みたいな返答に半ば呆れたように小さく「ハァ...」と小さくため息をつきながらも運転席に乗り込むハジメ。キーを差し込み、セルを回してヴァゥンッ!とエンジンを始動させるとゆっくりと出入り口の方へと走り始めるNSX...

 

夕焼け色に染まり始めた空を反射させる純白のボディを眺めながらも真奈美はクイッと身体を伸ばした。

 

 

 

 

 

「さーてと、私も行かないと...」

 

 

 

 

 

そのまま自分の86へと乗り込む真奈美。

エンジンスタートボタンを押してブォゥンッ!とボクサーエンジン特有のエンジンサウンドを響かせながら富士スピードウェイを後にしていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

              ・

 

 

 

 

 

 

 

 

―1時間後

 

チューニングショップ/スパイラル

 

 

店の駐車場に停まる白いNSXと86。自分達が先着というわけでもなく、先程の富士スピードウェイの走行会で早めに切り上げた組が何台か停まっているような状況...その中にはハジメと競いあったあの赤いケイマンも停まっている。

NSXから降りた二人だったが、真っ先にあかねがそのことに驚いていた。

 

 

 

 

 

「あれ、この車...?」

 

 

 

 

 

「あぁ...今日一緒に走ってた人のケイマンだ。

あの富士の走行会、割とここの常連さん多くてさ...」

 

 

 

 

 

続けて降りたハジメが説明している間に86から真奈美も降りてきた。如何にもご満悦と言った様子だ...

 

 

 

 

 

「バーベキュゥーッ!バーベキュゥーッ!!お肉、お肉、おッニクーッ!!」

 

 

 

 

 

妙な歌を歌を歌いながらもスキップ気味の歩調で店の裏手まで移動する真奈美...そんな彼女の後ろ姿を見たあかねは「五十嵐さん」とハジメを呼んでから苦笑い混じりの表情で恐る恐る問いかけた。

 

 

 

 

 

「真奈美さんって、19...でしたよね?」

 

 

 

 

 

「ああ、まあ...」

 

 

 

 

 

「私より2つ上...なんですよね?」

 

 

 

 

 

「ま、まあ...な」

 

 

 

 

 

表面上での精神年齢ではあかねの方が圧倒的に上そうだな...と内心思いながらも答えるハジメ。そのままスキップ気味の真奈美の後ろに続くように歩いていくと店の裏手に到着。先程のサーキットで見たような顔ぶれがBBQの日を取り囲むようにして談笑混じりに肉を食べているのが視界に入ってきた。まるでパーティー会場のようだ...そう思っているときに後ろから「よっ、ハジメ」と唐突に声を掛けられるハジメ。ゆっくりと振り向くとそこには奥山の姿が。

 

 

 

 

 

「お、奥山さん」

 

 

 

 

 

「元気そうで何よりだ。他の奴らがいつもミドルかエキスパートクラスで走るお前がビギナークラスの走行枠で走るのはヤバすぎるって熱心に話してたぞ」

 

 

 

 

 

「まあ...腕がまだまだな弟子に教える為にちょっと走っただけですよ」

 

 

 

 

 

苦笑いしながらもそう答えるとハジメ。奥山がそこから話を続けようとした時にふと彼の隣にいたあかねの存在が気になった。

 

 

 

 

 

「キミがハジメと今ガチで共演してる黒川あかねちゃん?」

 

 

 

 

 

「あ、はい。そうですが...」

 

 

 

 

 

「俺は奥山広也、この店のオーナーだ...こんなオッサンだけど一応今ガチ見てんだ。最新話までな」

 

 

 

 

 

そうこうしている間に片隅で肉を焼いていた男が「―おーい、ハジメ!」と呼んだのを聞いたハジメが「なんすかー!?」と問い返しつつもそちらへと離れていく。

これは色々話せるかもしれないと思った奥山は軽く腕を軽く組むようにしながら「なあ、あかねちゃん」と単刀直入にある言葉を発した。

 

 

 

 

 

「アイツ、今でこそあんなんだけどちょっと前まで泥水啜って生きるような生活してたんだ」

 

 

 

 

 

「泥水...啜って?」

 

 

 

 

 

「あぁ。高校の時から好きな車の頭金の為にバイトに明け暮れ、プロデビューしても最初の内は生活がどうにもならず、結局は1日の大半をバイトして過ごすような状況...年齢詐称して酒提供するような店で深夜も働いてたらしい。ドライバーとしての仕事も選べるようなご身分でもなかったから、自ら営業みたいに掛け合っては棺桶みたいなヤバい車に乗って最高速チャレンジしたりとかやってたな。才能はあったのに...全くと言っても良いほどスポットライトに当たらなかったんだ」

 

 

 

 

 

「そうですか...何かそこから脱するようなキッカケがあって今があるのですか?」

 

 

 

 

あかねの言葉に「まあな」と頷く奥山。煙草を手にとってくわえると火をつけずに遠くを見据えるようにしながら語り始めた。

 

 

 

 

 

「あれはちょうど1年前ぐらいか...あかねちゃんは筑波サーキットってサーキットは知ってるか?」

 

 

 

 

 

「あ、えっと...名前ぐらいなら」

 

 

 

 

 

「そうか、筑波は今日の走行会で走ってた富士スピードウェイよりかは全然小規模だけど国内でもかなり有名なサーキットなんだ。1周約2kmのコース、ここで俺たちのようなチューナーからもドライバーからも大台とされているタイムが"1分切り"だ」

 

 

 

 

 

「それを...果たしたのですか?」

 

 

 

 

 

「ああ。しかも、当時チューナーからあまり注目されてないような車で...」

 

 

 

 

 

奥山の言葉に小さく首を傾げるあかね。そんな彼女に説明しようとスマホを手にとって操作するとある一台の車を見せた...変わった形のスタイリッシュなデザインのトヨタのクーペだ。

 

 

 

 

 

「速そう...ですね。この車、本当に注目されてなかったのですか?」

 

 

 

 

 

「ああ。この車、トヨタのGRスープラって車なんだが...価格も同社の86に比べて高い上、スペックでもニッサンのGT-Rなんかと比較してそこまで優れてるって車じゃなかったんだ。それに外側が違うだけで中身はBMWのZ4と一緒...名前をトヨタの昔の名車から引き継いでいるのにそういう部分もあって、俺らのような立ち位置の人間からはあまり好印象じゃなかった。故にチューニングのノウハウに関して当時はほとんど手つかずの車だった」

 

 

 

 

 

そう説明するとスマホをしまう奥山。くわえてた煙草に火をつけようか悩みながらも問いかけるようにあかねの方をチラ見...彼女がジェスチャーで"どうぞ"と見せたところでようやく火をつけて吸い始めた。スゥー...と吸ってから煙草を口から離すと彼女にかからないように配慮するように顔を逸らすようにして副流煙を吐いた後に再び語り始めた。

 

 

 

 

 

「アイツは...そんな車で筑波の一分切りを果した。

これを果たしたのがベテランドライバーなら何も騒がれることはなかったが、タイムを出したのは新人の名も無きドライバー...これがキッカケとなり、業界内でヤツは一気に脚光を浴びることになった。ヤツが注目されるキッカケとなったのをザッと話しすとこんなカンジだ」

 

 

 

 

 

 

若干懐かしそうに語る奥山に対し、スゴいことは分かったがどれぐらいスゴいのか分からない様子のあかね。彼女にも分かりやすいようにと素人なりに演技の世界で例えてみることにした。

 

 

 

 

 

「コレが正しい解釈かどうかは分からないが...プロダクションに所属して間もない名もなき人新人の役者がトレンドからズレたような内容の映画で日本アカデミー賞にノミネートする...って感じか。まあ、素人なりのふんわりとした表現だから合ってるかどうかは定かじゃないが...」

 

 

 

 

 

その例えで「な、なるほど...」と何となく理解した様子のあかね。そんな彼女の姿と肉を焼くハジメの姿を目で追うように交互に見てから奥山はある一言を言い残して立ち去った。

 

 

 

 

 

「今後ともアイツと仲良くしてやってくれ。よろしくな」

 

 

 

 

 

立ち去っていく奥山の背中を眺めるあかね。

そんな中で「おーい、黒川ー!」呼ぶハジメの姿が...小さく笑みを浮かべながらも「はーい!」と返してスキップ気味に駆け寄ると一緒に横に並ぶようにして一緒に肉焼き始めると周囲から茶化すような言葉が飛び交う。二人とも互いに釣られるように笑っている姿を遠くから眺めていた真奈美はクスッと小さく笑いながらもこんなことを呟いた。

 

 

 

 

 

「前にダークホースって呟いたけど、アタリだったみたいだね。コレはかなちゃんと同等か...それ以上かも」

 

 

 

 

 

それと共に横から奥山がスッと真奈美の横から姿を見せた。

隣に立つようにすると二人が笑っている姿を見ながらも思わずフッと小さく鼻で笑った。

 

 

 

 

 

「いい顔してるな、二人とも」

 

 

 

 

 

「そうですねっ、なんだかこっちまで笑顔になっちゃう」

 

 

 

 

 

 

 

 

              ・

 

 

 

 

 

 

 

 

―翌日、夜 事務所

 

 

稽古が終わると忘れ物を取りに戻ると社長室に入るマネージャーの姿が...少しばかりの興味から忍び足で近づくとドアの隙間から「―なにやってんだよッ!!」という社長の罵声が響き渡ってきた。身体をビクッと反応させつつも恐る恐るドアの隙間から聞こえる声に耳を傾け続けた。

 

 

 

 

 

「―今ガチ観たが、あかねの出番ほとんどねえじゃねえか!なんだよ、出たと思ったらワンカットだったり隅っこに映ってたりぐらいで モブかなんかかと思ったぞ!!」

 

 

 

 

 

「―申し訳ありません...!」

 

 

 

 

 

「―謝りゃ全部済むと思ってんのか!大体な、お前のマネージメント能力が足りねえのも原因なんだぞ!もっと目立たせろ!!いいな!?」

 

 

 

 

 

廊下中に響き渡るような罵声に思わず身体を小さく震わせるあかね...

 

 

社長の罵声が重石のように彼女の心の中に伸し掛かると共に罵声を浴びたマネージャーが疲れた様子で出てきた。ドアをガチャッと締めてあかねと目が合うと苦笑いの笑みを見せてきた。

 

 

 

「キミは無理しなくてもいいよ。全部こっちで背負うから」

 

 

 

そう言いながらも去っていくマネージャー...その背中を見たあかねの心はあるプレッシャーで一杯になってしまった。

 

 

 

 

 

もっと...

 

 

 

 

もっと目立たないと。

 

 

 

 

もっと...

 

 

 

 

 

 

頑張らないと。

 

 

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