IF 〜もしもあの時〜   作:マグウェル

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第四幕 Radioactive act.14

 

 

―秋名山 夜

 

 

 

 

追手はいない、ここまでくれば大丈夫と思い86のアクセルを抜いてペースを法定速度まで落とす真奈美。「ふぅ...」と小さく安堵するように息をついては助手席で大人しく座りながらも小さく震えるルビーに目を向けて確認しては単刀直入に問いかけた。

 

 

 

 

「あれは...昼の連中とは違って確実に来てたね。

 

何か心当たりはある?」

 

 

 

 

 

真奈美の問いかけに窓越しに流れる山の風景を眺めながらも首を小さく横に振るルビー。そのまま自分のことを思い詰めるような思考に時折ズッ...と涙を啜るような音も聞こえてきた。

 

今回は自分が仕組んだものではなく、本当の襲撃。

相手は本気でルビーを殺す気だった...

 

 

大人ですら怖がるようなシチュエーションにまだ18歳の女子が立ち会ったのだ。幾ら根っこがおかしくても怖がって当然だ。

 

拠点でのやり取りとは一転して一気にしおらしくなってしまったルビーにどう声を掛ければいいか分からずに運転しながらも思わず困り顔を浮かべる真奈美。

先程の演技ではなく、マジなヤツになると流石の彼女もお手上げ...ましてや拠点でアレだけ揉み合った後だ。声を優しく掛けられるようなメンタルにはなれない。

 

 

思わずため息をつきそうになったその時だ。

ヘアピンから立ち上がってストレートを走っている時、86のバックミラーにピカッと光が差し込んできた...

 

一般車だろうか...?

 

内心そう思ってバックミラーを眺め続けていたが、異常なまでの追い上げ方から途中でアクセルをグイッ!と強く踏み込んでいく。いきなりの加速Gに驚い様子で「えっ...!?」と驚いたようにルビーが声を漏らすと真奈美はドライビングに集中しながらも早口でこう告げた。

 

 

 

 

「後ろから異様な速さで1台追ってきてる!多分、さっきの奴だよ!!」

 

 

 

 

「え....!!?」

 

 

 

 

 

咄嗟に後ろを確認すると闇夜に紛れるような黒いボディカラーのセダンが走ってることにようやく気付く...しかも、直線がかなり速い。86で全力でアクセルを踏み込んでも離れるどころか距離は縮まる一方だ。

 

 

 

 

「(なに、コイツ....!直線メチャクチャ速いじゃん...!!)」

 

 

 

 

コーナーでザッと離れても直線が少しでも長いと離れた距離を縮めてくるどころか、それ以上に距離感を詰めてくるような速さだ。

 

 

 

 

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「(コーナーは下手くそだけど、馬力の差がありすぎて直線に入ると縮められる...!)」

 

 

 

 

そう思いながらもバックミラーを確認した時にちょうど外灯に照らされたタイミングということもあって青が混ざった特徴的なエンブレムなどからどんな車種か大体の特定が出来た。

 

 

 

 

「(BMW、サイズ感的に3シリーズあたり...!

グリルからしてE92型、この速さだとM3まではいかないけど多分335i。スペック的にV6ツインターボで300馬力オーバー...こっちはライトチューンでようやく実馬力200ちょいだからパワーの差は1.5倍か...!)」

 

 

 

 

ストレートが長い区間に入る度に詰められに詰められる...

そして、右の90度コーナーを抜けて長めのストレートに入った時...ついに335iが追いついてくた。

 

そのまま後ろからガンッ!と86のリアを突いてくる。

 

 

 

 

 

「っ!?」

 

 

 

 

 

キィィッ!と悲鳴のような音をリアタイヤから上げて姿勢が不安定になり掛ける車体をステア操作で何とか押さえる真奈美。335iは更にそこから追い打ちを掛けるようにガンッ!とぶつかってくる。助手席のルビーも「きゃっ!?」と悲鳴を上げている状況...怯んでいる間に更に突っ込もうとしてきたが、バックミラーでなんとか軌道を見て回避。

ステアリングをしっかりと握りながらもバックミラー越しに見える黒い車影を確認してはチッと小さく舌打ちをして睨みつけた。

 

 

 

 

「くっそー、やりやがったなぁ!後で板金代請求してやる...!!」

 

 

 

 

そう言っている間に次のヘアピンコーナーが見えてきた...

この先は秋名山特有の連続ヘアピン。

コーナリングがコチラの方が速いとは言っても後輪駆動特有のコーナーリング時の安定期に入る直前のタイミングで向こうが突いてきたら絶対にアウト。土手に乗り上げるか、ガードレールに刺さってクラッシュする未来が見える。

 

 

 

 

どうする...?どうすれば?

 

 

 

 

そう考え込んでいる時だ。

初めてここ走った日の光景が脳裏を駆け巡っていく真奈美。

 

 

その光景は...

 

 

 

青いWRXにイン側から一気に抜けれた時の光景だ。

 

 

確か、あの時に抜かれたのも同じ連続ヘアピンだった。

 

 

 

もしかすれば自分にも出来るかもしれない...

 

いや、出来る出来ないじゃなくしてやるしかない。

 

今の自分にとっての思いつく突破口はまさしくこれしかないのだ。

 

そう決意しては助手席のルビーの方に目を向けてこう告げた。

 

 

 

 

 

「ちょっと怖い思いするかもよー....!しっかり掴まって!!」

 

 

 

 

その言葉に「えっ?」と理解できないように言葉を漏らすルビー。本来なら減速するようなタイミングでその気を見せない姿に狂気のようなものを感じる...後ろについていた335iも流石に減速態勢に入る中、真奈美はイン側にある排水用の側溝を睨みながらも一気にステアリングを切った。

 

 

 

 

「(ここだ...ッ!!)」

 

 

 

 

ガリッ!という奇妙な音を立てると共にイン側のタイヤが排水用の側溝に見事に落ちた。そこからアクセルをグッ!と踏み込んでジェットコースターのように立ち上がっていく86。

 

更に次のヘアピンも、その次のヘアピンも...!

 

 

 

 

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奇跡的にも一発で綺麗に決めていく86と対照的に335iはガードレールにガリガリ!とボディを削って大きくロスが生まれるような状態。

連続ヘアピンを抜けた時にはあまりの速度差に335iの姿は消えていた。

 

 

 

 

「上手く行った...!今のウチに助け呼んで!警察でもなんでもいいから!!」

 

 

 

 

真奈美の言葉を聞いて動揺していた心を抑えつつも咄嗟にスマホを手にするルビー。しかし、彼女が掛けた先は警察ではない...自分のマネージャーだ。これ以上大事になったら逆に芸能活動を続けづらくなるという考えから至った行動....「―は、はい!もしもし!?」と急いで出たマネージャーに対してこう呼び掛けた。

 

 

 

 

「もしもし、怪しいストーカーみたいな人に今追われていて...!い、今どこだった?」

 

 

 

 

 

「秋名山!」

 

 

 

 

「そう、秋名山!そこで車に乗って逃げてます、早く助けに...!!」

 

 

 

 

 

その時だった。

大きなコーナーを立ち上がった先でパンッ!と大きな音が鳴り響くと共にいきなり86の姿勢が崩れたのだ。

大きな振動から「きゃっ!?」と悲鳴を上げると共にその場にスマホを落としてしまうと共に何があったか確認するように真奈美を見ると彼女は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべながらもこう答えた。

 

 

 

 

「右のリアタイヤがバーストした...!

 

釘かなんか踏んだみたい!!」

 

 

 

 

「えっ...!!?」

 

 

 

 

もう少しで市街地まで逃げ切れると言ったところで起きたバースト...グリップ力は大幅に低下し、とてもじゃないが速く走れない。そんな中で後ろから別のエンジンサウンドが聞こえる...どうやら向こうもまだ諦めてないようだ。

 

 

 

ここまで、か...

 

 

 

諦めたように俯くルビーに対し、真奈美はパンクした86を減速させながらもこう指示を出した。

 

 

 

 

 

「私が囮になる。アンタは自分の足で下山して」

 

 

 

 

「お、囮になるって...」

 

 

 

 

「それが...今出来る一番正しい判断。

もう少しで公園の駐車場に入る、そこに入ったら外灯を避けるように全力で逃げて。この暗闇なら追おうにも追えないはず」

 

 

 

 

そう言うと共に惰性するような減速具合で公園に86を入れると隅の方へと飛び込むように停車。ほぼ外灯も何もない中で「行って!」と叫ぶようにしてルビーを送り出した。

彼女が戸惑いつつも闇夜に隠れて何処かに行ったタイミングで「さて...」と車内から使えそうなモノを漁り始める真奈美。程なくしてエンジンサウンドが大きくなると共にヘッドライトの明かりがしっかりと見えてきた。このタイミングで彼女はあるものを手にして引きつけようと試みる...発炎筒だ。

キャップを外し、先端部をマッチのようにザッと擦って着火。

ジリジリ...!と焼けるような音と共に目立つような赤い炎と煙を上げているそれを手に持ちながらも見ていると、335iが釣られるように公園の駐車場に入ってきた。

 

ボロボロになった335iからあの緑の雨合羽を着た不審者が降りてくる...辺りを見回すようにしている姿から恐らくルビーのことを探しているのだろう。そんな姿を見て察しては先手を打って注意を引きつけてやろうとこういった。

 

 

 

 

 

「あの娘ならもう下山した、アンタの負けだよ。大人しくそのボロい車に乗って帰った方がいい」

 

 

 

 

 

その言葉に反応するも、大人しく引き下がる気配はない。

そのまま再びナイフを手に取っては刃を真奈美の方に向けてきた。予想通りだとニヤリと不敵な笑みを浮かべた彼女は手に持っていた発炎筒を自分と不審者の間に投げ捨てると車内を漁って出てきたある武器を手にした...伸縮式ラチェットだ。

 

 

 

 

「やっぱりその気なんだ。

いいよ、二人しかいないし...思う存分やり合おっか」

 

 

 

 

伸縮式ラチェットのロックを片手でカチッと外しながらもブンッ!と振って伸ばす真奈美。ここで例え自分がヤラれても状況的にルビーは逃げ切れるだろう。

 

しかし、彼女はヤラれる気なんて毛頭ない。

寧ろこの不審者の正体を暴いてやろう...その気持ちでいっぱいになっていた。

 

 

 

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一方、下山しようとほとんど明かりがない状況下で必死に走るルビー。番組用の仕立てたワンピースも土埃などで汚れてる状況下で車道の方に目を向けると今から上ろうとしている車輌を発見...間違いない、助けがきた。

 

そう思って表に飛び出すように出ると見えてきたのはサンライトイエローのボディにカーボンボンネットの車...由梨花のEK9だ。

 

 

 

 

 

「こ、ここです!」

 

 

 

 

大きく手を振るようにしてアピールする彼女の前に停まるEK9。キーィッ!とブレーキスキールを響かせて停車すると共に助手席側のウィンドウを開けた由梨花が顔を見せてきた。

 

 

 

 

「やっぱり、住んでる場所が近い私が一番乗りってわけね。よかったわね、私が家で寛いでいて...早く乗って」

 

 

 

 

そう促して助手席に乗り込むルビー。EK9は再び走り始めたかと思えばキィィッ!とサイドターンを決めて下り道を走り始めた...そんな中で車内にいた彼女は不安を抱えながらも窓から流れる景色を眺めていると由梨花は無意識にもその不安を突くようにこう問いかけてきた。

 

 

 

 

「...低レベルちゃんは?」

 

 

 

 

「低レベルちゃん?」

 

 

 

 

「あの芋臭い86乗りの娘。一緒だったんでしょ?」

 

 

 

 

聞かれて動揺するように間を空けてしまうルビー。

それを見て何となく察した由梨花は「警察は?呼んだの?」と確認するように問いかける。しかし、ルビーは黙り込むように俯いて間を空けてから首を横に振った。

 

 

 

 

 

「どうして呼ばないの?」

 

 

 

 

 

「け、警察呼んだら大騒ぎになるから...

お昼にもお世話になったからこれ以上大事になったら私、芸能界で...!」

 

 

 

 

 

「何言ってるのよ、アナタ!下手すれば人の命が掛かってるようなことなのよ!?」

 

 

 

 

 

珍しく声を荒げて叱りつける由梨花にビクッと驚くように反応してきたルビー...これほどしっかりと叱咤されたことはあまりないかもしれない。戸惑うように「ご、ごめん...なさい...」と声を震わせる彼女に対し、由梨花は人通りのある市街地に出たタイミングで「もういい」とため息混じりに呟きながらもハザードをつけて路肩に寄せた。

 

 

 

 

 

「アナタが呼ばないなら...私が呼ぶ」

 

 

 

 

そう言ってスマホを手にしてピッピッと110番通報しようとする由梨花...しかし、そんな彼女を「待って!」と静止するように呼び掛けてはグッと携帯を持ってる腕を掴んだ。往生際が悪いと思いながらも掴んできた手を振り払おうとすると、ルビーは涙を浮かべながらも真っすぐとした目でこう訴えてきた。

 

 

 

 

 

「...呼ぶよ。私が、ちゃんと呼ぶから....」

 

 

 

 

 

そう言って自分のスマホを手にして110番通報するルビー。今から間に合うかどうか分からないがやれることは全部やろうと電話を掛けては彼女が囮になっている公園の場所などを全て伝えてピッと通話を切った。ホッと一息をつけそうなタイミングではあるが、不安が募りに募る彼女...それに対し、由梨花はハンドルを再び握ってはハザードを消して本線に合流...その間に対照的なことを考えていた。

 

 

 

 

 

「(まあ、あんなこと言ったけど正直そんな簡単にやられるような娘とは思ってないけど)」

 

 

 

 

 

 

そう思いながらも脳裏に昼に襲撃されたバンに乗り込んでいたスタッフ達の会話を回想するように再生させる由梨花。そのままため息をハァ...と小さくついてから半ば唖然としたような表情を浮かべてこう頭の中で呟いた。

 

 

 

 

「(まさか、昼に襲った連中の中で一番強そうな男を制圧して取り押さえたのがあの娘だなんて...

人は見かけによらないっていうか、なんていうか...)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

               ・

 

 

 

 

 

 

 

 

―同時刻、公園

 

 

 

不審者と対峙し、命がけの戦いを繰り広げる真奈美。

その戦闘力の差は圧倒的なものだった。

 

よくて20cm程しか有効距離がない不審者が持つナイフに対し、50cm近くの長さの伸縮式ラチェットを一切近づけないように振り回す。

 

ナイフは殺傷能力に関してはラチェットに勝るもののその有効距離の短さがネック。

 

それに対して伸縮式ラチェット...

本来の使用用途は違えど、この長さのラチェットは携帯型の警棒に匹敵するほどの戦闘能力を持つ。寧ろ、重量が重いため振り回しづらくはあるものの、その分一撃一撃のストッピングパワーではラチェットの方が上回る可能性すらある。

 

何度攻めて打ち返されても諦める気配のない不審者...

間合いを詰めようと低めの姿勢で接近してくる相手に真奈美は肩に向けてザッとフェンシングの突きをするようにして姿勢を崩す。

向こうからすればヘッドがぶ厚い鉄の塊が直線的に素早く飛んで来るようなもの...流石に怯んできたが、再びナイフを構えて真奈美を刺そうと向き合った時、全てに対して後悔した。

突きよりも威力がある振り回しによる一打が襲いかかろうとしていたのだ。

 

 

 

 

「もらった」

 

 

 

 

そのまま勢いがついた強烈な一打が腕に襲い掛かる...

本気で振り回したその一打はミシッ...!と骨を粉砕するような強力なもの。ガードもなしにモロに入った一撃から流石に耐えられない...勢いから倒れながらもその場にナイフを落とした。

 

 

 

 

 

「アンタ、訓練も何もやってないでしょ?

動きが素人そのものだよ...ま、武器も持ってない女の子一人襲うのにそんなのいらないか」

 

 

 

 

 

そう言いながらもそれ以上の追撃をしない様子で背中を見せるようにする真奈美。しかし、不審者はまだ諦めていない...再び打撃を受けていない手でナイフを手に取ると素早く立ち上がって隙を突くように襲い掛かってくる。

 

...が。

 

真奈美はそれを予知していたように素早く振り向きながらもラチェットを振るい、不審者の脇腹に強烈な一打を浴びせた。ミシミシッ...!と骨が砕ける音と共に流石の不審者もその勢いからナイフを遠くに投げ捨てるように仰向けになって倒れていく。

 

 

 

 

 

「馬鹿だねぇ、アンタが襲ってくる限り私の正当防衛は認められるんだよ」

 

 

 

 

 

まるでゴミを見るような見下すような目を不審者に向ける真奈美...まともに動けなくなった不審者に馬乗りになって動きを封じると深々と被っていたフードに手を伸ばした。

 

 

 

 

 

「さて、せっかくだから見せなよ。その汚いツラを」

 

 

 

 

そのまま指でフードの端を摘んでゆっくりと上げた時...

彼女は予想もしていなかった見覚えのある顔に思わず動揺してしまった。

 

 

 

 

「なっ....」

 

 

 

 

思わず声を漏らしてその場で固まっていると一瞬の隙を突くようにして真奈美に蹴りを食らわせてくる不審者。再び雨合羽のフードを深々と被って逃げるように335iに駆け込むように乗り込んだ。

 

 

 

 

「...っ、待て!逃げるな!!」

 

 

 

 

そう叫ぶようにして急いで追うように走るも手を伸ばして届くギリギリのところで走り出しては上り方面へ逃げてしまった。流石に上りでパンクした86で335iを追うことなんて出来ない...

「チッ...!」と舌打ちをしつつも仕方ないと諦める。

伸縮式ラチェットのロックをカチッと外して縮めた時に脳裏に浮かび上がったのはフードを外した時に見たあの顔だ...

 

 

 

まさか、本人...いや、そんなわけが...

 

 

 

そう思いながらも立ち尽くす...程なくして近くを警らしていたパトカーが公園の駐車場に入ってきた。ルビーの通報を受けてここまで来たのだ。パトカーから二人の警官が降りてくる。

 

 

 

 

「警察です、通報を受けてきました」

 

 

 

 

「お、お疲れさまです」

 

 

 

 

動揺の色を見せながらもその場で軽い事情聴取を受ける真奈美。犯人であるあの不審者の姿はなかったものの、ルビーが通報した内容と全て一致することと86に備えられていたドライブレコーダーが捉えた駐車場で襲われてる映像もあって、警察官も疑いを見せずにスムーズに進んでいく。そして、この場での最後の質問をしようと警察官はメモを取りながらもこう投げかけた。

 

 

 

 

「次でこの場で行う最後の質問になります。

犯人の顔は...見られましたか?」

 

 

 

 

動揺して一瞬答えようかどうか悩む真奈美。そんな彼女の状態に気づき、警察官が真っすぐとした目を向けながら「正直にお願いします」と催促すると彼女は意を決するように頷いて答えた。

 

 

 

 

「...はい、見ました」

 

 

 

 

「そうですか...見知った顔でしたか?」

 

 

 

 

「向こうは...私のことを知らないと思います。

ですが、私は彼女の顔を見たことがあります。もっとも歳こそは最後に見た時よりもかなり取っている感じでしたが...」

 

 

 

 

 

真奈美の答え方によく分からないと言った様子の警察官。そこから更にもう一歩踏み込もうとこう投げかけた。

 

 

 

 

「もっと詳しくお聞かせください。お願いします」

 

 

 

 

その頼みを聞いてスゥー...と気持ちを落ち着かせるように深くゆっくりと息を吸う真奈美。そして、ついにその硬く重たい口を開けて詳細を語り始めた。

 

 

 

 

「彼女の名前は...忘れました、幼い時に見た顔だったので。ですが、どういう存在かはお話出来ます。

 

 

 

彼女は.....元B小町のメンバーです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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